「 アレルギー気質 」


 私は、アレルギー体質だ。
 子供たちもみな、アレルギー体質。
 アレルギーとは、
本来、自分の体に害になるものを排する
という仕事をする免疫機能が、
過剰に反応してしまって、
自分自身を攻撃してしまうというもの。

 私は物心ついた頃から鼻で息をしたことがなく、
みんなが花粉症だ花粉症だと
大騒ぎするよりもっともっと前から
一年中花粉症の症状で、
死にゃあしないけれど、
死にそうに苦しい思いは何度もしてきた。
 試験の時期はいつもくしゃみが止まらずに
試験勉強も本番の試験も全然ダメだった。

 勉強は好きだったが、
いつも頭はもうろうとしていて、
世の中にはいつも霞がかかっていた。
 寝起きや寝入りばなは、
くしゃみのしすぎで熱が出てしまい、
毎晩濡れタオルで鼻の頭を湿布しなければ眠れなかった。

 弟は重症のアトピーと喘息だったし、
息子たちはやっぱり
アトピーで喘息で鼻が悪い。
 目はいつもかゆい。

 医者に薬をもらったこともあるが、
薬漬けになってしまう生活が嫌で、
アレルギーによいとされる食べ物
(あかじそ・ヨーグルト・りんご・黒ゴマ、
ルイボスティー・こんにゃくなど)を
食卓にいつも出しているし、
砂糖や肉類、添加物、体を冷やすものなどは
極力避けてきた。
 子供たちは3歳まで卵や乳製品、
牛のもの鳥のもの、たんぱく質のきついものは
全然食べられなかった。

 そんな生活にも慣れてきてしまって、
アレルギーと仲良くやっていくしかないと
最近ははらをくくっている。

 が、くくるにくくれないのが、
精神的なアレルギーだ。
 アレルギー体質、というのがあるように、
アレルギー気質というものもあるのではないだろうか?

心の免疫機能の過剰反応。

 要するに、
取るに足らない他人のことばや言動で
必要以上に傷ついたり打ちのめされたりしてしまい、
自分を守ってくれる周りの人たちに対して、
キーキーギャーギャー反撃してしまう、
傷つけてしまう、
というやっかいな気質が。

 ちょっとしたことばのアヤや
悪意のない人の意見に対して、
「自分はいじめられている」
「自分ばかりひどい目に遭っている」
と大騒ぎし、
親に、夫に、妻に、子供に、
毒を吐いてしまう、アレルギー気質。

 思うに、アレルギー体質には
アレルギー気質が
抱き合わせでセットになっていることが多く、
私も、私の子供らも、
私の親も、親戚も、
被害妄想から逆切れして
物凄く攻撃的になることがある。
 もう、それは発作としか言いようがなく、
精神的「アレルゲン」となる事件が起きると、
やられたやられた、
苦しい苦しい、
チキショーテメーらこのやろー、ふざけんな、
と大騒ぎした挙句、
発作がおさまるとケロッとしてしまう。

 喘息よりタチが悪い。
 つける薬がない。

 アレルギー体質を改善すれば、
アレルギー気質も改善するのだ、
と、私は思う。

 だから、アトピーや喘息や鼻炎や結膜炎を管理して
うまく付き合う方法を模索するのと同時に、
アレルギー気質を管理する方法を
常に研究している。

 おそらく、体質だ気質だ、というものは
一生自分にくっついてくるものだ。
 腐れ縁だ。

 腐れたものをどう旨く食らうか、
これがアレルギーピープルの課題だろう。

 死ぬほどつらいのに、
病人扱いされなかった、
私の長いアレルギー体質時代。
 つらさを「気のせい」と言われていた、
長い長い、かゆくて息苦しい青春。

 アレルギー気質にいたっては、
いまだに「気のせい」扱いだ。

 アレルギー気質に苦しむみなさん、
一緒にその管理法を模索しようではありませんか。
 自分らは、変人でも狂人でもなく、
アレルギー気質で困っちゃってます、と、
世の中に認識してもらおうではありませんか。

 で、やられたやられた、とキーキー言ってないで、
仲良く気質と付き合って
楽しくやっていこうではありませんかい!

 どーですかー!
へーっくしょーん、っと!


                            (了)


(話の駄菓子屋) 2003.10.13 あかじそ作