子だくさん 「TDSに行ってきた」

 ―――東京ディズニーシー 2012.12.26.―――


 
 三男の高校受験の息抜きも兼ねて、
久しぶりに家族みんなでディズニーリゾートにでも行こうか、
ということになった。

 次男は、ディズニーランドの年間パスポートを持っているので、
ランドには、週末ごとに友達と行ったり、自分ひとりで行ったりしているが、
「シーは、久しぶりだ」と、一番張りきっていた。

 そこで、次男がひとりで先に出掛け、
入会しているファンクラブの会員価格で家族の分のチケットを買う。

 そして、残りの家族は、後からゆっくり出掛け、
並ばずして、入り口のところで、次男からチケットを受け取る、
という手はずになった。

 当日の朝、
私と夫が、朝6時に起きて荷造りをしていると、
(喘息の薬や胃薬、風邪薬や解熱剤など、
病弱兄弟の移動には、全員分の薬一式持参しないと、
全員で病院にぞろぞろ行く羽目になるのだ!)
7時ちょい前に次男がもぞもぞ起きてきて、
おにぎり一個くわえながら、自転車で出発して行った。

 その後、例のごとく、
「ディズニーで売っている風のランチ」を、7人分、
どんどん作って行った。
 さながら、ちゃぶ台上は、弁当工場のようだった。

 他にも、個別包装の大入りどら焼きや、
8個入りテーブルチョコロールなど、
全員に行きわたるように、
事前にたくさん買い込んでいた軽食を、配布。 

 水筒やペットボトルにお茶を入れて、これも配る。

 はい、これ全部ディズニーでは、本来、ルール違反。

 ピクニックエリアで食べる分には、手弁当オッケーだが、
待ちながら、移動しながら、
時間と飲食代節約のために持ち込みの物を食べるのは、
ホントは、ダメ〜〜〜〜〜。
 オープン当初は、スタッフの人たちもいちいち注意していたけれど、
最近は、もう誰も何も言わないし、
ほとんど公認というか、見て見ぬふり状態というか、
暗黙のオッケーが出ている状態だ。

 ゲートでの手荷物検査でも、
弁当やお菓子満載のバッグの中を見た係員は、
「美味しそうなのいっぱい入ってるね〜」
と微笑んで(苦笑して?)くれるし、
こっちも、「てへ」で、ごまかしている。

 それでも、ディズニー愛1000%の次男に言わせると、
「お母さん、ホント、こういうの最悪だよ」
ということだが、でも、貧乏だから、ごめん! 持ちこむ!!
 あそこで7人分全員一日じゅう食べたいもの買っていたら、
一日で万単位の食費になってしまうので、いたしかたなし!!!

 
 さて、今日本を襲っている寒波の中、一日中屋外で過ごすため、
全員の背中やお腹に、使い捨てカイロを貼りまくる。
 
 前回、真冬のシーの尋常じゃない寒さに、テンションがた落ちだったため、
子供たちには、重ね着を呼びかけ、
ネックウォーマー、手袋、ニット帽を義務付けた。

 私は、と言うと、昨年、ヒートテック一式を買いこんだのだが、
あまりのヘビーローテーションで、
一年ですっかりデロデロになり、今年は、使いものにならない。

 だから、急きょ、
おっさんおばはん御用達の遠赤外線極厚タイツとソックスを重ねばきし、
その上に、タイトなジーンズをはいて、
レッグウォーマーを付け、ショートブーツを履いた。
 遠赤タイツの下には、
おへそまでバッチリ隠れる股上極深のパンツ(もはやズロース)と、
7分丈スパッツもはいて、下半身の冷えに備えた。
 (ホントは、この上にウインドブレーカーのズボンをはきたかったのだが、
子供たちに、「それは、無い!」と叱られたので、あきらめた)
 
 更に、上半身は、
@もこもこ腹巻+貼るカイロ
A半そで綿Tシャツ
Bヒートテックデロデロ長そでシャツ
C薄手のフリースのタートルネック 
Dネルシャツ
E屋外作業用保温効果抜群ウインドブレーカー
Fダッフルコート
Gマフラー
という完全防備で固めた。

 う〜〜〜ん、逆に暑い!!!

 こうして、ばっちり支度し終わり、
朝8時過ぎに家を出発。
 
 例のごとく、
バス停でもバスの中でも、電車の中でも、移動中ず〜〜〜っと、
周囲の無言の叫び(子供多!!!)を、聞きながら、
好奇の視線を受けながらの移動。

 10時頃にゲートに到着して、次男の携帯に電話をする。

 「今着いたよ! チケット持ってきて!」
 「ちょっと待って! 今、ゲートと離れた所にいるから」
 「え〜っ、『もうすぐ着くよ』ってさっきメールしたんだから、
ゲートの前で待っててくれればいいのに〜!」
 「だから、アトラクションに乗るのは、やめておいたんだからね〜!」
 「何だよ、それ。も〜う、わかったら早く来てよ〜!」
 「今急いでる!」

 それから、15分ほど待たされ、やっと次男が現れる。
 
 「はい、チケット」

 ひとり1枚、チケットを配っていったら、
6歳の長女の分が無いので、
長女の目には、じわじわ涙がにじんできた。

 「あのね、ホントは、年長さんだけどね、
背の高さも体重も、年少さんぐらいでしょ?
 だから、今日のところは、3歳ってことにしてくれるかな?」

 長女は、しばらく神妙な顔をしていたが、
やがて、納得しきった顔でゆっくりうなづき、
「わかった。 きょうは、3さいでいいよ!」
と、目を輝かせ、強い使命感を帯びた表情で言う。

 ごめんよ、長女。
 幼な子に、「ズルすること」を教えてしまう親を許しておくれ!

 でも、超小柄なあんたは、身長制限で、何にも乗れないんだよ。
 3歳並に、何にも乗れないんだ!

 だから、3歳ってことで!
 3千円ちょいの節約をさせておくれ!
 その3千円を元手にして、夕飯は、きっと、
家族全員揃って、レストランで食事をさせてあげるからね!!!
 
 悪いな! ごめんよ!
 
 こうやって、兄ちゃんたちも、みんな、
6歳までは、毎年、3歳だったんだよ〜!
 15歳までは、ずっと12歳だったんだ!
 15歳を過ぎると、やっと、人並みに身長が追い付いてきて、
晴れてリアル年齢が公言できるシステムになっているんだ、わが家は!!!

 うお〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

 キセル一家だ、うお〜〜〜〜〜〜〜!!!
 
 ここ20年、ずっと、
後ろめたさとの戦いなんじゃ〜〜〜!
 うお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

 でも、ありがと〜〜〜〜〜う、みんな15歳まで小柄でいてくれて!
 小食でいてくれて!

 バイトできる年齢になって、初めて、
人並みにすくすく育ち始める我が子たち!!!

 体型、体質までもが、親孝行なんだから〜〜〜!!!

 
 ・・・・・・とまあ、こういうわけで、やっとシーに入る。

 まずは、人気のアトラクション、
「センター・オブ・ジ・アース」のファストパスを取りに行く。

 しかし、そこへ続く暗いトンネルで、もう、長女が「怖い怖い」と泣き始めた。

 多くのアトラクションが、暗かったり怖かったりするシーでは、
身長制限以前に、アトラクションの入り口に近づくことすらできない長女であった。

 そんなわけで、明るくて、小さい子でも乗れる「アクアトピア」という、
3人乗りのボートで水上をくるくる回るアトラクションに乗ることにした。

 ほとんど並ばずに、すいすい進んで、すぐ乗れた。

 そう。今日は、12月26日月曜日。
 子供は、冬休みではあるけれど、引率する大人は、まだ休みではない。
 また、クリスマスも終わり、正月でもなく、
イベントとイベントとの狭間で、ちょっと地味な期間でもある。

 これなら比較的好いているだろうと、予測してこの日を選んだが、
大当たりだった。

 今日は、空いてる!!!
 でも、「ガランガランでさびれた感じがする」というほどではなく、
家族連れや大人のカップルがちらほら交差する、
ちょうどいい感じの混み加減だ。

 良し!
 よ〜〜〜〜し、よしよし!!



 アクアトピアでは、家族が3台に分乗し、
長女から長男まで全員楽しんでくるくる回り、
降りる場所直前になった途端、
「ム〜〜〜〜〜ン」と機械が鳴って、
乗り物も滝の水も、止まってしまった。
  
 「これよりしばらく、機械の調整に入ります」
と放送があり、並んでいた人たちが次々出て行くのが見えた。

 「ご迷惑をおかけしたので、アトラクションに待たずに乗れるカードを差し上げております」
という放送も聞こえてきた。

 ラッキーだ!

 もう、ほとんど乗り終ったのに、
実質「ファストパス」をタダでもらえるぞ!

 喜んでいたのもつかの間、ふと、
「あれ、これ、どうやって陸地に戻るの?」
と、素朴な疑問が浮かんできた。

 我々は、今、水上の乗り物に乗っているのだ。
 まさか、水の中を靴を濡らし、
ザバザバ歩いて上がるんじゃあないだろうねえ?

 その、まさか、だった。

 係員のお姉さんたちは、慣れた調子で、各々、
大きな結露取りワイパーみたいなモップ状の物で、
隅の排水溝へと、水をザアザア押し込み始めた。

 「水を抜いてるってことは・・・・・・やっぱ、ここを、歩くの?」

 確かに水位は、少しづつ減ってきている。
 物珍しかったので、あちこち写真を撮っていると、
いつの間にか水の引いた床をお姉さんが歩いてやってきた。
 そして、全員にビニールの靴カバーを配り、
水を掃くお姉さんの後について、
順番に出口に向かって歩くように言われた。



 「おお〜〜〜〜!」

 私たちは、水の引いた人口池の床を、
カルガモのごとく行儀よく並んで、お姉さんの後を歩いていく。



 そして、出口の所で、例の「早く入れるカード」をもらって出た。



 ディズニーリゾートオープン以来、25年以上通い詰めているが、
こういう体験は初めてだ。

 た、楽しい〜〜〜!
 お得!

 さあさあ、この「待たないで乗れるカード」を、
思いきり混んでいるアトラクションで使おうではないか!

 「それなら、『インディ・ジョーンズ』じゃね?」

 ・・・・・という次男の提案で、
みんなでぞろぞろそこへ行くと、2時間以上待つ、と書いてある。

 よし!

 2時間得した!

 喜び勇んでファストパスの入り口に行くと、
そこで、キャストのお兄さんに長女が呼びとめられた。

 身長制限で引っかかったのだ。

 家族7人を、「乗る班」と「長女と待つ班」の半分づつに分けて、
交代で乗ることにした。

 長女は、怖くて乗りたくないので、
乗っていない家族の半分と共に、遊びながら楽しく待っている。

 「乗る班」の方は、物凄く並んでいる人たちを横目に、
横の空いているレーンをどんどん早足で進む! 
 ああ、物凄い優越感!

 日常生活では、正反対の立場なので、
「たまには、こういうのもいいもんだぜ!」
と、非常にいい気持ちになった。

 家に帰れば、ずら〜〜〜〜〜〜っと長々並ぶ側の、
一庶民なんだもんね!

 それから、空いた船に乗り、
空いた列車に乗り、と、
来園1時間にして、早、3〜4個のアトラクションに乗った。

 いいペースだ!

 一応、時々写真も撮ってみる。



 いつも家族でどこかに行くたびにガチャガチャ過ごしていて、
家族のスナップ写真を全然撮らずに終えていたので、
ここは、意識して写真を撮ってみる。



 しかし・・・・・・、それにしても寒い!

 昼のショーもちらっと見たのだが、
風の強い場所にいたので、ショーよりも寒さの方が気になって仕方ない。



 子供たちも、寒さでシーンとしている。



 
 まあ、寒いけれども、空いているのが本当に救いで、
何に並んでも、すいすい入れた。

 待つのが嫌いなせっかち人間としては、ありがたかった。

 大きいエレベーターに乗ってフリーフォールを体験する
「タワー・オブ・テラー」では、兄貴4人が全員、

「全然怖くないよな!」
「気持ち悪いのがイヤなだけだぜ」
「落ち方しつこいパターンのヤツだったりしてね」
「あ〜〜〜あ、ちょっとだけ心配だな〜」

などと、ほざいており、
全員が、「超ビビり」だということがバレバレなのだった。



 かくして、母+ヘタレ兄4人チームは、
ヒーヒーしながら何とかフリーフォールをクリアし、
ガランガランの「シンドバッド・ストーリー・ブック・ヴォヤッジ」を
何回も繰り返し乗った父+長女と合流。

 その後、「マジックランプシアター」に入り、
寒風吹きすさぶ真っ暗闇の中、
「ジャスミンのフライングカーペット」にも乗る。
 ハッキリ言って、寒過ぎるっ!

 もう、日が暮れると、
近眼、乱視、老眼入り混じった私の目は、
ほとんど視力を失い、
薄暗い中で、全然景色が見えず、もうろうとしてきた。

 「震災後の節電で、パーク内、暗くなったの?」
と次男に聞くと、
「それは無いと思うけどなあ。前からこうだよ」
と言う。
 
 そうかなあ・・・・・・。
 目の悪い者からすると、
以前は、こんな暗闇じゃなかったと思うんだけど・・・・・・

 それか、私の老眼が異常に進んだのか?

 もう、あまりに見えないので、
店に入って早夕飯にすることにした。

 前に来た時同様、アラビアンコーストで、カレーを食べた。

 香辛料が効いている本格的なカレーと、ライスとナンが旨かった。
 提供のハウスも、本気出してるなあ・・・・・・

 同じハウスのカレーの店でも、
ランドの方は、凄く美味しいけれど、少し子供好み寄りだが、
シーは、大人向けのカレーを出している。

 やっぱ、ディズニーに来たら、カレーだよな!

 (比較的安いし!)

 明日は、夫も私も仕事だし、
長女もまだ小さいので、7時過ぎには、パークを出ることにしていたが、
予想通り次男が「まだ帰りたくない」「夜のショーも見たい」と、ごね出した。

 夫は、「一緒に帰るぞ!」と言ったが、
次男はいつも「ひとりディズニー」に行っているし、
慣れていて大丈夫だと思ったので、
「一人で帰ってくればいんじゃない?」
と、居残りを許してやった。

 (今思えば、この時、無理やりにでも連れ帰っていればよかったのだ!)
 
 平日で正月休みの前の普通の日だった為、ディズニーは空いていたが、
帰りの電車は、反対に、平常通り込んでいた。

 まさにラッシュアワーにドンピシャだった。

 歩き疲れてフラフラする子供たちにも、
通勤ラッシュの殺人的押しくらまんじゅうは、容赦無しだった。

 人々の足元で潰されそうになる6歳の長女を守るように、
家族は、打ち合わせしたわけでもないのに、
長女を中心にして輪になり、周りのプッシュからガードした。

 みんなで内側を向き、長女の顔を覗き込んでいた。
 長女は、それを見上げ、心底嬉しそうに笑っていた。

 自分を中心に咲いた家族の顔の花びら。
 お兄ちゃんたちは、周囲の圧力に耐えながら、
長女の柔らかい頬を、代わる代わるツンツン指で突いて笑っている。

 ラッシュは、しんどいけれど、
ラッシュという機会を得て、
思春期のたくさん居る家族が、
みんなで円陣を組んで抱き合っている。
 反抗期も、相性の良し悪しも一旦忘れて、
肩を組み合い、スクラムを組んで、
揺れや押し合いから小さい妹を守っている。

 これはこれで、素晴らしいひと時であった。

 寝付いてしまった長女を抱く夫に、大学生の長男が、
「お父さん、代わるよ」
と言って、軽々と長女を背負って歩いた。

 50歳手前で、頭も白くなり、背中が丸くなった父に代わり、
長男は、自ら妹を背負い、電車でも、最後まで家族に席を譲り、
自分は、ずっと立っていた。

 最寄りのバス停から歩いて家に帰っている時、
「これ、起きてるんじゃないかなあ?
 落ちそうになると、自分でグッと力入れて抱きつくんんだよ」
と長男が言うと、
「いや、ぐっすり寝てても、落ちそうになると自分で掴んでくるよ」
と、夫が言った。

 「そうか、お父さん、今まで僕たちを何万回も抱いて歩いたんだもんね」
と、長男が言った。

 親が恩着せがましく言わなくても、
この子は、もう親の立場を理解し始めている。

 わが家の保護者側に、もう立ってくれているんだ。
 小さい頃、年がら年中、道路にひっくり返って泣きわめいていたこの子が。

 私は、静かに、じ〜〜〜ん、としていた。


 何回か乗り換え、バスを乗り継いで、
やっと家に帰りついたのは、夜の9時半。

 意外と早く帰宅できた。
 こんなことなら、もっとゆっくりしてくればよかったかな、
とも思ったが、三男が、
「早めに帰って、いつも通りテレビ見て風呂に入って寝るのもいいよな」
と言ったので、まあ、これでよかったのかもしれない。

 それにしても、次男。
 
 ちゃんと帰って来られるんだろうな?

 10時45分頃、メールが来た。

 「あと30分くらいで最寄り駅に着きます」

 ああ、よかった。
 ちゃんと約束通り、夜のショーが終わったら、すぐに出てきたようだ。

 乗り換えも全部無事済んで、最後の列車に乗ったらしい。

 ところが、何時になっても帰ってこない。

 おかしいな、何かイヤな予感がするぞ、と思っていたら、
12時半ごろ、次男から電話が掛かってきた。

 「お母さん・・・・・・」

 「どうしたの? 遅いね」

 「お母さん、あの、その、ごめん・・・・・・」

 「どうしたの? あんた、泣いてるの?」

 「ううん。別に泣いてないって。あの、僕、寝過ごしちゃって、
今、終点の○○○駅に来ちゃったんだよ。
 もう、終電無くなっちゃって帰れなくなっちゃった・・・・・・・」

 「バカ〜〜〜〜〜!!! やっぱ、やったか!」

 「ごめん・・・・・・」

 「ちょっと〜〜〜、こんな夜中に、そんな遠くまで行けないよぉ・・・・・・
 ちょっと待って。お父さんに聞いてみるから・・・・・・」

 「お父さん、○○○駅まで車で迎えに行ける?」
 私が、入浴中の夫に声を掛けると、 

 「ええ〜?! ああ、じゃあ行くよ、行く!」
と、急いで風呂から出てきた。

 「お父さんが車で迎えに行ってくれるっていうから、
ひと気のある場所で待たせてもらいなさい」

 「うん・・・・・・ごめん・・・・・・」

 「も〜〜〜う! しょうがないなあ!!!」

 電話を切ると、急いで地図を広げ、○○○駅周辺を調べた。
 
 運よく、その駅は、国道沿いにある。
 巧く行けば、30分以内で行けるかもしれない。

 夫は、風呂上がり、靴下も履かずに、急いで迎えに行った。

 30分後、夫から電話で、
「乗っけたから」
との連絡あり。

 やれやれ!

 バカだろ、次男!

 それからまた30分後、夫とともに帰ってきた次男に、
「もう、これからは、【1人ディズニー】禁止ね!」
と言うと、いつもなら、「何でよ!」と言うのに、
さすがに反論は無かった。

 今回は、多少反省しているらしい。

 あ〜あ、やっぱり、オチは、次男か。
 せっかく珍しく何の事件も無く、
無事、しみじみと終わったのに、
わざわざオチ作らなくてもいいっつ〜の!

 バカチンが〜!
 お前は、まだ、とーちゃんにおんぶされているぅ!!!


 (了)




(子だくさん)2011.12.27.あかじそ作