インパク会場



pm6:00 披露宴開始

新郎新婦入場・・・・・・いきなりアップテンポな前奏が聞こえ、
その後、聞き覚えのあるボーカルの声・・・hanaの声か?
ガーデンに続く窓がいきなりガッと開き、マイクを手に新郎新婦が登場。
「サーキットの娘/奥田民生バージョン」を歌いながら、
客席を、それぞればらばらに駆け巡るhanaとhana夫。
ディナーショウ状態に。

ボウゼンとする客達に、一瞬「はずした?」という不安のイロを見せる新郎新婦。
それでも、「もう、どうにでもなれだい!」と、途中から更にはじける。
あかじそは、写真を撮ろうと、デジカメを手に取ると、電池切れの表示が・・・。
夫が朝、新しいのを入れたと言っていたのに・・・。
カメラから電池を出してみると、<ダイソー電池>の文字。
あいつ、ケチって100円均一で買った電池入れやがった・・・。
急いで、でっかいマザーズバッグの中から新しい電池を出そうと探るが、ない!
やっと見つかった時には、来賓あいさつになっていた。

そして、長い! あいさつが・・・・・・あまりにも長い!!
せっかく温まりかけた客席のムードが厳寒に・・・・・・。

「アッター! アッター!」
始まってしまった。四男の雄叫びが。
テーブルの上の、手の届く範囲の物を次々に投げ捨て、してやったり、の笑顔。

<じじじそ>のスピーチの番が来た。
マイクの前に立つが、舌が緊張し、声がうわずって、何をしゃべっているのかわからない。
冷えた客席に、かみまくりのスピーチ・・・・・・。
あかじそは、つねづね、「くそじじいめ!」と思っていたが、思わず、
「いいのよ〜。それでいいのよ〜、じさま〜(^_^)」
と、一瞬抱きしめたくなった。

「おかあさん、おしっこ・・・・・・」
三男は、いいところになると、すぐ、もよおした。
何度も何度も会場とトイレを往復し、いよいよキャンドルサービス、という時、
真打ち・次男が、おもむろに立ち上がり、
「おかあさん、僕のおしりから何か出て来るようだねえ」
と、遠い目をしてつぶやく。

すぐに、次男の手を引いて、ダッシュ!
キャンドルを手に、スポットライトを浴びて、しずしずと進む、新郎新婦。
次男を手に、スポットライトからニゲマドイながら、中腰で出口へと蛇行して進むあかじそ。

会場の真ん中付近ですれ違う、hanaとあかじそ。
一瞬視線がからむ。

――――ネタ、仕入れたか?(by hana)
――――ぼちぼちな!(by あかじそ)

無事、キャンドルがあかじそ一家のテーブルに来た時に、席に戻る。
次が出番だ。余興コーナーだ。

「はい、それではあかじそ一家によります、合奏と合唱です」
司会者の声がして、子供たちにタンバリンやら鈴やらを配ってから、前にぞろぞろ出る。
夫のギター伴奏で、歌う。


<花>

川は流れてどこどこ行くの
人は流れてどこどこ行くの
そんな流れが尽く頃には
花として 花として 咲かせてあげたい

泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ


花は花として笑いもできる
人は人として涙を流す
それが自然の歌なのさ
心の中に心の中に
花を咲かそうよ

泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ

泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ


歌が始まると、hanaの友人の女子たちが「キャー」と駆け寄り、
至近距離に物凄い人垣が・・・・・・。
あかじそ一家は、ほとんど、ストリートミュージシャン状態に。

子供たちは、精一杯、声を張り上げて歌い、 歌に合わせて、踊る四男。
四男から30センチの所に、ギャルが「キャンワユ〜〜イ」と、悲鳴をあげて群がる。

歌が終わり、あかじそが
「どうも、ありがとう、ございました」
と、号令をかけると、全員で最敬礼する。
四男は、この号令をかけると、直立したまま、腰を真っ二つに折り曲げ、
両手を床に付ける芸を持っている。
前屈である。

再び黄色い声と拍手が起こり、四男は、キャキャキャと、拍手をする。

でかしたっ! 子供たち!
いかにも「余興」だったぞ!
遠路はるばる、ひーひー言いながら、でかいギターや楽器を運んだ甲斐があったぞ。

その後、hana夫の友人による即興漫才や、歌などもあった。
関西弁って、得だなあ・・・・・・、と、ひとり悔しがるあかじそ。

hanaが、お約束の「親への手紙」を読んだ。
ここぞとばかり、あおじそがビデオを構える。
あかじそ夫は、見ていた。
ハナをすするあかじそと、ビデオを撮りながら、どおどお泣いているあおじそを。
あおじそにいたっては、ビデオで両手が塞がっているので、
あおじそ妻に、滝の様にしたたる涙を、後ろからハンカチでぬぐってもらっていた。

hanaは、ぐぐっとこみあげたものの、根性で読みきった。

披露宴の最後、パアーッ、と、ガーデンに続く窓が開け放たれ、
全員で、バルーンを厳寒の夜空に放った。
冷たい突風。
花嫁のベールが激しく舞い上がり、赤、ピンク、黄色のバルーンが、
そばに立っている木の枝に一斉に留まった。
殺風景な冬の立ち木が、一瞬で、ハートの花をたくさん実らせた。

激さむ!
でも、激ハッピー!

おめでとう! hana!
おめでとう! hana夫!