「おっちょこちょい」の巻


 小5の時、クソマジメだった私は、学校から帰るや否や、宿題と予習復習を済まし、
時間割を揃え、何度も忘れ物がないかどうか確認するのが日課だった。
 しかし、毎朝、ランドセルも手提げ袋も、何一つ持たずに登校してしまう。
 また、中1の時、友達と待ち合わせて登校していたのだが、朝、
「おはよう」と言ってみてびっくりした。
口の中が泡だらけだ。
でがけに歯磨きをして、口をすすぎ忘れたのだ。
 一事が万事、こんな風なので、怪我が絶えない。

 高校の時、すごい山道を自転車通学していたが、その三年間もすごかった。
雨の日、左手にかさを持って急な坂道を下っていたら、
車が飛び出してきて、右ブレーキだけを思いきり握ってしまい、
自転車ごと前転してしまった
どしゃぶりの中、路面に倒れ、アスファルトから跳ねあがる雨粒を顔に浴びながらも、
左手にはしっかり傘が握られていた。

 同じく急な坂道をノーブレーキで降下中、「もう、日が落ちたわ、ライトを」と思い、
右足で前輪のライトのスイッチを踏み下ろそうとしたら、
スポークの間に足が挟まってしまった

右足を前輪につっこんだまま、長い坂道のふもとまで、
どんがらがったん、どんがらがったん、と、
自転車と合体したまま、何十メートルも転がり落ちて行った

 その後のことは、全然憶えていないのだが、右足をはじめ、全身を負傷したにもかかわらず、
医者に行っていないことはよく憶えている。

 その後、現在にいたるまで、交通事故を含め、
ほとんどがおっちょこちょいの「自殺行為」による怪我を繰り返している。

「古くぎを踏みぬいて足の甲貫通」
「重い鉄ドアの蝶つがい付近に指を突っ込んだまま思いきりドアを閉めて、指の骨を粉砕」
まだまだあるが、書いているうちに全身の古傷が
「いいかげんにしなっさーい」
と言っているので、もうやめておこう。