「おっちょこちょいのルーツ」の巻


 私のおっちょこちょいは、彼の遺伝だと思われる。
下町のチャップリン「シンジロー」こと、マイ グランパである。

 彼はすごい。
マジメに生きれば生きるほど、すごいドジを踏む。
 押し入れに顔を突っ込んだまま、押し入れの戸を閉めるのは毎日だ。

 大混雑したエスカレーターで、人に押されて手すりの上に立ちあがってしまい、
直立したまま上へ上へと昇っていく姿などは、神々しいほどだ。
 腕を怪我して医者に「なるべく手を下にさげないで」と言われ、帰宅するまで
ピシッと片手を上に上げたままだったこともある。
すれ違う人はみな、「シンジロー」の姿を見て、
「何か発言したいのかな」と思ったことだろう。

 彼の偉大なところは、真剣な生き様が、周りの人間を幸せにするところである。
おっちょこちょいを「作品」にまで昇華させてしまうところなのである。