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うちの子供は、好き嫌いが激しい。 だから、食べさせるのが大変なのだ。 「野菜炒めよ〜」 なんて言って、食べるわけがない。 そんなとき、私は、立ち上がり、声高に、 「食べ物が何種類入っているか、当てっこゲ〜ム!!」 と、タイトルコールする。 すると、イヤイヤながらも、ゲームに目がないオスガキどもは、 一生懸命に食べながら、 「キャベツ発見!」 「ニンジンゲット!」 と、凄い勢いで食べていく。 しめしめ、である。 またあるときは、ギョーザの中身を練り終わった時点で、 皮を買っていないのに気づき、 急きょ、その中身をハンバーグのように丸く焼き、 「へ〜イ、お母さんのオリジナル料理、【皮なし焼き】完成!」 と、叫ぶ。叫んで、勢いで押す。 次のときは、更に、【皮なし焼き】を焼くとき、油をどばっ、と入れすぎ、 揚がってしまった。 だから、やっぱり勢いよく叫ぶ。 「別バージョン、【皮なし揚げ】の登場だ〜!」 そして更に、中身に片栗粉が、どばっ、と入りすぎて、 パリパリになってしまったときは、やはり、大声で、 「【パリンチョ・皮なし】ケンザン!」 と、ミエをきってみる。 そしてまた、更に更に、ひき肉がなくて、ツナ缶やイカや、桜海老を入れ、 にらがなくて、キャベツやオカカを入れてみた。 「ジャ〜ン! 変わり【皮なし焼き】の登場だーっ!」 と、言うと、一口食べた長男が、 「ていうか、お好み焼きじゃん」 と、言う。 「それにしちゃ、油っこいぞ」 と、次男が言えば、 「これは、【お好み揚げ】なのであ〜る!」 と、更に声高に叫ぶと、 「オウ! 【お好み揚げ】は、初めてだね!」 と、みな喜ぶ。 しかし、おとといは、お好み焼きであった。 全然初めてではないのである。 ひき肉の代わりにタコを入れて、【タコのみ焼き】と語ったこともある。 その実、やっぱりお好み焼きなのだ。 うどん粉の中に、細かく刻んだ具をドカスカ入れ、 丸く焼いてお好みソースをかければ、とりあえずギリギリセーフである。 あとは、気合いのタイトルコールだ。 「トン汁よ〜」 みんな、引く。 冬場は、これで暖まるし、私は、大好きなのだが、 葱の嫌いな長男と、芋が嫌いな次男、ごぼうが嫌いな三男が、 「ゲ〜」と言って、全然食べない。 だから、トン汁の日は、 「ごちそう汁だじぇ〜い!! フィーバーッ!」 と、汁鍋の前で、私は、ジョン・トラボルタばりのポーズをとる。 「ええ〜っ! ごちそう〜?」 子供たちは、飛び付くが、お椀の中を覗いて、一気に盛り下がる。 「お母さん、これ、トン汁じゃないの〜?」 そこで、表情を変えてはならない。 うろたえてはいけない。 「さあ〜て、何種類入ってるかな? フィーバーッ!」 「8種類」 長男、即答。声も低い。 「芋入ってるじゃん、やだなー!」 次男が言う。 「ぼくおなか痛いから、ご飯いらない」 メニューによって突然腹痛を起こす、都合のいい三男の腹。 「お母さん、一生懸命に作ってるんだけどなあっ!!」 情に訴えてみるが、 「ぼく達だって、一生懸命食べてるよぅ・・・・・・」 そうか、懸命にならぬと食えぬか、母のメシは・・・・・・。 「だましめし」・・・・・・ ハイテンションで驚かし、その実しょぼい「だましめし」。 そろそろ効果も薄れてきた。 泣き落としも通用せず! そして、最後はいつも、 「じゃあ、食うなっ! もう作らん!」 と、怒鳴って終了。 ごはん。 美味しく楽しくいただきたいものですな。 奮闘は、まだまだつづく。 |
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2002.02.12 作:あかじそ |