エピソード   「これって虐待?!」の巻



夫の休みの日、1歳の子供を夫に預けて買い物に行った。
帰ってきたら、ふすまに子供の頭大の穴があいていた。

「どうしたの」 と聞くと、
「別に」 としか答えない。

 ある朝、子供のただならぬ絶叫で目を覚ました。
飛び起きてみると、子供が耳から血を流して号泣していた。
そして、その横で夫が耳鼻科に電話していた。

「暴れる子供を押さえつけて、耳掃除しようとしたら、
耳カキで鼓膜を破いてしまったようなんですけど・・・」
と、説明している。

「何でそういうことするの?」
と聞くと、
むっとして何も答えない。

 子供と夫が風呂に入っていた。
すると突然、子供の叫び声が聞こえた。
夫が、風呂のドアを思いっきり強く閉めて、子供の指を挟んでしまったという。
 爪が死んで、骨にひびが入った。
痛みで暴れる子供を、夫はぷるぷる震えながら押さえつけていた。

 妻は思う。
「わざとじゃなくても」
「わざとじゃなくても、それは・・・」
「虐待じゃあないんですか」と。

 そしてまた、妻は思う。
「あたしの子に」
「あたしの子に、何を」
「しやがるんだ」と。

また更に、妻は思う。
「不注意でした、ごめんね、って言って、夫に同じ事してやろうか」と。

 殺意とは、こうやって目覚め、育っていくのだろうか・・・。


 夫婦、危うし。
そして、命危うし、夫。