枕草子「春は、あけぼの」本文
■第一段■  
 春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明りて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。
 夏は、夜。月の頃は、さらなり。闇もなほ。蛍の多く飛び違ひたる、また、
ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。
 秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、
三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁などの列ねたるが、
いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。
 冬は、つとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜のいと白きも。
また、さらでもいと寒きに、火など急ぎ熾して、炭もて渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、温く緩びもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。

新春企画
春は、あけぼの【あかじそバージョン】


(暦の上では、春は、1・2・3月、夏は、4・5・6月、
秋は、7・8・9月、冬は、10・11・12月を指します)


春は、ふがふが。
桃梅桜と花がリレーで咲いてゆき、
花粉プンプンくしゃみしいしい、洗濯干してりゃ、
はす向かいのギャルママの、子犬のようなクシャミ聞こえる。

夏は、強風。
くるくるくるくるあちらこちらの矢車回り、
団地サイズの鯉のぼり、洗濯物の万国旗、
ねじれてよじれて、まるで越後獅子。

秋は、真夜中。
ダンナの帰りは今夜も遅く、
寝付けなかった子供がひとり、
まぶしげに居間に戻ってくるのが何故か嬉しく。
手をつないでふたりきり、
「みんなに内緒」とコソコソしながら、
近所のコンビニに、パジャマでアイス買いに行く。

冬は、早朝。
冷たい床に、つま先立ちでトテテと歩くも、
まあ可愛らしい1歳児。
灯油を買いに、大量のタンクと大量の子供を積んで、
スタンド目指して、レッツゴーだぜ!



2002.01.19 作:あかじそ