しその草いきれ 「体が変だ」
4日前から、私の体が変になっている。
気が付くと、体を横たえている。
起きていると、半端じゃないだるさが全身を襲い、
ツキーンツキーンツキーン、と頭痛が脈打っている。
「風邪か?」
と思って熱を測ってみるが、平熱だ。
大雑把な私だが、変なところが几帳面だったりして、
結婚以来、ずっと基礎体温をつけている。
それを見ると、現在、低温期。
つまり、卵巣が卵胞を成熟させ、
エストロゲンという卵胞ホルモンを分泌して
子宮内膜を厚くしていく増殖期なのだ。
卵胞が十分成熟し、黄体化ホルモンが分泌されると、
卵胞の膜が破れて排卵し、
体温が上昇していく高温期になる。
それが2週間くらい経っても受精しないようだと、
「あーあ」と言って黄体化ホルモンが出なくなり、
月経が始まり、体温も下がる。
具合が悪くなり始めたのは、低温期。
しかし、体調的には完全に40度は越しているような高熱状態だった。
私の体の中では、
ホルモンが体温を「低く〜低く〜」とがんばり、
一方、体に毒が入ってきたから殺菌しようと
体温を「高く〜高く〜」とがんばっている器官がある。
発熱してへろへろ〜、と言いたいところだが、
体温は依然低く、
完全にダウンしてしまう状態なのに、
「熱ないし」と言いながら
どろ人形のようにうめきながら働く。
家族も「お母さん丈夫だし」と、
平常通り奴隷のようにこき使う。
しかし。
しかし、昼間っから私は連日
居間のテレビの前でぶっ倒れているのだった。
ちょっと横になって、
目を開けたら5時間経っていたこともあった。
今日の朝、基礎体温は37.15℃だった。
排卵され、高温期に移ったのだろう。
これで晴れて堂々と高熱が出てくれるだろう。
これからどんどん熱が上がってくるだろう。
私は、少し安心している。
体の中の「どっちやねん」がなくなるだけ、
単純に具合が悪くなれる。
しかし、恐るべし、ホルモン。
意地っ張りだね、マイ・ホルモン女史。
こんなに具合が悪いというのに、
あくまで私を妊婦にしようと企てている。
さあ、倒れよう。ナウ!
現在倒れる一時間半前。
こう叫んで布団に倒れこもう。
ほ〜〜〜〜〜〜〜
る〜〜〜〜〜〜〜
も〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!
(了)
(しその草いきれ)2003.6.3.あかじそ作