「 ひらがな入力万歳! 」

 私は、15年前にワープロを習ったときに、
ひらがな入力で習得したため、
パソコンの打ち込みも、迷わずひらがな入力を続けている。
 ところが、多くの人から
「ださっ!」
と言われ、
「入力をスムーズにするために、ローマ字入力を覚えろ!」
と、強制される。

 私は、ひらがな入力でも何も差し支えないと思っているのだが、
小学校でもパソコンスクールでも、
ローマ字入力を強制されることが多いらしい。

 確かに、頭が柔らかく、物覚えのいい子供には、
最初から「効率がいい」とされるローマ字入力を基本として
教えてもいいかな、とは思う。
 しかし、大人にパソコンの操作法を教えるときに、
ローマ字入力にこだわると、結構大変なのだ。
 
 夫は、パソコン教室の講師をしているが、
中高年の生徒さんに教える場合、
パソコンを教える前にローマ字を教えなくてはならない。
 「きゃ」を「kya」とすらすら打てるようになるまでは長い道のりだ。
 海外で暮らすお孫さんとメールをしたり、
日々の日記をホームページにしたいと思って
希望に満ちて教室に入ってきたおじさんが、
ローマ字でつまづいて、
言いたいことが何も語れず、
へこんでいるなんてナンセンスだ。
 夫は、そういう現場を多く見て、
ローマ字入力を強要しないことにしているという。
 使い慣れた日本語でとつとつと入力していく方が、
彼は彼の言葉でものを語れるというのだ。

 が、そのおじさんは、教室でひらがな入力を習って、
家のパソコンで入力していると、
パソコンが堪能な息子や娘に叱られるらしい。
「ローマ字入力で設定してあるんだから、設定変えるなよ」
ということらしい。
 
 むごい!

そんなの、キーひとつ押せば戻せるではないか。
 そもそも、何度言っても操作を覚えられない親に、
いらいらしてちゃんと教えてあげないというのも、
中高年のパソコンアレルギーを増やす原因になっているのだ。

 だいたい、日本語でものを考えてる者にとって、
一度ローマ字に置き換えて言葉を綴るなんてまどろっこしいこと、
できるかっ、ということだ。

 目的は、自分のやりたいことを、
パソコンを道具として具現すること。
 そのためには、パソコンを操作する必要がある。
 で、パソコンを習う、ということなのだ。
 
 ローマ字なんて、全然そこに絡んでこなくていいじゃないか!
 ローマ字がわからなくて半べそかいて、
パソコンアレルギーになっちゃって、
やりたいことや目的までも無くしてしまうなんて、
そんなばかな話があるか。

 そうじゃないか?
いやいやいやいや、そうでしょう?
そうそう。そうなのよぅ!

何だってそういうことではないだろうか?_

やりたいことをやるために、
やりたくないことをたくさんやらなくっちゃならないというのは、
やりたい、という原動力を削いでしまうではないか。

 ひとつのものを買うのに仲買人が何件も間に入って
必要以上にものの値段を吊り上げて、
本当に必要としている消費者のもとに、
ものを届けられない、というのと同じではないのか?

 今は、産直の時代だ。
 作った人が、欲しい人に、ダイレクトに届ける時代だ。

 だから、こてこてのニッポンジンは、
ダイレクトに「かな」で入力するのだ。
 
 難しいことを簡単に、
 簡単なことをより簡単に、
 そのほうがちゃんとものの核心に迫れるんだと、
私は思う。

 だから、やっぱり私は、ひらがな入力推進派だ!!
 フンガ―――ッ!


                              (了)
(しその草いきれ)  2003.8.11 あかじそ作