いぷーさん 36000 キリ番特典 お題「予防」
「 予防 」

 何に関しても予防は本当に大切だ。

 いつも出たとこ勝負で、
ことごとく破れ果ててきた私は、
今になってつくづくそう思う。

 例えば虫歯。
 第一子のときはめちゃめちゃ神経質になって
食事に気を使い、
歯磨きをさせ、
また、仕上げ磨きもやっていたが、
二人目三人目は、その緊張の糸が切れ、
離乳食も作らず、
私が口で噛んで柔らかくしたものを与えていたが、
それがいけなかった。

 後になって知ったのだが、
大人の口の中は虫歯菌がたくさんいて、
少なくとも子供が2歳になるまでは
決して菌をうつしてはいけないらしい。
 2歳まで虫歯菌に侵されなければ、
その子は一生虫歯が少なくて済むという。

 それなのに、私としたことが、
よりによって虫歯菌をたっぷり混ぜ込んだ食物を
ゼロ歳からたんまり食べさせ、
日々、虫歯菌を養殖していたのだ。
 虫歯少な目の私だけならいいが、
きっと私の目を盗んで
夫も噛んだ物を食べさせていた可能性が高い。
 当時、育児に疲れ果てていた私は、
時々、夫に何人もの乳幼児を預けて
数時間買い物に出かけていたが、
あの異常にものぐさな夫が
チマチマした離乳食を用意していたとは思えない。
 ハタチの時点ですでに総差し歯だった大虫歯菌野郎が
私の可愛い子供たちの、無菌で美しい口腔内に
ウンコよりも汚い虫歯菌を突っ込んでいたかと思うと、
今更ながら胸を掻き毟って叫びたくなる。

 ああ、あの頃、
あの噛んで与える食事をしなければ・・・・・・、
ちゃんと虫歯のできにくい口の中に保っていれば、
今、本日、今日このとき、この財布が、
こんなに多額の歯医者代に泣かされることはなかったのだ!!

 これがホントの、「口惜しい」!
 ・・・・・・なんて上手いこと言ってる場合じゃない。

 予防、予防。
 予防は大事。


 ところで私は、子供の頃から
疲れやすく、すぐに口内炎ができた。
 そしてまた、体調を崩すと、
すぐに体のあちこち
(喉や目や鼻、そして股間などの粘膜)が
炎症を起こして、熱を出したり痒くなったりした。
 35年ほど、その体質に苦しんできたが、
あるとき、それらがすべてビタミンB不足が原因だと知った。

 そこで、ビタミンBのタブレットを朝晩飲んでみたら、
嘘のようにそれらの症状がいっぺんに治った。
 疲れなくなった。

 具合が悪くなって、
それでも無理して我慢して、
結局こじらせて耐えられなくなり、
医者にかかっては、
いつも強い薬を飲んでいた今までの生活・・・・・・

 ありゃ、なんだったんだ?
 朝晩のビタミン摂取で、
体も暮らしも家族の雰囲気も変わった。


 その他にも、いろいろと予防の大事さを実感する。


 30年来の便秘体質は、
ヤクルトレディーをやっていたとき、
売れ残った乳酸菌飲料を連日いっぱい飲みまくり、
重い自転車で「お届け」しまくっていたおかげで、
すっかり治ってしまった。
 善玉乳酸菌と適度な運動。

 どんな薬も効かなかった、この頑固なウンチ腹も、
大腸小腸胃腸に善玉菌を満たしておけば、
イヤでも快便になり、
イヤでも体調がよくなり、
イヤでも気分がスッキリしてしまう。

 予防医学ってすばらしい。


 インフルエンザから肺炎を起こし、
持病の喘息の発作も出て、長く入院してしまった長男。
 あのとき、とっとと医者に行って吸入しておけば、
あんなにこじらせてしまうこともなかった。
 というか、普段から食べ物に注意して、
体を鍛えておけば、
こんなに虚弱体質にならなかっただろうに。
 今は、咳込むとすぐにレンコンを食べさせる。
 それだけで、全然違うのだ。

 好きなものを好きなだけ食べ、
結局成人病になって、
晩年ずっとショボショボの食事しか摂れないのは、
つらすぎる。

 確かに「摂生」は面倒だし、決して面白いものでもなく、
すぐに結果は出てこない。
 でも、破れかぶれの体当たりで生きて行けるのは、
若いうちだけだ。

 「ああ、あの時、ああしておけばよかった」

・・・・・・なんて、
往生際の悪いことは言いたくない。
 
 キッパリパッキリスッパリと、
あきらめのいいサッパリした人生を送りたいから、
予防を趣味にする。

 うちは、息子ばっかりの4人兄弟だ。
 若い嫁さんたちに世話をかけるのも悪いから、
長患いしないで、スパッと死にたい。

 「さっきまで大声でカラオケ歌って踊り狂ってたのに、
ちょっと目を離した隙にバアサン死んでるど〜〜〜\(◎o◎)/!」

・・・・・・が、理想。

 「死ぬ間際まで元気全開!」

と、なるために、
「おもいっきりテレビ」でも見て、
健康オタクになるか。


           (了)

   (話の駄菓子屋) 2004.6.1. あかじそ作