ことこさん 89400 キリ番特典 / お題「幼稚園保護者との付き合い方」 
「 ママ友いらん主義 」

弟の奥さんから、姪っ子の通う幼稚園での
お母さん同士の付き合いについて、聞かれたことがある。

 幼稚園への送り迎えで、他のお母さんと会うのだが、
共通の話題も見つからないし、話も合わない。
 どうしても付き合わなくてはいけないのか?
 誘われるままに一緒にランチに行かなければならないのか?

 というものだった。

 私は、そういうめんどくさいのがいやだということもあって、
長年幼稚園の送迎バスを利用しているのだが、
とにかく、こういった強迫観念に悩んでいる人が
結構いるのではないかと、最近気付いたのだった。

 本屋で見かける主婦雑誌の表紙で、
「ママ友とどう付き合う?」
とか
「困った人との付き合い方」
とかいう見出しを見かけるにつけ、
「付き合いたくない人とは付き合わなきゃいいのに!」
といつも思う。

 役員同士などで、
どうしても付き合わなければならないのなら、
ビジネスライクに役員の仕事だけを
ニコニコさくさく一緒にこなして、
あとの「単なるお付き合い」やら「おしゃべり会」だのには、
出たくなければ出なきゃいいのだ。

 「その場にいない自分の悪口大会になるのではないか?」
という危惧はあるが、
もしそうなったらそうなったで、別にいいじゃないか?

 悪口を言ったり、仲間はずれにしたりして喜んでいる
くだらない人種のグループとは、仲良くする必要はないのだ。
 こっちからお断りだ。

 それで村八分にされるようなことがあったら、
堂々と甘んじて仲間はずれになっていればいいと思う。

 「大勢が正しくて、ひとりぼっちだと悪い」
なんていうのは、おかしいのだ。
 自分が、悪いことをしているのではなく、
やるべきことをきちんとやっているのなら、
何もオドオドすることなどないのだ。
 「徒党を組んだイヤな女組合」にオドオド加入するよりも、
私は、「正義のひとりぼっち」を選ぶ。
 甘んじてロンリーウルフを生きる。

 でも、本当は、ロンリーではない。
 そういう「正義のひとりぼっち」は、
自分ひとりではないはずなのだ。
 徒党を組んだり、
組合になっていないから目立たないだけで、
心ある人は、
あちこちで「正義のひとりぼっち」として点在しているのだ。

 心ある人たちだから、
そういうママ友問題で大騒ぎしない。
 静かに粛々と暮らしている。

 そういう人たちと、どこかで知りあえることができれば、
ロンリーでないことがハッキリ自覚できて、
なかなかに心強いというものだ。 

 そうは言っても、
仲間はずれにされれば、かなりへこむし、
精神衛生上まったくよろしくない。
 私にも経験があるが、
これは、たまったものではない。
 一日中悩んで、子供にも夫にもあたってしまうくらいの
重大な悩みだ。

 でも、今から考えたら、
「あれは、何だったの?」
という感じ。

 あの人たちに嫌われたり、はじかれたりしたからって、
この地域で生きていけないというわけでもないし、
ここには、あの人たち以外の人たちの方が、
圧倒的に人数が多いじゃないか。
 違う「いい人たち」と付き合えばいいんだ。

 無理にランチに付き合ったとしても、
誰か他の人の悪口を聞かされるのは、真っ平ごめんだし、
自分は何も発言していないのに、
「あの人、あなたのことこう言ってたよ」
と、無実の罪をなすりつけられる、
なんてことはよくある話だ。

 そんな陰険なノリではないとしても、
用も無いのにひっきりなしに一緒にランチに行って、
家庭内の立ち入ったことまで話し込み、
いつでも遠慮なく家にやって来ては、
「ちょっと入っていい〜?」
なんて間柄になってから困るのもイヤなもんだ。

 女の人の中には、
人との距離の取り方がわからない人が結構多くて、
「私たち仲良しなんだから」と言って、
急に相手の家庭やプライバシーにズカズカ入り込み、
やりたい放題言いたい放題した挙げ句、
急に何かで機嫌を損ねてブチ切れ、
「あなたがそういう人とは思わなかった!」
と捨て台詞の後に、あちこちで悪口を吹聴する人が
結構いるのだ。

 そんなのは、ほんっっとうにめんどくさいので、
そんなことになるなら、最初から私は、
ママ友はすすんで作らないことにしているのだ。

 気が合う人とは、いやでも仲良くなってしまうし、
頑張らないと仲良くなれないような人とは、
付き合ったって所詮気が合わないのだから、
はじめから無理に頑張らなくてもいいや、と思う。

 私と気が合うような人は、
男よりも男前にサバサバした人が多いので、
結果、その誰もが
「今日、ランチしな〜い?」
なんてことを誘ってくる人など誰もいない。
 みんな、それぞれ仕事をもってバリバリこなしていたり、
地域の奉仕などに忙しくしていて、
人とだべりながらランチなんてしている暇など無いのだ。

 だから、非常に普段は、付き合いが無い。
 友だちとは、ほとんど会わない。

 しかし、どこかでばったり会えば、
「100年の友」のように心を許しあい、
親身に話し合うし、明るく会話も弾む。

 それでいいじゃないか、
と、私は、思う。

 ちょっと小さいことを相談したりするときにも、
「彼女今、忙しいかな?」
などとお互いに気を使って、
なかなか連絡を取らなかったりして、
淋しい思いをすることもあるが、
でも、日々の生活を混乱させられるほどに
ママ友だちとの関係に悩むなんてことは、
ナンセンスなんだと、ハッキリと思う。

 「会ったら挨拶する」
 「会ったら明るく世間話」
 「悪口陰口が始まったら、話をそらす」
 「話題が無けりゃ、天気の話」
 「イヤな誘いにゃあ、にっこり断る」

 これでいいんじゃないか?
 私たちオカーチャンは、いろいろ大変なんだから、
ママ友との付き合いで砕く神経は、
そんなもんで充分だろう。

 違うかなあ〜?


       (了)
(子だくさん) 2005.8.23. あかじそ作