「 クリスマスプレゼント’07 」 |
毎年、夫は、サンタに頼まれて、 子供たちにプレゼントを用意しているのだが、 毎年、その子その子の年齢や嗜好に合わせた 名作の本や映画のDVDや名曲のCDを選んでいる。 子供が小さい頃は、 朝一番、枕元の包みを開くやいなや、 「おもちゃがほしかったのに〜!」 と泣かれたりして、親子ともどもつらい想いをしたこともあった。 その次の年からは、 例年通り本やDVDの他に、 市役所児童福祉課の「三田さん」という人から、 お菓子が山ほど届くようになった。 しかし、これは、三田さんから依頼された母親の私が用意するのだった。 名作を淡々と送り続けるサンタさんと、 お菓子や面白雑貨などをくれる「三田さん」。 このふたりが毎年バランスよくプレゼントを用意するのが、 ここのところの恒例となっている。 クリスマス近くになると、 子供のうちの誰かが必ず、 「みんな毎年、サンタさんが新しいゲームをくれるらしいよ」 とか、親に聞こえよがしに言ってくる。 今年も例に漏れず、四男が、 「何でうちはゲームをもらえないんだろう」 と聞いてきた。 そこで私は、こう答えた。 「きっと、将来性のある子には、『ためになるもの』をくれるんだろうねえ。 毎年ゲームばかりもらっている子は、『来世がんばれ〜♪』ってことだろうよ」 「ふ〜ん」 四男は、すぐに引き下がったが、 何だかよくわからなかったようだ。 わかったことと言えば、 「今年もうちは、ゲームをもらえない」 ということだけだろう。 次男の友達は、毎年図書券をもらっているようだが、 それで好きな本(主に漫画や雑誌)を買っているらしい。 しかし、夫に言わせると、それは、 「なんか違うなあ」ということらしい。 子供の好きなものを自分で選ばせることも大事だし、 その方が合理的ではあるけれども、 夫のやり方は、 自分が子供の頃感動したり面白かったものを子供たちに提供することで、 自分の血肉を分けているようにも見える。 口下手でうまく人生訓のひとつも語れないけれども、 この本を読み、この映画を観よ、 これが俺からお前らに送ることばだ、といったところか。 その点、三田さんは、非常に気楽なもので、 子供への名作提供は、サンタに丸投げし、 子供の普段の言動から、最も興味のありそうな物を、 格安で秘密裏に仕入れてくることに命をかけている。 そんなことをしているうちに、 我が家には、5人の子供にそれぞれ、 サンタさんから本やDVDやCDなど数品づつ、 三田さんから雑貨やお菓子や小物など、ちまちまとたくさん送られ、 ひとりに3〜4個の物品が送られることになった。 サンタも三田も、 この時期、5人それぞれの子供が、 何に興味を持ち、どれだけの理解力に達し、何を欲しているのか、 ということに頭を悩ませながらも、 いくつもの候補の中から選んでいくことに、 無上の喜びを感じ始めてしまっている。 また、このような機会がなければ、 5人全員の心の中まで丁寧に覗き込んだりする暇がない、 といった事情もある。 夜中、サンタと三田が、 ツラ突き合わせて、 子供ひとりひとりの近況を話し合いながら、 ひとつひとつラッピングする作業は、実に楽しい。 子供たちの喜ぶ姿を思い浮かべ、 クッククック忍び笑いをしながら、 たくさんのプレゼントを、 こそこそこそこそと、 それぞれの子の好きな色の包み紙で次々包んだり、 メッセージを書いたりしていると、 これぞサンタクロースのおもちゃ工場、 といった醍醐味がある。 山積みの赤や緑や金色のプレゼントをながめていると、 「ああ、子供がいるって素晴らしい!」 と、しみじみ思う。 子供たちが完全に寝入ったかどうかを忍者のごとく調べ、 枕元に仕込む作業も、また、をかし。 誰かに何かをしてもらうことばかり期待してしまいがちな毎日で、 この時期だけは、慈悲が止まらない。 この調子で、世界中が毎日、 慈悲慈悲しまくっていたら、 もっとすんばらすぃい子育てができて、 もっと平和な世界になるのだろうなあ! そうなるように、是非したいものよのう! (了) |
(子だくさん)2007.12.24.あかじそ作 |