「 エンドレス プレイ 」

 この年末年始、
我が家のパソコンのモニターでは、
最近買ったエグザイルのDVDが、
朝から晩までかかっている。

 もともと私が欲しくて買ったのだが、
2歳の長女の方がハマってしまい、
まだろくに「こんにちは」も「ありがとう」も言えないのに、
「♪ちゅーちゅーとれ〜ん〜」
だの
「♪おれおれおれお〜」
だの
「♪あ〜いま〜いな〜」
などと歌い、腰をぐりんぐりん回しながら踊っている。

 朝からもう何度も見ているので、そろそろ止めようとすると、
「ちゅうちゅう〜!」
と、メンタマひん剥いて怒る。

 私も見たいので、
「ああそうかい?」
と、またリプレイし、
そして、エンドレスで夜まで続くのである。

 その間をぬって、
兄貴たちは、サンタさんにもらった
「宝島」や「長靴をはいた猫」や「スタンド バイ ミー」などのDVDを観る。

 そういえば彼らも、これくらいの頃、
繰り返し観ていたお気に入りのビデオがあった。

 それは、「となりのトトロ」だったり、「パンダコパンダ」だったり、
「ガンバの冒険」だったり、「ダンボ」だったりした。

 どれも名作で、繰り返し観てもそのたび新しい発見があり、
大人が観ても見ごたえがあった。

 「ビデオに子供のお守りをさせてはいけません!」
というご意見もあるかと思うけれども、
大抵、一方通行の鑑賞ではなく、
映像に合わせて歌ったり踊ったり、
感想を話し合ったりしているので、
おかげさまで弊害は無かったように思う。

 ひっきりりなしに、よくも飽きずに観ているなあ、
と感心するのだが、
ある日、「もうわかった」とばかりに、急にパタッと見なくなり、
それきりほとんど観なくなる。

 何なのだろう。あれは。

 大人になってからそんなに何かにハマることが無くなった私としては、
うらやましい限りだ。
 取り憑かれたかのように、
繰り返し繰り返し観ている姿は、
養分か何かを貪欲に取り込んでいるみたいだ。

 すぐにその結果は出ないとしても、
それは、しっかり刷り込まれていて、
大きくなってから、ふいに、
感覚的なことや行動様式に影響が出たりする。

 いやはや、本当に、
変なものを見せたらまずいと思う。


 それはそうと、今日もエンドレスでエグザイルだ。
 2歳児にとっては、
最高にかっこいい「歌のお兄さん」と「体操のお兄さん」だ。

 長女はもう、子供番組には、目もくれない。
 大人っぽいモノにしびれる幼児と化した。
 ザイル兄さんたちのキレのあるダンスに腰を振り、
バラードでは、目にハートマークが映っている。

 ああ、コイツ、
数年後、どんな女になるのだろう。

 なんだか、怖い・・・・・・



      (了)

(子だくさん)2008.1.8.あかじそ作