「 SSS―白井先生速報(2008.4.8.)― 」


 白井先生速報第2弾!

 次男と白井先生、寺井君などが所属する吹奏楽部において、
先日、新たな事実が判明した。

 いつも気分次第で生徒に当たり散らし、
自分の価値観を押し付ける高飛車女性顧問が、
楽器を雑に扱う白井先生に対し、
「白井! テメエ、楽器を乱暴に扱うんじゃねえ!」
と叫ぶが、我らの白井先生は、
相変わらず「我関せず」の態度を変えない。

 そこで、顧問は、
嫌味だ皮肉だイイガカリだのを散々言ったが、
白井先生は、ドS顧問の
「泣くまで攻める泣いたらもっと攻める」
という攻撃にもまったくめげず、
淡々とした表情を変えなかった。

 すると、ついに折れた顧問は、
「白井君、君、鉄道を大事にするように楽器を大切にしなさい」
と、丁寧に言い直した。
 すると、そこで初めて白井先生は、
ゆっくりと神々しくうなづいたのだった。

 さすがの
「自分の価値観こそが一番、人の主義やプライドなんてクソ食らえ」
という顧問も、
白井先生の確固たる信念と、
揺るがぬ価値観―鉄道至上主義―に屈したのである。

 しかも、
「白井、テメエ・・・・・・」
という呼びかけには反応せず、
「白井君、君・・・・・・」
という呼ばれ方をされて、初めて
「なんじゃ?」
と返答する安定した自尊心。
 ただものではない。


 さて、そういう白井先生に対して、
教師生活20年の「このわたくし様」が屈する羽目になっていることに
突然気づいた顧問は、
激しくクワッと目を剥き、
「白井ぃ! テメエ〜、合奏から抜けろ!」
と絶叫した。

 そこで普通の部員は青ざめるか泣いてしまうのだが、
白井先生は、少しもひるまず、
「はあい」
と言って、淡々と音楽室を出ようとした。

 白井先生のあまりの余裕の態度に、
完全にトサカにきた顧問は、
まるで赤い布に突進する闘牛のように、
猛然と駆け寄り、そして、ほえた。

 「シライイイイイ!!! テメエ、くやしくないのかあ?!」

 すると、白井先生は、ゆっくりと振り返り、
「クヤシイデスッ!!!」
と、ザブングルのネタを絶妙のタイミングで言ったという。


 勝負はついた。

 教師でありながら、
合法的に人権蹂躙をおかし続けるヒステリック女教師を、 
そう、誰にも倒せなかった無敵のボスキャラを、
余裕の一撃で倒した白井先生。

 音楽室には、笑いが起こった。
 怯え、傷つき、プライドを踏みにじられてきた子供たちから、
大きな笑いが湧き上がったのだった。

 苦笑するしかない顧問。

 嗚呼、【痛快】!



        
   (了)

(しその草いきれ)2008.4.8.あかじそ作