話の駄菓子屋 「大腸内視鏡検査レポート その2」
 
 
 いやいやいやいやいや〜〜〜、
行って参りました、大腸検査!
 
 いや〜〜〜〜〜〜〜、
感想をひとことで言えば、
「はう〜〜〜」
ふたことで言えば、
「ばふばふ、うぷぷ〜」
みことで言えば、
「はあ〜、うんぐっ、ぷほ〜」
といった感じであります。
 
 いずれにせよ、
音にすると、
ハ行とパ行とバ行の擬音がぴったりの大腸検査!
 
 いやあ〜〜〜、
バフッた。ブフッた。
 
 とはいえ、これでは、何が何だかわからないどころか、
要らぬ不安をあおるばかりなので、
冷静にレポートすることにいたしましょう。
 
 
 かかりつけの医師に
「大腸内視鏡検査を受けたいのですが、どこか紹介してください」
と相談すると、
「A病院とB病院、どっちがいい?」
と聞かれたので、
「どっちがお勧めですか?」
と聞くと、
「どっちもおんなじようなもんだろうね〜、『まあまあ』だよ」
と言う。
 
  母が言うには、
以前、自分が腸閉塞のとき、
大腸検査をしたB病院の女医さんは、結構上手で、
ぜ〜んぜん痛くなかった、ということだったが、
いかんせん気になったのは、
B病院では、検査の後の大量出血を想定して、
検査後一泊入院することになっている、という点だった。
 
 検査前日まで配達の仕事で、
翌日には、小学校でベルマーク委員の集まりがあるので、
入院は、ちときつい。
 それより何より、
入院となると、いまだに夜中じゅうおっぱいをおしゃぶりがわりにしゃぶってくる末っ子が夜通し泣きじゃくるだろうし、
一晩中あやし続けた夫が、翌日倒れてしまってもいけない。
 
 その点、A病院は、日帰り検査だというので、
即、A病院に決めた。
 
 
 さて、検査前日、
朝食は、自由にとってかまわない、と言われているが、
乳製品や豆類、食物繊維の多いものは避けるように、
とのことだった。
 要は、大腸の中を空っぽにしてカメラで撮影するわけだから、
正確な検査をするために、便をすべて排出しておかなければいけない。
 したがって、長く腸に残るものは、控えなければならないのだった。
 
 そんなわけで、いつもは、朝からガッツリ食らう私だが、
その日は、白米と味噌汁、それに、ちょっとした煮物で済ませた。
 
 「前日の夕飯は、午後8時までにしてください」
「当日は、検査が終わる午後2時半まで絶食です」
とのことだったので、
当日、猛烈に空腹になって、ふらふらしてしまわないように、
極力、遅めの朝食、遅めの昼食、遅めの夕食、
という風にずらしていって、
空腹感を味わう時間を減らすことにした。
 
 だから、いつも子供と一緒に朝6時頃に食べるところを、
粘りに粘って、配達の仕事に出発する直前、10時半頃に食べた。
 
 そして、いつもどおりに配達をし、
午後3時半頃、遅めの昼食をとった。
 
 病院の売店で購入するように言われていた
「大腸内視鏡検査用レトルトおかずセット」のうち、
昼食用の【鮭かゆ】と【肉じゃが】を食べたのだが、
袋をよく見ると、キューピーと書いてある。
 どうりで、味も病人食っぽくない。
というか、普通のレトルト食品であった。
 
 さて、食べるな、と言われると、
人は、余計に食べたくなってしまうもので、
どうも口淋しくていけない。
 
 そこで、糖分や水分、ジュース、スポーツドリンクならOKだというので、
普段食べないキャラメルをひっきりなしに口につっこんで、
「チェーンキャラメル」をし、
それが食べ終わると、
ボトルで買い込んだキシリトールフルーツガムを次から次へとむさぼり、
「チェーンガム」し尽くすと、
さすがに、血糖値が急上昇し、
満腹中枢の目盛が振り切れるほどにお腹いっぱいになった。
 
 もう、ゲボゲボである。
 
 大人になってからは、
こんなに気持ち悪くなるほど
物を食べることもなくなっていたが、
「食べてはいけない」「食べられない」という危機感から、
むきになって食べてしまった。
 
 予定していた午後8時の夕飯の頃には、
もう、「なんも食えねえ」状態だったが、
それでも、「これ食えセット」なので、
一応、食べた。
 
 【クラッカー】と【鶏肉のクリーム煮】。
 
 って、あれ?
 検査前夜に乳製品って、いいの?
 
 前日の朝から、乳製品は禁止だと言われていたのに、
成分表やら内容物リストを見ると、
思いっきり牛乳や脱脂粉乳が入っていた。
 
 ま、いっか。
 意外とこんなのはいい加減なものなのだろう。
 どうせ、翌日には、下剤でぜ〜〜〜んぶ出ちゃうのだろう。
 
 で、うまい!
 
 やるな、キューピー。
 検査食だっていうから、
まずいと覚悟していたのに、
いつもの自分が作るおかずより旨いじゃないか!
 
 う〜ん、くり〜み〜!
 
 さて、食べ終わると、すぐに、液体軟下剤を200ccの水に溶かして飲んだ。
 「午後8時に飲んでください」
と言われ、
また、
「約6時間経過する頃から効いてきます」
とも言われているけれど、
夜8時に飲んだら、6時間後は、夜中の2時ではないか?
 ただでさえキツイと噂される大腸検査の前夜に、
2時からずっとピーピーで寝不足になったら、どうするんだよ?
・・・・・・と、腕組みして考えていたが、
これもいい加減なもので、
夜の間は、ごぼごぼと威勢のいいお腹の音がなり、
元気のいい屁が出続けたが、
いったん眠ったら、翌朝まで起きることなく、ぐっすり眠れた。
 
 そして、起きてすぐに、
気持ちよくするするとやわらかい便が出た。
 
 最近、ごつごつの固い便が続いていて、
出にくかったのだが、
久しぶりにいい感じの柔らかさで、排便していて心地よかった。
 
 さて、当日は、朝から2リットルの下剤をちびちび飲み続けなければならない。
 病院の指定薬局で買った下剤入りパックに2リットルの水を入れ、
それを、15分以上かけて約180ccづつ、3回飲んだ。
 その間、【気持ち悪い】とか、【吐き気】とか【寒気】とかの症状が出たら、
飲むのを中止して、病院に連絡することになっている。
 
 最初の3回が大丈夫だったら、次からは、
10分以上かけて1杯飲む。
 
 確かに、最初は、
「まずいスポーツドリンク」
という感じで、極力味を意識しないで飲めば大丈夫だったのだが、
さすがに5〜6杯目に、はっきりと
「ま〜ずっ!」
と意識してしまってからは、突然飲み込みにくくなってきた。
 
 下剤による腹痛は一切無く、
ゆるい便が何度か出るうちに、
だんだん色が茶色から黄色、
黄色から無色透明へとなってきた。
 
 便は、いい感じで出尽くしてきたのだが、
下剤を飲むのが、いよいよ苦しくなってきた。
 「2リットル飲むくらい楽勝だ」
と思っていたのだが、
8杯目くらいには、
いよいよ【寒気】が出てきて、
両手のひらが真っ白になり、
軽い貧血状態になってしまった。
 
 「症状でました」  
と病院に電話しようか迷ったが、
なんとかいけそうな気がしたので、
続けて飲んだ。
 
 それでも、一杯を10分で飲みきれず、
20分以上かけて、うぷうぷしながら飲んだ。
 
 最後の一杯は、
もう、寒いやらウンチ直通やらで、
ヒーヒー言いながらやっとこさっとこ飲みきった。
 
 後半は、
何かを飲むたびにすぐに便意をもよおし、
飲んじゃ出、飲んじゃ出、だった。
 

 さて、時刻は、検査時間の1時間半前。
 
 下痢というわけではないのだが、
ひっきりなしにトイレに出たり入ったりで、
病院に行く時間に、この便意が止まるのか心配になった。
 
 もう出ないでしょう、と思いきや、
出かける支度をしようと立ち上がると、
急に便意がよみがえる。
 
 これで、出きったね?
 もう、出ないね?
 
 と区切りが付いた頃に、
下半身だけ裸になり、風呂場に行ってお尻をシャワーで洗った。
 
 この辺が、家にウォシュレットが無いつらさ。
 
 「最後の出たね?」
と、見計らって、
いっぱい着込んだ下半身の服を全部脱ぎ、
シャワーしたのに、
洗い終わって全部着たとたんに、
また、
待ったなしの便意。
 
 んも〜〜〜う!
 
 もう、知らん!
 後は、病院のウォシュレットで仕上げをするから、いいや!
 
 念のため、パンツにナプキンを当て、
「言ってきま〜す」
と大きな独り言を言い、
出掛けに、まだ沸かしたての麦茶を一口、口に含んだ。
 
 と!
 
 すぐ便意。
 
 で、出るもの、あったか〜〜〜い。
 
 沸かしたての麦茶、
私の消化器官を1秒で通過して、
水様便として排出!
 
 まさか、と思い、
また温かい麦茶を飲んでみると、
即、下から、出る。
 もちろん、
あったか〜〜〜い。
 
 直通。

 今、私の体は、ストローみたいになっている。
 
 そうか、食べたものは、ダイレクトに腸に行くんだったな。
 
 こんな当たり前のことを気にしないで生きてきた。
 
 今、辛いものを食べたら、
腸の内側は、ひりひりするだろう。
 今、冷たいものを食べたら、
腸は、キュッと冷えて縮むだろう。
 脂っこいものを食べたら、
ギットギトに汚れるだろう。
 甘ったるいものを食べたら、
ドゥルンドゥルンに粘つくだろう。
 
 だから、
変なもの食べちゃダメ〜〜〜!
 内側のやわらかいところをいじめちゃダメ〜〜〜!
 
 そんなことをブツブツつぶやきながら、
自転車で病院に行くと、
血圧をはかり、検査用「お尻穴あきトランクス」を買い、
待合室で名前を呼ばれるまで待っていた。
 
 私の前の人は、
いかにも病弱そうなやせたおじいさんで、
顔色も悪く、
今にも倒れそうな表情で固まっていた。
 
 「大丈夫なのだろうか、このじいさんは」
 
 ひとごとながら心配していると、
ひとりのおばちゃんが看護師さんに
「おつかれさまでした〜」と言われながら出てきた。
 
 無表情で、若干、体が斜めに傾き、
とぼとぼと、心もとなく歩いて行った。
 
 「大丈夫だろうか?」
 
 いやいや、ひとごとじゃない。
 自分は、大丈夫なのか?
 いや、大丈夫だ。
 
 母は、
「全然痛くないわよ、楽勝よ!」
と言っていたし、
私は、ポリープの3つ4つ、鼻歌交じりに取っ払って、
みんなに
「楽勝だったぜ〜〜!」
と、ガッツポーズを見せるのだ!
 
 んが!
 
 前のおじいさんが、なかなか終わらない。
 
 業を煮やした看護師さんが、
私を次の部屋に通して、
もう一台の検査台に寝るように言った。
 
 お尻穴あき検査用トランクスと検査用ムームーに着替えて、
検査室に移動するとき、
となりの検査室から、
女医や看護師の声だろうか、
「もっと力抜いて〜」
「ダイジョブよ〜」
と、複数の女性がひっきりなしにじいさんを慰める声が聞こえる。
 
 その合い間に、
聞こえるか聞こえないかの小さい声で、
「ひ・・・・・あぅ! ・・・・・・んぐぐ・・・」
と、じいさんが断末魔の声をあげている。
 
 私は、少し、怖くなってきた。
 
 どうやら、痛いらしい。
 
 じいさん、死にそうだ。
 
 いや!
 
 私は、出産を5回もやってる!
 2回も陣痛促進剤を耐え抜いた!
 絶対、それより楽に決まってる!
 
 私にはできる!
 Yes,we can!
 いや、Yes,I canだ、ばかやろめ!
 
 尻出しパンツ丸出しで検査台に横たわって、
ずいぶん待ったが、
そのうち、看護師さんのひとりがきて、
「ずいぶんお待たせして、ごめんなさいね〜。肩に注射しますね〜」
と言い、寝ながら注射された。
 
 何やら、一時的に腸の動きを止める薬らしく、
3時間くらいは目がかすんだりするので、
車で来ていないことを何度も確認された。
 
 (寒いなあ・・・・・・尻が・・・・・・)
 
 バスタオルは掛けてくれているが、
さすがに長時間ケツ出しっぱなしは寒い。
 
 薬が効いてきたのか、
頭がぼんやりしてきて、
子供の頃のことなどを何となく思い出していたら、
いきなりその女医はやってきて、
「お待たせしてごめんなさいね〜」
と言いながら、唐突に何かを私の肛門に差し込んだ。
 
  カメラの管が通りやすくなるように、
筒のようなものを入れたようだ。
 
 「ああ、筒か」
と、思う間もなく、
いきなり、
しゅばばばばばばばばばばば、
と、ケツの中に空気が注入された。
 
 (おいおい、何の前置きも説明も無くかい?!)
 
 それは、まるで、バルーンアートの細長い風船が、
ボンベの空気を凄い勢いで入れられるのにそっくりだった。
 
 細長い風船は、まっすぐだからいいけれど、
大腸は、曲がりくねっている。
 それなのに、この女医は、
「はいはいはいはいはい」
と、言いながら、
ものすごく雑に、しゅーしゅーしゅーしゅー私の腸を膨らませてくる。
 
 「うわわわわわ」
 ホントに変な感じだった。
 
 まっすぐなところはいいのだが、
曲がっているところを空気が通るとき、
確かに体の内側で、もりもりもりもりぶっく〜〜〜、となり、
(はい、今この辺空気入った〜)
(今、この曲がり角ブリンといって膨らんだ〜)
というのがわかり、
気持ち悪いやら、苦しいやら、
もう、人間風船そのものである。
 
 長時間放置された後、
いきなりの腹部膨満感!!!
 
 うぷぷ、うぷぷ、おうっぷぷぷぷ!
 
 である。
 
 で、説明があるだろうと思っていると、
急に、内視鏡が、ぎゅう〜ぎゅう〜ぎゅう〜っ、と、
どんどんどんどん入ってきた。
 
 と、突然、
未体験の体内の突き刺され感が!!!
 
 「あ痛〜〜〜〜〜!!!」
 
 「あ、ごめんごめん、曲がり角痛いね〜」
と言いつつも、その女医は、一向に手を緩めず、
ずいっずいっずいっ、と、
どんどんどんどん突っ込んで行く。
 
 まっすぐのところはいいが、
曲がり角のところで丁寧にやってくれればいものの、
前のじいいさんで時間を食ったらしく、
ロスタイムを取り戻すために、
もう、私のときは、やっつけ仕事丸出しだった。
 
 横にいる看護師に向かって
「あと何人〜? ああ、だいぶ遅れてるわね〜」
とか言いながら、
まるで針金ブラシか何かで配水管の掃除をするように、
がーがーがーがー大きく腕を動かし、
私の腸に管をぶち込んでいく。
 
 「うわ〜〜〜〜!! いたたたたたたたたた!!!!!」
 
 もう、目を開けていられず、
ギュ〜ッと目をつぶって両手を握り締めていると、
看護師のひとりが、
「はい、仰向けに寝て。は〜は〜っ、って息して!」
と言う。
 女医も、
「一番痛いところは過ぎたからね、あとちょっとね〜」
と、言いながら、全然手を緩めない。
 
 数秒おきに来る、腹腔内ショック!
 
 「いてっ!」
 「あ〜いたたたたたたた!」
 
 お産のときに「痛い」と言わなかったのに、
ここへきて、「痛い」の連呼が止まらない。
 
 だって、この人、仕事が雑すぎるんだってばよ〜〜〜お! 
   
 「はい、一番奥まで行きましたっと」
 
 目を開けると、女医は、
「一緒にモニター見ます?」
と言うので、
「ぜひ」
と言い、
カメラを引き戻していく様を、モニターの映像で見ていった。
 
 「きれいでしょ? 【行き】では何も見つからなかったですよ〜」
 絶対ポリープができていると思っていたのに、
私の大腸は、白に近い、薄いきれいなピンクで、
どこもかしこもトゥルットゥルだった。
 
 要所要所で静止画の写真を撮りながら、
どんどん出口に向かって行ったが、
結局最後まで何にもできていなかった。
 
 (あれ? じゃあ、あの出血は何だったのだろう?)
 
と、ぼんやり考えていると、
女医は、不意打ちで
「ちょっとごめんね、肛門の内側拝見」
と言い、ゴリッとカメラの角度を変えた。
 
 「あ痛〜!!!」
 
 油断していただけに、目がくらんだ。
 
 「ああ、内側の痔ですねえ〜」
 
 女医はそう言い、シュポンッ、と管を完全に抜いた。
 
 
 何だったの!
 何だったの! 
 何だったの、あの痛み!
 
 やっぱり、この検査は、医者の力量が問われるって!
 母が全然痛くなかったのは、
母の我慢強さだけでなく、医者が丁寧な人だったんだって!
 
 ああ、何なの、この排水溝扱い!
 
 意識もうろうのまま、着てきた服に着替え、
待合室に戻った。
 
 もう、お腹の中は痛くないが、
どうにも地に足が着いていない感じがする。
 
 「お腹張ってるでしょ? トイレでガス出すと楽になりますよ」
と看護師さんに言われ、
トイレに入っていきんでみたが、
まったくガスが出ない。
 
 もう、体じゅう、のど元まで空気パンパン、
という感じだ。
 
 お腹がバフバフに膨らんでいて、苦しい。
 
 結局、病院ではガスが出せないまま、
朦朧としながら家に帰った。
 
 疲れた・・・・・・
 本当に疲れた・・・・・・・
 ロールプレイングゲームで言ったら、
今、ヒットポイントは赤の点滅状態だと思う。
 
 もう、命ほそぼそ、だ。
 
 ああ、お腹が空いているからガスも出ないのかもしれない。
 何か食べれば、腸が動いて、
ガスが出やすくなるんじゃないか?
 
 病院の売店でいなり寿司を買って帰り、
家で一口食べると、いきなり
「ぼふっ!」
とガスが出た。
 
 すると、さっきまで内側からの空気圧で吐きそうだったのが、
急に楽になった。
 
 その後、とりつかれた様にいなり寿司をどんどん口に運ぶと、
ガスが、気持ちいいほどに
「ばふっ!」
「ぶふふふふふふふふっふふふふふ〜〜〜」
「ぷわわ〜〜〜〜〜〜〜」 
と、大量に出た。
 
 出しても出しても、まだまだ出る。
 
 こんなにも空気をたくさん入れていたとは!
 
 無理もない。
 ついさっきまで、大腸がバルーンアート状態だったのだから!
 
 最後のガスが出終わると、
やっと、人心地が戻ってきた。
 
 ちょうど3時間経つころだから、
薬の副作用も切れてきたのだろう。
 
 どうにか、今回は、大腸に異常は見つからなかった。
 
 しかし、これで油断して暴飲暴食したり、
ストレスをためて腸を傷めてはいけない。
 
 これをきっかけにして、
ここをスタートのゼロ地点として、
今から、新しい人生の出発をしよう!
 
 医者の力量によっては、
痛くもかゆくもないと言うが、
まあ、ハズレくじを引くときもあるわな。
 (でも、次は、絶対B病院だ!)
 
 あんなに「ダメだろうなあ」と思っていた大腸が、
トゥルットゥルだったということだけで、
もう、大当たりだ。
 
 人生において、
風船にされたり排水溝にされたりする経験も珍しいし、
これを良しとしよう。
 
 
 【追記】
 
 「ポリープを切る」という経験は逃したが、
皮膚線維腫というポリープを切ったばかりだから、
ま、いっか。
 
 一個づつ。
 一個づつ。
 
 
 
       (了)
 
 
 
  (話の駄菓子屋)2009.1.20.あかじそ作