「 しまっていこうぜ、秋 」


 猛暑の夏が終わった。

 あんなにしつこく、猛烈だった暑さが、
過ぎてみれば、なぜか懐かしく思えてしまう。

 あの夏、ガバガバにオッぴらいていた毛穴が、
今や、ぎゅぎゅ〜ん、と締まってしまった。
 ひと夏の汗や汚れを掃除する前に、
目の前で、ぴっしゃ〜っ、と、締まってしまった。


 公立の小中学校に通う三男四男は、
9月に入り、35度を超える教室で一日じゅう過ごしていて、
「茹でダコになりそう」
と、真っ赤な顔で帰ってきていたのに、
ここのところ、急に寒くなってしまい、
今度は、「ストーブつけてくれないと風邪ひきそう」と言う。

 何なの? この気候。

 そういえば、この夏、天気予報の中で、
「観測史上初」という言葉をよく聞いた。
 それほど、みんな体験したことのないような熱帯の日々だった。

 今まで、毎年夏は、自然に3キロくらい痩せていたのに、
今年は、逆に太ってしまった。

 燃えるように暑い毎日なのに、
お腹やお尻に手を当てると、びっくりするほど冷たくなっており、
内臓は、完全に冷え冷えなのだった。

 冷房を入れていないと具合が悪くなるほど暑かったので、
仕事以外は、ずっと、部屋の中で冷え冷えに暮らしていた。

 おかげで、真冬並みに体が冷えた。

 今は、涼しくなって・・・・・・というか、急に寒くなって、
長袖をまだ出してないやら、寝冷えしてしまうやら、
気温の変化に右往左往してばかりだが、
これからもうちょっと寒くなってくると、
きっと、ドカ〜ン、と体調を崩してしまうような気がする。

 そうならないために、
今から、体の芯をホカホカにして、
来るべき晩秋や厳冬に備えなければならない。

 初秋の過ごし方や、食べたものが、
その秋と冬の健康を左右する、と、聞いたことがある。

 あの嫌なウイルスも依然、不気味に迫ってきているし、
わが家の子供たちの持病、喘息にとっても、
冷えは大敵なのだ。

 ショウガや根菜類をびしばし食べて、
お茶は温かいものを、水も白湯にして飲み、
連日連夜、鍋鍋鍋の常夜鍋で、
ホカホカ体質を作らねばならない。

 初秋に、これがうまくいった年の秋冬は、
子供が全然風邪をひかなかった。
 みんな元気で機嫌よく、
寒い毎日を楽しく過ごせた。

 この時期こそ、
一家のカーチャンの腕の見せどころじゃないか。

 冷たいサラダやら、アイスクリームやら、
夏野菜やら甘いものやらをやめて、
ほくほくポクポクものに移行していかねば。

 弁当にいつも入れていたプチトマトも、
(プチトマトにどれだけ助けられたか、夏場の弁当!)
これからは、芋やかぼちゃの煮つけに変えよう。

 野菜の煮物は、常時作りおいて、
朝食、夕食の箸休めや、弁当のおかずにしよう。

 味噌汁は具だくさんにして、おかずの一品として扱おう。

 くず粉や片栗粉をバンバン使って、
やたらめったらとろみ付けして、
あれもこれもあんかけにしてしまおう。

 「ほかほかにもほどがあるぞ!」
と、家族に叱られても、
「てへ」と頭をかきながら、
どんどんほかほかさせていこう。

 しまっていこうぜ、お〜っ!

 医食同源!
 お〜!
 質実剛健!
 お〜!

 腹巻巻いて、いざ冬に備えよ!!!
 お〜〜〜〜〜!!!


  (了)

(しその草いきれ)2010.9.28.あかじそ作