「 仕入れ 」


 うちは、高校生男子ふたり、中学生男子ひとり、小5男子ひとりと、
末っ子の幼稚園児女子ひとりの、計5人の子供がいるが、
育ち盛りにしては、みな小食で、ごはんのおかわりをする者は、ほとんどいない。
 私自身は、小5くらいから、毎日どんぶり飯2〜3杯食べていたので、
なんでこの子たちは全然食べないのだろう、と不思議に思っていた。
 よほど私の作るご飯がまずいのか?
 いや、みな一様にうまいうまいとむさぼり食っている。
 むさぼり食って、そして、すぐに
「ああ、もうお腹いっぱい」
と言って、胃をさすっている。
 
 かと思えば、30分もしないうちに
「腹減った腹減った」
と、みんなして大騒ぎし、また私が台所に立たねばならないのだ。

 要するに、みな、胃が小さいのだ。

 それでも、
お米は、一食につき6合炊き、
肉は、一食1キロ以上、
野菜は、キャベツや白菜はひと玉全部、
大根は、まるまる一本、玉ねぎもジャガイモも最低1キロ使う。

 買い物しても買い物しても、
いつもいつもストックがすぐ尽きてしまうのだ。

 見るに見かねて、
飲食業の弟が、業務用レトルトカレー1キロ入りを何袋もくれたり、
弟の奥さんの実家から畑で採れた野菜や芋を送ってくれる。

 実家の両親は、
毎日のようにおかずの差し入れをしてくれるし、
卵や、乾麺セットや、パンや冷凍食品などを、
連日バンバン持ってきてくれる。

 そんな恵まれた状況であるにもかかわらず、
まだまだ食品補充は、消費されるスピードに追い付かない。
 
 そんなわけで、
普通のスーパーで売られている市販の食品では、
ひと箱やひとパックでの容量が足りず、
何箱も何パックも大量に買わねばならないので、
面倒で仕方ない。
 
 特に、調味料などは、
数回で全部使い果たしてしまうので、
ちまちまと小さい瓶などで売られているものなど、
買い足しに追われて、イライラしてしまう。

 だから、最近は、もっぱら、
業務用専門店で、大容量パックを買うことにしている。

 ソース、ごま油、オリーブオイル、醤油などは2リットル入り、
白ゴマ、乾燥わかめ、春雨、高野豆腐などは、枕くらいの大きさの袋入り、
スパゲティなどの乾麺は、4キロ入り、
肉は、2キロパック、
ハムは一本、
カレールーは、1キロ入り。

 大容量の業務用食品は、
大入りなので一見値は張るが、単価が安くつく。

 それでも、あっという間にそれらは、全て使い果たされ、
また買い足さねばならない。
 
 米は、すでに弟の奥さんの実家から「俵」で買っているが、
いっそのこと、調味料は、1斗缶で、牛乳は、ガロンで買い、
その他の食品は、業務用食品を箱ごとロットで買おうか。

 もう、こうなると、
買い物とかいうレベルではなく、
どちらかというと、「仕入れ」だ。

 と、いうことは、
私は、すでに「業者」なのか。


 今日も、父に車を出してもらって、
大きな倉庫でやっているホールセールの店に行き、
ゴミ袋ぐらいの大きさのビニールに入ったテーブルロール数袋と、
コーンスープ50袋入り、
サツマイモひと箱、
ごぼう・レンコン各1キロ、
5キロ入り砂糖、
段ボールいっぱいの半生讃岐うどん、
絞りショウガ500グラム、
20袋入りハッピーターンひと箱、
ポークビッツ1キロ、
豚小間2キロ、等々、
しめて8千円強の「仕入れ」をした。

 これらが、ショウガと砂糖以外は、
2〜3日で完全に消滅してしまう。

 しかも、これだけでは全然足らないので、
他にも何種類も、何キロも、
何度も、毎日、毎日、仕入れに行かねばならない。

 「買い物行ってきま〜す!」
と、今までは、つっかけひとつで軽く出掛けていたけれど、
帰りに手首をひねったり、足をねんざしたりしていたのは、
もしかして「軽装で大量の物資を運搬」していたからなのかもしれない。

 これからは、
安全靴履いて、作業服を着て、
ヘルメットかぶって出動せねば!

 ああ、これって、完全に業務!
 そうか、私って、業務員だったのね!!!


  (了)

(子だくさん)2010.11.2.あかじそ作