「 初恋マイセルフ 」 |
「あっ!」 と、仕事中に大きな声をあげてしまった。 似ている。 あまりに似ていることに突然気付いたのだ。 自分のことが大嫌いだったり、大好きだったり、 自分をいたぶるようなことばかりする自分がいたり。 めんどくさい自分をもてあまし、 しかし、どうにも憎みきれず、 「やってらんないわ!」という毎日を40年以上過ごしてきたが、 これは、もう、完全に、「アレ」に似ている現象じゃないか! そのことに気付いてしまったのだ。 そのこと、とは・・・・・・。 それは・・・・・・「初恋」! 愛して欲しい、ほめて欲しい、信じて欲しい、抱きしめて欲しい、 そんな風に、愛を求めてばかりで、 自分からは何もアクションを起こせない、 臆病で引っ込み思案な、ひとりの自分がいる。 そして、もうひとり、 愛したい、でも愛し方がわからない、 ほめてあげたい、でも、恥ずかしい、 信じたい、でも、信じられない、 抱きしめたい、でも、体が動かない、 でも、気になる。 気になるから、 ついついいじめてしまう。 自分を、ついつい、いじめてしまう。 そんな自分もいる。 求めてばかりで何もしない自分と、 求めてやまないくせに、 いじめてばかりで素直に愛を表現できない自分がいる。 こりゃあ、まったく、 「昭和の中学生の恋」じゃないか! 自分と自分が、 自分の中で、 中坊の恋をしている。 ああ、あほか! 何と、もどかしい! 好きなら「好き」と言おうぜ、と、 昭和の歌謡曲でも、平成のJポップでも、 洋楽でも、何でも、言ってるじゃないか! ええい、いいから、早くくっつけ! 両想いなんだぞ! 愛されたい自分と、愛したい自分が、 目と目を見つめ、 歩み寄り、 両手を伸ばし、 抱き合って、 固く抱きしめ合えば、 きっと、 「自信」という名の大輪の薔薇の花びらが、 片っ端から次々と開いてゆき、 心の中の日蔭の庭を 一気に覆い尽くし、 明るい庭に生まれ変わるだろう。 誰かに愛を求める前に、 誰かの評価を欲しがる前に、 自分を抱きしめているか、そこを問おう。 私は、自分を愛しているか? 私は、自分に抱きしめられているだろうか? もし、自分と自分が両想いなのに、 背を向けあっていたのなら、 まず、 もうひとりの自分と向き合って、 中学生の青い春のように、 「好きです」と告白しようじゃないか。 そこから始めよう。 「まずは、友だちから」 とか答えてみよう。 きっと、キュンとくる人生が待っているから。 「自信」が全ての原動力になるのだから。 (了) |
(話の駄菓子屋)2010.11.16.あかじそ作 |