「 ゴーヤ日記 2011.8.1. 」

 仕事が忙しく、連日ばたばたしている間に、
ゴーヤがエライことになってきていた。





 南側の窓には、見事なグリーンカーテンが掛かり、
気持ちのいい日蔭を作り始めたので、
もうこれくらいでいいんですよ、と思っていたら、
ツルが知らないうちにチルチルチルチル伸びて行き、
玄関方面にぐいぐい向かっていっていた。

 2階のベランダにも届き、
洗濯物を干すスペースをじわじわと侵し始めた。





 実も、着実に大きくなってきている。





 ただ、気になるのは、
「ちゅらゴーヤ(島ゴーヤ)」と「アバシゴーヤ」、「白ゴーヤ」の3種類植えたうち、

ぐいぐい来ているのは、ちゅらゴーヤのみで、
あとの2種類は、スロースターターだ、ということだ。

 グリーンカーテンは、左側だけが、ボーボーに毛深く、
右側(つまり西側)は、薄毛状態なのだ。

 どちらかというと、西日こそ防ぎたいので、
西側にちゅらゴーヤを植えればよかったな、
などと後悔したが、そんなことは、後の祭で、
頭頂部ツルツルなのに両耳の上はモジャモジャ、
という髪型にも似た、
極めてバランスの悪い萌え方になってきている。

 しかしもう、こうなったら、どこまでいくか、
行けるところまでいってもらおう。

 玄関先まで麻縄でツルを導き、ゴーヤゲートでも作ってみるか。

 のれんみたいに、入り口にゴーヤがじゃらじゃらとぶら下がり、
行き来する者の頭上にデコボコの実を揺らしている、
というのも、オツじゃないか。

 うちにいろいろ配達する人たちが、
「ああ、ずいぶんこの実大きくなってきたな」
とか、
「そろそろ食べごろじゃないの?」
とか、
「あ、あれ無くなってるから、収穫したんだな」
とか、楽しんでもらえれば、光栄じゃないか。

 いや〜〜〜、
それにしても、つる性植物って、頼もしい。

 人からは気づかないような「凄い遅さ」で、ゆっくりゆっくり、
ぶら〜んぶら〜ん、と、頭を振って捕まるところを探し、
パチッ、と当たったところを、んがっ、と掴んで、
ぐりぐりぐりぐり〜〜〜っ、と巻きついていく。

 頼もしい、というより、怖いくらいだ。

 さっきダランとしていたツルが、
今はもう、しっか、と、誰かにしがみついて、
つるんつるんつるんつるん、伸びて行っているのだから。

 恐るべし! 
 その、生命維持活動!

 見習うべし!
 他に依存しているようでいて、
ホントは、全然甘えていない、その生きざま!

 ゴーヤは、実も、葉もツルも食べられて、
捨てるところが無いと言う。

 そんなゴーヤの貪欲なまでの生きざまに、心打たれること多し!

 よ〜し、こうなりゃあ、
その生きざままでも収穫してやろうぞ!!!



  (了)

(話の駄菓子屋)2011.8.2.あかじそ作