「 まじめが売り切れ 」


 完璧主義なのに、全然完璧にできないジレンマで
う~う~、うじうじ、キーキー、は~は~、と、
迷いに迷い、くじけるだけくじけ、
どよ~~~~~~~~ん、となっていた今日この頃。

 常に意識は、高く、目標は、百点満点。
 80点でも落ち込んで、95点でもっと落ち込む。
 (惜しいところまできているのに、満点じゃないから、0点より悔しい)

 そういう自分に・・・・・・、もう疲れたつーの!

 自分で決めた無数の決めごとが、
さして意味の無いことばかりだと気づき始めてから、
もっと楽に生きてみようと思い始めた。

 「どうでもいいや」と、
すべてにおいてステバチになりそうにもなったが、
それじゃあ、「満点か0点か」という、
今までの考え方とひとつも変わっていないぞ、とも気づき、
ちょっとづつ、マイルールを捨てて行くことにした。

 例えば、毎年学校の役員を引き受けていたが、
自分のノルマは、もう充分にこなしたのだから、
これ以上、自分の精神を病んだり生活を犠牲にしてまで、
無理に役員を引き受けないことにした。

 掛かってきた電話は、全て丁寧に応対してきたが、
5人の子供たちに掛かってくる、
無数の教育関連のセールス電話には、
もう出ない。

 もう、登録してある番号にしか、出ない。
 交流する人間を【自分で選ぶ】ことにした。

 授業参観も、懇談会も、具合が悪い時は、休む。
 這いずってでも学校の集まりには出ていたが、
逆に周りに引かれるから、やめておこう。

 身も心もダメダメな時は、ご飯は、手を抜く。

 でも、まったく作らないのではなく、簡単なものを作る。
 ご飯を炊くけど、レトルトカレーでごめんなさい、とか、
野菜炒めを作るけど、インスタントラーメンにかける、とか。

 うちは食べざかりの子供が5人もいるので、
割高な惣菜などを、全員が腹いっぱいになるほどは買えないのだが、
たまには、値引きになった焼き鳥セットとか、
揚げるだけで出来上がる冷凍コロッケとかをたくさん買って、
ササッと済ますこともある。

 お金の無い時は、
やたらと麻婆豆腐が連続したりもするし、
冷凍枝豆をチンして、野菜代わりにしたりもする。

 とにかく、心や体がポッキリ折れちゃう前の、
「ぐんにゃり」ぐらいの時に、
はっきりくっきりと意識し、
「わたくし~、手を抜きます~ぅ!!!」
と、声高らかに宣言して、手を抜く。

 そして、ダメダメの自分が立ち直るのを待って、
今度は、「頑張って作る」のではなく、
「自分が食べたいものを、自分が食べたいように作る」
というところから、また始める。

 そうやっているうちに、また、
元気に、三度三度、
【山盛り男子飯】がワシワシ作れるようになるのだ。

 家計簿もやめたし、
倒れるまで頑張るのもやめた。

 まじめ=立派なこと、じゃない。

 しじゅうすぎたら、ストレスは、猛毒だ。
 子供たちを遺して急死するよりは、
時々、ちんたらちんたらして、命を延ばすのも仕事のひとつだ。

 わが家は、夫がちんたら担当、
妻が、必死担当だったが、
これからは、遠慮しないで、妻もちんたらさせてもらう。

 そうやって、
孫の世話の手伝いができるくらいまでは、
元気に明るく生き伸びてやろう。

 座右の銘の、
「清く、正しく、美しく」
「笑う門には、福来る」
に加えて、
「気合い、時々、脱力」
も追加だ。

 「気を付け!」
 「休め!」

 って、
そう言えば、学生時代、
よく先生に号令を掛けられていたっけね。

 今までの私は、
「気を付け!」
「前へ習え!」
「気を付け!」
「回れ、右!」
「気を付け!」
「前へ進め!」
「気を付け!」
「右向け、右!」
って、20年間、全然休んでないもんね!

 時々、自分に、
「休め!」
って、命令しなくちゃよ!!

 病的にクソ真面目な頑張り屋さんは、
特によ!


 (了)


(話の駄菓子屋)2011.8.16.あかじそ作