「 ゴーヤ日記 2011.9.6. 」


 実のなったうちの半分は、「処理」いや、食べた。

 しかし、あとの半分は、やはり見て見ぬふりした末、
思った通り大爆発してしまった。

 「お母さん、ゴーヤ、凄く大きくなってるよ。そろそろ採らないの?」
と、いう子供たちの声に、
「あ、明日あたり採る・・・・・・と・・・・・思うよ〜・・・・・・」
と、ごまかしてきたものの、
やはり、人間、イヤなことからは目を反らしたくなるもので、
二日三日と放置した後、
庭の各所で、地面にぶちまけられた黄色い実と、真っ赤な種を見つけ、
そのグロテスクさに、
「うわ〜〜〜っ!」
と、のけぞることになる。

 10本は、料理した。
 6本は、見るに見かねて夫が料理して、食べていた。
 後の10本以上は、黄色くなり、



爆発して真っ赤な腹を出していた。




 次男が、腹にすえかねたように言った。

 「お母さん、もったいないよ! 食べようよ!」

 いつからだろう。

 私が子供たちに説教されるようになったのは・・・・・・

 長女が物心ついてからこっち、
説教されることがずいぶん増えた。

 「苦いのがいいんじゃない!」
 「お母さんが食べなくても、僕たちが食べるから〜!」

 と、この夏、ずいぶん叱られた。

 自らの腹からひり出した者たちに、
自分の心の弱さを指摘されるという、
このありさま・・・・・・

 もう君たちは、親を超えて行くのだね・・・・・・

 空へ向かって高く高く伸びてゆく、
このゴーヤのたくましいツルのように、
止められない勢いで、実をつけてゆくのだねえ・・・・・・

 私は、ひとり、地面に落ちて割れた、黄色いグズグズの実と、
血のように真っ赤な種を拾い集めながら、
嬉しいような切ないような親心を噛みしめるのであった。


 ・・・・・・って、
ぐだぐだ言ってないで、
さっさと次のゴーヤを収穫しやがれ、
私よ!!!




(了)


(話の駄菓子屋)2011.9.6.あかじそ作