「 なぜにわが子がステキ女子? 」


 子供のころから、おっさんみたいだった私から、
立て続けに4人の男児が生まれたことは、
「いかにも」という感じではあった。

 しかし、最後に出てきた長女が、
なぜか、とってもとっても「ステキ女子」であった。

 朝から晩まで、ファッションのことを気にしている。
 髪型、服、靴、バッグから始まり、
家や学校で使う道具の類や家具も、インテリアも、
すべて「ステキ」じゃないと我慢できないらしい。

 そして、誰が教えたわけでもないのに、
結構センスがいいのであった。

 そして、彼女にとっては、母親の私も、
自分の付属物であるらしく、
ちょっとコンビニに行くときも、
完璧にオシャレする自分の横にいる母親が、
「バカボン」のTシャツを着ていることが許せないという。

 必死に「着替えて!」と泣きついていくるのだ。

 「バカボン」のTシャツを着ているおばちゃんは、
確かに物凄くイタイ。
 私でも、道で会ったら、絶対に避ける。
 しかしこれは、
高1の三男が母の日にプレゼントしてくれた宝物なので、
是非、外出時に着たいではないか。
 で、夕方のコンビニにだったら、ギリ、オッケーでは?

 でも、長女のみならず、三男本人までも、
「それ、外に着て行くの?!」
と言って、止めてくる。

 「ああ、もちろんだよ。お前にもらった物だからね、
堂々と、今度のお前の三者面談に着て行くからね」
と、冗談で言うと、
血相変えて「絶対やめて!」と叫ぶのだった。

 冗談だ、ってのに!

 そもそも、長女は、三男に身も心も似ているので、
言うことも、どこか似ている。

 つまり、長女も、年頃になれば、
三男の通ってきた道を通り、
結構なヤンチャをしでかしてくれるだろう、とうことだ。

 まあ、それはともかく、
長女は、身長120センチで、
幼稚園児並みのチビちゃんだが、
中身は、完全に、「女」なのだ。

 しっかり者で、突っ込みもするどいが、
弱い者には母性本能全開で接する。

 そしてまた、
今まで育ててきた息子たちには一切見られなかった行動をとる。

 帰宅してすぐに、
箸と水筒を出して流し台に置き、
使用済み給食ナプキンやおしぼりを洗面所のかごに入れる。

 連絡帳と音読カードと共に、
戸棚からボールペンと印鑑を出して、
保護者の記入と捺印がすぐできるように、並べて置く。

 今日配られたプリントやお手紙をきれいに重ねて出し、
すぐに宿題にとりかかり、
時間割を揃え、
明日の給食ナプキンや箸を給食袋に入れてから、
「チャレンジ」を数ページして、
母に丸付けをしてもらう。

 その後、お友達に贈るお手紙をイラスト付きシール添付で数枚書き、
そして、明日着ていく服をトータルコーディネイトし、
ハンカチ・ティッシュまで綺麗に並べてから、
小さく「これで、ヨシッ♪」と言い、
テレビを4チャンネルに合わせる。


 最近、映画の公開に先立って、
テレビで「ホタルノヒカリ」を再放送していたのだが、
長女は、これを、
テレビにかじりついて見ていた。

 そして、連日、「ぶちょ〜」と「アメミヤ」の恋の行方を、
かたずを飲んで見ていた。

 どうも、この手の少女マンガ的なノリが苦手な私は、
「こういうの、好きなの〜?」
と、白けた調子で長女に聞くのだが、
「サイコー?」
と、彼女は、言う。

 これだけではない。

 大人が観る恋愛ドラマや、
再現ドラマの「痴情のもつれ」のくだりなども大好きだ。

 また、先日、小学校の面談で先生から聞いた話では、
クラスで一番のイケメン坊やを相手に、
数人の女子と「恋のさや当て」的なことをしているらしい。

 どうした〜〜〜?

 私から、「女子女子」した娘が出てくるって、なんで〜?!
 育て方も、極めて雑なのに・・・・・・

 生まれ持ってのステキ女子力!

 最近は、お風呂に一緒に入っている時に、
「幼稚園の頃、つらかったわ・・・・・・」
「先生に、ウチって人間をさ、わかってもらえなかったのよ・・・・・・」
などと話しながら、
遠い眼をして憂い顔をしてみせるし、
「でも、今は、毎日が輝いているわ」
とも言う。

 お前、一体、何十年生きているんだよ?
 まだ6歳だろ?!

 どんだけ?
 どんだけ女子なの?

 怖いわ!


 (了)


(子だくさん)2012.6.26.あかじそ作