「 それでいいの奥さん 」
ふつうが一番、
人並みでいい、
平凡が大切。

 みんな言ってる。
それが返って、一番難しいんだ、と言う。

 私も、「そりゃ一理ある」とは、思ってる。
でも、私の中の、みのもんたが、言うのだ。

「ちょっと〜、それでいいの奥さ〜ん」と。

 すると、私の中の
【奥さん@別にテレフォンカードは欲しくない】が、

「それじゃ、面白くないんですぅ〜」
と、言い、ホワイトボードに、
〈平凡が嫌な主婦・35歳〉
と、板書される。

 スーパーで、買物ったって、
子供をさらうショッカーの如く、ぐずる幼児を肩に背負い、
「イー」「イー」「イー」と、特売品を買って走り去る、
全身黒タイツの〈ショッカー母ちゃん〉やって、
「今日は、150円得した」なんて、
聞いちゃいない夫に必死に報告してて、
それでいいの〜、埼玉のお嬢さ〜ん。

 と、みのは、重ねて言う。

「主婦も恋をしたいわ」なんて言うドラマには、ケッ、と思うし、
惚れたハレタなんて、もう、ぜんっっっぜん、興味ないのだ。

 主婦が嫌なんじゃない。
「誰それの奥さん」とか、「誰それのママ」とか呼ばれたり、
「おばちゃ〜ん」と言われるのなんて、屁でもない。
呼び方なんて、何だっていいのだ。
私は私だ。関係ない。

 面白くない生活が、いやなのだ。
オリジナリティーがないことが、なんせ、一番いやなのだ。

 偉くなったり、大富豪になったり、
そういうことには、全然あこがれない。  

目立ちたいんじゃない。
面白がりたいのだ。

 だから、「面白くない富豪の生活」より
「面白いビンボー人」の方がいい。
(でも、できれば、「面白い富豪」がいい)

 面白くないビンボー生活なんてのは、最低だ。
 金がないから働く、なんて、いやんなる。
「面白いことやってたら、なぜか儲かっちゃった」
ってな事になりたい。

「生活に追いまくられています」
なんて、つまらない。
 生活を、追いまくりたい。(なんのこっちゃ)

 とにかく、馬鹿笑いしていたい。
それだけ!
 あるいは、猛烈に感動したい。
星飛雄馬のように!
  
 怒涛のように、喜怒哀楽を堪能し、
ぐわあっはっは、ぐわあっはっ、
ぐわっ、ぐわっ、
ぐわっ? 
・・・・・・
だう〜ん!

と、大爆笑の最中におっちんでしまえたら、本望だ。

 するとまた、私の中の、みのが
「で、それでいいの奥さ〜ん」
と言うけれど、
【私@いまどきテレフォンカードは、どうかな?】は、
「それでいいのよ〜ん」
と、言うだろう。  

  ふと気づくと、ホワイトボードに、
〈退屈な生活に飽き飽きし、刺激を求める毎日〉
と書かれてしまっている。
 変な解釈されちまってる。

 ちょっと違うけど、まあいいや。

  つらいこと、悲しいこと、苦しいことまでも、
世の中のあらゆることを、
大爆笑や大号泣(それは、どっちも気持ちいい)に変えられたら、
私は、生まれてよかった、と、心底思うだろう。
 
 心穏やかに、
♪きょうは、なっんのっひ〜、ふっふ〜♪

と、裏声で歌えるだろう。

                                2002.02.06 作:あかじそ