「 省エネ作戦 」

 エアコンよりも扇風機、
石油ファンヒーターよりもこたつ、
各部屋にテレビやエアコンをあえて設置せず、
一家に一部屋の集合場所で過ごすように心掛ける。

 今までも最低限のことはやってきたが、
電気代やガス代、水道代の上昇が止まらない。

 「やめてよ」と散々言っても、
若い息子たちは、シャワーを多用するし、
ひとりになりたいお年頃なので、
エアコンやテレビなんかあろうとなかろうと、
子供部屋にこもってスマホに興じている。

 そこでうるさく、
電気消せだの水が無駄、とか口うるさく言っても、
返って逆効果で、
部屋にこもられて
夜中まで煌々と電気を点けたまま寝てしまったりする。

 説教をたれると、
思春期どもが各自散り散りになってしまうのならば、
逆に、心地よい環境にすれば、
みんな集まってくるのではないか?

 昨年は、一人用こたつを買い、
普通のちゃぶ台の下に入れて、
その上に大きなこたつ布団をかぶせたら、
ちゃぶ台が立派にこたつの役割を果たした。

 1時間2.4円の電気代で、
石油ファンヒーターを最弱にしていても、
充分に暖かく、電気代も月1万円掛からなかった。

 ファンヒーターオンリーだった時は、
ガンガンに強火にしても、いつもなんとなく肌寒かった。

 壁付けの扇風機で暖気をかき回してみても、
まだ寒く、おまけに電気代は、月2万を超え、
踏んだり蹴ったりだった。

 こたつの実力は計り知れない。

 電気をあまり食わず、
足を温めることで、体全体を温め、
ついでに、家族全員がいつも卓を囲める。

 一石二鳥どころか、三鳥も四鳥もだ。

 いかんせん、一人用こたつは、
使い方が雑だったせいか、たった1年で故障し、
今年買い換える羽目になったが、
それでも、1台7千円台なので、
ひと冬で元が取れてしまう。

 今年も、去年に引き続き、
カーテンを分厚いものにし、
しっかり断熱してファンヒーター最弱&こたつで行こうと思う。

 当初予定していた火鉢は、
子供だけでの留守番の時に、
火が危ないし、一酸化炭素中毒も怖いので、
仕方なく断念。

 石油ストーブの上に常にやかんを乗せて、
煮炊きしたり加湿しようとしていたけれど、
まだ時々子供同士の取っ組み合いがあり、
大やけどの心配があるので、
当分は、やめておこう。

 一人用こたつで
茶の間の直径150センチの巨大ちゃぶ台をこたつ化し、
茶の間と続き間の6畳の台所には、テーブルではなく、
新たにこたつを設置し、大きくなった子供たちの居場所を広げる。

 座らないソファーよりも、
なぜかみんなが吸い寄せられるこたつの方が有効だと思うのだ。

 敷物の下には、厚手のアルミの敷物を敷いて、
床からの冷気を遮断。

 室内用の軽い上着を各自用意して、
室温を過剰に上げないようにする。

 下半身には、毛布状の巻きスカートをして炊事をし
こたつから出られなくなる状況を防ぐ。

 温かさだけでない。

 茶の間やキッチンのインテリアをおしゃれにして、
カフェのようなッ雰囲気にする。

 視覚的にも、気温的にも、湿度的にも、
居心地の良い状態を作り、
家族が複数の場所に散って、
光熱費が倍増することを防ぐ。

 今年は、台所の一角に、
ファミレスみたいなドリンクバーコーナーを作って、
快適なリラックスタイムを過ごせる居間を目指す。

 ドリンクバーコーナーには、
温かい湯の入ったポットのそばに、
各種ティーバッグ(紅茶緑茶ウーロン茶ほうじ茶等)をきれいに並べ、
コーヒーを淹れるセットを揃え、
カップやグラスも並べておく。

 しゃれたマットを敷いたり、
機能的な茶器などを並べて、
「お茶を淹れること自体がステキ」と思えるような演出をする。

 冬だからと言って、
温かい部屋にどっかり座って動かない、という風にならず、
各自動きまくって、
それぞれ自分の筋肉を動かして体内から温まる、という罠を仕掛ける。

 「なぜなんだ! なぜだか思わず働いちまうぜ!」
と、家族みんながなるように、
しゃれた掃除道具、キッチン用品を、これ見よがしに配置。

 最大限の工夫で、最小限の光熱費。

 これで寒い寒い冬を無事に越そうじゃないか!

 どうせ寒いなら、おもしろく過ごそうじゃないか! 


 (了)

(しその草いきれ)2013.10.15.あかじそ作