「今日の日記より」 |
今日は、忙しかった。 うちの小屋裏に、たまりにたまった粗大ゴミ――― (壊れた自転車・ポロポロ三輪車2台・汚いゴムマット・ さびさびのパイプ収納・折れ折れの籐の椅子、など) これを、市役所の粗大ゴミ収集に頼むと、一個につき500円取られるので、 車に乗る物だけでも、自分で資源センターに持ち込もう、と思い、 (自分で持ち込むと1個250円になる)車に積み込んで、いざ、出発! ・・・と、思ったら、車・・・・・・エンジンかからない(T_T) 仕事が休みの父を電話で呼びつけ、見てもらったら、 バッテリーが上がってる、ということだった。 充電してもいいけど、あまりにも古いパッテリーなので、 メンテナンス・フリーのバッテリー(ちょっと高い)を買いに、オートバックスへ! 8800円で買って、父にそれを付け替えてもらい、ウォッシャー液も追加してもらう。 (私は、この車に4年乗っていて、初めて車のおなかの中を覗いた!) 「車乗るなら、もうちょっとメンテナンスしろよ」 と、メンテナンス能力ゼロの父にまで言われるくらいだから、 私も相当のずぼらだ。 新品のバッテリーは、気持ちいいくらいエンジンがよくかかり、 さっそく、資源センターに出発! ・・・・・・しかし、この資源センター、ってのが、恐ろしく田舎にあって、 川を渡り、車一台やっと通れる川沿いの道を走り、4号バイパスの下をくぐって、 秘密の通路のような道を行かないとたどりつけないような、陸の孤島にあるのだ! 私は、ナビを父に頼んだが、 「お前にゃ無理だ」 と言われ、運転を頼み、二人で(2歳児は、母と実家で待機)出発! 「ここは、一体、どこやねんっ!!」 という、ドラクエに出てきそうなダンジョンをさまよった挙句、 偶然、魔法のように、しゅるしゅるしゅる、っと、センターに入れた。 「お姉さん、よくここまで来れたね」 と、【霧の塔の番人】のような風情の受付のおじいに言われ、 10年ぶりに女を見たぜ、というキラキラした瞳で微笑まれてしまった。 そこでは、小規模・中規模の業者たちが、センターのだだっ広い敷地のそこここで、 小鳥のさえずりを聞きながら、まったりのびのびと、深呼吸などしていた。 そて、そこで我々は、車ごと巨大な秤に乗り、重さをはかり、 渡されたヘルメットをかぶり、係の人と一緒に、 粗大ゴミを10メートル四方の巨大穴に投げ込む。 そしてまた、ぐるっと同じ道を回って、さっきの秤に車ごと乗り、 重さの差を調べて、料金を言い渡される。 はじめに測ったとき、私は、車から降りていて、秤に乗っていなかった。 そして、今、車に乗っておけば、私の重さ分、出したゴミが少なく計算されるのでは? と、思ったのか、 「お前、乗っとけ」 と父に言われて、じっと乗って待っていると、 「ひとり降りて」 と、係の人に言われ、私が降りると、 「ヘルメットも返して」 と、更に笑いながら言われ、父の頭のヘルメットをはずして、返した。 「チッ、お前の体重分と、ヘルメットの重さ分、得しようと思ったのに」 と、父が言い、 「せこ! 微々たるもんだっつーの!」 と、笑って言っていると、250円×6個で、合計1500円請求されるはずが、 重さから算出して、1000円ポッキリでいい、と言われた。 私の重さ、そう、私の粗大ゴミとしての価値は、500円であった。 帰りは、また、見たこともないような、特殊な景色の中を、延々走った。 土地が、でべ〜、っと意味もなく広い、川っぷちの工業団地を くねくねくねくね走って、大きな道へとやっと出た。 私は、度の強い乱視用めがねで、細かい地図にずっと顔面を 貼り付けて見ていたせいで、すっかり気持ち悪くなってしまった。 一方、父は、巨大秤に車ごと何度も乗ったり、ヘルメットを被って、 普段では縁のないような巨大穴にゴミを投入したりしたのが、 よっぽと楽しかったらしく、帰り道、わほわほだった。 私は、何だか疲れてしまって、実家にドサリと倒れ込むと、午後2時前だった。 四男は、一回やめたはずの「パイパイ」をまた激しく要求し、 畳に倒れている私のシャツを勝手にめくって、セルフサービスで乳を飲み始めた。 三男が幼稚園から、長男と次男が小学校から、次々実家に帰って来て、 母の握ったおにぎり数個づつを次々に平らげ、まだ明るい午後4時に、 「激早夕飯」をご馳走になり、午後6時には、暗い中、 ぞろぞろぞろぞろ子供4人を連れて歩いて5分の自宅へ帰る。 風呂の湯を張り、友人からの手紙の返事を書き、子供4人と一緒に風呂に入り、 全員を洗い、素っ裸で弟からの電話を取り、 今月定年退職する父へのお祝いについて話し合い、泣き狂う2歳児に服を着せ、 メールをチェックし、ホームページの掲示板にレスを付け、友だちのサイトの掲示板の 自分へのレスを読みに行き、そしてそして、また「乳くれ」と泣き喚く2歳児に 、勝手に乳を吸われている。 今日もまた、なんの変哲もない1日が終わろうとしている。 そしてまた、今夜もまた、物凄くずっしりと眠いのであった。 (おわり) |
2002.03.13 作 あかじそ |