「 考えない 」 |
連日、履歴書を書いたり、企業説明会に参加する長男の就職活動の様子を横目で見ていると、 自分の大学時代との違いに戸惑うことが多い。 私は、バブル期の就職だったから、 みな、さして苦労もせずに2社3社と内定をもらえたし、 入社して、合わなかったら辞めて再就職すればいいと思っていた。 しかし、今の大学生にとっての就職は、 「生きるか死ぬか」とまでは言わないまでも、 人生を決める人生最大の大勝負、というような雰囲気が漂っている。 うちの長男の学校は、 地方の職業訓練大学校なので、 みな、「地元で引く手あまただから余裕だよ」と言って、 全然就職活動をしていないそうだが、 長男のように、首都圏で働きたい者は、 有名大学に混じって必死に自分を売り込まなければならないらしい。 「学校の近くの優良企業に勤めればいいじゃないの」 と、私が言うと、 どうしても埼玉や東京で働きたい長男は、 「それは、ちょっと・・・・・・」 と渋る。 どうやら、彼女が、ここ埼玉に住んでいるらしい。 というより、我が家の近所に住んでいるようだ。 できれば、学校を卒業したあとは、 ここ自宅から通えるところに就職したいようなのだ。 今、就職するのも大事なことだが、 息子の一番の目標は、3年間の建築関係の就業経験を積み、 一級建築士免許の受験資格を得ることなのだ。 しかし、中学や高校の友人たちの必死な就職活動に気押されて、 時々、目的を見失い、 「有名一流企業に入らなくちゃいけないのかなあ」 などとつぶやいていたりする。 「むしろ、学校に募集を掛けてくる地元企業で、 働きながら勉強できる環境に身を置くことの方が、 結局は、近道だったりするんじゃないの?」 と、言ってもみたが、 「う〜〜〜ん」と唸って、あまりよく聞いていない。 「木の家を建てたい」 長男の、このシンプルな目標、目的を、 時間が掛かっても叶えられるように、 寄り道をしてもいいから、進んでほしい。 方向さえ合っていれば、 努力を続ければ、きっと、たどり着ける道だと思うのだ。 子供には、希望を持って生きてほしい。 今、更年期真っただ中で、 子育てに掛かるお金の工面に汲々としている中、 なかなか「自分自身の希望」など思い描けない毎日だが、 やっぱり自分の子供には、希望を抱いていてほしいのだ。 希望を持たぬ親から、 希望を抱く子供は育たないのなら、 まずは、生活が大変でも、 自分自身が希望を持って生きなきゃいけないのかもしれない。 景気のいい社会を知らない世代の子供たちに、 その中でも何かしらの希望のある人生を、世の中を作っていってもらうため、 大人たちも、希望を持って、生きなければならないんだ。 がんばろう! 子供たちに「頑張れ」と言う前に、 自分が希望を持って、元気に頑張って、 その生き生きとした姿を見せよう。 大人の暮らしは、希望に満ちているぞ、 と、若者たちの行く先を照らす灯りになろう。 あ〜〜〜〜〜! 私こそ、頑張らなくちゃなんだわよ!!! (了) |
(しその草いきれ)2014.1.21.あかじそ作 |