「 脱! 頭大混乱 」


 生まれてこの方、
常にパニクっている気がする。

 おそらく、精神科に行けば、
間違いなく私は、ADHDと診断されるだろう。

 大人のADHDのことをテレビで紹介しているのを観て、
「こりゃ間違いない」
と思い、いろんなサイトで調べてみて、確信した。

 私は、ADHDだ。

 というか、私もそうだが、
私の父も、私のおじも、私の祖父も、私の息子も、
おそらく、ADHDだろう。

 こういう気質は遺伝だろう、と諦めていたが、
こうはっきりと自分の性格を「症状」と言われてしまうと、
「やっぱりね!」
と、おおいに合点がいってしまうのだった。

 思えば苦しい半生だった。

 病気じゃないけど、
生きて行く上で、おおいに障害となる気質だ。

 自分で自分をもてあまし、
せっかくの幸福を、自ら追っ払ってしまうこの性格。


 病院に行って、専門家のアドバイスを受け、
必要ならば服薬をしてもいいが、
こういう気質のまま50年近く生きてきているので、
大量の失敗から得た、細かい対策も練っており、
「こういう人間が生きる上でのノウハウ」
なるものをいくつもいくつも開発してきている。

 だから、今さら通院するのもどうだろう、
通院などしなくても生きていけそうだぞ、
と、いう思いもあるのだが、
「通院」という経験を避けるのと、経験して「要らねえな」と思うのとでは、
経験値が変わってくるような気がする。

 私は、たとえ遠まわりでも、
人生の経験値を上げたいと思うタイプなので、
一回、試しに診察を受けてみてもいいかもな、
と、思う。

 いい年をして、常に頭が大混乱しているのは、
何だかダサいし、
一度しかない人生を、
「苦悩に支配された地獄の一本道」ではなく、
シンプルですっきりした気持ちで過ごしたいと思う。

 脱! 頭大混乱。

 医者に行こう!



 (了)

(話の駄菓子屋)2014.8.26.あかじそ作