「 電気なめんな 」



 築36年の我が家は、あちこちガタがきているが、
シャレにならない状態だったということが、最近わかった。

 数年前に父が買ってきた高圧炊飯器。

 電子レンジやエアコンと一緒に使うと、ブレーカーがしょっちゅう落ちる。

 最近の炊飯器は、昔のものよりも電気を食うようで、
ホットプレートやホットカーペット、
ヘアドライヤーなどと同時に使っても停電になる。

 築36年の我が家のコンセントは、規格が古く、
おまけに台所のものは、コンセントカバーが割れて、
差し込み部分がむき出しになったまま使っていた。

 ある日、炊飯器のコンセントが、
ジュ〜〜〜ッ、と音を立てているのに気付き、
急いでプラグを抜くと、
差し込み部分のゴムが完全に溶けていた。

 やばい。
 電気火災になるところだった。

 就寝中じゃなくて、本当によかった。

 電気工事店に来てもらって、点検してもらったら、
やはり、危なかったとのこと。

 コンセントの見える所だったから、まだよかったが、
屋根裏や床下や壁の中の配線が焼けたり溶けたりしていると、
その部分を探すのに、床をはがしたり壁を壊したりする大工事になってしまうという。


 さて、新しいコンセントに付け替える工事を4か所した。

 焼け解けた所以外にも、
差し込み部分の内側が折れていたり、
ぐらぐらしてきちっと刺さらない箇所がいくつかあり、
それも「火を吹くのは、時間の問題」と言われたので、付け直した。

 数万円掛かったが、長年のむき出しのコンセントの不安がやんでよかった。

 と、同時に、我が家のブレーカーは、
かろうじて漏電遮断機がついているが、
昔々の4口タイプで、電線も細く、
現在の電気を猛烈に食う家電に対応できていない、とのこと。

 炊飯器やエアコンなどには、太い電線の専用コンセントを付けて、
ショートするのを防がないと危ないらしい。

 電気火災は、怖い。
 素人には、どうにもならない。

 近所のうちは、台風ごとの床下浸水で漏電し、
3日間の停電&大工事で、大変だったらしい。

 もう数万円の追加経費は掛かるが、この際、仕方ない。
 性能のいい漏電遮断機が付いた6口の新しい分電器に交換だ。

 火事を出したくない。
 家族や近所の命を守らねば!

 何も知らないで、危ないまま20年近く暮らしていたことを、
今さら知って、肝を冷やす。

 電気は便利だけど、使い方によっては、危険なものだ。
 もろ刃の剣だ。

 原発の危なさと、電気に頼り切った現代の生活を、
崇高なココロザシで語る前に、
たんすの裏の、埃をかぶったコンセントを見よ!

 電気なめんな!

 電気が無ければ生きていけないが、
電気は、決していつも我々の味方だというわけではない。

 なめてると、ヤラレル!

 原発も、
そのコンセントも、
きちんと管理できないなら、
恐ろしい凶器でしかないんだ!

 電気、なめんな!!
 気ぃ引き締めろ!

 電気と友だちになりたきゃあ、
めちゃくちゃ気ぃ引き締めなくちゃなんだぜい!!!



   (了)

(しその草いきれ)2014.10.21.あかじそ作