「 お母さん、頭も心もパンクです 」


 家族全員の予定を書き込める、
「家族カレンダー」を使い始めて数年目。

 今年のカレンダーは、特に猛烈な書き込みがある。

 まずは、私の仕事の予定。
 自分のエリア以外に、日替わりで別のエリアも掛け持つ。

 次に、町内会の班長の仕事の予定。
 防犯パトロール、地区運動会、もちつき大会など。

 そして、四男の中学の役員の予定。
 卒業式準備委員なので3月は、超多忙だ。

 更に、娘の鎖骨骨折のための整形外科通院や、アレルギー科の検査通院。
 学年末の特別日課と、給食終了日後の変則的な帰宅時間。

 四男の県立高校受験と、合格発表の日程。
 公立高校不合格時の、私立高校入学手続きの細かい日程。

 三男の自動車教習所の予定と、高校の登校日、卒業式の日程。

 次男のバイトと専門学校の予定。

 大学4年の長男の帰省日と、寮を引き払う日程、
それから、彼の中学時代の友人、高校時代の友人、大学の友人たちとの卒業旅行など。

 もう、カレンダーの白い部分が無いほどに書き込み過ぎて、
書き込んだ上からふせんで何重にも用事が書き込んである。

 日によって、家に誰と誰がいるのか、
誰と誰が家で夕飯を食べるのか、
今日何人が外に泊まるのか、
誰の通院があるのか、
誰の弁当が要るのか、
誰の集金があるのか。

 ただでさえ、ひとつの事しか考えられない頭なのに、
もうもうもうもう、頭がパンクである。

 更に、これに「息子の受験の合格発表待ち」という、
生殺しの心理的状況があり、
もうもうもうもう、もうもうもうもう、
お母さんは、頭も心も、飽和状態の3乗くらいになっている。

 こうなると、もう、
自分にストレスがたまっていることすら気付けず、
目を泳がせて、台所をうろうろうろうろさまよい、
うーうーうーうーうなってばかりだ。

 心の排水溝、詰まってるわ!

 たかが主婦のバタバタじゃん、と、人は言うかもしれないけれど、
たかが主婦の日常とは、つまり、
自分以外の人のための細かい労働のてんこ盛りなのだ。


 さて、半年に一度の副腎の良性腫瘍の経過観察。

 いつものCT検査の結果、
偶然、左卵巣の異常が発見され、
婦人科で詳しい検査をするように言われたのだが、
このパツンパツンの日程の中に、
この上、どう婦人科に行く時間を作ればいいのだろう?

 自分の健康も心配。

 でも、家族の毎日が、もっと心配。

 家族が、無事に日常生活を送ることができるように、
せめて今日一日を、何事も無く終わらせることができるように、
カーチャンは、一生懸命動き回るしかないのだ。

 嗚呼、四男が第一志望の高校に受かってたら・・・・・・
婦人科検査に行くとしよう。

 落ちてたら、私立の手続きや制服と教科書の購入や、
息子の心のケアをしてから、
婦人科、行こう。

 そうなると・・・・・・4月か、へたすりゃあ、5月・・・・・・

 あ〜あ!
 内臓も、あちこちパンクだわ!



   (了)

(こだくさん)2014.3.10.あかじそ作