「 心配性には、キツイっす 」


 長男は、3年前に自動車免許を取ったとき、
私が助手席に乗って、うちの車で、毎日練習した。

 運転が好きなようで、
しょっちゅう北関東の大学の寮に行き来し、
また、友人を乗せてあちこちドライブに出かけていたので、
知らないうちに運転が上手になっていた。


 さて、先日高校を卒業した三男が、
このたび自動車免許を取得し、
長男の時同様に、
連日、私が助手席に乗って、
グラウンドの駐車場で駐車の練習をしたり、
近場の道で練習したりしている。

 すると、やはり、長男の時同様に、
「友だちとドライブに行くから、車貸して」
と言われた。

 いやだなあ・・・・・・、危ないなあ・・・・・・、
と、今度も心配になったが、
本人、もう友人と約束済みらしく、
私にノーと言わせない勢いがあった。

 長男は、慎重派なので、
「危険な運転はしないだろう」という信頼があったが、
三男に至っては、赤ん坊の頃からチョロチョロしていて、
危なっかしくてしょうがない。

 したがって、全然信用できないのだった。

 ところが、三男の運転する車は、
実に大人しく、真面目で、紳士的なのだ。

 運転には、人柄が出る。

 きっと、三男は、
私が思っているよりも、
きちんとした人間なのかもしれない。

 おどおどしたり、急に勢いよくなるような、
情緒不安定丸出しの私の運転よりも、
よっぽど安全かもしれないのだ。

 思えば、私がペーパードライバーを返上し、
幼い子供たちを車に乗せて運転し始めた頃、
私の両親は、いつも眉間にしわを寄せて、
「気を付けてよ!!」
と、うるさいほどに言ってきた。

 子供の運転は、心配なのだ。いつだって。

 しかし、子供が日常的に運転するようになれば、
そのうち子供の運転をあてにするようにもなるだろう。

 ああ、こうやって、どんどん子供が成長し、
世代交代が進んでゆくのか。

 この4月に社会人になる長男と三男。

 ハラハラしながら、スーツで出かける後姿を見送る。
 祈りながら、彼らの運転する車を見送るのだ。

 あ〜〜〜。
 何事も無く、無事に一日が終わるように!
 ゆっくりでもいいから、会社や仕事に馴染めますように!

 心配性の母親には、キツイけれど、
彼らは、もう、大人になるのだから、
小うるさく小言を言うのをもうやめて、
明るく笑って「行ってらっしゃい!」と言わなきゃですよ!

 あの子たちを信じるしかないんだぜ!!!

 ひ〜〜〜〜〜〜っ(心配!)。



  (了)

(子だくさん)2015.3.31.あかじそ作