「 きょうの心霊 」



 小4の長女が言った。

 「今日、学校で警察署見学に行ったとき、
建物の高いところに青い着物を着たおじいさんと男の子がいてね、
ちょっと人が居られるような場所じゃなかったから、
友だちに『見てみて、あのふたり』って言ったら、
友だちには、見えなかったの」

 「ん? ああ〜〜〜・・・・・・来たな、こりゃ」

 うちの血筋は、何かと「見える」人が多い。

 三男も、小さい頃、しょっちゅう、この手のことを言っていたが、
怖がりの私は、「気のせい、気のせい! 忘れなさい!」と言っていた。

 そういう私も、一時期、相当、見えていた。

 怖がりなので、自分自身にも
「気のせい!!」「見えない!!」
と、無理矢理言い気かせているのだ。

 
 翌日、長女は、また言った。

 「今日は、体育の時、校舎のベランダに、
また着物を着たおじいさんと男の子がいたよ」

 「え? うわ〜〜〜。学校のベランダは、ヤバいなあ・・・・・・」

 警察署だったら、近所の人が見学に来ていたことも考えられるが、
学校のベランダに一般の人が入り込んでいるとは、なかなか考えにくい。

 「みんなが楽しそうにしてるから、近所の人が見に来たのかな?」

 そう言って、お茶を濁したが、
その翌日、長女は、またまた言った。

 「さっきね、お母さんと自転車で行ったスーパーの帰り道に、
着物のおじいさんと子供がいたの・・・・・・」

 「はい、キタ!!!」

 こりゃあ、小学生の子供たちを見に来た方々じゃないねえ?

 うちの長女のところに来ているよねえ?

 はっはっはっはっはっは・・・・・・

 「き、き、きっと、守ってくれている神様なんじゃないかなあ? ははは・・・・・・」



 そう言えば、以前、長女の友達のお母さんが、
こう言ってきたことがあった。、
「うちの子が、あなたの娘さんに男の子がいつもついている、って言うのよ」

 「え? 今も?」

と、聞くと、

 「今は、見えなくなったらしいけど、怖い感じじゃないんだって」

と言った。


 はいはいはいはいはいはいはい。

 長女に詳しく聞くと、
着物は、紺色で、おじいさんは、白髪頭、
男の子は、坊主頭ではなく、今どきの子の髪型だったという。

 怖い感じは、全然しなかったというので、
とり憑いているわけではなく、
娘を見守ってくれているのだ、と信じることにした。

 それにしても、なんで見えちゃうの、うちの血筋!

 hanaは、我が家の一大事について、
私の連絡よりも先に、亡くなったじいちゃんの「お告げ」で知るし、
母も、「人の死ぬ時がわかる」とか、恐ろしい事を笑いながら言いやがる。

 要らないよ、こんな能力・・・・・・

 怖いんだよ〜。

 怖がりだから!! 

 四男も、毎日、高校の自転車通学中、
国道沿いで、毎日、何かしら見えちゃう、と言うし、
もう、ホント、マジで、やめて!!

 配達の仕事中、
道端に花束が供えてあるのを、「気の毒に」と思ったら、
それから2〜3年、わけも無くうつ状態になってしまうし、
もう、連れてきちゃうから、嫌なんだよ〜〜〜う!!

 マジで!!!

 も〜〜〜う!!

 こわい〜〜〜〜〜(T_T)


  (了)


(話の駄菓子屋)2015.6.2.あかじそ作