「 ここは、どこの国なんだ? 」


 昨日、子供たちと4年ぶりに某テーマパークに行ったら、
すっかり様子が変わっているのに愕然としてしまった。

 みんなおそろいを着て歩いているのだ。

 カップルも、女子同士の二人組も、女子の団体も、
家族連れも、男同士の二人組も、男子の団体も、
ことごとくおそろいの服を着ている。

 明らかに学生には見えない、大人の女性が、制服を十数人で着て闊歩。

 息子たちにそのことを言うと、
テーマパーク内だけでなく、街中でも結構よくあることだと言う。

 時代時代で流行りというものがあるけれど、
育児と仕事に専念していたここ20年の間に、
日本という国は、こういう感じになってきていたのか?

 確かに、みんなで同じユニフォームを着ることで、
集団で気分が高揚する効果があるのはわかる。

 しかし、おそろいを着ている軍団が大勢いることで、
みんなが「おそろいを着る人」という1種類の生き物に見えてくる。

 つまり、そのテーマパークの中にいるほとんどの若者が、
全員、同じ顔、同じ服、同じ人に見えてきて、
無数のクローン人間が所狭しと歩きまわっているようで、
物凄く不気味だったのだ。

 クローンたちは、みな、
キャッキャキャッキャと、とても楽しそうに見えるのだが、
その分、私は、自分の中に沸き上がる違和感が大きくなり、
厭世感が半端じゃなかった。

 初めてだった。
 このテーマパークに来て、「面白くない」と思ったのは。

 私の知っている夢の国では、なくなっていた。

 若い世代の「毒抜きされた自己表現」に、落ち込んでしまう。

 若い子たちをこんな風に狭い箱に押し込んだのは、
我々、親世代の仕業だ。

 「決まった規格からはみ出さないように矯正してごめん」
という申し訳無く思うのと共に、、
「若いのに、小さくまとまろうとしすぎる意気地の無さ」
に、イラついてしまうのだった。

 みんなと同化する楽しさもわかるけれど、
「人と同じじゃイヤだ」「独自の主張をしたい」「集団に埋もれたくない!」
とは、思わないのだろうか? 今の子たちは。

 そんなことをしたら、みんなから仲間はずれにされてしまうのか?

 そんな世知辛い時代なのか?

 みんな優しいんじゃないの?

 あたりが感じいいだけで、心の中では、人に毒吐いて、
更に、自分が相手の心の中で毒吐かれないように、
必死に相手と同化して、同じ服着て・・・・・・

君たちは、本当に、心から、それが楽しいか?

 気を使いまくって、やりたいことを妥協しまくって、
やっとかろうじてツルンでいられる仲間って、
それ、ホントの友だちなのかな?

 喧嘩なんてしたら、もう、イッカンノオワリで、
「仲直りして更に仲よく」なんて、ありえないか?

 誰が何食べた、どこ行ってどうだった、
どうでもいいような、他人の日々のしょうもない報告に、
いちいち「いいね」って言ってあげなきゃいけないのか。

 そういう風潮に反抗して、
誰もしないようなファッションに身を包む人もしっかりと出てくる。

 そういう子たちも確かにいた。

 う〜〜〜ん、どうなんだろう? この時代!

 そう思って、自分の大学時代の写真を見てみたら・・・・・・

 ん?!

 超巨大肩パット!

 ぶかぶかジャケット!

 ロングタイトスカート!

 ソバージュパーマ!

 金メッキのドでかいチェーンのネックレス!

 太い眉!
 目の上水色アイシャドウ!
 パールピンクの口紅!

 ワンレンボディコンこそしなかったが、
確かに「時代の真っただ中」で、
トチ狂った「女子大生」が、そこにいる!

 こんな、年齢にそぐわぬ厚化粧&肩パットのバブリーな若者が、
徒党を組んで、うようよ歩きまわる夢の国なんて・・・・・・

気待ち悪いよ〜〜〜〜〜!!!


 すまぬ・・・・・・

 私も当時、大人たちに哀しい顔をさせていた若者だったよ・・・・・・

 でも、いまや、新しい時代の若者に嘆いている。

 そして、今の若者の、あと数十年もすれば、
更に新しい時代に、嘆きをこぼすことになる。

 時代は、繰り返しながら変わってゆく。
 リピート アンド チェンジ。

 ここは、どこの国かって?

 まぎれもなく、日本だよ!


  (了)

(話の駄菓子屋)2015.6.30.あかじそ作