話の駄菓子屋 「安全運転最優先」
ここのところ、車を運転していて、ヒヤッとすることが何度かあった。
早朝、用事があって、車で5分ほどのところに行く途中、
ゆっくりと発車しながら右折する寸前に、
突然、左後方から、
自転車に乗ったおじいさんが車の前に飛び出してきたのだ。
急いでブレーキを踏んだのだが、
車の前を左から右へと悠然と横切るおじいさんは、
「わりいわりい」というように、片手を挙げてこちらにあいさつして、
止まることなく走り去っていった。
右折する車の前を、自転車で追い抜いて横切ろうとするなんて、
無謀も無謀、轢かれようとしているとしか思えなかった。
また、これは、ついさっきのことなのだが、
歯医者の駐車場から歩道を横切って車道に出るところで、
左右を確認し、さあ、車道に出ようとしているとき、
左から歩道を走ってきた自転車が車の前にかぶさってきた。
走り出す寸前だったので、徐行以下の早さだったのだが、
自転車に乗ったおばさんは、
私の車のボンネットを力いっぱいバンバンバンと叩き、
「気をつけなさいよ!!」
と、怒鳴ってきた。
とっさに「すみません! 大丈夫ですか?!」と大きな声で謝り、
すぐに車を駐車場にバックして戻して、
車から飛び降り、おばさんのところに駆けつけて、
「お怪我ありませんか?!」「大丈夫でしたか?!」
と、矢継ぎ早に問いかけると、おばさんは、
運転手のあまりの自分への心遣いに圧倒されたようで、
「いや、別に体にも自転車にも当たってないし・・・・・・」
と言い、そわそわしだしたので、
私も、(こりゃあ、こすりもしてないな)と気付き、それでもウザい位に、
「すみませんでした! 本当にごめんなさい! お怪我は? どこか痛みますか?」
と、たたみかけると、
「ちゃんとよく見て運転しなさいよね!」
と、うすら笑いで去っていった。
おそらく、こちらが、
「危ないでしょ! 飛び出すんじゃないよ!」
と、怒鳴り散らしていたら、あのおばさんは、逆上し、
かすりもしないのに「当たった当たった」「痛い痛い」と、騒ぎ、
「警察呼んで!」と叫んでいただろう。
しかし、文句を言うおばさんの上を行くハイテンションで
謝罪の矢を数万本と浴びせたことで、
めんどくさくなって逃げ出していったようだった。
また、37度を超す猛暑で、湯気の立つアスファルトの上、
おばさんも急いで移動中だったためか、
「相手も反省しているようだし」と、
大ごとにせずに、立ち去ったのだろう。
今回は、事なきを得たが、
歩道の左から自転車が突進してきたことに気付かなかった私にも非はある。
また、スピードが出ていたり、
ブレーキが間に合わなかったら、
あのおばさんを轢いていたかもしれないのだ。
どんなにおばさんが、危険な飛び出しをしてきたとしても、
轢いたら、車の方が加害者だ。
同じく、飛び出す子供や老人、
国道で目の前をチョロチョロと蛇行するオートバイなど、
向こうが無茶なことをしてきても、
接触したら、こっちが突然、人殺しにされかねない。
みんな、気軽に車に乗るけれど、
いったん路上に出たら最後、
教習所のシミュレーターよりも予想だにしないことが次々と起こる。
気を付けても気を付けても、
気をつけすぎるということはない。
ドンくさい位に慎重にゆっくりと、何度も何度も確認して、
出発から到着まで、一瞬でも気を抜いてはならない。
楽しくおしゃべりしながらドライブなんて、
よく考えらたら、危ないったらあしゃしない。
毎日、子供たちを学校や仕事に送り出すけれど、
元気で出掛けた可愛い子供たちが、
不注意で運転下手なおばちゃんの車に轢かれて死んじゃったら、
たまったもんじゃない。
その、「不注意で運転下手なおばちゃん」になるかもしれないのだ。
この私が!!
気をつけよう!
気を付けて、気を付けて、
自他共に認める「安全運転の人」になろう。
今までゴールド免許だったのは、単なるラッキーだったんだ。
これからは、どんどん年をとるし、
気をつけているつもりでも、不注意になるし、
反応も遅くなる。
便利で助かる車を、末永く使い続けるためにも、
安全第一! 安全最優先だ!!
車は、便利な道具であると同時に、走る凶器なんだからね!!!
(了)
(話の駄菓子屋)2015.8.4.あかじそ作