「入浴タイムは汗かきタイム」の巻 


うちの風呂場は0.75坪。狭い。
父親の帰りはいつも、全員眠った後なので、母親はひとりで全員入浴させることになる。
8歳、6歳、4歳の3人は、何とかなる。
しかし、問題は、まだふにゃふにゃなあかんぼである。

 着替えをセットして、まず母親と上の3人の子供が先に入る。
湯船に3人を入れ、洗い場に3人並んで頭を出させる。
母親は自分の頭にお湯を掛け、続いて、3人の頭に次々とお湯をかける。
この際、長男は始めから顔に乾いたタオルをあて、次男はシャンプーハットをかぶり、
三男はお湯が顔に垂れてくるたびに、まめにタオルで顔をふいてやらねばならない。
 母親、その他3人に同時にシャンプーをし、洗い流すときも3人3様の流儀にそって行う。

次に、母親が体をあらったあと、持ち場をチェンジし、
母親は、湯船につかりながら、洗い場の3人をまとめて洗う。
 この間、あかんぼは、急に誰もいなくなってしまったので不安になり、
ぎゃんぎゃん泣いていることが多い。
慌てて母親は風呂場に3人を残し、ざっと体を拭いて、すっぱだかであかんぼのもとへ走り、
服を脱がせ、うんちを拭き、裸のあかんぼを抱いて風呂に戻る。

 あかんぼを洗っている間に、のぼせた上の子供二人が勝手に出て、
いつまでも裸でうろうろしている。
あかんぼを洗い終わり、「さあ出るよ」と言っても4歳児ひとり、出たがらない。
 ちび一人残して出てしまうと、時々溺れるので、長男を風呂場で見張らせる。
その間に、脱衣所の洗濯機の上に広げたタオルにあかんぼをくるんで、
母親は自分の腹で落ちないようにおさえながら、バスローブを着る。
あかんぼに服を着せ、アトピーの薬を全身に塗った後、のどが乾いてぐずるので、
母乳をやる。まだぐずっていると、しばらくあやしている。
 泣き止んだ頃、そっとそこに置いて、母親は再び三男を迎えに風呂に入る。
「まだ出ない」と、ぐずりだす4歳児に「でろっ」と一喝し、無理やり出る。

 母親の顔は、ローションの塗り遅れで、すでにかぴかぴの手遅れ状態。
 そして、汗びっしよびしょである。
 子供たちも、洗ったはずなのに、なぜかもう、汗臭い。
 ぐったり疲れて床に伏すと、誰よりも先に意識を失ってしまう母親。
風呂って、労働だっけ? という感じだ。

「家族で温泉旅行?」
絶対にいやだっ。