「 スキキライ 」の巻 


 私は、私と息子4人分の食事を毎日作っている。
夫は、朝夕とも、食事時間が遅いため、
結果的に残飯処理的な役割を担っている。
「食費が大変でしょ、男の子ばっかりで」
と、よく人に言われるが、長男もまだ9歳だし、
みなどちらかと言うと小食なので、
大量に食事を作ることも少ない。
 ただ、何種類かは作らなければならない。
4人とも、好き嫌いがバラバラな上、嫌いなものがひとつでもおかずに混入していると、
そのおかずには、まったく手をつけようとしないのだ。
 
「ざけんなっ! うちはレストランじゃないんだよ! 
みんなと同じものが食べられないなら、何も食べなくていいっ!!!」

と、私がキレルと、

「じゃ、いらなーい」

と、どんなに飢えていても、まったく食べない。

 私が子供の頃は、キライなんて口走った日にゃ、半殺しだった。
キライ、のキラ、ぐらいのところで、まず、
熱い味噌汁を父親からぶっ掛けられていた。
 だから、物凄く嫌いでも、凄まじくまずくても、エヅきながらも、だま〜って平らげていた。
 それに比べりゃ、私の躾なんて、アマアマだ。

「食べなくていいっ!!」

と、言っておきながら、

「じゃ、これなら食べられるか?」

なんて、もう1品作ったりして、馬鹿っ母丸出しだ。

 長男、次男は、芋・栗・かぼちゃなどのポクポクものは駄目!
でも、私と三男と四男は大好き!
(夫は、知らん)

 長男と次男と、私は、海苔大好き!
三男は、駄目!
四男は、気分次第!
(夫は知らん)

 長男と四男は、スイカ大嫌い!
次男と三男と、私は大好き!
(夫は知らん)

 それから、ひき肉の好きなやつ、絶対駄目なやつ、牛肉なら通し、ってやつ、
辛いの好きなやつ、受け付けないやつ、
べたんべたんに甘いものしか食べないやつ、甘いの大っ嫌いなやつ、
炭水化物しか食べないやつ、炭水化物には目もくれないやつ、
野菜は一切食べないやつ、母がスゴメば食べるやつ、怒鳴ればキャベツだけは食べるやつ、
味噌味なら突然何でも食べるやつ、味噌味だと一切食べなくなるやつ、
もう・・・・・・、数え上げたらキリが無い、
好きと嫌いの組み合わせが、何百、何千通りあるのだ!!

 そんな何千通りの好きと嫌いの組み合わせがある中で、
全員を毎食、満腹にするのは至難の業(シナンノワザ)なのである。
 だから、「何種類も作るから、どれか食べろい!」という事になってしまう。
凝った料理をすれば、美味しくて、みんなどんどん、
わほわほ食べてくれるか、というと、さにあらず。
 また、
「今日は、お母さんは、食事を作る気力がありません」
と、やけくそで、インスタントラーメンに、
とろけるチーズを乗せたりすると、
全員一致で「うんめ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」ってな事もある。

 そんな風だから、おかずによっては、夫の分が残らない日もあれば、
作ったまんま、盛ったまま、そのまんっっっっっまで残る日もある。
 
「男の子4人じゃ、食事が大変でしょう? 草履みたい
なハンバーグ10枚も20枚も焼くんでしょ?」

ですってえ?

 てやんでいっ!
そんな単純なもんじゃあ、ないんでい!
 頭使うんだよ! 頭脳労働だっつんだい!
3度3度、統計処理してるんでい、このやろめ!
3度3度、全員を満腹にしないと、後で、「ひもじい、
ひもじい」って、馬鹿みたいにうるさいんだっつーの!

「昨日、僕、お母さんにご飯何ももらってないの・・・
・・・」

なんて、人聞き悪い事、学校で吹聴されちまうんだぞ、
バッキャローウ!

 早く息子達が思春期になって、

「何でもいいから食わせろ〜〜〜」

なんて言ってくれた方が、ある意味ラクなんだ!
考えなくていいから!
働いて働いて、米代稼いで、量だけ頑張りゃいいんだから!

 ・・・・・・ところで、夫の食事は・・・・・・
ごめん、ちょっと眼中ない。
 でも、そこそこ旨いよねえ! とりあえず残ってるし
ねえ、夫!

 ・・・・・・返事なし。
夫は、いっつも、ノーリアクション・・・・・・。
 ケッ(-_-メ)

              
               (おわり)