思い渦巻いて



「ティファ」
「何?エアリス、急にあらたまっちゃって」
「あのねティファ、今夜、ここでイベントがあるの、知ってる?」
「マジカルナイトの事?ディオさんが教えてくれたイベントの事ね」
「……私、それにクラウドを誘おうと思うの」
「えっ……」
「いいでしょ?」
「そりゃ、別に……いいんじゃない?私がどうこう言う事じゃないし」
「うん、そうかもしれない。でも……ティファには言っておきたかった。後で教えて、抜け駆けなんて思われたくないし」
「そんな風には……思わないよ」
「うん、ティファの事だから、そんな風には思わないって分かってた。でも、約束したでしょ?お互いクラウドの事について
 隠し事はしない、って。だから……ティファにも、私の決意、聞いてほしかった」
「エアリス……」

ここはゴールドソーサー。本来ならセフィロスを追う旅の真っ最中、こんなところで油を売ってる暇は無いのだが、
ここと下界を結ぶロープウェーが故障してしまって脱出不可能となってしまい、ケット・シーの機転もあり、
ここの名物ホテルであるゴーストホテルに泊まる事になったのだった。

「今夜はマジカルナイトだ。少年達もまぁゆっくりしていってくれたまえ」
ディオの挨拶がクラウド達のところにも来たが、今のところ誰も園内に出ていった様子は無い。
シドは、「てやんでぇ。いい大人が遊園地に遊びに行けるかってんだい」だし、
ヴィンセントは、「罪を償うまで、私は遊戯な事など出来ない」なんて一生ここで遊ばなそうな事言ってるし、
バレットはバレットで、「マリンがいればいい思い出になるだろうなぁ……なぁ、ダイン」なんて感慨に耽ってる。
ナナキは全く興味が無いのか、「私には関係の無い場所だ」なんて昔の背伸びナナキに戻ってるし。
ケット・シーは「ワイは元々ここのマスコットや。やる事いっぱいあるんやで。ほな」ってどっか行っちゃったけど。
とにかく、今のところ身内は誰も園内には行っていないようだ。

夜、ここはティファ、エアリスとユフィの女3人の部屋。時計は既に午後10時を回っている。
「じゃ、電気消すね」
エアリスがそう言いながら、壁際のスイッチにタッチした。部屋の中が真っ暗になる。窓の外から薄い光が指しこむ。薄青の光だ。
「やっぱり気味悪いホテルだよな。お化け出そうだよ。雷もゴロゴロうるさいし」
ユフィが、言葉の割にはさして怖がる様子も無く言った。
「しょうがないじゃない。ここ、それでお客さん集めてるんだから。全く、ディオさんって何考えてるんだか」
エアリスも少々呆れている。ディオの趣味にはついていくのが難しいようだ。もっとも、それはエアリスに限った事ではないが。
「んじゃ、おっやすみぃ」
ユフィはそう言って布団を引っ被ると、すぐに幸せそうな寝息を立て始めた。
今までの統計で見ると、この育ち盛りの少女は布団に入って5秒で寝てしまう確率が95%にもなる。
つまりは、ホントに寝てしまったようだ。
「……エアリス」
ティファは、ユフィがぐっすりと眠ったのを感じ取ると、小声でそっと、隣のベッドのエアリスに話しかけた。
「エアリス、ホントに行ってくるの?」
「ん。行ってくるよ。もうすぐ出る」
エアリスは、1度髪を解いて、梳いて、また結い直しているようだ。さら、さらという、髪の擦れる音が薄明の中に浮かんでは消える。
「そう……頑張ってね」
ティファは心にも無い事を口に出してしまった。思わず、布団の中で唇を噛みしめる。
ホントはティファ自身が今夜、クラウドを誘うつもりだったのだ。エアリスに機先を制されてしまった……。
今となっては、もうどうしようもないところまで来てしまっている。エアリスの事を思うと、今更「私も」なんて言えない。
エアリスは、クラウドの事になると最大のライバル。でも、その他の事では無二の大親友でもあるのだから。
今ティファが、「実は私もクラウドを誘う気だったの」と言ったところで、2人の友情は壊れる筈も無い。
それほどに2人は、お互いを信頼していたのだ。おそらくは、クラウドの事も含めて。
でも、なぜかティファは怖かった。もし今エアリスに本当の事を話したら、この後の私達の友情はかりそめになってしまうんじゃないか、
そんな不安がティファの心をよぎるのだ。そんな事無いのは、分かっている筈なのに。
「うん、うまく気持ちが伝えられるといいな」
エアリスが遠くを見つめるような眼差しになったのが、暗闇の中でもティファには見て取れた。
「……」
「……」
しばらく沈黙が続く。エアリスにも、ティファの気持ちはわかっている。だからこそ、ティファへこの決意を告げるのは、
最後の最後まで悩んだのだ。ティファが傷ついてしまうんじゃないか、という心配で。
だけど、ティファとの友情をエアリスは信じた。ティファなら、きっと分かってくれる、そう信じて。
「それじゃ、行ってくるね」
エアリスが立ち上がった。ティファは思わず、すがるような視線をエアリスに送る。
「……」
ティファはそれが自分でも恥ずかしくて、布団の中に潜り込んでしまった。
「行ってらっしゃい」
ティファは、布団の中から呟いた。エアリスはそれを、背中で受けとめた。
やがて、扉の開く音がし、そして閉まる音がした。エアリスは部屋を出ていった。
途端、ティファは大きな虚無感に襲われた。本当にもう、どうしようもなかった。布団の中で、ティファは枕を抱きしめていた。

“なんでだろう、エアリスと出会ってから、クラウドが幼なじみ以上のものに思えて仕方が無いの。
 クラウドがニブルヘイムを出て行く時も、こんな虚無感は無かった……。
 きっとまた会える、そういう安心があったからなのかなぁ?
 だからミッドガルでクラウドと再会した時も、幼なじみとの懐かしい再会って感じのほうがまだ強かった……。
 あの時だ、クラウドが魔晄炉から落ちた時。心の一部が抜け落ちたような感じ。
 あの時はクラウド死んじゃったかと思った。だって、普通は助かりっこないもの。そりゃ、生きてるって信じてたけど。
 もう会えないかも、っていう気の迷いだったのかな、それともあの時にはもうクラウドのこと好きになってたのかな、よくわからない。
 コルネオの館の時。クラウド、生きてた。感激しちゃったな。でも、馴れ馴れしげなエアリスに思わず嫉妬しちゃったっけ。
 あの時のクラウドの女装、私を助ける為だって。とっても嬉しかったな。
 エアリス、とってもいい子。私より子供みたいで、私よりずっと大人。きっととっても純粋なんだな。
 私もエアリス、大好き。エアリスには幸せになってもらいたいな……。
 ……ダメ、やっぱり。クラウド、クラウド……。なんで?なんであなたが思い浮かんできちゃうの?
 私、可愛くないコになっちゃったのかな……こんなんじゃ、クラウド、もう振り向いてくれないかもしれない。
 あぁ、きっとこれが、『好き』って事なんだな。私、クラウドの事が好きなんだ……。
 今まであまりにも身近にいたから、それがわからなかったんだ。エアリスに先に行かれて、やっと分かるなんて……。
 エアリス、「クラウドを誘おうと思うの」だって。積極的だなぁ。私も誘おうと思ってたけど、ホントに誘えたかな?わからない。
 私、ダメなコだな。こんなんじゃ、クラウドに気持ちを伝えられない。エアリスが羨ましいな……。
 クラウド、私のこと、どう思ってるんだろう。やっぱり、ただの幼なじみなのかなぁ。寂しいな。淋しいな。
 エアリス、今頃どうしてるんだろう……。クラウドと一緒に、楽しんでるのかな?クラウドも楽しんでるのかな?
 クラウドもエアリスも好き。でも……。なんかもやもやしてる。嫌だな、こんな感じ。
 エアリス、エアリス、私そんなに、強いコじゃないよ……。”

「何1人でぶつぶつ言ってるのさ」
布団の上から、聞き慣れた声がした。
「え……?寝てたんじゃ……」
布団から首だけ出したティファの上にいたのは、Tシャツに短パン姿のユフィだった。
「起きてたよーだ。ティファとエアリス、なぁんかそわそわしてたからさ。これは絶対何かあるって。忍者の勘、ってヤツだねきっと」
「そ、そんな事、無い……」
「わかってるよん、クラウドとエアリスの事だろー、隠すな隠すなー」
ユフィがニヤニヤしながら言う。ティファは暗がりの中で真っ赤になった。
「見に行こうぜ」
ユフィは平然と、とんでもない事を言い放つ。
「だっ、ダメよそんなコトしたら!エアリス達に悪いでしょ?」
「ちぇ、つまんないの。じゃ、アタシ1人で行ってくる」
「……だからそうじゃないって」
ユフィは何が何でも見に行くつもりらしい。
「ティファ、行かないんだね。そんじゃ、1人で行ってきまぁす」
ユフィはそう言うと、一人でとっとこ出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっとユフィ、待ってってば!」
ティファの怒った声なんて聞こえない聞こえない。ユフィはばたん、と扉を閉めて行ってしまった。
「全くもう……」

数分後、ユフィはイベントスクェアの入口に来ていた。
「今日は無料で劇を御覧になれますよ」
そんな事は分かってる。
「只今、特別劇を上演中です。ぜひ御覧になられては」
「あーあー、そんなの興味無いから。じゃあね」
と言ってそこを去ろうとした時、ユフィの眼にあるものが止まった。
「あれはクラウドとエアリス……だよね、何であんなトコにいるんだ?」
入口からちょっとだけ見える舞台の上で劇を行っているのは、紛れも無くクラウドとエアリスだった。
「おもしろそー、ちょびっと見ていこっと」
ユフィがイベントスクェアに入ろうとしたその時。
「待ってユフィ〜」
息を切らせながら走ってきたのはティファだった。
「やっぱり来たんだぁティファ。あの2人が気になるもんね」
「……うん」
「あれ、今日は素直じゃん。『そんな事無いわよ』って言うかと思ったのに」
「……自分に正直になることにしたから」
「へー。ま、アタシは何でもイイや。さ、入ろ。クラウドとエアリス、今、劇に出てるよ」
「ええー!」
「さ、行こ行こ」

その通り、舞台の上では、ティファの大親友と見慣れたチョコボ頭が何かの役を演じていた。
丁度クライマックスのようだ。ティファとユフィは空いている席を見つけると、腰を下ろした。
「姫のスリーサイズが気になる〜」
クラウド、緊張のあまり見事にぶっ壊れている模様だ。ユフィ、大爆笑。ティファ、赤面。
「ちょっと、何言ってるのよ!」
エアリスの怒った声が(演目上、まだマイクは入ってないが)微かに聞こえてくる。場内も爆笑の渦だ。
「王様を倒せ〜」
クラウド、もとい勇者アルフリードも、ここまで壊れれば対したものだ。
クラウド、完全に自分を見失っているのが見受けられる。
「もう怒ったわ!」
エアリス、もといルーザ姫の平手打ちが舞台上を蹂躙し始める。今度はマイクもちゃんと入っている。もう収拾がつかない。
『おお〜、何と強いルーザ姫の力。この物語はこうして幕を閉じるのです……』
スタッフがどうしようもなくなった劇を、無理やり終わらせているのが哀しかった……。大拍手。
「ぎゃははははは!あーおおウケおおウケ!こんな笑ったの、久しぶりじゃないかなぁ」
ユフィは遠慮する事も無く大笑いだ。無論、ティファも。でも、
「なんか2人、可笑しいけど可哀想。でも、でも……くっくっくっく……」
2人を気遣いながらも、笑いをこらえるのに精一杯だった。

数分後、ティファとユフィはイベントスクェアの出口(つまりは入口)で待ち伏せしていた。
「ねぇ、もう戻ろうよユフィ。何か悪い事してるみたいじゃない」
ティファはそわそわしている。勿論クラウドとエアリスの事は気になるのだが、自分の心の内を年下のユフィに見透かされている
ような気がして、何となく気恥ずかしいのだ。無論、ユフィにそこまでの深い考えは無いが。
「いいのいいの。こうなったら、見るトコまで見ちゃおうよ」
好奇心旺盛な年頃のユフィ。人の恋路は気になるようである。
「あ、出てきた。隠れよー!」
ユフィの合図に、慌ててティファもデブモーグリのマスコットの影に隠れた。
「すまなかったよエアリス……」
こっちに来たクラウドは平謝りである。エアリスは両腰に手を当てて、いかにも怒っているように見える。
「全くもう……でも楽しかったね。クラウド、腕組もうよ」
エアリスは怒っているかと思いきや、そうでもなかった。エアリスはたたっ、とクラウドに駆け寄ると、腕にしがみついた。
「お、おい」
「いいのぉ」
エアリスはお父さんの腕に絡みつく子供のように、クラウドの腕を放そうとしない。
2人はそのまま、ラウンドスクェアの方へ、消えていった。
「おっ、イイ雰囲気じゃん。追おうぜ……ティファ?」
すぐに後を追おうとしたユフィだったが、ティファの反応が無いのに気づき、振り返った。
「……あれ?」
ティファの姿は、何処にも見当たらなかったのだ。

数分後、ティファは再び、自分の布団の中に潜り込んでいた。
「エアリス、クラウドと腕組んでたな……。いいなぁ……」
クラウドとの関係について自信が持てないティファは、今のところ羨む事しか出来なかった。
「どうして自分はああいう風に出来なかったんだろう……」
エアリスよりも遥かに沢山、クラウドと接する機会はあった。でも、エアリスみたいには出来なかった。
「クラウド……エアリス……クラウド……クラウド……」
思いを馳せるうちに、いつしかティファは、眠ってしまっていた。

ティファの不快な眠りが妨げられたのは、それから数時間してからだった。
「起きろティファ、ユフィ!」
切羽詰った勢いで部屋の扉を開けたのは、クラウドだった。ティファはその只ならぬ雰囲気に急いで意識を呼び戻した。
「女性の部屋に入るときくらい、ノックしてよね」
いつもの調子で、ついクラウドに悪態をついてしまう。
「あ、ご、ごめん」
こんな時、素直に反省してるクラウドが可愛くて、ティファはますますクラウドが好きになる。
この感情は、昨日までは自覚していなかった感情。でも今日からは、『好き』と自覚している感情。
「そんな場合じゃないんだ、キーストーンが盗まれたんだ!」
「えぇ?!」
クラウドの言葉に、ティファの血の気も一気に引く。
「な、なんで?どうして?」
「説明は後だ、とにかく1階のロビーに集合してくれ!」
「わ、わかったわ」
「ユフィは?いないのか?」
「え?」
思わずティファは言葉に詰まった。まさか、一緒にクラウドとエアリスのデートを盗み見していたとは言えない。
「た、たぶんワンダースクェアにでも行ったんじゃないかしら。ほら、今日はマジカルナイトでお金、要らないから」
しどろもどろの自分が恥ずかしい。ティファは真っ赤になった。
「……本当の事、言ってくれよ」
「え……?」
クラウドの言葉の意味がわからない。
「オレ、見たんだ。舞台の上から、ティファとユフィがオレとエアリスの劇を見てたのを」
「!!」
ウソ、見つかってた?私、クラウドに見つかってたの?あの時、客席はほとんど満員だったのに……。
「人、いっぱいいたけど、ティファだってすぐに分かった」
「……」
「そこまではうまくいってたのに、ティファのこと見つけた途端、緊張しちゃって」
「……あ」
「エアリスと一緒にいるところを見られたのが、何か恥ずかしくて」
「……」
「結局失敗しちゃった」
「ご、ごめんなさい……」
「ティファが謝る事無いさ。勝手に緊張したオレが悪いんだから」
「で、でも」
「いいんだ。それより、何であそこにいたんだ?」
もう言い逃れ出来なかった。ティファはもう、全てを打ち明けるしかなかった。

「そうだったのか……」
1分後、全てを聞いたクラウドは、ティファに立つように、黙って手で促した。
「ごめんなさい」
ティファは涙目だ。慌てて悟られないよう、顔をプルプル振って、涙を吹き飛ばす。
「オレさ……」
クラウドが、神妙な面持ちになる。ティファは不思議そうに、クラウドの顔を覗きこんだ。
「ラウンドスクェアで、どうもエアリスに告白されたみたいなんだ」
「!」
ちゃんとやったんだ、エアリス……。ちゃんと告白、したんだ。
(……なんて応えたの?クラウドは)
そんな事、聞けるはずも無い。しかし、出てきた言葉は、ティファ自身、驚くものだった。
「ちゃんと、OKしたのよね?」
エアリスの幸せ、勿論願ってる。でも、今言いたいのはこんな事じゃない!
何でクラウドの前だと、素直になれないの?私。自分が嫌になってくる……。
「エアリスの言ってる事、よくわからなかったんだ。ただ、これが告白なのかなって、思った」
クラウドの反応は、意外なものだった。ティファも一瞬、クラウドが何を言ってるのか、分からなかった。
(にぶいなぁ、クラウド)
「じゃ、きっとクラウドが思った通りだよ。エアリス、クラウドの事、好きだもん」
またエアリス擁護の言葉を紡いでいる。やっぱり、エアリスを裏切れない。大親友は裏切れないよ。
自分に歯止めがかからない以上、ティファはさばさばとこの話題を打ち切ることにした。
「ユフィ、探しに行かないと」
「ティファ」
突然、クラウドが呼び止めた。怪訝な顔で、ティファは振り返る。
「オレさ、エアリスも大事だけど、……その……ティファも同じくらい、大事だから」
「うん」
今のティファには、その一言だけで充分だった。随分久しぶりに聞いた、クラウドの素直な言葉だった。
「わかってるよ」
色々な意味を、ティファはその一言に込めた。
「ところで、エアリスはどうしたの?」
ティファの言葉に、クラウドの顔が急に険しくなる。
「ケット・シーの見張りをしてる。あいつ、神羅のスパイだったんだ。アイツがキーストーンをツォンに渡してしまった」
「え!そうだったの?ケット・シーが……」
「あぁ、しかも、マリンが人質に取られてる。うかつには動けない」
「マリンが?!」
「だから、対策を考えるんだ。早く行こう、もう皆、集まってる筈だしな」
「うん、わかった。行きましょう」
2人は部屋を飛び出した。まっしぐらに、1階ロビーへ向かう。
「私、ユフィを探してくるわ」
「あぁ、頼む」
1階に下りたティファは、そのままホテルの外へと駆け出して行った。
その顔は、既に元の凛々しい顔に立ち戻っていた。

その頃。チョコボスクェアでぼんやりとレースを見つめている少女が1人。
大看板に、“学生及び未成年者へのチョコボ券の販売は、黄金円盤法により禁じられています”とあるので、券は買っていないようだ。
他の観客が、白熱するレースに歓声をあげている。そんな中で物思いに耽りながら、少女がポツリと一言。
「……アタシだって、クラウドを誘いたかったんだもん……ちぇ〜」

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