「静寂な宇宙(そら)」を執筆して色々と思った事

 2010年になりまして、もうハマーンの小説として私が執筆する作品は、「ZZのその後」だけになってました。元々私はTV版で不幸だった彼女を、私の書く(描く)同人誌の中で位は幸せにしてあげようという事から活動が始まってますので、それが達成された時は、その活動の区切りになる訳なんです。もっとも、その後活動を継続するか否かは、心の中に創作したい事が沸き上がるかにかかってますが、少なくとも今までのように、意地になって続ける事は無いでしょう。

 私はハマーンのファンになって22年間、そういう気持ちで活動してきました。その間21冊の同人誌を制作しましたし、全部とはいかないまでも、かなりのページをネット上で公開しています。おかっぱの髪型を基本にして色々と変化させたり、カラーでは髪の毛を紅くしたり、瞳孔をあえて入れたり、大口を開けた笑顔で描いたりしたのは、全て「幸せに描いてあげるね」という一心からだったりします。(瞳孔が無いと目に力が入らないんですね)

 TV版でシャアがハマーンを恋愛の対称として見てない事は、北爪の作品が発表される前から判ってました。というか、逆に嫌悪感むき出しで対応してましたしね。でもそれをねじ曲げる事が、同人活動でなら可能なんです。ですから、シャアをもう少し世渡りが上手い人間にしてあげさえすれば全てが上手くいきます。そうすればハマーンの心を完全に掌握する事なんて簡単な話ですし、彼女自身もそれを望んでいた筈なんですから。でも、それをやれない事がZガンダムなんですね。だってあの話はまるで「学園モノの喧嘩」という感じなんですから。余談ですが、第一話で軍人に殴りかかったカミーユは、リアル物のストーリーでしたらその場で拘束か、テロリスト扱いで射殺されてる展開です。だってそういう事に躊躇無い筈の(というか特権がある?)ティターンズという組織に喧嘩を売った訳ですから(笑)

 さて、話を私の同人活動に戻します。シャアにハマーンへの想いを植え付けて話を考えますと、色々と面白いエピソードが浮かんで来た訳で、そうなると彼女の表情も自然と笑顔が増えてきました。そうすると、今まで似合わなかった様な服を着せても魅力的に見えたりしましたし、二人の表と裏の複雑な恋愛関係という状態も、それなりの形となって実(作品)を結びました。そうして書き上げた作品が一連の小説であり、今回の作品という訳です。

 実の所、ZZの後で、シャアがハマーンを助けるというエピソード...というかネタ自体は、もう20年以上前から考えてました。と言いますのも、「逆襲のシャア」で、シャアの傍にいるナナイの位置にハマーンがいないという事が、どうしても引っかかっていました。なぜなら、そこにハマーンがいた方が立場的にも役回り的にもすっきりとしますから。ですから、ベルトーチカチルドレンの様に、ベルトーチカとチェーンが入れ替わった様に、ナナイとハマーンを入れ替えれる様な流れで話を作る事が出来れば...とも考えましたが、そこまで話をどう持っていくかという事がなかなか形にならず、ネタだけは忘れないようにと「1997愛のアルバム」で形として残してみたのですが、それ以降は月日だけが流れていったという感じです。

 そして、「はまあんかあん必勝攻略本」シリーズや「〜愛のアルバム」シリーズを制作して、私の中での「ハマーン像」を少しずつ構築していき、「権力の美学」でZガンダム中でのサイドストーリーという位置付けで小説を書いてみました。本当でしたら「ハマーン様Book」のマンガ版を出した時点で私の同人「誌」活動は終了の筈でしたが、「ハマーンを幸せに描いて上げる」という事がTV版に沿った形で表現していなかったので、それをやり尽くしたいという事で「ハマーン様Book」の小説版を書き始めたという訳です。

 今回の「静寂な宇宙(そら)」以外の「ハマーン様Book」に関しては、それぞれ書こうとした理由を述べてますので、そちらを参照して頂くとして、完結として作った今回の作品について少し述べてみますね。

 「静寂な宇宙(そら)」は、サイト内の「メモ書き」にも書いてますが、今まで一連のハマーン小説を書いてきた事で、やっと心の中で整理を付けることが出来た為に執筆する事が可能になったという代物です。「権力の美学」の段階では、まだシャアとハマーンの関係は主従関係が逆転したという感じでしか思い描いてませんでした。その後「背徳な恋華」でZとZZの間の話を書いて二人の絆を深めた事で、ZZのその後の話を執筆する自信が付いたのですが、やはりハマーンとアムロを合わせたらどうなるかと言う事を書いてみたくて、「背徳な戯れ」と「戦慄の空間」を書いてみました。これは別に18禁作品として執筆する理由は無かったのですが、そういう関係にしておく方が、最後の作品を執筆する時に面白くなるのではないかという事で、少し深い仲にしてみた次第です。

 私自身、ハマーンとアムロはシャア以上に水と油だとは思うのですが、それでも一瞬だけ交差するなら、それはそれでお互いの為になると思ったんです。なぜなら、実際の付き合いでも、夫婦になった方がいい人と、恋人や友達でいた方がいい人など、男女関係は様々な形があるからです。長く付き合えば弊害が出る場合でも、タイミング良く一瞬だけ付き合えばお互いの為にもなる...そういう関係だってあるんです。ハマーンとアムロは正にそういう男女関係を思い描いて執筆してみました。

 そして、残るは「静寂な宇宙(そら)」だけな筈だったのですが、「戦慄の空間」の中でハマーンとドズルの関係を書いてみた所、私の中で「運命の出会い」を執筆しててみたくなりましたので、少し遠回りをさせて頂きました。でも、この話で私の中でのゼナとマレーネ、ドズルとハマーンの関係と、ハマーンがバラに拘るエピソードを書き切る事が出来たのは、本当に良かったと思ってます。

 そうこうした後に「静寂な宇宙(そら)」の執筆に入った訳ですが、当初は某サイト様へ投稿した「第一部」だけで終了の予定でした。といいますのも、シャアとハマーンのその後という事でしたら、二人が再開するという事で、もう充分当初の目的を達成しているからなんです。でも、最後の最後にハマーンとセイラを合わせる事で、後日談的なエピソードが浮かびましたので、コミケでは小説な上に特殊な性癖の本なので売れないにも関わらず、「第二部」を加える事で作業を進めた次第です。

 「第二部」はアムロと関係をもったハマーンと、アムロどころか幼少の頃に兄とも関係をもってしまったセイラの会話で話が進みます。そして最後にはハマーンとセイラの関係を描き切って、シャアとハマーンの子供のハリーが登場する事で話を締めくくっています。もうここまで書き切ってしまえば、ハマーンの小説としては、何も思い残す事は無かったりします。むしろ22年もよく気持ちが切れずに活動出来たと思ってる位ですね。だって、応援して下さる方はいあるのですが、基本は誰の力も借りない私一人だけの同人活動なのですから...。20代ならともかく、30代以降の同人活動が、精神的にどの位大変かは実際やってみた方なら判るかと思います。創作意欲や物事に対する新鮮みが日を追う事に薄れていく中で、仕事ではなく、趣味として活動する事が...です。

 今後の同人活動なのですが、「
キャラ達の打ち上げ」的はお話は書きたいとは思ってますが、もうTV版の設定を基にした小説を書く事は無いと思います。(注:それ以降も似たようなの書いてます)マンガは一つ描きたいと思ってるエピソードはあるのですが、これは何が何でもという訳では無いので、今の所流動的ですね。在庫の小説は、無くなり次第順次絶版になります。もう同人仲間で読んで頂きたい方々には全て配りましたから...ね。「まだ入手出来てねーよ!」という方は御連絡下さい。そういう方に読んで頂きたいと思ってるのですから。

 そんな訳で、今後は今までとは違ってゆっくりとですが、ファン活動を生きている限り継続していこうと思ってます。現に私が運営している「うる星やつら」のサイトなんて、更新間隔が年単位という感じでなんですよ(笑)数ヶ月で嫁がくるくる変わるような、安易なファン活動なんかしてませんから...。


2010年10月25日



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