デジタルカメラにおいていまだに「画素数」が重要なスペックのひとつとされていますが、「画素数」は画質に対してどのような意味を持つのでしょうか。これを考えてみます。
デジタルカメラで撮影される画像は、点(画素)の集まりから成っています。テレビに近づいてみれば多数の点が見えますが、あれと同じです。この点の密度が低いと画像が粗くなり、細かいとなめらかになります。「画素数は多い方が良い」とされる所以です。
次に、ほとんどのデジタルカメラでフィルムの代わりに使われているCCDについて考えてみます。CCDは光を受けて電気を発生します。「電気を発生する」というのは言葉としてちょっとアレですが他に良い言い回しが浮かばないのでご容赦ください。CCDは当たる光の強さに応じて電気を発生し、これを信号として取り出すことにより画像が撮影されます。が、CCDは光が当たらなくても少しだけ電気を発生します。これはノイズとなります。ノイズの大きさに対して本来の信号が十分大きければ綺麗な画像になります。では本来の信号の大きさをより大きくするにはどうしたら良いのでしょう。増幅するだけではノイズもいっしょに増幅されますから画質は良くなりません。CCDが発生する電気信号の大きさは受ける光の強さに応じますが、また光を受ける面積にも応じます。太陽電池と同じですね。ということは、CCDの面積を広くすれば画像は綺麗になるわけです。
一方、CCDの値段はその面積と歩留まりに比例します。あるデジタルカメラがモデルチェンジして画素数が200万画素から300万画素に増えたとき、多くの場合はコストを上げないためにCCDのサイズはそのままにしてより細かく分割することにより画素数が増やされることになります。つまり、ひとつひとつの画素の大きさは小さくなるわけです。ということは、光を受ける面積が狭くなり、発生する電気が少なくなって相対的にノイズの割合が増えることになります。CCDのサイズを変えなければレンズも共通使用できるというメリットもあります。
デジタルカメラでは見かけ上の画質を良くするために、CCDから信号を取り出した後ノイズリダクションをかけたり、エッジ強調をするというような「加工」がおこなわれます。画素サイズが小さくなると、画質の低下を補うためにより大幅に加工をおこなうことが必要になり、「一見綺麗だけどなんとなく不自然」というような画像になることがあり得ます。オーディオにおけるドルビーなどのノイズリダクションと同じですね。
ではどのくらいの画素数があれば良いのでしょうか。デジタルカメラで撮影した画像を鑑賞するには、
くらいの手段があります。プリントを鑑賞する場合、サービスサイズであれば画素数が200万画素を越えたあたりで画素数による画質の差がわかりにくくなります。PCのモニタであれば、XGAフルサイズで鑑賞するとしても、1024×768=786432 と80万画素にもなりません。 つまり、拡大したりしない場合は画素数は200万画素あれば十分であり、高画質を求めるなら画素数よりも画素サイズを重視した方が良いかもしれないということになります。(「かもしれない」と優柔不断な書き方をしたのは、私が様々なデジタルカメラを購入して比較したわけではないからです。)一眼レフデジタルカメラの画質が良いのは、「使っているCCDが大きい」というのが理由のひとつです。
では、画素サイズはどうやって知れば良いのでしょう。デジタルカメラの仕様一覧表の中に、使っているCCDについて「1/1.8型」とか「1/2.7型」と書かれています。「1/1.8型」というのは「1/1.8インチ」という意味です。(以前はテレビのサイズにしても「xxインチ」と呼ばれていましたが、最近はSI単位系が導入され、「長さの単位」がメートル系にに統一された結果「インチ」という単位が使えなくなったので苦肉の策として「型」と呼ぶようになったそうです。)ただし、「1/1.8型」というようなサイズはテレビのように対角線の長さを表すものではなく、相当する撮像面積を持つ撮像管の管径を表します。
サンエイテック株式会社のWebマガジン「エンジニアリングなよもやま話 vol.1」からの引用
実はCCDのサイズには無関係で、イメージセンサとしてCCD以前に使われていた撮像管の規格に関係しています。その当時、撮像管の径は1インチ、2/3インチ、1/2インチなどの種類があり、例えば2/3インチ径の撮像管の場合、実際の撮像エリアはW8.8×H6.6mm(対角11mm)でした。CCDが登場し、撮像管からの置き換えを進める上で、レンズなどの光学系部品はそのまま流用したいという思惑がありました。そこで、CCDの有効撮像範囲を撮像管のそれに合わせて呼んだのが今もなお残っているという訳です。
「1/1.8型」と「1/2.7型」を比べると寸法比は0.67ですが、面積比は寸法比の2乗になりますから0.45となり半分になってしまいます。2003年3月時点では私が知る限り200万画素=1/1.8型というモデルが一眼レフタイプを除けば最大レベルの画素であり、400万画素=1/2.5型というのが最小画素です。両者の画素面積比は4倍にも達します。
(最近CCDサイズをWebサイトの仕様一覧表等に載せないメーカーも出てきているようです。ずるいですね。)
デジタルカメラの画質はノイズだけで決まるわけではありませんし画素数だけで決まるわけでもありません。さらに製品のどこに魅力を感じるかは個人の価値観によって様々です。ただ、画質を気にされる方は画素サイズを較べてみるというのもおもしろいかもしれないという、そういうお話でした。