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精神科医 成木 文

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■■■精神科カウンセリング■■■  vol 1.1号

------精神科医との人生、身の上、医療相談------


(カウンセリング例)


 題名:親離れについて悩んでいます。

 私は20代半ば3人兄弟の2番目、長女です。子供の頃から母親と離れていることが不安で、特に夜にほんの1時間でも母親が家を留守にする事が耐えられないような寂しさで、出かける母に泣いてすがった事があります。何故か父親にはあまり甘える事は無いのですが、母親に対しては強く甘えがあります。ある程度親との距離をとる中高生くらいになってもベタベタ甘え、現在でも母にくっついている程です。
 母親も娘の私がそうする事にあまり抵抗を感じていないようです。大人になってからは母親が留守でも耐えられない事は無くなったのですが、やはり母親と離れて暮らすのが不安で仕方ありません。転職で通勤が不便な会社に務める事になったのですが、とても家を出て母親と離れて暮らす気になれません。
 面接の時に近くにアパートを借りる予定ですと話してしまいましたが、その事で残業や通勤手当の事で採用取り消しになったとしても仕方ないと思える程です。社会人として自立できていない事を強く感じました。これまで、それほど気にしていなかったのですが、だんだん歳をとってきて、親離れできていない自分を切実に考えるようになり不安を持っています。金銭の事や仕事のことは、自分で決めていけます。どちらかというと前の職場や同僚の間では、真面目でしっかり者と言われた事もあるくらいです。一般的に言われる「いい人」で通ってきました。
 以前さまざまなストレスから軽度の鬱になった事があります。うつの軽い時は寂しい気持ちが強く、母親に四六時中くっついてまわっていました。そのときに、「いい加減にしてくれ」と言われました。私自身も母親に精神的な癒しを求めて、血縁という絶対的な人間関係だけに甘えている自分が不安です。異性との付き合いも、依存っぽくなってしまうのか上手くいきません。相手に母親がくれるような安心感を求めすぎ、異性と親密になることに冷めたような感じが最近はします。
 わかりづらい説明で申し訳ありませんが、親離れをするということをどう考えていったらよいのでしょうか?十代の頃は人間関係を上手くやっていくことができずに、そのコンプレックスや不安から血縁にすがってしまうのでしょうか?他人に心を開く事ができずに血縁にばかり逃げているようで、一人で生きていけない自分が恥ずかしいです。そういった事を克服していくには、どうしていったらよいのでしょうか。また鬱状態になった時に母親なしで乗り切れるでしょうか?よいアドバイスがありましたら伺いたいです。お願いいたします。


 ご返事:

 よく経過を追って、ご自分自身を観察しておられます。もうこれだけで、そんなにご心配なさる必要はないと言えそうです。
 母親離れの過程は確かに遅れていると言えそうですが、ご家族の間での力関係もあずかっていたでしょうから、一概にあなたにのみ責任があるとも言えないのです。それはともかく、少しずつでも進展しているのです。現にお母さんが留守のときでも耐えられないということはなくなっていますし、自宅通勤であれ、ちゃんと勤務され、みんなの前ではむしろしっかり者で通っているようじゃありませんか。裏返しの内弁慶かもしれませんね。
 これで、さして誰にも迷惑かけていないとすれば、あなた一人の取り越し苦労ということになりませんか。ただ、少しメランコリックになったときに、甘えの度が過ぎたのでしょうか、注意されましたね。でも、それをきちっと記憶しておられますし、そのときもこれじゃいけないと態度を多少とも変えられたと思うんです。
 ほっておいても、長ずれば今までの家庭内の親子兄弟関係のダイナミズムが変化していきますし、社会との絆は知らず知らずじわじわと強く太くなっていきます。今になって突然千尋の谷に突き落とされることもありませんよ。ただ、おそるおそる覗いてみるくらいのことはしなければなりません。いや、現にそれを結構なさっているから、不安もいや増しに増しているのです。
 大丈夫ですよ。生むは案ずるより易しです。あなたの今の強靭さがあれば、もし谷に落っこちたとしても沢を伝って無事町にまで辿りつけるでしょう。
 恋人は当節慌てることはありません。そのうち自然に出会える日がきます。


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                      (発行人 記)

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 マガジン名:【精神科カウンセリング】
 副題:精神科医との人生、身の上、医療相談
 発行:不定期
 発行責任者:成木 文
 発行元:「精神科医・成木 文」
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≪精神科医が描いた心理小説集≫

・成木 文著 「サッカー」

1、サッカー 
2、水曜日の手紙 
3、お化け 
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(セブンアンドワイ、bk1、amazon.co.jp、紀伊国屋等ネット書店で発売)電子書店パピレスで紹介。


・田辺 未方著 「ロッシーという名の毛編みの男」

1、ロッシーという名の毛編みの男 
2、指令 
3、崖からの眺め 
4、コンパクトミラーの中
5、赤い斑点 
6、旅

(紙本は文芸社、紀伊国屋BookWebでの書名検索。電子本はBoon-gate.comでの検索)


・成木 文著 「或る男の残像」

1、或る男の残像 
2、監督 
3、バタフライ・ノート
4、ゆずり葉 
5、終着駅のタンゴ

(セブンアンドワイ、bk1、amazon.co.jp、紀伊国屋等ネット書店で発売)電子書店パピレスで紹介。

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