2017年ニューベリー賞受賞の洋書児童書

ニューベリー賞(The John Newbery Medal)は、アメリカで毎年1月、その前年に出版された児童書の中から最も優れた作品に贈られる世界的に有名な児童文学賞。
選出されるのは、当然、非常に評価の高い、おもしろいとされるお薦め作品なわけですから、洋書の多読において本を選ぶ際にも優秀なガイドとなってくれます。

ここでは、2017年度、つまり、アメリカで2016年に出版された児童書の中から金賞に輝いた『 The Girl Who Drank the Moon 』と、名誉賞(The Newbery Honor―佳作、銀賞といった感じのもの )の作品たちをあわせてご紹介。

金賞 The Girl Who Drank the Moon

The Girl Who Drank the Moon
Kelly Barnhill (著)

〜〜〜 あらすじ 〜〜〜

保護領と呼ばれる地に暮す人々は、森に住む恐ろしい魔女に生贄として赤ん坊を捧げていました。
保護領を支配するごく一部の者は知っていました。魔女など作り話であり、存在しないことを。
しかし、魔女はいたのです。
年老いた、陽気なガマガエルのような、
心優しい魔女が・・・。

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娘が生贄に決まった絶望から正気を失ってしまう母親。 人々を悲しみと諦めに浸らせることで保護領を治めてきた支配者たち。 しきたりに疑問を抱き抗おうとする青年。 何百年も生きてきた心優しい老魔女。 詩を愛する沼のモンスター。 小さな小さなドラゴン。 そして、生贄として森に置き去りされたところを老魔女に拾われ、月の光から魔法の力を宿してしまう赤ん坊の女の子。
暗い影に覆われた保護領(Protectorate)から幕を開け、これらのキャラクターをつなぎながら進む物語は、Luna と名付けられ老魔女のもとで愛情に包まれて育つ女の子を中心に紡がれていきます。

洋書書評サイトからのおすすめ新刊情報メールで幾つかの児童書が紹介されている中、特に惹きつけられたのが幻想的なカバーイラストでした。読み終わった後に見返してみても雰囲気がとても良く表されていると思います。
詩や昔語りを織り交ぜながら綴られる愛情に満ち溢れたおとぎ話ファンタジーは、このカバーイラストのように美しく印象的、ときに悲しく、ときに危険がいっぱいです。


名誉賞

Freedom Over Me
Ashley Bryan(著)

サブタイトルは『Eleven Slaves, Their Lives and Dreams Brought to Life』。鮮やかな色彩で彩られた絵本です。
1800年代のアメリカ南部での実際の奴隷オークションの書類などと、11人の黒人奴隷それぞれの名前、年齢、そして値段を示したイラストとともに、彼らの人生や夢が詩で綴られている社会派の絵本となっています。


The Inquisitor's Tale: Or, The Three Magical Children and Their Holy Dog
Adam Gidwitz(著)

13世紀のフランス、国中が奇跡の力を持つと噂される3人の子供たちと1匹の犬の話題で持ちきりの中、とある街の酒場で旅人が、3人のひとりである少女のごく幼い頃を知っているという人物の話を聞くところから物語は始まります。
国王やドラゴンとも対峙することになる子供たちの冒険が、次から次へと話し手を変えながら語られていく形式の歴史ファンタジー児童書。


Wolf Hollow
Lauren Wolk(著)

第二次世界大戦が影を落とす1943年のアメリカ。ペンシルベニアの田舎町で平凡に暮らしていた少女 Annabelle の生活は、嗜虐的な性格の少女 Betty がクラスに転校して来たことで大きく変化します。
残酷で人の心を操ることに長けた Betty のいじめの標的となった Annabelle 。さらにその攻撃の矛先は Annabelle を助けた変わり者の退役軍人 Toby へと向かいエスカレートしてゆき・・・。
児童書とは思えないような描写、展開もみられる本書。もともとは一般向けとして書かれていたという情報(真偽は未確認)にもどこか納得です。


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以上、2017年度のニューベリー賞受賞の洋書おすすめ児童書たちでした。
1922年から毎年選出されている過去の受賞作は下記のリンク先などで一覧できます。あらすじ、感想などは各タイトルを別途検索して調べないといけまんせんが、多くの名作が並んでいるので多読のガイドとしておすすめです。

LINK Newbery Medal and Honor Books, 1922-Present
(英文サイト)アメリカ図書館協会の児童図書館サービス協会によるニューベリー賞の過去受賞作一覧ページ。名誉賞の各作品名も掲載されています。
LINK ニューベリー賞 - Wikipedia
こちらは金賞のみですが、翻訳されている作品には邦訳タイトルも掲載されています。

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