ハーフスローパーアンテナ    JA4LXY  藤田 富男

 

 ハイバンドの様に、メーカー製のアンテナを買って来て次ぎの日からはパイルアップに参加、といかないのが当バンドの特徴です。10年前、80mが同様な状態でしたが、ロータリーダイポール、或いは2エレのビームの出現で、今では誰でもそれなりに飛ぶポピュラーなバンドになりました。160mも同様に、いずれはそう言う時代が来るかもしれませんが、当分の間は期待薄ですので、当バンドは自作アンテナでQRVしなければならない唯一のバンドと言えるでしょう。

 そこで、どういうアンテナを作れば良いのかと言う話になるのですが、当バンドにQRVしていない方の殆どは、アンテナのエレメント長が長いと言う事だけで、拒否反応を起こしているのではないでしょうか。確かに1/4λで40mは長すぎます。ダイポールを張るにしても80mの敷地が必要です。しかし、敷地に恵まれた方は少なく、皆さん工夫して、限られた条件で、電波を出すべく努力をしているのです。猫の額の土地であっても、20mのタワーしか無くても、人並み、いやトップDXサーにもなり得るのです。事実、私は20mのタワー1本ですから・・・。

さて、本題に入る前に当バンドで活躍している局のアンテナを調べて見ますと、タワードライブ、ダイポール(インバーテッドV含む)、スローパー、水平部有の折り返し型垂直グランドプレーンなどが殆どの様ですが、本格的には、垂直部40mのグランドプレーン、デルタループ等もあります。40m級のタワーがあればどんなアンテナでもできますが、20mのタワー、しかも敷地が無いところでは、タワードライブ、スローパー、折り返しの垂直グランドプレーンぐらいに限られてしまいます。しかし、ここで悲観する必要はありません。波長的に見てどの様なアンテナも地面にへばりついたアースの様なもので、はっきり言ってアンテナでは大差は付かないのです。給電部の低い水平系のアンテナを除き、どんなアンテナでもそれなりに動きますので安心をして下さい。

 それでは本題のアンテナの種類についてですが、私がお勧めしたいのは、価格、性能、製作及び調整の作業性に優れたスローパーです。このアンテナもやはり給電部が高い方が良いのですが、20m程度でも十分動きます。タワードライブなどとは異なり、アースが不要である事は、製作上楽な点でしょう。但し、うまく動作するにはタワーには3.8Mhzのダイポールと7Mhzの2エレ程度の大型アンテナが必要です。ハイバンンドのアンテナでも大型の物であれば問題ないでしょう。まあ、あれこれ考えるよりまずは実際に製作してみることが肝心です。

 まず2mm程度の電線を38mと同軸ケーブルを所要量用意して下さい。同軸ケーブルはローバンドですから5D2Vで十分です。次に同軸ケーブルの心線側にこの線をハンダ付け等で接続します。線の先端の絶縁物はテフロンがベストでしょう。最後に同軸ケーブルのシールド線側をタワー上部の任意位置にアースし、38mの線を適当に引っ張れば完了です。タワーに良い接続箇所が無い場合は、ローテーターの取り付けボルトを利用してもかまいません。

 さて20mのタワーに38mの電線では少々無理がありそうです。殆ど水平に張れば問題ないのでしょうが、これでは同調し難いし、同調しても飛びません。従って、これからがノウハウになるのですが、20mのタワーに38mの電線をどの様に張れば良いかと言う話なので、結論から先に申し上げますと、まず、タワーの根本より約3mの所に線を垂直に下ろします。残りの17mは地上30cmから2mの高さで水平に引っ張ります。この水平部は地上にくっつかなければ良く、敷地が無い方は折り返しても結構です。 さて、これよりSWRの調整に入るのですが、ポイントとして、38mの線は絶対に短くしない事です。SWRの追い込みは水平部の高さ及び垂直部のタワーとの角度で行って下さい。このアンテナ、インピーダンス計或いはノイズブリッジ等では旨く測定できないケースが多く、SWRを下げる事のみに集中すれば良いと思います。だいたい2以下であれば問題無く働きます。もしどうしてもSWRが下がらない時は、タワー上部のアンテナのキャパシティ不足が考えられますので、固定ワイヤー等で補充して下さい。

さて、SWRは下がったけど、こんなアンテナ本当に飛ぶのだろうかと、皆さん疑問に感じるでしょうね。確かに、見た目にはひどいアンテナですが、垂直系の為、結構ヨーロッパ方面には飛びます。太平洋方面はパッとしませんが、インチキアンテナと思い我慢して下さい。この動作原理そのものは良くわかりませんが、私はグランドプレーンを逆にしたものではないかと思っています。電流の腹が上にある分良い結果が出ているのではないでしょうか。皆様もシーズンには一度試して見て下さい。調整は地上で出来ますから楽ですよ。

 最後に注意点として、このアンテナは高電圧の先端が低い所にありますので、感電防止上、人が容易に触れられぬ様な工夫して下さい。人命第一ですから。

タワードライブとハーフスローパーの比較   JA4XGC 古谷朋和

  (160m MLに興味ある一文がありましたので古谷さんの了解を得て転載します。)

昨年、1kwの変更検査を機会に、長年?(約10年)使用して来たシャントフィードドライブから1/4スローパーに変更しました。また、受信アンテナとして、スモールループを作成しました。ビッグガンのomの方や、ベテランの方には、参考にならないかもしれませんが、初心者の方々の参考になればと思いまして。
   スローパーとシャントフィードを比較した私の個人的な使用感です。まず、最初に気ずいた点として、スローパーの方が帯域が広がりました。なにせ、ジグザグとはいえフルサイズなので当然!それから、バリコンがなくなりましたので、それがスパークしなくなり安心して使用できます。
それから、大失敗なのですが、1kwの変更検査時に役人がスローパーの地上高の低いワイヤーをみて、こりゃあ!感電しますヨと、注意を受けました。そういえば、忘れたが、法令で何メートル以上と言うのがあった。その場は、後で高さを上げときますと!言い訳して、難をのがれた。よく考えてみれば、アンテナのホットエンド(電圧最大点)危険ですよネ。
 さて、飛びと耳なのですが、なかなか定量的な評価が難しいので、私の単なる感覚ですから、余り当てにならないかもしれません。!いままで、それなりに飛んでたシャントフィードなのですが、ハッキリ言って、スローパーの方が飛びは良いです。たぶん、電流の腹が、ひっくり返った(上側)ので、と思っています。特にパシフィックが良いです。さらに耳も、ノイズがシャントフィードより、若干減少して、信号が浮き安くなった様に思います。
 気になる裏側の飛び耳ですが、そんなに悪くないと思います。80mのスローパーの時には、裏側は全く聞こえない飛ばないでしたが。たぶん、80mのスローパーに比較して、エレメントがタワー本体に近いせいと、波長が長い為、悪影響が少ないと考えてます。
総合評価として、私は、飛び耳共スローパーの方が一枚上と、感じてます。

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