業務実績(新築・業務の進め方)

  Works

建物を造ることと生かすこと
   
建物を生かすこと
 狭い国土にあって日本の建築界は、古い建物を取壊しては建替えるスクラップ&ビルドにより、高度成長の一翼を担ってきました。
 世界最大の規模に成長した日本の建築市場もそろそろ質的転換をせまられる曲がり角に来ています。都市の町並みをダイナミックに変貌させてきたエナジーもこれからは 地球レベルでの環境保全、建物のメンテナンスやリニューアル、成熟したコミュニティーの形成への努めにふりむかざるを得ないように思われます。
   
時間のデザイン
 隅石を置く、その最初が肝心なのだと思います。
 これは自戒でもあるのですが、できあがった後の事を考えないで造られた建物が多すぎると痛感しています。
 屋根を架ける架構、大地に根をはり、生活を支える骨組みこそ何よりもしっかりデザインされなければならないものであり、骨太に生活空間を謳い上げることこそが 建築家の最大の仕事ではないかと考えるようになりました。内外装、造作、設備、建具などは時間と共に更新されていくものであり、中でも情報、エナジー設備類は取替え やすいようにデザインする、このような思いをいただきながら建物の設計を試みています。
   
生態系としての家造り
ランドサット衛星から眺めれば、私たちの建築的仕事は地球の表面に小さなカサブタをひとつ付け加えることに過ぎないかもしれません。 急速に増殖するカサブタが地球にとって致命的でないことを願うこともまた私たちの仕事のひとつではないかと思っています。
 太陽と風、緑と大地、火と水、石と波。そして建築そのものがこれらの環境と等スケールの環境そのものとなるような、そういう建築を目指したいと念じています。
 ひとつひとつの建物が新しい生活を表現し、関係の全体性(自然)のうちで自由に呼吸し合えるようなそういう空間を作り出せれば、と願っています。
   
帰還システムと図面の力
 設計者としての私たちは、いつでも建築のイメージについて揺らいでいます。建築の工事現場に入ると、専門の職人さんたちが、それぞれの経験に基づいて提案し、 議論しあいながらその建築を確かなものに固めていきます。このとき、現場から設計図の方へもたらされた考え方や解釈が再び現場へ投げ返されるという不断の フィード・バックが働く限り設計図書や仕様書の説得力は有効だといえるのではないでしょうか。
 このようにして、私たちが現場での経験から直接学ぶことの出来るフィード・バック・システムは、実は同じように、改修と新築設計との間に、また私たち建築家と クライアントとの間にも生活のイメージをフィード・バックしあう関係としてあるのだということが実感されます。
 このような帰還プロセスを経てはじめて、図面の中から建物が地上に姿をあらわすのだと思っています。
 
三木 哲
調査から着工までの流れ(住宅の場合)



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