Diary 2004. 12
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12月8日 (水)  「NHKスペシャル」を見て

NHKが抱えている緒問題に関しては、今回は触れずにおく。

12月5日「NHKスペシャル」”大地の子”を育てて〜中日友好楼の日々〜が放映された。
〜下記は、NHKサイトでの解説である。〜
「中日友好楼」に住む中国残留孤児を育てた養父母たち
 中国東北部の長春市に「中日友好楼」という名前の一軒のアパートがある。中国残留孤児を育てた養父母たちのために、ある日本人が建てたアパートである。かつて30人を超える養父母たちが暮らしていたが、高齢化が進み、6人になってしまった。
 6人の養父母たちが育てた「残留孤児」たちは全員が日本に永住帰国した。しかし、孤児たちは今、厳しい現実に直面している。日本語が話せない。仕事もみつからない。生活保護に頼って生きるしかない。養父母に会いたくても、訪問中は生活保護の支給が停止されるため、なかなか会いにいくこともできない。
戦後の混乱の中、特別な出会いによって結び付けられ、その後、様々な迫害を受けながらも生き抜いてきた親子たち。今、そのほとんどが離れ離れで辛い生活を送っている。
 番組では、中日友好楼にカメラを据え、養父母たちの姿を記録した。撮影の途上、ある孤児が「これが最後の別れ」との思いを抱き養母を訪ねた。わずか10日の滞在の間に揺れる親子の心。そして、複雑な思いで見つめる他の養父母たち。
 家族とは何か。戦争や国家がもたらしたものとは何か。中日友好楼の日々を通して、今忘れ去られようとしている、中国残留孤児と養父母たちの姿を描く。     〜NHK解説による〜

 力作であった。というよりも、むしろ、有りのままに伝えられた重く悲しい事実に打ちのめされ、何ともやり切れない気持ちにさせられながらも、撮影された”大きな心”を持った”普通の人々”に感動させられたのである。

 戦後59年が経過した今も、年老いた中国人の養父母、養父母に育てられ既に永住帰国した中国残留日本人孤児達に戦争の傷跡が深く残っている現実を目の当たりにすると、身体が震えるほどに辛い。
 取材された養父母の一人は現在80歳を過ぎ食事もままならない程の病気でもあるのだが、1945年終戦の年に、放置された泣きじゃくる日本人の幼子を、どうしても見捨てていけずに連れ帰り我が子として育てたそうだ。自身は戦争当時身ごもっていたのだが、日本人兵士に腹を蹴られ生むことができなかった。
 そんなむごく悲しい体験をしながらも、当時20才を少し過ぎたばかりのこの中国人女性が幼子を真剣に育てたのである。近隣の中国人からは「敵国日本の子供を育てるなどとは」と冷たい仕打ちを受けながらである。

 戦争によって翻弄され、数奇な人生をおくる親子達が、いまだに安らかな普通の生活を手に入れることが出来ない。何とも歯がゆい気持ちにさせられる。
 年老いた養父母達には残された時間がないのだ。

 30兆円の負債を抱える道路公団のとんでもない無駄づかい、無計画で際限のない年金の無駄づかい、赤字でも民間企業よりも高収入の公務員、民間に比べ約10分の一の家賃に住む職員、次々に明らかになる政府関係省庁、関係者のとんでもない不正、「何とかならないものか」という問題があまりにも多すぎるこの国日本はいったいどうなってしまったのかと、つくづく、ため息の出るほど不愉快に感じるこの頃なのである。
 悲しい運命に翻弄された人々に、もう少しだけ援助の手を差し伸べられないものか。

 いまだに、小泉首相は靖国問題に決着をつけるでもなく、イラク撤退の時期も世界の趨勢に反し引き伸ばす兆候だ。臨時国会での答弁も、何をやっても言っても国民が反応しないのを良いことに、木で鼻をくくるように薄ら笑いを浮かべながら、気持ちの悪いとも思える不誠実さを全身から発しながらの応対なのである。
 我々は、普通の人々が普通に穏やかに生きることの出来る「日本」を手に入れることはできるのだろうか。


〜下記は、Diary記載後の本日の朝日新聞(12/08 19:17)による〜
「国の責任など訴え、残留孤児32人が提訴」
 福岡県内の中国残留日本人孤児32人が、戦後に帰国の機会を奪われ帰国後も国が十分な支援をしなかったとして、1人あたり3300万円(総額10億5600万円)の国家賠償を求める訴訟を8日、福岡地裁に起こした。「残留孤児」を生み出した国の戦争責任や、帰国後の窮状を訴えていくという。
 訴状などによると、国は終戦前後の混乱期に旧満州(中国東北部)にいた民間人を置き去りにした。59年には中国に残留孤児が多数生存していることを知りつつ、戦時死亡宣告制度を定めて戸籍を抹消。80年代になって帰国が実現した後も現在に至るまで、国は十分な日本語教育や支援をしていないとしている。
 福岡訴訟には、すでに鹿児島地裁に提訴した鹿児島県内の21人をのぞく九州・山口の孤児が原告として参加。来年以降の追加提訴も加えて計140人程度の集団訴訟になる見通し。第1陣として提訴した原告32人の平均年齢は約63歳で、75%が生活保護を受けている。
 同様の訴訟は東京、大阪、名古屋、鹿児島など12地裁で係争中。全国の原告総数は1862人で、帰国した孤児全体の75%にのぼる。
 九州在住の孤児らは02年11月、九州弁護士会連合会(九弁連)に人権救済を申し立てた。九弁連は今年6月、政府に対し、孤児らに十分な補償をするよう求める人権救済の勧告を議決した。


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