| 茨姫 4 |
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よくある土の曜日。何の気無しに同期3人で集まっていた。 別段来たくもないが、断る理由もない。オスカーは、ただ静かにカプティーノを味わっている。 同席してるのは相変わらずうるさいオリヴィエ、そして妙に静かなリュミエール。 (まぁ、俺には関係無いが………) 視線を辺りに彷徨わす。今日は癪に障るくらいの晴天だった。 晴れて気に障るとはな、と自嘲気味の笑みがこぼれる。 「わたしはてっきり、『春』でも来たのかと思ったけどな〜」 思わせぶりなオリヴィエの口調。何気なく自分の方を向いているのが解る。 ……答えてなんてやるもんか。 代わりに答えたのは、リュミエールだった。相変わらず天然めいたことを言っている。 「あのねぇリュミちゃん。『春』って言ったら決まってんでしょ。恋でもしてるんじゃないかって言ってるの」 阿呆臭い――と思っていたその時、聞き捨てならないリュミエールの一言が耳に入った。 「えーーっ! 何故それを!?」 「リュミエール、それはどう言うことだ?」 しらばっくれようとしているリュミエールに、素早く言葉を投げかける。 「いえ、別に……いや、あの」 「どーゆーこと? リュミちゃん?」 口でリュミエールが、二人に勝てるわけがない。観念したかのように、リュミエールはその口を開いた。 ◆◇◆ 女王に想い人がいる。 流石に二人して絶句した。強く下唇を噛む。 「で、その情報源は一体どこなのよ?」 それでもオリヴィエは現実的にその情報を分析しようとしている。 「アンジェリークですよ。悩んでました彼女も」 何とも真実味を帯びてきた。更に問うてみる。 「何で、そんな事が解ったんだ?」 動揺してる自分が解る。嫌に、苦しい……。 「見たそうです、アンジェリークが。………女王の執務室にその人が来るのを」 ―――自分じゃない。そんなところに行った覚えはない。 予感は確信に変わる。滑稽だ。少しでも期待した自分が馬鹿みたいだった。 「居ただけかもしれないじゃない。何してたって?」 そんなオリヴィエの一言に一縷の望みを賭けている自分がいた。リュミエールから出た言葉は、オスカーにとってとどめの一言となった。 ―――涙の抱擁――― ロザリアの涙なんか見たことがない。 (あのお嬢ちゃんが泣くとはな―――) 静かに上を見やる。尚も青い空が沁みた。思わず口元が綻ぶ。 完全なまでの玉砕だった。 ◆◇◆ アンジェリークは自室にいた。職務は相変わらず忙しい。その早さに負けず、しっかりこなしてる。 しかし仕事も終わり、ふと考えてるのはロザリアのことだった。先日リュミエールと話した事を思い出す。 「女王って孤独ですよね。ほとんど誰にも逢えないで、いつも独りで……総てを背負ってるんだもの……」 返ってくる言葉はない。言葉は更に紡がれていく。 「わたしが女王になれればよかったんです。なのに、わたしは出来が悪かったから………」 涙声になりかけたアンジェリークにリュミエールは慰めるように言った。 「そう泣かないでください。……もし仮に貴女が女王になったとしたら今度はロザリアがそう思うかもしれませんよ?」 だからそんなに嘆かないで、と諭すように言った。これで聞いてくれると思った。しかし、返ってきたのは、 「わたしとロザリアじゃ、その重みが全く違うんです! わたしなら女王になっても、ロザリアは居てくれたから……きっと」 「陛下にだって今、貴女が居るでしょう」 「違うんです。駄目なんです。……それじゃあ大事な人には逢えないんです……」 まるで駄々っ子のようにアンジェリークはそう洩らしていた。 起き上がって大きく伸びをする。それでも相変わらずむかむかした気分は晴れそうもない。 どうにかしてあげたい。何とかならないものか。…そして、それとは違う憤り。 ―――どうして、どうしてロザリアはわたしに何の相談もしてくれなかったの? 親友だと思ってた。一番近くに居ると思ってた。なのに、何も言ってくれなかった。 そんなロザリアに腹が立った。 そして、そんな事に腹を立ててる自分が一番憎らしかった。 明日はアンジェリーク主催の晩餐会がある。 それぞれに想いを抱いて、夜は確実に更けていった。 to be continued. |
す、進んでないし……。
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update 30,Apr,1999