GUNPARADE MARCH
**parody**

朝の唄 【7】
 

 呼び鈴を鳴らすが返ってくる声はない。外出しているのは、とても不自然な時間である。
「おーい。いないのか?」
 ドアを軽く叩いてみる。しかし一向に反応はない。
 帰ろうと背を向けた時に、鍵が開いた音がした。
「あん、どうしたのさ?」
 しかし、顔を出したのは隣人であった。濃い目の化粧で無理やり若く見せているような女が、瀬戸口を睨んでいる。そう言えば、もう随分遅い時間であった。
「夜分遅くにすみませんでした。あの辻野さんは、どこか旅行にでも行かれたのでしょうか?」
「あんた彼女の知り合い」
 女は瀬戸口を上から下まで眺めた。
「はい。何度鳴らしても出てこないので、気になって……」
「……そこの娘ねー、先日亡くなったんだって」
 あんまりさらっと言われたので、瀬戸口は瞬時に判断し損なった。
「えっ……」
「なんか事件に巻き込まれたとか言ってたわよ。可哀想にね、まだ若かったのに」
「そんな……知らなかった」
 瀬戸口は日々、新聞やニュースに必ず目を通しているが、そのような事件は一つも載っていなかった。きっと些細な事件であったのだろう。そのくらい簡潔に彼女の人生が終わってしまったのかと思うと、遣る瀬ない気持ちにさせられる。
「人の運命って分からないものよね」
 あの娘だけじゃない。あたしもあんたも、明日どうなっているのかなんて分からないのよ。
 瀬戸口には、そう彼女が言っているように聞こえた。
「そうですね……。それでは、本当に夜分に失礼致しました」
 せめて今日くらいは彼女のことを考えて喪に服そう、と瀬戸口は思った。
 再び学校に足を向ける。
 詰所なり何なりで、仮眠くらいはできるだろう。たしか毛布も備えつけてあったはずだ。
 何気なしに見上げると、大きな黒い月が天の頂きに鎮座していた。全ての憎悪を、怨嗟を、不浄を集めたような、格別に嫌な色をしている月。
 その時、一筋の光が月の右側を斜めに流れ堕ちていった。綺麗だけど不吉な輝き。
 最近周りで人がよく死んでいる。つい先日も、交通事故で友達を亡くしたばかりであったのだ。
「それにしても、一人も死なずにどうにかすることはできんのかな。みんなと、仲良くすることはできんのかな」
 誰かの訃報を聞くたびに、瀬戸口はそう思ってやまないのだった。それは今後、彼が永劫抱える望みとなるのだった。


to be continued.....

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女の家しか当てのないたかちゃん。


update 25,Apr,2002

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