夜明けは近い?
燃え尽きて白い灰 Part2



4年ぶりのオールスタンディング・ライブ。

ライブ・パフォーマンス自体は決して良い出来とは言えませんでした。ライブハウスでは久しぶりだから勘が鈍ったということがあったのかもしれない。
初日は途中でKlaha君の声が出なくなりました。雑誌に載ったライブ・レポによると前日40度の熱が出ていたそうです。う〜む、それじゃあの状態になるわな、と思うけど同情はしません。やはり歌うたっておゼゼを貰っているのなら、自身の健康管理はきちんとせねば。
Klaha君は自分のふがいなさに情けない思いをしたんでしょうね。途中で歌えなくなった時はくるっと後ろを向いて表情を隠したけど肩が震えていました。去年のお披露目ライブは開き直っていてプレッシャーはあまり感じなかったと思います。かえって、メンバーとして定着した今回の方が責任重大で緊張したのではないかしら。ライブ後、楽屋から出てこなかったらしい。相当なショックで悔しかったのだと思います。
ただ「声帯を傷めてしまって…ごめんなさい」と観客に謝ったことは「おっ」と思いました。というかびっくりしました。
前のヴォーカリストが同じ失敗をやらかした時は後日のインタビューでの「言い訳」にカチンときたことがあったんで、Klaha君の潔さは評価に値すると思います。
ただKlaha君が歌えることは事実で、絶不調でもかなり難しい「虚無の中での遊戯」「破戒の果て」(アルバムでは女声コーラスの曲)をこなしたのには大したモノだと思いました。もう少し艶っぽさが出てくるとよいのだけどね。
初日のほかのメンバーたちはKlaha君のトラブルに対して何もフォローしませんでした。ただ演奏を続けプログラムをこなしてゆく。でも、これが彼にとって一番ありがたかったんじゃないかしら。ヘタにいろいろやられたらかえって落ちこんじゃいますよね。
2日目はどうなることやらと不安でいっぱい、「ライブが中止になったらどうしよう」と思いましたが、予定通り開始。セットリストが別だったそうですが、仕切り直しということで初日と同じメニューにしたそうです。Klaha君は本調子ではないものの前日を挽回する出来にまで持ってきてほっとしました。でも最後までハラハラした〜。

しかし、今度はKözi君のギターがトラブル。
音響面の裏方はハコのスタッフが担当したのかしら。ギターのトラブル以外でもバランスが悪いところが随所に見られました。
でもそれを補って余りあることがたくさんあってとても楽しかった〜!
前日のライブ後、大反省会が開かれたそうで、MCをかなり長くとってKlaha君を休ませるようにしていました。今回は他のメンバーもぶっ続けでハードに演奏してたので(オマケにダンスもしなくちゃならないし)途中で休みをとらないとヨレヨレになるというのを実感したみたい。で、MCではKözi君が相当頑張った。Manaちゃんの無言の煽り(笑)もかなりのものでしたが。

今までのMALICEは自分たちがパーソナリティーを担当してものは別として、TVやラジオでもvo.がフロントマンとしてMCを全て担当することになっていました。他のメンバーも喋るけどホンの挨拶程度だったのよね。
彼らもこの方式はまずいと痛感したのじゃないかしら。MALICEは特異な部分と普通の人の部分を見せる匙加減が難しいバンドだと思います。MC担当が一人に集中すると負担がかかりすぎてヘバるんじゃないかと2年前のゴタゴタを見てて勝手に想像してているんですが。
本来彼らは人前で話すことは苦手な人達なんでしょうが、この頃は全員が前に出ることを心がけています。そのせいで本人も思ってみなかったような新しい魅力が出てきているようにも思います。
でも、相変わらず喋りはヘタなんですごく安心。ヘンな言い方ですが、立て板に水のMCって似合わないんです、この人達。あたふたしてる方がキュートでよいの。

あ、そうだ。今回はKlaha君が新しい猫をスカウトしたことをご報告。アビシニアンの雄で名前はチョピン。ショパンのスペルChopinをもじってつけたのだとか。でも、新入りのせいで前ネコのアトラ君がストレスで体調不良になってしまい病院に通っているそうです。そうとうヤキモチ焼いているらしい、アメショーは寛容な性格だと聞いてるけど、まだ子供だし稀代の甘たれネコだからね。早く快復して仲良しになれるとよいわね。
普通のMCは「なに喋ったらいいかわかんないよ〜」というKlaha君もネコ話となると顔が緩みっぱなし、延々とお話しになるので他のメンバーが現実に引き戻していました。とにかく顔も声もフニャフニャになるんだもの、どこがクール(本人は主張)なんだ…。
Közi君はライブ1ヶ月前の写真では結構おデブだったのだけど見事に痩せておりました。エライ。FCイヴェントの時はYu〜kiちゃんが頑張ったけど、今回のライブはKözi君が大活躍。ギターがトラブルを起こして内心カッカきてたと思いますが、おくびにも出さずに盛り上げることに徹していた。ホント1等賞をあげたいぐらいだわ。でも、MALICEのライブって盛り上がるんだけど、ノリがずれてるのよね(笑)

おっと、肝心のManaちゃんのことについて書くのを忘れていたわ。今回はギタリストManaを強調しておりました。もうギター弾きまくり。ヘドバンもするし(でも優雅にだけど)。Manaちゃんは曲を完成させる作業の時からステージングを考えてウロウロ歩きながらギターを弾いているのだとか。だから動きが流れるようでキレイ。ダンスの時の腕や手のしなりは女よりも女らしい! でも、観客を煽る姿は雄々しかった〜! 思わず「男前」って思っちゃったもの。このギャップがよいんですよね〜、本当に観客にウケるツボを心得ている。

お衣装はメインが「Beast Of Blood」でアンコールは「Gardenia」。メインのラストではKozi君とKlaha君がジャケとコートを脱いでくれた! おかげでKözi君のきれいな腕のタトゥー(半そでのシャツ)とKlaha君の二の腕(ノースリーブ!)を拝むことができました♪ Klaha君はヴィジュアル系のお約束どおり脇の始末をちゃんとしてた、ご立派。
ドレス姿のManaちゃん(汗をかかないバケモノとしても認識されている)は別として、暑がりのYu〜kiちゃんはジャケットを脱ぎませんでした。溶けやしないかと心配だったけど、治ったとはいえ腰のことを考えて今回は動きをおとなしめにしてたから大丈夫だったのかしら。

この人たちの不思議なところはライブでは不思議なオーラを漂わせてそれぞれ目立つところ。見ている方は彼ら全員の一挙一動に細かいチェックもいれてしまうから、忙しくて大変なんです。まぁ、あれだけ派手なビジュアルだからと言われそうですが、他のバンドだと必ず影の薄い人というか地味担当がいるのよね。

今回の構成は賛否両論だと思います。
MALICE MIZERはどんなに小さいハコでもセットを組んで必ず芝居がかった演出をしてきました。今回はそれが一切なし。メンバーの個人パフォーマンスもなし。最初の登場の時だけ網状のスクリーンをかけたのを除けばライトのみの演出。去年の武道館2daysの大掛かりなセットと音楽劇といえる演出から比べれば、あっけないほどシンプル。
初めてMALICEのライブを見る人向きじゃないわね。やはり初めての人なら「薔薇の聖堂」クラスまでいかなくても97年の「透明な螺旋」ツアー・クラスを見てから今回のようなライブ、の方が絶対にいい。
ライブ経験者でも「シアトリカルなステージ」を期待していた人にとっては拍子抜けだったでしょうね。某巨大匿名掲示板でも「つまらなかった。あれじゃ他のビジュアル系と同じ」なんて意見が出てたんですよ。でもメンバーはインタビューで「シンプルでいきます」と宣言してたかのだからその心積もりで行けばよかったのに。

う〜ん、「他のヴィジュアル系と同じ」ではなかったと思うんですけどね。凝ったセットや演出はなかったけど、ただ演奏するだけではなくちゃんとMALICE MIZERのお約束をしてくれたし。お衣装とメイクの手抜きはないし。

去年の観客を固まらせる(ほんと皆立ち尽くして黙ったまま観ていた)凝ったセットと演出もよかったけど、今回の皆ではぢけちゃおうという形も好きです。メンバーとの距離がぐっと近くなって楽しいもの。
今、彼らはいろいろな面を見せて新しいMALICE MIZERの模索を続けているのだと思います。
秋にはアルバムを出す予定らしいから、そうなるとまたライブをするでしょう。その時は又シアトリカルに戻るのかしら。ヴァンパイア第2弾をやらかしてくれたら嬉しいんだけど。






付けたし


オールスタンディングは去年FCイベントで経験していましたが、ライブはお初でした。ババァだし、暑くて狭いハコの中でもみくちゃにされて酸欠になったりしたらどおしよう、最後までもつかなとちょっと心配でしたが、何の何の。杞憂でございました〜。若いファン(結構ヨレヨレになっていた)に比べたら丈夫なんです、わたくし達。あ、今回も妹がツレでございました。今回は初日は最後列、2日目はなんと前から12番目ぐらい両日ともManaちゃんサイド(舞台向かって左側)でした。初日は整理番号が後の方で入場が遅かったので、ぱっと見た手前の入り口が後方で人が既にギッシリだったんで諦めちゃったんですよね。2日目は比較的早く入場できたので念の為奥の入り口を覗いたら、入りこめる余地があったのでした。前日もきっと頑張れば前で見ることができたのだけど、仕方がないわ。
初日は前に男の子が3人立っていてステージが見えづらくて大変。それほど背が高い子達じゃなかったけど、やっぱり男ってデカイのね、と実感させられました。モニターが見られる位置を確保しましたが、ライブは実物を見てなんぼのもの、生メンバーの頭しか見えない(それもようやく)、おまけにKlaha君は絶不調だったし、と不完全燃焼でした。
翌日は12番目ぐらいといっても前に詰まってすごく近くでメンバーを拝むことが出来たので、しっかり燃えることが出来ましたわ〜。心配していた巨大コスもご近所にいなかったし。

2日目はすぐ近くにスキンヘッドの白人の男性二人がいたんでびっくりしました。だって、どう見たってハードコアパンク系でヴィジュアル系好きには見えないんだもの。ところがいざライブが始まると、「まな〜!」と叫びまくり。ひぇ〜、Manaちゃんのファンなのね。気がついたら最前列に近いところまで行って騒いでいる。
MALICE関連の掲示板には『外人ファンの男二人組が、「ビースト オブ ブラッド♪♪ビストオブブラッド♪」 と歌いながら渋谷駅に入っていったのを目撃。』という情報が寄せられていたので、あの連中なのかしらん。

やはり、2日目。はっと隣をみると、娘と一緒のお母さん。40代後半から50代初めの人。ライブが始まった頃はいなかったから、だんだんと前に来ちゃったのね〜。 娘と一緒に「Kozi君かっこい〜!」なんてはぢけている。なんか嬉しくなってしまった。

いつもライブに行って思う素朴な疑問。 あの、「手扇子」って、一体何なんでしょうか。というより、いつ頃から出現したのだろうか。ヴィジュアル系のライブではお約束みたいになっているものなの? わたくしはどうも馴染めなくて…。
「崩壊序曲」や「ma chérie」のような曲はお約束の振り(「手扇子」とは別)でメンバーと一緒に盛り上がるのはすごく楽しいのですけどね。どんな曲でも強引に「手扇子」それもほぼ全員、というのは洋楽人生ン十年のババァには不思議な光景なのでした。洋楽のライブではまずないもの。 でも、イエモンのライブでも遭遇してびっくりしちゃったわ。あ、イエモンは日本のバンドか。

ちょっと、苦言を最後に。
今回のライブは「なに考えてるんじゃ」というようなファンも多くてまいりました。まずカート又はカート付きのトラベルバッグを会場に持ちこむヤツ。たぶん地方から出てきてそのまま会場に到着したり、またライブ用のお洋服一式を入れて来たりしたのでしょうが、コインロッカーを利用するか、ライブハウス側に預かってもらうかして欲しいものです。ハコが小さいのでホールは勿論、通路や物販売り場もギュウギュウなのに平気で引きづって歩いたり、置きっぱなしにしたりして、危険なことこの上なし。引っ掛かって転びそうになっている人を何人も見ました(ヒールが高い靴履いてる人が多いので余計に危ないの)
また、コインロッカーの前にしゃがみ込んでまったりしている連中。荷物を出し入れしているならともかく、まったりするだけなら他のところでしてよね。思わず、「使ってないならどいてくださるっ?」とビシッと決めつけ言葉で追い散らしてしまった…ほほほ。
正直言って、今回はコスもゴス・スタイルもイマイチさんが多かったです。特にゴスロリはお洋服はともかくメイクやヘアスタイル、バッグにまで気配りが欲しいところ。可愛く頑張っている子たちもいる一方、使い古した箒にレースを巻きつけているような人達も結構いて、ゴスロリの難しさを実感いたしました。Manaちゃんは非日常を生きているわけだから、普通のそれも「女の子」が同じことをやるのは並大抵なことではないんだわ。暑かったしね〜。






Gardenia 〜夜明けの庭園 2001年7月2、3日 於 SHIBUYA-AX


Klaha    ( vo )
Mana    ( g/syn/vo )
Közi
    ( g/syn/vo )
Yu〜ki  ( b/vo )


Beast of Blood
幻想楽園
崩壊序曲
Baptism of Blood
血塗られた果実

MC

鏡の舞踏 幻惑の夜
真夜中に交わした約束
虚無の中での遊戯
破戒の果て
記憶と空
白い肌に狂う愛と悲しみの輪舞

メンバー紹介

Beast of Blood

Gardenia
Garnet〜禁断の園へ〜(新曲)
ma chérie


<12AUG01>