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[7955]浅草8中・8結
=八卦(関東)
=13/09/03(Tue)01:28



敬称略です。



1.矢崎茜

 今しがたリアルに、蝶を見ました。
 せわしなく羽ばたいて、花の周りを飛び回りながら、
 ついばむように蜜を掠めます。
 力強く、まるで水を掻き分けて進む、
 バタフライ泳法のようでした。

 …バタフライって、蝶でしたっけ?

 そして昨日はステージで蝶を見ましたが、
 イリュージョンと見まごうばかりでした。
 メインとバックダンサーの4人が蝶に扮して、
 身体にフィットしたボディスーツ、
 イエローグリーンとオレンジ色の組み合わせは、
 夕張メロンの果実みたい。
 手にした支え棒で広いウイングを操ります。

 ラテンのリズム、軽やかにスキップ。
 めまいを惹き起こすような万華鏡の世界、羽がぐーるぅぐる。
 胸筋と上腕筋を酷使して、羽ばたきは綺麗な軌跡を描きます。
 セニョリータも登場してスカートの裾を翻し、色っぽく見せつけます。

 雷鳴、驟雨、雨宿り…
 蛹から蝶へ、蝶から生身の人間へと変化。
 シーツ大の深紅の布1枚に身を包み、
 空気を切り刻むように布を振ったり、身体にまとわりつかせたり。
 穏やかな声のバラードとあいまって、心安らぐ満ち足りた世界を築きます。



2.水沢美波

 浅草、打ち水、夏祭り。ソイヤ、ソイヤ、と囃す声。
 日本人だったらその声に、居ても立ってもいられません。
 さて、はとバスのガイドさんはしゃきしゃきで、物見遊山のお客さんにも、
 日本の心を伝えることに精魂傾けます。

 “右に見えますのが〜、(ふむふむ)”
 “左に見えますのが〜、(どれどれ)”
 立て板に水と口上切れ味よく、活弁顔負けの熱弁を振るいます。

 はるばる浅草を訪れたお客さんの顔ぶれは、
 インディア、チャイニーズ、日系ハワイ3世…。
 浅草寺をパチリ、スカイツリーに口あんぐり、道行く日本娘に萌ぇ〜

 それぢゃぁ、日本の精髄にまずは形から入りましょう…ってんでェ、
 お客さんもソイヤ、ソイヤの大合唱! 熱いビートに身を任せ、
 見よう見まねで踊りゃなソン、ソン!
 みんな心を一にして、ドタバタ喜劇を丸く収めます…

 ベッドでは、バスタオル大の赤い布に身を包み、しっとりとしなを作ります。
 瞳潤ませ、アルカイックなポーズを2度、3度。
 緊張に震えた面持ちで、大和撫子を演じます。



3.有沢りさ

 地鳴りのような重低音、茫洋と広がる光の海から、
 ふたりの立姿が浮かび上がります。

 あぁ…、Hulaだ。
 大地礼賛、自然崇拝を歌に託し、
 心地よくゆったりとした流れに逆らわず、
 腕を泳がせ、腰を揺らし震わせます。
 ふたりは向かい合って目配せ、客席を振り向いてにっこり。
 場内をあたたかい空気で満たします。

 のびやかな女性ボーカル、気持ちいいアコースティック・ギター。
 ときおりむせぶ、嘆く、表情豊かなウクレレ。
   大地に光を………太陽にキッスを

 ウクレレの調べ穏やかに、わだかまりのない心で、花道へ。
 ベッドから、ウエスト・コースト風の爽やかな曲が始まります。
 パレオには、青地に鮮やかな紅の花が染め抜かれます。
 パレオの下の豊満なボディに、目を奪われます。

 繊細な指、雄弁な手、笑みこぼす口元……
 豊かな髪を波打たせ、しなやかな動き……
 屈託のないおおらかさで、優しく包み込みます。



4.白石美咲

 哀愁を帯びた旋律にのせるスパニッシュ。
 ステージ中央にしずしずと、高貴そうな白い和服姿の見返り美人が現れます。
 烏帽子、直垂を着た貴公子が、何度となく言い寄って、ついには袖にされてしまいます。
 未練たらしくしたためた付け文を渡すと、貴公子は潔く身を引いて去りました。
   …文字を追う瞳がかすんで見えて、見返り美人は千々に心を乱します。

  “運命には抗えないの………、
   ピュアな恋心をこのまま灰にしていいの………”

 ふたりの間に横たわる闇の深いことよ…
 ふたりの間を切り裂く魔性のモノを、フラメンコ・ダンサー4人の姿を借りて、
 ふたりの恋をあからさまに邪魔立てするモノとして跋扈させます。
 
 フラメンコ・ダンサー4人は意思を待たない、従順な下僕です。
 四神(青竜・朱雀・白虎・玄武)のように、主の周りを固めます。
 そして主に対峙する者とみれば、容赦なく退けます。
 スタッカートで切り込む手拍子、足拍子。
 キッと睨んで、貴公子の気持ちをはね返します。
 非情な風がフッと吹き過ぎて、殺伐とした気配を残します。

 アコースティックなインストルメンタルが快調に響くのは、
 陰惨な過去を彼方に押しやりたいからでしょうか。
 白い着物の紫の裏地を翻し、オレンジのしごきを解いて宙に流します。
 さっと羽織った襦袢は半透明で、哀しい心を透かせて見せるようでした。

 ベッドで使う曲は、愛しみに満ちたゴスペル調。
 アカペラのように始めたソプラノの歌詞を、変奏を重ねて、壮麗な教会オルガンのような響きで包みます。
 児童合唱が重なる、重低音がさざめく、チェロが旋律を膨らませる…

 長く静止するスワンで、頭上で重ねた掌に、指をしっかり組んでみせました。
 祈りを捧げ、相手の心を思いやります。
 毅然とした表情のまま立ち上がりへ、視線を遠く彼方までとばします。
 この曲が、貴公子の付け文に対する、アンサーソングなのかもしれません。
 そのまま、感動的なエンディングを迎えます。

  “手を取り合ってゆこう、愛する人よ
    静かな宵に光を灯し、
     愛しき教えを胸に………“



5.桜庭彩

 南のビーチにバカンスで来たふたり連れ、行きずりの恋人でしょうか。
 宵のビーチに寝そべって、波の音に耳を傾けて、リラックス。
 カクテル光線を浴び、甘みなカクテルを啜り、今宵は何でもできそうな気分。
 その気分に素直に従って、デュエットでイキに踊り明かしましょう。

 大きく踏み込んで、いなすようにチョッと引いて、小刻みに体を上下動。
 派手なアクションにカナリア・イエローのドレスがふわりと浮かして、
 いなせでカッコいいですね。

 曲が変わり、哀愁を帯びたエレキギターが引っ張ります。
 ギターがねっとりと旋律を歌ううち、ベースやパーカッションが厚みを増していき、
 フュージョン系の最強奏で盛り上げます。
 盆に着いてからは一転して、明るくつき抜けたラテン・ナンバーでノリノリに!

 盆にたどり着いて、スプリット、前屈。
 黒髪をばさりと振って顔を上げ、スワン、膝立ちで反り返り。
 スパッと切れ味鋭く、静止ポーズを次々と繰り出します。
 花道戻りでレイバック、切れ上がった腰をくいくいと引き上げてみせ、丸いヒップを揺らします。
 コンガに、ベルがかぶさって、虹をかけるようにブラスが甲高く響きます。
 陽気なノリを持続したまま、金色に輝く照明の海が、幕間に沈んでゆきました。



6.美緒みくる(森川ななせ負傷により交代)

 灼熱のビーチで、芸能人ビーチバレー大会のはじまり、はじまりぃ〜
 どん、どん! ぱふぱふ、ぱふぅ〜
 あまちゃんも来たし、トリ前だからさぁ… 景気よく行こうぜェ
 BGMにサザンないのぉ、サザン!
 ブライアン・ウィルソンでも流しとくか…… って、夏の定番だしなぁ。

 なごやかなイベントのつもりのはずが、いつしか白熱したシーソーゲームへ。
 (あっ!それもそのはず、横断幕にセンター争奪戦って書いてある??)
 歯を食いしばり、クイック、一人時間差、回転レーシーブ!!
 名曲ばかりのメドレーに、時を立つのを忘れてフィーバー!
 健闘を称えあったメンバーは、満ちた潮が引くよう去りました。
 メインひとり、のどかに浜辺で遊びます。

 スポーツドリンクを手に、渚のあの娘はくつろいだ様子で、はしゃぎます。
 小麦色の肌に、じりじりと紫外線。
 遊び疲れて、ちょっとカクテルでもいただきましょうか…

 耳元で囁く甘いボーカル。
 夏のバカンスにリゾートに行こう…あなたと。
 ベッド曲はのんびりムードのカリプソ風、スチールパンにアコーディオンが、華を添えます。

 …アルバ、ジャマイカ、バミューダ、バハマ……
   夢の楽園、ジャマイカのココモはどう?(スマイル)

 曲にひかれてメインの気持ちもノッてきて、
 浮かれて笑顔を振りまきます。
 ビーチを跳ねまわるような足取りで花道を戻り、
 楽園の夢を紡ぎます。
  ……way down to Kokomo.



7.灘ジュン

 夏の盛り、暑い暑いジャマイカに、オマージュを捧げます。

 “脱出へ…”

 レゲエの吟遊詩人がメッセージ・ソングを歌い、民衆を煽ります。
 民衆役のバックダンサーたちは、腰を落としてにじり歩き、
 混沌としたカオスの中をぐるぐる徘徊します。

 “脱出へ…”

 中央にでんと据えた王座は、演説用の台座のように質素に見えました。
 王座にまします Jah Lionを、降臨した救世主になぞらえます。

 黄色の帯で赤、緑の地を分ける、ラスタ・カラーの旗。
威勢よく振って、民衆を先導し鼓舞します。

“♪Are you satisfied with the life you're living? と煽り、
 あとはひたすらMove! Move! Move! と唱えます。
 お経のように、呪文のように、単調な歌いぶりで洗脳するかのよう。
 バスドラが延々と4拍子を刻むなか、民衆はつられるように足取り軽く去りました。

 胸の鼓動をゆっくりと刻むようなテンポの曲で、メランコリックな気分に浸り盆へ。
 憂愁のなかに、孤独を味わうのでしょうか。
 そのなかで、背を反らし脚を伸ばし、ゆるやかに姿勢を変えつつのびやかにポーズ。
 差しのばした掌の先で、つぼみがほころぶように指を開いて、視線を一点に集めます。

 花道戻りはおおらかに。ゆったりとしたテンポにのせて、王座の上でポーズ。
 それまでとは一転して解放的な気分に、昂揚感を味わいます。



8.フィナーレ

 ピンクのフリフリの衣装で、アヒルのようにかわいらしいダンス。
 踊り子と4人のバックダンサーが横一線、振付がよくぞここまで融合できました。
 旗を振って歌を口ずさんで、場内は渾然一体に、幸せな時間を過ごします。




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