観劇レポ隊の掲示板

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(シょウにンこーどノらンに、あルふァべッとノ「アールいーぴーおー」ヲ、ハんカくノオおモじデにュうリょクしテくダさイ。)
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[8006] 5.29 熱海 投稿者:うなやんけ [近畿] 投稿日:2022/07/11(Mon) 12:25 
御幸奈々さんワンマンショウ!!


[8005] 6/11−6/30 浅草『PEARL』 投稿者:chopin' [関東] 投稿日:2021/06/27(Sun) 10:01 
1景.ALLIY(伊沢・ダンサー4名)
2景.須王愛(高崎・ゆきな)
3景.藤咲茉莉花(星崎)
4景.星崎琴音(高崎・ダンサー4名)
-休憩-
5景.高崎美佳(伊沢・星崎・藤咲・ALLIY・須王・ゆきな)
6景.ゆきな(伊沢)
7景.伊沢千夏(復帰)(星崎・藤咲・ALLIY・須王愛・ダンサー4名)
8景.フィナーレ(出演者全員


[8004] 無題 投稿者:chopin' [関東] 投稿日:2021/05/05(Wed) 00:46 
1景.武藤つぐみ
2景.mico(南・木葉・ダンサー2名)
3景.木葉ちひろ(ダンサー2名)
4景.沙羅(赤西・広瀬・ダンサー4名)
-休憩-
5景.赤西涼(南・沙羅・広瀬・武藤・木葉・mico)
6景.広瀬あいみ
7景.南まゆ(赤西・沙羅・武藤・mico・ダンサー4名)
8景.フィナーレ(出演者全員)


[8003] 6中・結 浅草 EARTH BEAT 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2020/07/02(Thu) 19:31 
敬称略です。


1景 カリンカ 早瀬ありす

マトリョーシカのような村娘7人は、赤い実をつけた枝を手折られるように、嫁いでゆく日を夢見ます。
郷愁を感じさせる歌声にのせて、皆で朗らかにフォークダンス的な舞踊。
赤、白、緑、色とりどりの民族衣装、おつむには花束を載せたような髪飾り、髪から垂らして風になびくリボンの可愛いこと。
スカートの裾をつまんで待ちあげたり、スカーフを無邪気に振りまわしたり、純真さをアピールします。

メインはカリンカにちなんで赤いダンス着、着替えたベッドではチャーミングな白。
3曲目は、女性ボーカルが気持ちを乗せてバラードを熱唱します。
歌いぶりに乗せられるように、ベッド着がはだけて白い肌をさらし、ポーズをなだらかに連ねます。

終曲、感傷的なデュオにのせて、持ち前の活発さが炸裂します。
活気あふれる曲にのり、いてもたってもいられない様子、後半から立ち上がり後にステップを入れて、花道まで大きく張り出してパフォーマンス。
すーっと駆け抜けるように後ずさりして、閉まりかかる幕間に消えてゆきました。



2景 ワヤン・クリ 橋下まこ

導入部はワヤン・クリ。人形使い「ダヤン」をダンサーさんが器用にこなします。
白い布一枚を隔てて、逆投影したモノクロの影絵芝居。
ジャワに伝わる神々の活躍を語るとき、水牛の革をくり抜いたアルカイックな人形がイキイキと動き出し、つい引き込まれます。

暗転すると、芝居から抜け出してきたような女神5人が、優雅にダンスを披露します。
ガムランの摩訶不思議な音響空間。
自然界にある、そよ風やさざ波に耳を傾けるようで、心やすらぎます。

メインの姿は、額を飾る立派な冠、豪華に飾り立てた装身具、黄色のパンツに金色の飾りが溶け込むようになじみます。
体中に吊り下げたコイン状の飾りは、しゃらしゃらと動きに合わせて音を立てます。
ダヤンひとりで操る5体の人形のように、一体感のあるアンサンブルを見せてくれました。

再び暗転、メインのベッドへ。
印象派のピアノ曲は、楽曲形式から離れて楽想に忠実に、自由自在に戯れるよう。
ブルーとイエローの照明に包まれて、掌で水をすくったり、かきまわしたり、はねさせたり、ジェスチャー豊かに『遊』んでみせます。
暗がりで、きらびやかな金色の装身具に光を注いで乱反射させるとき、彫像のような裸身も輝きます。
穏やかな世界にいっとき浸りますが、それも影絵のようにあとかたもなく消えてゆきます。



3景 セマー 武藤つぐみ

ステージ中央にぼうっと、たたずむ姿が浮かびます。
オーケストラ開演前のチューニンングのように積み重なる音の隙間から、和音が立ち上がり、音程が旋律を紡ぎ出し、やがて荘重なゆったりしたリズムを奏でます。

混沌から手を差しのべるように光明が射します。
宗教的儀式に従い敬虔な祈りを捧げ、トランスに入ります。
くるり、くるり、くるり、

♪you’l find out・・・、 find out・・・、 find out・・・ ♪

生命力に溢れ、躍動し、ウキウキするようなダンスではありません。
瞑想し、心を鎮め、脳内物質かなにかが出てくるまでの10分間。
まわれ、まわれ、まわれ、

ランプシェードのように白いスカートを広げ、まわればまわるほど裾が持ち上がってめくれます。
爪先で蹴って踵を落として足元で推進力を得て、律儀にそれを小刻みに繰り返します。

最後には、スカートの下に体を埋めるように沈んで、止まります。
スカートに埋もれた顔は、恍惚の表情かもしれません。
場内はしーんと静まりかえります。



4景 アンダルシア 矢沢ようこ

フラメンコ・ギターは旋律を自在に操り、大胆に弦をかき鳴らします。
カンテは声を振り絞って、気持ちを込めて歌います。
ヒターノ(いわゆるジプシー)の流れを汲んだ、巧みな表現力を備えた音楽。
シャープな動きでかっこいいステージを群舞で引っ張ったあと、ベッドでは渾身の力を振り絞ります。
終曲は穏やかな人間味あふれる立ち上がりで、魂に救いを施します。

赤いシャツに黒のジャケット、パンツ。
下手にたたずんで、目の前の椅子に置かれたハットを、ひょいと取り上げます。
気障ったらしいけどかっこよく、ギターがコンパス(息の長いリズム)を繰り出してからは輪をかけてかっこよく。

メインを軸に、同じ格好のダンサー4人が取り囲む、厳粛なアンサンブル。
予測できないほど目まぐるしく動き回ります。
後半からは、突然流れを断ち切るようにパルマ(手拍子)。
5人の気持ちが前へ、前へと出て、せめぎあうようです。

2曲目はギター演奏でややフュージョンぽく、流麗に。
ショール1枚をふわっとまとい、盆に足を踏み入れてから、情熱的なカンテに身をゆだね、瞑想するような表情で腰をくねらせ、踵から地面に踏み込むように、フラメンコ・モード。
表情で引きつけたまま、のめりこむようにしてスケールの大きなポーズベッドへ繋げます。

立ち上がり4曲目は、いつくしむようなバラード。
ここまでのドラマと苦難を洗い流すように、整理されたポーズを連ね、いよいよ大詰めはレイバックで引き締めます。



5景 オクトーバーフェス 川菜ひかる

みなが浮かれまくるオクトーバーフェスでは、バンド演奏が威勢よくにぎやかに、会場の気分を盛り上げます。
ジョッキ片手に娘っこが、乾杯!、乾杯!、乾杯!の大盤振る舞い。
バンドが歌ものを奏でると、みないっせいに体を揺すって歌い始めます。
マーチのテンポでほがらかに。
♪Rucki Zucki!
    Rucki Zucki!
       Rucki Zucki!・・・♪

あーほんとにウマいねぇ
そこのチロリアンハットのにぃさんイカすねぇ、こっち来て呑みなよ〜
酩酊で理性の替わりに痴性を目覚めさせ、ふくらはぎ撫で回して、キモ!、あっち行けぇ
でも2秒たたずに乾杯で、無礼講ぢゃあぁ赦せ赦せ。

アップテンポな曲に移ると、ブラスが小気味よいフレーズを奏でて、ここぞとばかり呑めよ呑めよと焚きつけます。
呑みまくってストレス発散しつくしたメインは、笑顔で花道を上ります。

白いブラウス姿で前をはだけさせ、ヒップを揺らして桃色で裾の短いスカートを軽やかになびかせて、捲り上げたりして挑発します。
ゆるやかなターンや切り返しでリラックスした動きのあるベッド。

終曲は底抜けに明るいディスコナンバーで。
原曲は蛮族をテーマとしたせいか、もともとは誇張して力の入りまくった振付でしたが、
ここではキュートさを出して、往年のアイドル歌謡の振付をちょっとおおげさにした感じ。
メリハリのきいたディスコのリズムと、軽やかな振りが掛け合わさって融合し、新鮮味を感じます。



6景 琉球 清水愛

花笠を目深にかぶり、あでやかに目を引く琉球紅型のべべを着て、三板を手にし、しゃなりしゃなり、優雅に下手から3人が現れます。
琉球舞踊のスタイルはちょっとくだけて、のっけからロック調。
指笛であおり、鳴り物で盛り上げ、ドスンと太鼓を打ち込めば、3人娘はすかさずあいのてを入れて三板(カスタネットのこと)をかちりと響かせます。

優雅さのなかにもキレのいい動き、3人娘は息を合わせてのりのりで、思わず激しい舞踊となりました。

シンセサイザーでかすみがかかったように幻想的な響きをかぶせ、メインは黄の襦袢、襟を明るい紫にすると、互いの色を鮮やかに引き立てて色鮮やか。

3曲目は独特な琉球の言葉づかいで、娘を諭す親心を歌います。
花びらの朱で、指先をネイリング。
親娘いとおしむ気持ちを表情に浮かべて、美しくポーズ、ムードはさらに幻想味を加えます。

終曲は澄みわたるように明るい声、心に沁みる歌詞を待って連続ポーズへ。
聞かせどころで素朴な演技を実にいいタイミングではさみます。

♪ずっとずっと・・・岸辺を歩きましょうね、
手を離さずに(この命を感じるままに)・・・♪

立ち上がってきびすを返す、3歩引いて盆の外に立つ、こちらに向き直って深々と腰を折ってお辞儀。
喝采浴びて、花道を引いてゆきました。



7景 オリ・タヒチ 琴井しほり

南洋の楽園、ポリネシア。
プリンセスは海と対話ができ、その能力で島の危機を救おうと・・・
オリジナルストーリーを活かしてエンタテイメントに仕立てます。

序奏は打楽器を乱打してアップテンポに、続く曲では喜悦に満ちた笑顔こぼれる群舞へ。
モレ(腰みの)、イイ(ハンドタッセル)、椰子の実をブラ代わりにして、その上からレイの花飾り。踊り手は素朴そのもの、あけすけな笑顔でナイーブな印象を与えます。
腰を落とし加減にして小刻みにひねるようにして振り、膝を震わせ激しい動き。
木をくりぬいた太鼓は『Pate』といい、乾いた音が軽く抜けるように響きます。
土俗的な『Pate』のリズムに対し、アコースティックギターをウクレレのように重ね、いかにも南国的な気持ちよい流れをつくります。

絨毯ほどもある薄い布を、ふたりがかりで頭上に靡かせ、波に見立てて海洋スペクタクル。
踊り手たちが蜘蛛の子を散らすように去った後、引き締まった表情でひとり花道へ。
トケラウ語で♪Ou mata e matagi……♪、澄んだ声でプリンセスを‘その瞳よ、勇者の瞳’と称えます。

盆に着いたところでフラダンス。
サイドステップを右に2歩、左に2歩戻して、くるり回って初めから、手はたゆたう波のようになびかせます。
柔らかい身のこなしで丁寧に踊りあげて、いよいよベッドへ。

ミュージカル仕立てでボーカルは、気持ちを高揚させ自ら言い聞かせるように歌います。
♪See the light as it shines on the sea it's blinding.
   きれいな光景が目に浮かびます。韻を踏みながら、
♪(Skyline)・・・it calls me !

煩悶し、自問自答を重ねた末に、やっと一歩を踏み出す勇気が湧いてきて・・・
内省的な歌詞に合わせて、ポーズを淡々と置くように連ねました。

終曲はがらりと曲調を変え、コミカルながらも底抜けに楽しいダンスになり、客席との心理的な距離を縮めて、弾けまくります。

書き言葉を持たずに発展してきたポリネシアン。
オリ(≒踊り)はコミュニケーションツールそのもの、手も腰の動きも顔も目力も、渾然一体となって雄弁に‘語り’かけます。
この曲で見せるいきいきとした瞳こそ、♪Ou mata♪と称えたくなりました。



9.フィナーレ キューバ

流れてくるとドキドキする、サルサのあの打楽器とラテンのリズム。
コンガ、ボンゴ、クラベス(拍子木)、ウッドブロック・・・ホーンに小刻みなピアノ。
それらがいっぺんにワーっと話しかけてくるように鳴りだしたとき、『クラーベ』のリズムにのせてみなが踊り狂います。
 ♪っーた、つーたっ、たァったっ、たァー、♪(なんか空耳アワーみたい!)

トサカにコステイロでセパレート、おきまりのコスチュームで。
やけた肌を大胆にさらし、なにやら嬌声を上げ、興奮は最高潮に。
華やかなステージを、底抜けに楽しく締めくくります。


                         以上


[8002] 2020/03/22 渋谷道劇 投稿者:chopin' [関東] 投稿日:2020/03/23(Mon) 13:18 
1.井吹天音
2.夢乃うさぎ
3.永瀬ゆら
4.浅葱アゲハ
5.愛野いづみ
6.虹歩 (22周年らしい)


[8001] 観劇記録2020/03/17川崎ロック座 投稿者:peewee [関東] 投稿日:2020/03/18(Wed) 00:20 
川崎ロック座2020-03-11〜2020-03-20
1. 秋月穂乃果
2. 黒宮えいみ
3. 藤咲茉莉花
4. 藤川菜緒
5. 翼裕香
6. みおり舞


[8000] 1月浅草 騒 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2020/02/02(Sun) 20:08 
敬称略です。


序 三番叟

新年目出度や、三番叟。
烏帽子、紗の羽織、
羽織の下から覗く着物の裾。
着物の生地は黒地に桜、梅を散らし、
正面を向くと、割った裾から裏地の赤が覗いて末広がり。

あらたまって正座で一礼、銀色の扇子をさっと開けば、
『騒』の一文字が。
鈴なりの鈴を手にし、琴に横笛の曲で颯爽と、
花道を流れるように摺り足で渡ります。
手にした扇子をひらりと返し、
優雅な着こなし、身のこなし。
実り多き年よと、祈ります。



1景 お座敷 橋元まこ

芸者衣装のメインを中央に据え、袖から一人、二人、三人と加え、
踊り子総出でお座敷にお迎えします。
手にした扇子を達者に捌き、
掛け合い、戯れ合い、すれ違い。
集まって離れて、今度は揃えて調和の美。

お囃子はスリリングにモダンな三重奏。
お三味にフラメンコギターに、パーカッシブなスラップ奏法のギター。

♪Burst up high in the sky♪

お先にと、ギターが単純なフレーズを提示した後に、
お三味がせり上げて旋律をなぞり移調を繰り返し
フラメンコギターはリズムを引っ掛けて走り抜けます。
ギターは打楽器としてぐいぐい引っ張り緊張を高めます。

ベッドは赤い襦袢にお腰。
アシッドジャズでダンサブルな曲調。
メロディアスなギターの歯切れよい音に、
献身的なポーズを打ち上げます。
花道戻りは移動台の上で、
さっと開いた扇で要返しに扇子回し、また要返しと目まぐるしく。
場内盛り上げて終わります。



2景 江戸の怪盗 武藤つぐみ

今夜は冷えるねぇ、やけに犬めも吠えやがる・・・
おっと通しておくんなせい、御用だ御用だぁ!

丑三つ時の江戸町屋、甍を渡るねずみ小僧。
御用提灯、六尺棒、追っ手を煙に巻く逃走劇。
あちらと思えばまたこちら、鬼さん手の鳴るほうへ〜
翻弄される与力のDNAは、いずれ銭形のとっつあんに流れつくような。
コミカルな展開を大真面目な顔で演じられると、
ぁあ〜8時だよ全員集合を思い出します、また見たい。

千両箱を抱えた小僧は、町屋から裏長屋に富を再分配。
手を差し伸ばす客席に、小判がじゃらり、雨アラレと降らせます。
出初式のはしご乗りよろしく、高所アクロバット。
14段はしごが右へ左へと揺れるなか、
小僧の手を離れたお宝が、LEDを反射してキラキラリ。
のけぞり、開脚、ぶら下がり・・・目を見張る身のこなし。
その姿はカクテル光線と交錯しながら、サーカスのように幻想的です。



3景 江戸のアイドル 西園寺瞳

あのな、笠森稲荷んとこの水茶屋で団子をほうばっていたらよ、
そこの給仕の娘が、マジかわいっス(はあと)

島田髷に黄八丈の小袖。
色白で、うりざね顔に、涼しげな眼、品のある口元。

どこに行くにも一緒、気の合うメンズ3人組、
おなごの趣味も一緒とは、揃いも揃ってひとめ惚れ。
気を引くためにあの手この手のプロポーズ合戦は、
花<服<銭で、勝負あり。
仙ちゃんってば、欣喜雀躍、喜色満面で、銭を握りしめた、とさ。

着替えて花道上りは、和傘を手に。
水色の傘に、さわやかな水色の襦袢。
レース生地の奥に桜のような花柄が埋もれています。

明るい曲調に合わせてふわりとポーズ、
傘を片手にバランスを取り、幸せそうな笑みを浮かべます。

♪Someday my prince will come
Someday we’ll meet again♪



4景 鳳凰 沙羅

令和に吉兆をもたらす鳳凰、キメラのお姿で降臨いたします。
四人の精霊と戯れて、嬉々として和やかに舞いました。
五色にちなむ着物の色の取り合わせ、前帯たらし、背側には波打つ魚のひれ。
つむりに鳳凰をかたどる冠が、燦燦と金色に輝きます。

胡弓奏でる旋律は、表情豊かにたおやかに、肥痩線のごとき軌跡を描きます。
竹林はエメラルドグリーンの光に包まれて、
精霊はコサックのように、バレエのように、技巧的なステップでアンサンブル。
時折、竹の実をついばみながら、一体感のあるステージを繰り広げます。

ベッドは冠をつけたまま、白いレース織の襦袢で。
盆に踏み込んで胸を広げ、はばたく姿は有翼のニケ。
表情翳り、曲はダークに。
去り際を予感させ、滞空時間の長いポーズを保ちます。

きっといつかまた探し出してあげるから。
言葉を耳にしながらエンディング。
はかない気持ちで見送ります。

♪No matter where you go
I will find you, if it takes a thousand years・・・♪



5景 お花見 みおり舞

紅白の垂れ幕を背にセレモニー。
ホストの旦那に奥方に、コンパニオンでお迎えいたします。

おっと夫婦ゲンカか、いきなりの。
口角泡をとばして罵り合いか。
荒々しいジャズ進行に、セリフはスラング満載で。
ブチ切れるエモーショナルなこのシーンにぴったり。

サブキャラでキレイキレイなコンパニオンは、
旦那さまにチト色目を使ったものだから、
奥方の顰蹙をかって、あらたいへん。
旦那がどっかにしけ込んでからというもの、
奥方は怒り心頭、興奮が収まりません。

嫉妬と恨みに身を任せ、
コントロールを失ったように激しいダンスで鬱憤を晴らします。

ベッド1曲目、なだらかなバラードで。
シックな黒のランジェリーで、
マイムに、脱力系の動きと流れます。

それもつかの間、終曲は、ド派手なヒップホップで弾けまくります。
ランジェリーを咥えて歯噛みしてこちらを睨みつけながら、
癇癪を炸裂させて場外乱闘か、客席に降りて挑発行為。
劇場型のパーフォーマンスに徹し、
ワイルドなキレキレのダンスで猛威を振るっては、
唐突に去っていきました。



6景 弓 須王愛

武装したもののふが、突如暗がりから現れます。
弓の長さは身の丈を越えて2m。
弓をつがえ、しばし待ち、息を吐くようにいかにも自然にすっと引き手を離します。

‘自分をまず外から内へ向け、その内も次第に視野から失う・・・’

師範がおっしゃるなら、その通りなのでしょう。
破壊的な威力を目の前にしたからには、極意を得んと、ひたすら道を求めましょう。

花道上りは無心になるためのルーティン。
いつものように、鉢巻、手甲、緋縅の鎧、脚絆、袴を順に脱ぎます
胸の白い晒を解き、江戸紫の腰巻ひとつになって前盆に進みます。

心を曇らさず、逸らず、無心のままに。
3点ブリッジで挙げた手が、矢のようにまっすぐ天を指しました。



7景 はいから 南まゆ

じゃじゃ馬娘とイケメン少尉の悲恋物語ですが、
出会いから恋が芽生えて寄り添うまでをコメディタッチで描きます。

袴姿で自転車をさっそうと駆る紅緒さん、少尉に衝突して、あぁ御免!
出会いから急転直下、典型的な少女漫画の展開にノッて、
ダンサー4人も色鮮やかな袴姿で誇らしげ、ミュージカル風に盛り上げます。

車屋を軽くひねった後には、モテ過ぎの少尉にすねてみせ、
さぁ、いよいよ奔流のような大正ロマンに突入するところで、
皆と別れて、すっと花道じひとり旅へ。

朗々とクラリネットが音色わびしく、
‘恋せよ乙女〜〜’
と旋律を奏で、出征、少尉との別れをほのめかします。

本舞台からのマゼンダの照明に包まれ、メインは輝かしい桜色の襦袢で前盆へ。
紫の矢羽根模様の帯が、桜色に映えます。
頭に赤いちょうちょうのリボン、かわいらしく。

複雑な想いを胸に仕舞い、さりげない歌いぶりに気持ちをのせて、
心地よくポーズを放ちます。

♪いのちある限り 道は続いていく〜
 〜行く手に待つのは新しいあした♪

悲恋のままで終わらない、明るい予感がいたします。



9.フィナーレ

からりとしたジャズで、ラテンっぽいノリ。
紅白の創作着物にサンバ・カーニバル風の白いトサカ、白い尾羽根。
ねり歩けば白い羽根がステージを埋め尽くします。
カーテンコールの前に、太鼓叩いて景気づけ。
活気あふれて、騒、Roaringを締めくくります。



                           以上


[7999] 12中・結 浅草 Passion 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2020/01/06(Mon) 20:44 
敬称略です。


1景 フローラ 小宮山せりな

フローラたちの饗宴、愛らしい花の精がひとりブランコに掛け、
仲間のささやきに耳を傾けて微笑みます。
光沢ある白のバレリーナ風コスチュームに、白、ピンクのバラが咲き誇ります。

♪must be talking to an anngel♪

お顔ハレバレ、心ウキウキ、待ちきれないほどの喜びをおすそ分け。
花びらのシャワーを振りまきます。

はしゃいだ勢いのまま盆に駆け寄ると、一瞬にしてあたりは闇に包まれます。
高い天井の片隅から、光の帯が注がれました。
頭上に吊られた満月のようなリングが、
5mから1.5mの高さまでするすると降りてきます。

吊られたリングのカラビナが滑車のように勢いよく回ります。
あえて重心をずらしてリングに体を預けると、
ダイナミックな動きが加速します。
立て続けにポーズベッドを切るように、
宙吊りでアクロバティックなポーズを連ねます。

やがて地上に降り立ってにっこりと微笑みかけたとき、
こちらもホッと安心しました。



2景 風 倖田李梨

背を向けてすっと立つ姿が、白い衣装で闇の中からぼうっと浮かび上がります。
白いスクリーンに映すプロジェクター、
モノクロームで宙を舞う鳥の羽根がちらほらとよぎるだけの、
ストイックなステージを繰り広げます。

あぁ、振り返った。
目が泳ぐようなのは飛び交う羽根を目で追うから。
黒い髪を振り乱しながらのバレエ振り。

打ちひしがれた心に追打ちをかけるように、
寒風が吹きすさびます。
25ノット →30ノット →40ノット
突風に支えきれずに体がなぎ倒されます。

スクリーンを引き上げて、
闇に黒い衣装で立ちました。
途切れなく続く曲を受けとめて、
盆に到達してなおも踊り続けます。

1曲目終わりで倒れこみ、
2曲目ベッドで祈りを捧げます。

♪小さな願いのはじまり
 灯る火を両手で
 風の強い日には消えそうになってるけど
 守るように大きくなるように・・・♪

淡々と流れる時間に、
くさびを打って止めるようにポーズ、レイバック。

歌詞は「きっと・・・」を最後に口を閉ざし
ステージは闇に沈みます。



3景 百合 椎菜アリス

女子校の校庭裏のベンチでは、桜の樹が頭上に枝を張り巡らしています。
何をするでもなく散る花を見やる、制服姿4人、青春群像。

A子ちゃんへのメインの片思いが高じて、実を結ぶはずのない恋の花を咲かせます。
さやあて、やっかみ、嫉妬に妨害・・・

メインの想いを尊重したい客席の応援があったからでしょうか、
A子ちゃんと手をつなぎ、桜並木をくぐるシーンにやっとこぎつけました。
正面向き合い額を寄せて、髪をなでる姿に、萌えます。

ベッドはかわいらしさを保ったまま、フェチでこだわりの画を見せました。
白いシャツのボタンをはずしても肘までは抜かず、
ブラジャーの下のふくらみは、チョッとズラしてチェリーを覗かせるまで。
恥らうそぶりで絶対領域を覗かせて、
さらにその奥のほうをかいま見せての、浮き腰のポーズ。
ありきたりのポーズベッドからズラして再構築。

最後に臍から上を脱いでみせた後、
花道は軽やかなスキップで戻ります。



4景 フラッパー 豊田愛菜

フラッパーは自由奔放でコケティッシュ。
1920〜30年代の西欧で、
夜な夜なクラブに入り浸り酒とジャズに溺れる日。
ボーイッシュな風貌に、金髪、ショートヘア。
スカートを短く切り詰めて穿いてふくらはぎまで人目に晒します。

クラブのつるつるのフロアに、
高いヒールは滑る、滑る。
でも構わずにエレクトロ・スウィング。
チャールストンでグイグイいくわ、酒もグビグビ・・・

あぁ、言わんこっちゃない。
バーカウンターによじのぼってキック一閃、
グラスを蹴散らし照明を叩き割る。

花道上りは移動台にて、
目に鮮やかなグリーンのロングドレスタイプのベッド着で。
肩から腕にかけてを揺さぶりながら、
柔らかい笑顔で客席との距離を縮めました。

ベッド1曲目はスロウバラード。
悩ましげにセクシーに、ムードたっぷりに。

♪It isn’t that hard boy to like you or love you
I’d follow you down, down, down・・・♪

終曲はまばゆい光を浴びながら、
ポーズに立ち上がりに、花道戻りまで。
深いLから豪快なスワンへ、
ゆったりと流れるような動きでスケール大きくまとめます。

ピアノが分散和音を、弦楽器はかそけくも心優しい響きで包み、
つややかな女性ボーカルが1オクターブ上げてバラードを歌いきったところで、
ベッド着のストラップがはらり、肩から離れます。



5景 笞 川菜ひかる

びゅっ、ぴしっ、ぱぁん・・・
長い笞に、竹刀を振り回せば、乾いた音が耳元をかすめます。
ハードロックの阿鼻叫喚にのせて、
メインはスケバン仕立てのロングセーラー服。
睨みをきかし、食ってかからんばかりの剣幕です。

2曲目のリズミカルな曲の間に、
メインは黒いボンデージ・コルセットと網タイツに着替えます。
バックのふたりはその間、息の合ったペア・ダンスを披露します。

さらに1曲をかけて前盆へ。
けだるい、やるせないムードにのせて、じらすようにじっくりと。

冒頭とは一変してベッド入りでは、ミステリアスで沈み込むような感覚に。
ため息をつくような甘いささやき声で、盲目な恋を讃えます

♪I can’t quit you, (続けて4回繰り返す)
 ・・・regret it (   4回繰り返す)♪

心の隙間に悪魔が入り込むほど抗い難い魅力にしびれます。
ベッドはゆったりしたテンポで、シャープな動きも要所にちりばめます。
とりすました表情ですが、一瞬口元がほころんで含み笑いを見せたような気がしました。

終曲はヒロイックなハードロックの嵐で、ポーズ、立ち上がり。
反り身、L字、突き上げた拳の先に、しっかと鞭が握られています。



6景 巴里 桜庭うれあ

デフィやユトリロの瀟洒なタッチを想わせるイラストで、
プロジェクターが芸術の都、巴里を再現します。
明け方、東の空が白み始め、遠景からズーム・イン。
エッフエェル塔から街並みに、さらにダンス・ホールの中へと・・・

年端もいかぬダンサーが、影絵から跳び出して生身でイキイキと踊り始めました。

♪・・・I got my man,
Who could ask for anything more? ♪

幸せそう、嬉しそう。
洒落者の快活な好男子4人に囲まれ、
軽快なステップで全身を使い切って踊り、
往年のミュージカル映画から抜け出してきたよう。

なかでもメインは飾り気のないワンピース。
スカイブルーの地にカルピスみたいなドットを白抜きにして、愛らしく。

そしてネグリジェ風のピンドットのベッド着で花道へ。
桃、黄、水色の細かいドット、裾は鮮やかなアクアブルーのグラデーションで縁取ります。

ベッドはシャンソンの旋律にうっとり聴き惚れて。
4曲目は軽快なジャズで粋にキメ、
立ち上がりでは、幸せそうだったあの1曲目をリプリーズ。
観る者をチアするように、元気よくはじけまくります。



7景 郭 君島みお

郭にひそやかに咲く太夫がおりました。
それはそれは見事な大輪の、華のあるお方です。

おひきずりのお着物は光沢のある桜色、裏地はシルバー。
前結びの黒の帯をたらし、その上から金襴の打掛を羽織って、しゃなりしゃなり。
バック6人も見事なアンサンブルで、
「店」の喧騒と慌しい客対応をリアルに写しとって、きびきびと動きます。

舞台奥で着替えた襦袢は、褪めた朱。
スカのリズムを気にするそぶりもなく、咥え煙管ですまし顔、煙管を指先で弄びます。
前盆に移って腰巻をはらり、座った状態で大股開きを見せて、笑みを浮かべます。

人気の伊達兵庫髷に笄、櫛刺して、ビラビラ簪の揺れるさま、揺れる間から覗く涼しい眼。
優しげな眼差しにもきりり、気品を感じさせ、あらぬ世界へと引き込みます。

襦袢の袖から腕を抜き、L字、片膝立ちで水平方向に伸び上がり。
ちょうど盆もせり上がり、シンフォニックな音とまばゆい光の洪水に埋もれ、ベッドはいったん絶頂へ。

花道戻りでは、再び襦袢に袖を通し、迎えに来た移動台に飛び乗ります。
襦袢の長い袖を振りさばいたり、しおらしく袖で顔半分を覆って隠してみせたり。
そのまま立ち姿で舞台奥まで引いて、最後には横向き静止ポーズではらりと襦袢を落とします。
ぎっしり詰まったポーズに、大音量の曲が拍車をかけ、息詰まるような緊張から開放までを一気に見せつけます。



9.フィナーレ

逆光のなかに群像が浮かび上がります。
スパンコール輝くワンピースのショウダンサー。
リリカルなソロピアノが旋律パートを歌います。
続いてファンファーレ風のメロディが旋律をなぞり、
高音域に出た強い響きがそのままリズムとなって流れます。
ド派手な音楽にのせて跳ね回るように、ためてステップ、またステップ。

♪Take me, take me higher,
Take me, take me,
Take me all around the world♪

スッと伸ばした腕の先、
サッと伸ばした指の先、
上手へ、下手へと順に指し、
視線を送った先に、ロック・オン。

変幻自在に離合集散、混沌のなかに、
忽然と現れるシンメのフォーメーション。
ダンサブルに最後まで飽きさせないで、
壇上に駆け戻って、ヘイ!
片手を突き上げます。



                            以上


[7998] 11頭・中 浅草 Steps on Broadway 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/11/25(Mon) 23:38 
敬称略です。



1景 ブランコ乗りマ−サが孫を諭す ALLIY

空中ブランコのように宙吊りで、マーサが降りてくるまで、導入部にミュージカルの有名な曲を使って、お芝居の世界に誘います。
花形、リーディングプレイヤーは芝居全体の進行役。
主役を嘲り、おだて上げ、青二才の主役を華々しいエンディングへと導きます。

リーディングプレイヤーが『Join us』と呼びかけると、客席も温まります。
ステッキ1本手にして颯爽とスウィングで踊れば、客席はヒートアップします。
ピエロから早替わりでスーツ姿に、バックダンサー4人も華麗なステップでステージを盛り上げます。

ベッド1曲目はリラックスしてなだらかなリズムに身を委ねて軽いノリ。
2曲目イントロで前盆を照らす照明をぐっと絞って、幻想的に。
現代に蘇ったサーカスの趣で、アグレッシブなダンスベッドへ。
長い金髪を振り乱して、跳ね回り、喜びが後から後から沸いて、溢れ出るよう。
感情表現に打ち込みます。



2景 アニーが銃を弄ぶ 楓彩

ウエスタンでガンファイト。
カウガール姿のメインをウエスタン・スタイルの金髪美女が囲みます。
フィドルやバンジョーにのせて、ラインダンス。
アップテンポのリズムに煽られて、ヤァ、ヤァ、ヤァ、ヤァッの掛け声に、気持ちが高揚してきます。

拳を振り上げ、かいぐりかいぐり、はい手拍子ポン・・・、フォークダンスっぽく極めてシンプル。
小学校の校庭で、みんなして手をつないだアレを思い出しました。
陽気なヤンキー姿、金髪なびかせたおつむにちょこん、キャトルマンハットでキメ。
投げ縄放ち、拳銃撃ち、ヒヒン、たずなを引き絞ります。

メインは盆で艶っぽく、愛用のライフルを愛おしそうに撫でさすります。
あぁ、アタシのウインチェスターよ・・・、あいつのマグナムよ・・・
と、つぶやいたとか、空耳とか。

しっぽり濡れたベッドへ。
きっぱりと決意を綴る、別れのラブソング。
終曲はうってかわって、パーティー気分のやんちゃな曲。
つのる想いは、花道戻りに炸裂!
百発百中のアニーが銃をとれば、ハートが100程奪われます。



3景 グィードさいこー 藤咲茉莉花

才能がありながらストレス耐性低いナイーブな男。
満たされない愛をむさぼろうとむらがってくるイカした女たち。
ため息もれるほどの色気で、精気を吸い尽くします。

ラメ入りシルバーのショーガール・コスチューム。
ぴったりとボディラインに吸いついて、ヒップがはちきれんばかり。
ゆらゆら揺らしてアピールします。

脇を固めるイケメンはしゅっとしていてスーツ姿が似合います。
ネクタイ緩めてオフ感を演出。
クールなダンディはスマート。
はにかみシャイボーイはいじらしく。
それぞれ思わせぶりに振りをくずしながら、ぴったり寄り添いメインをエスコート。

ベッドは黒のランジェリーで悩殺。
うねり腰、小刻みな振動が下半身から脳天へ突き抜けて、巻毛のブロンドがほどけたらどうしましょう。

♪………baby did a bad bad thing
Feel like crying
I feel like crying
Oh feel like crying………♪

いまいましげな彼氏の顔が目に浮かびます。



4景 蝶々婦人in 1975 小野今日子

終戦でも当時の記憶に振り回される米兵クリス。
娼婦キムも正妻エレンも、その闇からクリスを救えません。
‘I still believe・・・’
運命がもたらす残酷な三角関係。
ふたりの女性がそれぞれの境遇を堪え忍ぶ情景から4景は始めます。

ベージュ色のたっぷりしたワンピースに身を包み、
ふさいだ表情、不安げで切迫した態度で、バレエ振りにひたむきに打ち込みます。
暗くしたステージを、間接照明のようにほのかな光でライトアップ。
ひとりきりで、追いすがるピン・スポットを振り切るように、
広くステージを使いきり動きます。
素早い動作で剛直に見えかねない振付を、しなやかな動きで受けとめて優美に見せます。

ベッドは堂々した歌唱に、静止時間の長い、堂々としたポーズベッドで返します。
1曲目より前、そもそもの発端、純朴なキムに米兵クリスが恋に落ちた瞬間に、
狼狽のあまり運命を翻弄されていることを恨み、神に問いかける場面です。

♪Why God, why this face?
Why such beauty in this place? ♪

言葉を噛みしめるように、ゆったりとしたテンポで堂々と、
フルオーケストラが高らかに鳴り響きます。
立ち上がり、一礼、花道戻り、閉幕前の最後のポーズ決めと、
ゆるぎのない演技でつないで、幕の向こうに消えてゆきます。



5景 サリーったら女狐ネ 藤川奈緒

時は1930年代、所はベルリン、場末のキャバレー。
キットカット・クラブに身を寄せる英国歌手サリー・ボウルズ。
表情豊かにジェスチャー交えて歌うシャンソンは、ウィットに富んでユーモラス。

♪あなたとの恋はおしまぁ〜ぃ。(ぽい)♪

ちょっとかわいい容姿にすぐ釣られる男のサガ。

この場面は7人横一列で椅子を用いたスタイリッシュなダンス。
黒いハットに、露出度の高いバニーみたいなコスチューム。
黒いタイツのおみあしをゆらり揺らして誘います。
椅子上の静止ポーズやジェスチャーは、あえて7人を揃えず、
微妙にずらして緻密なアンサンブルを築きます。
やおら立ち上がって7人が交錯し、左右ごっそり入れ替えたシーンには目を見張ります。

1曲目を終えて7人が椅子を引きずりハケた後に、
メインが鮮やかな赤のベッド着で、身を躍らせて盆へ向かいます。

♪ママには内緒にしてね、この店のことは(はあと)♪

思わせぶりには、もう抗えません。

ベッド1曲目はR&B、女性ボーカルの芯の通った声にしびれます。
キュートにコケティッシュに振舞います。
終曲は心を鼓舞するゴスペル・バラード。

♪勇気がある、傷はある、でも、ありのままでいく。
 それがわたしだから・・・♪

椅子の上に片足をのせて、横向きで身を反らします。
雄大なスケールの幕引きです。



6景 ミス・シャンプー・コンテスト1等賞! 橋下まこ

笑いあり、涙ありのドタバタ・ロマンチックコメディ。
60年代亜米利加のティーンエイジャー達が、ダンスフロアで踊りの輪が広がって、
素敵なハッピーエンドへ。
そのラストナンバーで、6景は始まります。

リーゼントのあんちゃん2人は、ローティーンのトレーシーにダンスのお相手を所望。
オレがオレがと争います。
華麗なステップすると、2人は唖然として、苦笑い。
場は一気になごみます。

客先まで巻き込んで、さぁ踊ろうぜ!
ゴーゴーダンスの振りは、クロールのように左肩、右肩の順に回しまして、
肩の高さに上げた両肘を、90度曲げて、閉じる、開く、閉じる、開く・・・

まぁまぁお上手お上手、ぱちぱちぱち。
トレーシーに褒められたら満更でもありません(てへ)

ダンサブルな1、2曲目の勢いのまま、ベッドは元気よく朗らかに。
1曲目がR&Bでしたから、シメはやっぱりロケンロー!
立ち上がり、花道戻りを使い切りダンス、ダンス、ダンス、幸せな笑みを振りまきます。



7景 死の接吻 南まゆ

謎めいた存在、トート。
王妃に生涯つきまとい、大詰めではとうとう王妃に、
『死』という名の安息をもたらす役回りです。
世紀末らしい厭世的な世界観を王妃の御子息に吹き込んで、自爆テロに追い込みます。

子息とトートのかけあいは、激しい応酬。
バックダンサー4人はフェンシングのような鉄仮面をかぶり、
黒のマントにボディタイツ。
子息の心に闇が広がるさまを、
めいっぱい体を使ったダンスで暗示します。
誘惑、挑発、征服の過程は、まさに悪魔の所業です。

王妃の御子息を自滅に陥れたトートは、
遺体をいたわる素振りを見せながら、
憂いを帯びた表情へ。
羽毛を敷きつめた白いマントを羽織り、
ふさぎこんだ表情のまま花道、前盆へと進みます。
気色ばんだ表情は、なぜか憤りさえ伝わってきます。

白いマントを袖に置き、ためらいがちに足を運んで5歩で止まります。

♪ Hallelujah
Hallelujah
And it hurts like brand-new shoes
Hurts like brand-new shoes・・・♪

バラードは沈んだ声、悲痛な思いに浸ります。

ベッド立ち上がりは二重唱。

♪Ich hab' mich so nach dir gesehnt
  お前のことを待ち焦がれていた♪

と、勇み足気味に歌いだすトート。
神経質そうなテノールで
 ♪今こそあなたは私だけのものになれ♪
と歌います。

それを飲み込むように豊かな声量で王妃は、
♪Denn ich gehör... ... nur mir!
  何故なら私は・・・私だけのものだから!♪
と熱唱して、事切れます。
トートは虚しさを噛みしめます。

花道戻り、長い引きを、メインは寂しい心情を胸におしいただいて、
露骨に悔しさを見せず淡々と演じます。
優しげな旋律にドラミング、オーケストラが響いて壮大なフィナーレへ。
それも運命と、甘んじて引き取るように、横顔が語ったように見えました。



フィナーレ 赤い風車

フィナーレのフレンチカンカンはもうおなじみですね。
巴里郊外、ムーランルージュの華やかさと猥雑さ。
スカートの裾とペティコート、まくった下のショーツをチラ見せ、モロ見せ。
黄色い声は100㏈超え。

袖から袖へ一気に駆け抜けて、
10人をステージに均等に散らして、
左右5人組に分けまして、
上手5人を躍らせたまま、
下手5人アドリブ芝居の真っ最中。
わいわいきゃぁあきゃぁああああ、大盛り上がりのなか、
白い衣装に着替えたトリを迎えいれます。

11人一丸で花道をせり上がり、
縦一列に隊列を組んで、上手袖で列を折り返しながら、後ずさり。
最後は11人が融和して、閉じかけた幕の間から屈託のない笑顔で手を振ります。


                           以上


[7997] 9結・頭 浅草 Adventures 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/10/20(Sun) 07:04 
敬称略です。



1景 秘宝のゆくえ 原美織

探検隊7名が秘宝を求めて密林の奥地へと進みます。
藪をかきわけ、暗闇をつきねけて。
サファリ・ジャケットにサファリ・ヘルメットの姿はひとし君人形、1人1色にして7人7色。
蛭がでるか蛇がでるか、内心ビクビクものでそろりそーろり参ろうか、出会いがしらの鰐は想定外。
犬に咬まれたと思って諦めて。

なんだかんだで快活なダンスでにぎやかに。
着替えてメインはキュートなコスチューム。
ローズピンクのフーディーに桜色のキャップ、ピンクの短いスカートにピンクの紐のスニーカー。
人なつっこい笑顔にくるくる変わる表情で、フレンドリー。
冒険に挑む『Fear』を、吹き飛ばしてくれました。

軽快なダンス・ベッドで、華奢な身体を駆使してダイナミックにポーズ。
はつらつと浅草初舞台を務めます。



2景 鬼が島紀行 早乙女らぶ

和服姿のアデな姐さんが、黒シャツに白スーツのアニキの肩に手をかけます。
『やっぱり行くのかい』
『おうよ』
ものわびしい旋律で、別れのタンゴをひとくさり。

三世代にわたった抗争はシキンもタマも使い果たし、いざ最終決戦を迎えます。
イヌ、サル、キジの鉄砲玉どもも既に亡く、アニキ独りで闘いに挑みます。
仏壇の位牌に手を合せたその隙に、哀れアニキはハチの巣に。

『あぁ、アンタぁぁぁぁぁぁ』

幕切れはそれだけでは済みませんでした。
戦利品として引き取られた姐御の心中やいかに。
悶える身体に反してふつふつと燃える心の奥底の怒りの火。
遺品(戦利品)のジッポが怒りに火をつけて、
閃光が走り、どてっぱらに風穴があけてやりました。



3景 スペース・ファンタジー みおり舞

正四面体をつなぎ合わせたかぶりもの、うろこのように裸身を埋めつくす三角形の反射板。
近未来の鎧に身を固めた姿から本舞台、移動台で花道へ。
ベタ足で体重移動のみで、身体を震わせ、わななかせながら、うろこをランダムに振りおとします。

静かなヒーリング系の音楽で、2曲目、3曲目と進むうちに音はさらにおだやかに、しめやかに。
静止ポーズとバレエの動きをとりまぜて、つま先、指の先まで統制の効いたゆるやかな動きを、とぎすまされた感覚で緻密に操ります。

展開にぴったり合せた選曲に加え、照明もみごとに使いこなします。
冒頭は逆光の中の立ち姿。
背後の足もとの高さから丸目の4灯が、メインの姿を見分けられないほど強く照らします。
単調な打刻音に重ねてシンセサイザーが音量を上げ続け、破裂して宇宙の闇に散らばるように、照度を抑えます。

2曲目は宇宙航行を思わせる神秘的な響き。
メインの背後で幕を締め切ったとき、舞台天井から、正面からのLED照明の帯が、身体にまとった『うろこ』の反射板に奇跡的に反射して、足の長い反射光を場内に放ちます。
直進性の良いLED照明とはいえ、あんなにくっきりと輝いて軌跡をたどれるとは意外でした。

3曲目はきわめてクラシックに。
古風な室内楽曲風の編成で、とりわけバイオリンが澄んだ音色を奏で、ピアノがシンプルな旋律を繰り返します。
花道から盆へ降り、片足立ち静止で半周。
のびやかな脚腰の動きでおおらかに見せて、Y字バランスで微動だにせず。
振り返りながらスッと舞台に消える一瞬に、安堵の色を浮かべ闇に消えました。



4景 海賊 あらきまい

植民地貿易盛んな時代、貨物船を急襲、略奪、逃走を仕掛ける海賊船。
アンもメリーもその一味。
アンは黒の胴着に黒ブーツ、上からエンジのコートを羽織り、いなせです。

さぁ出航だ、ようそろーぉ。
甲板で足を踏ん張り、アンが舵を握ります。
船足自慢の海賊船、しけをものともせず沖に出ます。
へさきが荒波を砕き、しぶきが甲板を洗います。
ああ右に傾いたぁ〜、左だぁ、

雷雨も去った、さぁ帆をあげよ!
海賊旗に黒々と、髑髏がこちらを睨んでいます。

よく生き延びたぜ、船底のラム酒を堪能して船乗りたちは上機嫌。
アンバーのコートのメリーが手拍子を取り始めると、
興に乗って船乗りたちも、足拍子、手、足、手拍子と、リズムの輪が広がります。
メアリーが戦友アンにハイタッチ、はけとところでアンは花道へ。

アンは黒のセパレート、バグパイプ奏でるノスタルジックな曲にのって盆へ。
部下をたばね修羅場をくぐり、明日をも知らぬ身に、悲壮感が漂います。

ポーズを流して始めたベッドは、活気ある曲に後押しされて、次第に熱を帯びていきます。
立ち上がりから戻りの移動台で、ジェスチャー、ポーズを連ね、
燦然と輝く光の海に姿を消しました。



5景 演奏 徳永しおり

しとやかに登場してさっとボウを上げ、颯爽と奏でるバイオリン。
つややかな旋律に託し、心をこめて歌いあげます。

♪Somewhere over the rainbow
 Bluebirds fly.
  Birds fly over the rainbow.
Why then, oh why can’t I?・・・♪



6景 ロードムービー 友坂麗

‘待ってろよ、マドンナ!’

会わせたい人をデコトラ一番星号に乗せ、全国津々浦々を爆走する桃次郎。
札幌、広島、博多、そしてTokyo!
マドンナに恋して憧れてもシャイだから、とんまな告白ドジって自爆。

名物のスリリングな爆走シーン、どうします?
予算は来月の『Steps on Broadway』の衣装につぎこんじゃったヨ。
えぇッ・・・、てんでワッパもアクセルもないままでの、吉本コント風のアドリブ劇。

あおり、わり込み、制限スピードオーバー、急ブレーキに免停無視とくりゃぁ、道路交通法違反のオンパレード。
でもシリアスさをみじんも感じさせない明るいノリ、カーラジオからはロッケンロールにドゥーワップに、サーフミュージック。

快調にトバした前半とはうって変わり、ベッドはシブくソウル・ミュージック。
赤のドレスタイプのベッド着をたなびかせて、心に打ち込むようにポーズを捧げます。

♪That faraway look in your eyes
It’s getting harder to disguise ♪

しっとりと、余韻をおぼえる引き際に、鮮やかなレイバックを放ちます。



7景 カムイモシリへの旅 花咲ぼたん

アキの秋葉のコスプレイヤー祭り。
浅草にもリムルルとか来てくれないかなぁ〜
☆やったぜ!

純朴な3人娘が山に野に駆けめぐります。
森のカワウソさんとだって仲良しだぜ! お話ししようね。

北海道の地、アイヌモシリは自然の宝庫、自然の恵みに感謝して、
たとえばイヨマンテの儀礼のように、カムイのものはカムイの元へ丁重にお見送り。
可憐な少女もお見送り。
まっすぐな道を無事まっすぐ進めますように。

荘重なブルガリアンヴォイス、多声がツタのようにからまり合い、地声が地鳴りのように響きます。
こころもち照度を下げて薄明のなかに、白く透けるじゅばんひとつで、表情を消しました。
調律を崩したようなプリペイド・ピアノが、一音一音の輪郭をぼかしてみずみずしい水彩画のよう。
それも沈むように消えてしまいます。

いよいよ終焉を迎えるかと思ったそのときに、ワン、ツー、スリー、フォーのカウントダウンが聞こえてきました。

♪君の顔なじみは、みんないつかこの世から消えるよ。
 知っているよね、ね! 知ってたかなぁ??♪

軽いノリのボーカルを、ぶっといベースラインで支えて、ぶあついシンセとテルミンが上のほうから降りてきて、壮麗な響きで包みます。
寂しくなんかない明るいエンディングに、ほっこりします。



8景 千夜一夜 徳永しおり

いにしえの波斯(ペルシャ)で聡明なモルジアナが、悪漢どもを手玉にとったお噺を、王さま、今宵はお聞かせいたしましょう。

・・・目つきの悪いあらくれ4人が身構えます。
遊び女にも見える4人があでやかな色彩の衣装で登場すると、その場がパッと明るく華やかになりました。

優雅な舞でもてなします。
顔を隠したベールを取りのけて見せれば、結構な美貌にあらくれも見とれます。
妖艶な踊りで体を揺すれば、貫頭衣の脇の隙間からチラ見せで、色気をこぼします。

追いはぎをたくらんでいたあらくれでしたが、いったん解けた緊張感を瞬時に取り戻す術もなく、構えた剣をあっけなく取り落とし、モルジアナに取り押さえられてしまいます。

あらくれを退けたモルジアナ、鮮やかな紫のベッド着を身にまとい、ピンスポットを浴びて花道へ。
波斯の玻璃のランプが舞台上方に吊るされて、大きな天幕が蚊帳のようにそれを覆います。
天幕にミラーボールの光が波うちながら映りこんで、みごとな眺めです。

♪I won’t never give up, no, never give up, no, no・・・♪
・・・I’ll find my way, find my way home, oh, oh ♪

Toughな魂を胸に、ベッドへ。

優雅なしぐさで惹きつけて、緩急つけた大胆な動きで切り込んでいき、
とどめを刺すように見栄えのする大きなポーズへ。
立ち上がりからは、ノリのいい曲のパワーをもらい、ピークへと一直線。

♪Let there be, let there be love・・・♪



いかがでしたか、王様。
東の空がしらみました。この続きは、また明日。



9.フィナーレ

ぶあついシンセサイザーの響き、軽快なテンポで割って入るリズム、
可憐な女声ボーカルがチャーミングに。

♪I’m always with you when too far to touch・・・♪

おもいおもいのコスチュームで8つの冒険を示し、
互いの健闘を讃えあうように、なごやかなダンス。

期待と不安に揺れたadventureの旅路、
安堵の笑顔で帰還します。





                           以上


[7996] 観劇記録2019/10/04浅草ロック座 投稿者:peewee [関東] 投稿日:2019/10/04(Fri) 21:35 
2019-09-21〜2019-10-10ADVENTURES 2
1.原美織(荒木、花咲、ダンサー4名)
2.早乙女らぶ(友坂)
3.みおり舞
4.荒木まい(原、ダンサー4名)
5.徳永しおり
6.友坂麗(徳永、みおり、花咲、早乙女)
7.花咲ぼたん(原、早乙女)
8.徳永しおり(荒木、友坂、みおり、ダンサー4名)
Finale.(全員)


[7995] 8中・結 浅草 百物語 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/09/08(Sun) 10:57 
敬称略です。



1景 座敷わらし 清水愛

ぽつんと座るメインを、10人が取り囲んで正座します。
赤や青の絣のような柄の小袖を着て、裸足です。
か細いソプラノが高音域で、糸を引くように語尾を伸ばします。
こだまするように、そのフレーズを何度も繰り返します。
メインはそのフレーズに口の動きを合わせます。

‘アタシのこと、視えるの?’

手話のような手踊りで始まり、11人がぱっと横一線に並んで、ダイナミックな動きの激しさを増していきます。

‘アタシのこと、視えるの?
 ねぇ、視えるの・・・‘

奥座敷で無邪気に遊ぶ子ら。
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・ひとり多い気がする。
もう一度数えようとすると、だるまさんが転んだを始めます。
また数えようとすると、隊列をなして通りゃんせを始めます。

もうちょっと、ねぇもう少しだけ遊ばせて。
はかなく闇に葬られた子らの想い。

ベッド着は緋色の地に梅が枝の襦袢。
帯を解いて肌をさらし、連続ポーズ。
絶唱するロック・ボーカルに挑みかかります。
花道戻りで、冒頭での手話のような手踊りをもう一度繰り返し、強い印象を与えます。



2景 夢十夜 前田のの

椅子に掛けて目の前の鏡を見ます。
窓外の景色が鏡に映し出されます。
豆腐屋が喇叭を吹いて通ります。
喇叭を吹く頬がふくらんでいます。
のどかな金魚売りの声が聞こえます。
声がするなら姿も映るはずですが・・・

鏡の上を探します。
どこ?

声が嘘か、鏡像が嘘か、私が嘘か。
虚実ないまぜの世界で揺さぶられます。

アコーディオンが奏でるノスタルジックなワルツ。
レモンイエローのドレスを揺らし、ダンスシューズで踊る3人の少女。
合わせ鏡のようにぴったり寄り添うダンスで3人がシンクロしてゆきます。

3人は鏡像と実像の組み合わせか、
はたまた三美神になぞらえたものか、
謎掛けに想像力は膨らみます。

ベッド着は短いワンピースで、白地に淡いレモンイエローを差し、
品よくレースが添えられます。
本舞台でハイヒールを履き替え、優雅に花道を歩みます。
連続ポーズでひとつめの波、ふたつめの波と、重ねてうねりを起こします。

ベッドの立ち上がりでハイヒールを丁寧に脱いで、
はかなげな姿を幕のむこうに隠します。



3景 金縛り 熊野あゆ

(仮称)あゆちゃんから、しばしば呼び出されるわけよ、最近。
クセになっているってゆうかぁ〜

あぁ、またテレビつけっぱなしで寝てえぇ。
深夜だから、画面にカラーバー(試験放送)。
薄暗い部屋の壁が三原色で染まってる。

寝相が悪い子だね、この子ったら。
うつぶせだと自分の舌が気道を狭めて、眠りを浅くするっていうのに。
あぁあ始まってら、意識覚醒、身体は目覚めないままの状態、『金縛り』。
世間様は、夢魔の悪戯とか言いふらしますが、いい迷惑。

意識に追いつくように、身体のほうも揺り起こしましょう。
エクソサイズ替わりに、ソレ、操って踊らせてやる。
そぅれ、ソレソレ、夢遊病か、酔拳か。
意識をトバして半ば睡眠したままのダンスは、なにやらコンテンポラリーっぽい。

(仮称)あゆちゃんと私のデュエット。
ステップ、&ターン、そして脱力、&覚醒。
そぅら身体も心も眼を覚ましたところで、私はこれにて、アディオス。



アタシ、暗がりをひとり歩き続けました、いつのまにかぁ。
ネグリジェはなぜか横ストライプの三原色。
スポットライトを浴び、視線を感じるんですけどぉ。

これは夢かしら。
浅い夢から醒める瞬間に視る、はかない夢。
できれば醒めないでほしいの。

♪・・・会いたくて、あなたの胸で眠りたい♪

好きな、好きな、あなたに縛られていたい。
・・・・ずっと、ずっと



(ため息)あぁ、二度寝してらぁ。



4景 雪女 沙羅

雪の深山を思わせる舞台装置、白銀の世界に雪明り。
青白い逆光に浮かび上がる5人は、凍えたように固まっています。

吹雪が途切れ、重苦しいテーマ曲、苦々しげなセリフ。
男性ボーカルが押し殺した声で歌うとき、しのび寄るようにしなやかな動きで。
高揚して烈しく歌うとき、切れよくダイナミックな動きで。
静と動を表裏一体に、潮の満ち干きように変わります

メインはバレリーナのよう。
白のコルセット、下は長めにゆとりを持たせたスカートで、
ターンにふわりと裾をなびかせます。

バックダンサーは女王エルサのように澄んだ水色のコスチューム、
フィギュア・スケートのようにスカートを短めに仕立てて、
すらりとした脚を見せつけます。

ベッド着は腰巻の上に、薄手のガウンを羽織ります。
軽い生地はシースルー、淡い水色の刺繍文様をあしらい、衿に白いファー。
女王らしく高貴な印象を与えます。

はかなげにしみじみと歌う3曲目。
4曲目はうってかわってドラマチックにロックバラード。
いつものように静止ポーズを丁寧に積み重ねるのですが、
曲想にしなやかな肢体を預けるように動き、やがて太い流れを作りあげ、気宇壮大。
やがて花道戻りで壮大なピークを築きます。



5景 妖狐 雅麗華

白い和服、帯に九尾をたらし、白い羽根扇を手にします。
メインを核に白狐4匹をステージ中央に結集させます。
ステージ奥から客席頭上に向けて豪快に放つ白色光ですが、
妖狐を逆光の中に立たせて神秘的。

かわいらしく跳ね回る仔狐に取り囲まれ嬉しそうな妖狐は、
ゆったりと日舞を、白足袋でそろりそろり。

2曲目は舞台奥で早替わり、仔狐が下手にはけると、
あやかしの妖狐が奈落に誘います。

♪この指とまれ・・・
  連れてってあげる・・・
   後戻りはもうできない・・・♪

光沢のあるつややかな銀色の創作着物が、照明を派手に乱反射。
裾を割れば着物の裏地は闇のような漆黒で、裸足の足元を覗かせます。

手にした羽根扇は大ぶりで血のしたたるような真紅色。
華麗に捌けば、羽ばたくというよりは、鳶が空を切って浮揚するようで、
颯爽とした立居振る舞いです。

♪開かずの森へ・・・
  後戻りはもう出来ない・・・♪
(リバース か/え/れ/な/い・・・)
闇の奥から、ささやきが。

立ち上がりから移動台に乗っての花道は、お得意の扇子遣いで、
荒業、隠し技をふんだんに交えて縦横無尽。
ロックアレンジの和楽器の伴奏に合わせて、一気呵成に扇子の舞。
花道戻りもギアを上げ続けて、目にもとまらぬスピードで、
華麗に舞台を締めくくります。



6景 濡れ女 織田真子

夏だ! 海だ! サーフィンだ!
渚でAMラジオから流れる、御機嫌な60年代サーフ・ミュージックで、
レトロに演出します。

花柄ビキニのキュートな3人娘は、肌もピチピチ。
水鉄砲でやぁい、やぃ、と無邪気にかけっこ。
サンオイルぬりぬりした小麦色の肌は、水滴をはじきます。
イイおんながこんなにいるとは、濡れ女の豊漁です。
シャワーが霧となってステージ上を漂い、虹の架け橋もかかりそう。

1曲目、渚ではしゃぎまわった後に、
2曲目、サーフボード抱えて沖へ。

この曲ならテレビっ子世代にも聞き覚えがありそうな。
♪のってけ、のってけ、のってけサーフィン・・・♪
シンプルなメロディラインをしつこく繰り返し、
なじんだフレーズを脳内で反復させます。
エレキのテケテケテケ〜が懐かしい。

楽しさを満喫した渚の1日も過ぎようとしています。
気のせいか波の音がひときわ大きく聞こえます。
夕暮れ、どこか人目のつかないところへ。

ビキニの紐に指がかかり、するすると。
『あっち向いててね』
『うん』
返事だけはいいのですが、釘付けになった目が離せません。
すいかを抱えて、それも立派なの2個。
おいしくいただきましょうか、後ほどに。



7景 かざぐるま 桜庭うれあ

風もぴたりと止んだ蒸し暑い晩、血染めの着物で佇む女房。
抱えた乳呑み児は一陣の風とともにかき消えます。

これはなにかと目をこらせば、
曼殊沙華の花のように、地べたから屹立するかざぐるま、20〜30本はあろうかと。
ストレートの黒髪振り乱し、狂乱の顔は白塗りに、あわれさよりも怖ろしさが先に立ち。

たのみます、この児を抱いておくれ、とせがみます。
抱いてみなされ、
今に、石地蔵のように重くなる。

風も凪ぐと、空気が一変して朗々と島唄が流れます。
母の愛をせつせつと。
♪出逢う喜びと、叶わぬ悲しみと・・・
 蕾に秘する、幾千の夏(=いのち)

なだらかな音階を連ねて、一音一音を後引くように朗唱すれば、
言の葉がじわり、心に沁み入ります。

白い襦袢で盆に横たわります。
清涼な風が吹き、よく通る声で敬虔な歌が流れます。
心洗われ、身も浄め、さりげなく、そして潔く、盆を後にします。



8景 ゴースト 南まゆ

紗の向こう側に、麗しの美女。
紗をはさんで手前に、椅子に腰かける身なりのよい男性。
ステッキとハットを身にまといます。

曲はロマンチックなスタンダード・ジャズナンバー。
現世に降臨した彼女は、かつての恋人にも姿を示さず、霊としての存在のみ示します。
悪戯してハットを奪ったり、ステッキを受け渡したり・・・やがて寄り添いダンス。

♪I spend the lonely night dreaming of a song・・・♪
・・・思い出深い歌をきっかけに、あなたのことが蘇り、私の心につきまとって離れません。

当時の燃え上がったふたりの想いを胸に、男性はうつむいてわびしげに去ります。
傷心を癒すようにおだやかなヴァイオリン・ソロ、やがてピアノが寄り添います。
メインはオフホワイトのイレギュラーヘムスカート。
前身頃を大胆にカットして、ほっそりした脚を覗かせます。

甘みなバラードへ。
♪You’re in my arms・・・
So close together・・・♪

右手、左手を順にあげ、’together’のところで祈りを捧げるように掌を重ねます。
やっと気づいた、私は君のそばにいたい、So close と。

間奏でオーケストラがドライブ、ホーンセクションが音のアーチをかけ、
仰ぎ見るような反身でのポーズへ、鬱屈した想いを解き放ちます。

♪And still so far・・・♪
と寂しく締めくくります。

立ち上がりは天にも昇るような恋の讃歌、ブラック・コンテンポラリーでスロウ・バラード。
睦まじいふたりが互いに称え合い、高め合う理想の恋愛を歌います。

♪I will love you so for always・・・♪

盆から花道戻りは、きびすを返して後ろ髪引かれるような表情。
そのまま移動台で、すらっとした手脚をのびやかに使う、自然な立ち姿にポーズ。
‘always’のひとことを心に刻みます。



9.フィナーレ 百物語の締めくくり

1本、また1本、そして最後のロウソクが揺らいで消えて、闇に鉦が3度、ちんと鳴る。
静寂に耳をこらせば、7つの演目が走馬灯のように一瞬、よみがえる。

そう、終わったはずでした。

さぁ、張った、張った、張ったぁ、つっ込んでぇ、つっ込んでよ〜
胴元がBetをけしかけ、その声を合図に狂おしく曲が始まります。
今日いちダンサブルなシーンが、ラスいちに繰り広げられます。

ベールにシスターを思わせるゆったりとしたコスチュームは、
朱や紫のアーシーな色使いで、和様の文様を埋め尽くします。
長い袖を振りまわし、跳ぶ、跳ねる、身をそらす。

エンディングは唐突に、光と音とともに動きを止めてしまいます。

さて、お帰りはくれぐれもお気をつけて。。。。。。。。。


                           以上


[7994] 2019/08/12シアターセブン 投稿者:peewee [関東] 投稿日:2019/08/24(Sat) 16:39 
シネマ舞劇【曼珠沙華】遊女ノ夢〜吉原炎上 上映会


[7993] 観劇記録2019/08/23浅草ロック座 投稿者:peewee [関東] 投稿日:2019/08/24(Sat) 14:29 
2019/08/11〜31「百物語」season 2
1景.清水愛(織田・沙羅・前田・桜庭・ダンサー4名)
2景.前田のの(織田・熊野)
3景.熊野あゆ(南)
4景.沙羅(ダンサー4名)
-休憩-
5景.雅麗華(清水・前田・桜庭・熊野)
6景.織田真子(南・清水)
7景.桜庭うれあ
8景.南まゆ(沙羅・ダンサー4名)
フィナーレ.(出演者全員)


[7992] 7/21〜8/10 浅草 『百物語』 投稿者:chopin' [関東] 投稿日:2019/08/17(Sat) 11:43 
1景.中条彩乃(真白・赤西・沙羅・鈴香・ダンサー4名)
2景.西園寺瞳(鈴香・ゆきな)
3景.ゆきな(真白)
4景.沙羅(ダンサー4名)
5景.雅麗華(赤西・西園寺・ゆきな・中条)
6景.鈴香音色(西園寺・中条)
7景.赤西涼
8景.真白希実(沙羅・ダンサー4名)
9景.フィナーレ(出演者全員)


[7991] 7頭・中 浅草 Lovers 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/07/29(Mon) 20:58 
敬称略です。



1景 クレオパトラ 有沢りさ

ローマ人のように白い貫頭衣をストンとかぶります。
彫像のように固まって座っていた7人が次々と立ち上がり、
ゆったりと優雅に踊り始めます・・・ツンとしたお顔で。

おぉ、クレオパトラ、汝は気高く、内面からの輝きに溢れています。
人差指を立てて唇にあててみせ、キスでイチコロよ、アタシがあんたを虜にするのに一瞬もかからないわ。

7人をステージに横一直線に並ばせたかと思えば、メインを核に離合集散。
めまぐるしく変わるフォーメーションに、あれよあれよと気をとられます。

ミディアムテンポで気持ちよく流れる1曲目に続き、2,3曲目もその速度を引き継ぎます。
2曲目花道半ば、移動台に体を横たえて誘惑、相好を崩さないでさめたまま見つめられると、
視線に射すくめられます。

3曲目ピークを待ち、よく引きつけて狙いすましてポーズを放ちます。
4曲目立ち上がりから、アプローズ(賞賛)という言葉を何度となく浴びて、移動台ごと去ります。
レイドバック、背を向けヒップラインを強調、そして肩より肘を上げたポーズでトルソーのように固まります。
幕が閉じるまでのほんのわずかの間、にこやかな笑みをこぼします。



2景 じゃじゃ馬ならし 木葉ちひろ

ぎらついたハードロック。早弾きのギター、隙なく攻め込むドラムで、ケンカ奏法。
闘いながらもぴったり息を合わせるプレイを伴奏に、戦士の装束でふたりが熱くバトル。
ムチを振るい、間合いを詰め、絞め技の攻防。
チョーク、チョーク・・・ ロープ、ロープ・・・
手に汗握る天下分け目の一線、あぁ新日を思い出す・・・

あぁコケたぁ! 一巻の終わりか!?
残酷な結末予想を裏切って、助け起こして熱い接吻を交わします。
ツンデレかよ!!

面前でフリフリのピンクのワンピに着替えさせてもらい、うきうき、ワクワク、アイドル歌謡で花道を上ります。
 ♪夢の中では何度も言えるのに・・・ すきです♪
勇気を振り絞って、たいへんよくできました、まる

ラブラブモードでベッド。
 ♪ねぇ振り向いて、とりこにさせて、Turn to me♪

恋に恋する乙女の気持ちを表して、アゲて、はしゃいで花道を引いていきました。



3景 リチャード3世 香山蘭

血なまぐさい薔薇戦争を、陰謀と裏切りで王座に駆け上がるグロスター公リチャード3世。
黒いコートを羽織り、手には緋色の手袋、悪行の痕跡を隠します。
冒頭、メインの表情をピンスポットで浮かび上がらせれば、ふてぶてしい顔、射抜くように眼光鋭く。
政敵4人に見立てたバックダンサーに囲まれ、競うようにステップ、一歩もひけをとりません。
実兄クラレンスを、王妃エリザベスの弟リヴァーズ伯を、幼いエドワード皇太子を、ヘイスティングズ郷を、近親者は片っ端から亡き者に。

2曲目はときに消え入りそうなリズムで、蹴散らされた4人が亡霊のようにはけていきます。
そのリズムのまま花道上りへ。
盆に着くと短い挿入曲がかかり、ちょっと気分を変えます。

史実を超えて原作者が創り出した圧倒的なキャラクター。
肥大化した自我(背中の瘤のように)、
矮小化した良心(萎えた腕のように)。
危ない橋を渡って才覚ひとつで乗り切って、戴冠へ。

ベッド前半はラップ、ときおりスラングを挟みながら、大丈夫なんだから、と自分を諭すように歌います。
♪Dark nights in my players♪ 
(お祈りをするときだって、落ち込むことはあるさ〜)

王位を守るために最後の闘いに乗り込む王ですが、その前夜、夢に亡霊が現れて口々に罵り、まどろみを破られます。

♪open your eyes, open eyes wide♪

この4曲目がミクスチャー・ロックですが、拡声器を通した声が、エフェクターをかけたように不気味に響きます。
快適なテンポ、きれいに韻を踏んで社会を揶揄するラップです。

♪・・あらわ傷を披露、   (ヒロ〜、ヒロ〜)
   けれど血は出ぬわが身、
   中身がからっぽの強み、
         伴う痛み、(ズシンとドラミング)
来た道振り返り (ズシン)
生まれる弱み・(ズシン)

『痛み』でダイブしてから流れるようなベッドが加速。
一拍遅れて入る歌い方、カッコよくいなすようなフレーズを味方にして、耳から入って腕や脚から流れ出るように魅力的なダンス・ベッド。

立ち上がりから花道戻りは奔流のようによどみなく。
立ち回りを交えて、この悲劇を締めくくります。

没1485.8.22. Bosworth Field(享年32歳)
死因;うつぶせにさせられ、切っ先が頭蓋骨を破り脳まで貫通。



4景 十二夜 星崎琴音

舞踏会が始まりました。
伯爵令嬢はひとりぽつんとパートナーを待ち続けます。
小姓で男装のシサーリオ(正体はオリヴィア)が、気遣って話し相手を務めます。

待ち人が来ました。
公爵と令嬢は仲良さそうにワルツでいい雰囲気に。
きらびやかな衣装、心浮き立つシャンソン、3組の社交ダンスは、場の空気も華やいで、心なごませるシーンです。

ところが女心はわからぬもの、男装と知るよしもなく、令嬢ったらシサーリオに首ったけに。
恋のもつれに人違いが重なって・・・



物語の展開をここで断ち切って、令嬢の気持ちにフォーカスしたベッドへ。
花道上りからベッドまで3曲を、恋の芽生え、恋に夢中、失恋とつなぎます。

Fall in loveはジャズバラード。
甘くせつないフレーズで酔わせます。

Crazy for loveは憧れとためらいを抱え込み、
賞賛の言葉にもいちいち『May be』とつけます、13回も!

ベッド着は目のさめるようなレモンイエローでロングドレスのよう。
いつくしむ表情、明るい微笑で、歌詞のメッセージを伝えます。

Broken heartはゴスペルで。
さりげない詞で始めた伸びやかなボーカルが、傷心の深さを伝えます。

 ♪抱いた膝に次々こぼれるしずく・・・♪

ひとつめの『すき』でスワン、ゆるやかに解いて余韻に浸ります。

恋破れても何度となく『すき』と重ねるボーカルを、ゴスペルコーラスが支えます。

 ♪Loving you ,It’s true・・・♪

回り続けるミラーボールを背負って、幕に消えていきます。



5景 The Scottish play 川菜ひかる

フェアなんて最悪じゃぁん。
邪悪なのに『いいね』しよ!
W−I−C−K−E−Dぃ〜
悪の力を呼び覚ませ!

のっけから客席を3人の魔女が奇抜なコスチュームで煽ります。
(その裏で、ここには登場しない主人公は、予言に翻弄されて破滅への道を辿ります)

♪Long live, havin’ some fun!
 We got all the ways to be wicked♪

プラチナブロンドのウィッグ、派手な赤と青を配したスタジャンにホットパンツ。
するりと伸びたおみ足に黒の網タイツ。
ヒップホップ調のノリで、チアガールばりにきびきびと、人文字なども披露します。

ベッドのコスチュームは、胸まで届く網タイツ。
肌の白さが浮かび上がります。

小悪魔的なキュートさで、悪戯っぽく含み笑い、
翻弄される運命など、どこ吹く風。
あっけらかんとはしゃぎ回ります。



6景 オセロー 空まこと

オセロー(ムーア人)に殺された妻デズデモーナ。
原作にはありませんが、死後のデズデモーナの心境を推し測り、
さまよえる魂を形象化してみせます。

3曲構成、それぞれ冥途、安息、涅槃。
板付きで暗闇から、ベールに包まれた屍状態で浮かび上がります。
身を起こし、ベールを被ったままバレエ振り。
死者を葬送するようなチェロとコントラバスが物悲しく響きます。
すべては盆の中、直径2.5mの空間で進行します。

生前の記憶がフラッシュバック。
とまどい、慌てふためくさまを、優雅でダイナミックな動きで表します。
小刻みに踏むステップは前衛的な印象を与えます。

2曲目、弦楽四重奏曲に合わせてなだらかに動きます。
ブリーツ流れる白く長いドレスはくるぶしまで届きます。
頭頂部からすっぽり被るベールは顔の表情が見て取れるほど薄く透けます。
それが膝丈まであり、速度を抑えてゆるやかに舞うと、
ベールの襞が漂って海中のクラゲのようにも見えます。
曲の半ばで全裸のうえにベール1枚の姿へ。
弦楽合奏で細やかな漣のような音に包まれ、彷徨のなかの安息へ。

3曲目は、ミニマル・ミュージックのよう。
ピアノやチェンバロが繰り返す旋律が、弦楽器を背景に浮きたちます。
天井から射し込む6条の青い光の帯。
1燈だけ淡い黄色が救いの手をさし伸ばすようにして、降り注ぎます。
しめやかに進む儀式で、一瞬ですが膝つき反り返りでポーズを切ったとき、
淡い光のなかに神々しい裸身が浮かび上がります。
最後は眠るように動きを止め、涅槃に達して暗転。



7景 お気に召すまま 川上奈々美

男装ギャニミード(正体はロザリンド)は、姉妹のように仲のよいエイリーナ(正体はシーリア)と共に、シーリアの父フレデリック公爵の追跡から逃れます。
道中、身の安全のため貴族から貧民へと身をやつします。
ふたりは鳥籠をきらって自由を求め、オーランドの森に潜入したのですが、
そこは危険がいっぱい、罠だらけ。

さぁさぁ、皆の衆もオーランドの森へ!
何が起こるか、ワクワク、どきどき。
ミステリー・ツアーの始まりです。

プロジェクターの画面いっぱいにバスの車窓風景が広がります。
ミステリー・ツアーにフラワー・ムーヴメントがのり移って(映画つながり)、
令嬢はヒッピースタイルに扮しています。
ヒッピーならゴーゴー・ダンスだっけ?
多少ならハイでラリっても、合言葉はラヴ&ピースで心は通じます。

ギャニミードはいとおしいオーランド様と偶然こんなところで再会するとは!
こんな姿で名乗れないケド・・・。
そのまま意気投合して男友達として、オーランド様に恋の成就のてほどきを。
うまくいくといいですネ、誰とぉ?って、それアタシのことじゃん!

導入部での1曲目はストレートなロックで小気よく。
8人がノリよく、ほぼフリースタイルで踊りなか、ギャニミードとオーランドの掛け合いが。
説いてみたり、逃げてみたりとからんで、正体をロザリンドと明かしてからは、
落ち着いた声でしんみりと歌う、ゴスペルバラードへ。

♪ It's a cold and it's a broken Hallelujah♪
              ・・・神を讃えよ・・・

静まり返ったなか、純白の衣装を脱ぎ去り、レインボーカラーのベッド着へ。
逡巡しながら花道から盆へ。
のたうちまわりながら、ブルースでベッド。

気の多い男を引きとめようともがく女心の苦しさを訴える熱唱。
愛に溺れ恋に焦がれて、狂おしく悶える表現力に目を奪われます。

気を失った常態から呼びさまされて、立ち上がりはディスコ曲。
1曲目のアンサーソングの位置づけで、ライトなポップスセンスが光ります。

世界中を旅して回ろうゼ!
ロンドン、ハンブルク、パリ、ローマ、リオ、香港、東京、LA、ニューヨーク、アムステルダム、モンテカルロ、バーミンガムのシャード横丁(俺んちだけど)
さぁ、遊びまくろうぜ、パーティー、パーティー!

気ままなステップ、明るく幕の向こうに消えていきます。



8景 真夏の夜の夢 星崎琴音

円陣でパックを囲む妖精の集い。
底抜けに明るい印象で、いたずら好きの妖精たちがじゃれあうように賑やかに。

ボサノバ・アレンジで耳障りのいいメロディラインが颯爽と、先へ先へと走ります。
ステップも軽快に捌きます。

インストに入ってパン・フルートが主旋律のパッセージを吹いたのを合図に、
天からハートが降ってきて、もれなく妖精に媚薬のプレゼント。
パックの悪戯好きにも呆れます。
『媚薬』の威力にかこつけて、妖精たちは枕投げに追いかけっこに、唇の奪い合いに耽ります。

消え入るようにか細い声で、アカペラでソプラノのソロパート。
♪and when they let you down,(気分サゲ?)
The morning rolls around(明日になれば〜)♪

続いてコーラスを重ねて、新しい日が始まるんだから・・・と唱和します。
同調するように輪が広がり、次第にスケールを大きくしていって。
エンディングは晴れ晴れとした顔で締めくくります。


                          以上


[7990] 6中SNA 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/06/21(Fri) 21:58 
敬称略です。



1.秋月穂乃果

アラビアン・メドレーでエキゾチックなダンスに、ポールダンスを交えます。
セパレートのダンス着はベリーダンスの衣装に似て、表面がメタリックでキラキラと乱反射。



1曲目は導入でスロウ。シーツ大の薄手のベールを巧みに操り、頭上に掲げて回したり、巻き込んで体を包んだり。
小気味よく太鼓が繰り出すリズムに鉦が調子を合わせ、弦楽器が地すべりのようにかぶさり、非日常の世界へ引き込まれます。



2曲目でテンポを上げて音の間を詰め、めまぐるしく音階を駆けのぼり、女性ボーカルが朗誦するような節回しで歌い上げます。
変幻自在にしなやかに、全身を使って迫力あるダンスで、ぐいぐい引っ張ります。



3曲目で手綱をゆるめて、ポールへ。
腹側からポールを抱きかかえるように2回転、背側で2回転。
暗転後にトップレスのベッド着になり、ぴったりポールにはりついて、そのまま力技を2度、3度キメていきます。



幸運をもたらす蛇が待つ盆へ、合流してからんで、スワンに深いL。
軟体を駆使してアクロバティックなポーズへ、肩を地につけて倒立のまま脚を泳がして危険なバランスを保ちます。
平然とニュートンの原理に逆らいます。



2.羽多野しずく

ストリートギャングっぽく、フードですっぽり頭部が隠れます。
どんなワルや、ツラ見せろ、えぇっ! 犬じゃん。



社畜、日和見、根性なし、飼いならされたイヌめ、
拳を握りしめろ、怒りをこめろ、遠吠えさえ忘れたのかと、煽ります。
ストレートなロックにアグレッシブに挑みかかり、スピードにのって切れ味鋭くダンス。
振りかぶって蹴上げるアクションシーンもワイルドでしびれます。



続いてスピード感溢れるメタル系の音に変わります。
忌々しそうに首輪のリードをはたく、引っ張る、引きちぎろうとしたあげく、ボクを散歩に連れてってとせがみます(キュン)。



3曲目でセパレートのベッド着で盆へ。
右大腿部にぐるりと回したリングに、黒いチョーカーとボンデージ風。
脱ぎ残したブラをアクセントに、野性味溢れるエネルギッシュなポーズベッド。
エンディングではチョーカーにリードがつながれて、おとなしく鎮まります(ニッ)



3.前田あこ

おっとりした印象のお嬢さん、白い洋装、前身ごろがシェル状になっているところを、胴でキュッと締めつけます。
短いスカートからすっと伸びる脚、足首がきゅっと締まります。



1曲目は恋のいとおしさと喪失感を歌います。
そろりそろりとおとなしめのダンス。
2曲目からは、黒髪に刺した白い髪飾りをぽいと投げ捨て、笑みを浮かべて楽しげに。
跳ねたりスキップしたり、天真爛漫に振舞います。



舞台袖に引いて着替え、花道へ。
男ものの黒いワイシャツで、紐パンも黒。
チョーカーと左手首のブレスレッドがおしゃれで、可憐さを引き立てます。



落ち着いた表情で手かざしすれば、差し出す指が宙を流れ、はかない軌跡を描きます。
差し伸ばした掌にミラーボールがシャワーを浴びせます。



一転してシリアスなリスト風のピアノ曲に変わると、せきたてられるようにステージ本舞台で戻り、フラッシュ後の闇に姿を消しました。



4.ゆきな

目の覚めるような鮮やかな柄の振袖姿、麗しく。
懐かしいアニメ映画から挿入曲。
歌詞1番は、ハープ伴奏でしっとりと。2番はジャズアレンジで活発に。
振付は日舞、1番は型にはめるようにかっちり、2番は奔放に、袖をたぐったり扇子を操ったりとまァ、腕のみせどころです。



2曲目でするすると脱衣。白襦袢姿で横たわって暗転。
再び現れたときは、こだわりのある襦袢風のベッド着で、しずしずと盆へ進みます。
日本髪にとまる青い髪飾りは芍薬か紫陽花か、ベッド着はみずみずしい青系統、刺繍をあしらう涼しげなシースルー。
白い肌に妄想をふくらませたところで、襟をはだけてスッと乳房を覗かせます。



オーケストラに包まれて穏やかな表情のまま迎えたベッド。
スーッとさりげなく入った後に、ドラマティックな展開が待っていました。

♪か細い声で語る、私の話をきいて・・・♪

せつなさいとおしさを訴えて熱唱するボーカルに解放されて、世界が広がります。
本当の気持ちは胸にしまう・・・、と、ほろりとさせて仕舞います。



5.神楽アイネ

ストレートの黒髪に花飾は燃える紅。
ワンピースは黒地に赤い刺繍がちりばめられています。
洋楽ポップスはゆったりとミドルテンポで2曲。
キュートな初々しさを強調した1曲目、
2曲目はセクシービーム放って悩ましげに。



おや、懐かしい曲が流れてきました。

♪好きだよと言えずに、初恋は。ふりこ細工の心・・・♪

ナイーブな歌詞が心に刺さります。
清らかな声に、アコースティックギターはぴったり寄り添って、
繊細なピッキングで心の震えを伝えます。



ベッドは往年の和製フォークをピアノでアレンジして。

♪ふたり・・だけのメぇモリぃー・・・♪

しみじみとしたフレーズが、鮮やかに心に蘇ります。



今ひとたび、前の曲をreprise(リプリーズ)。
エンディングが近づくにつれて万感胸に迫ります。
曲想に浸って自然に肩が右に振れ、左に振れて、ふりこ細工の心が揺らぎます。
手振りに身振りで、歌の世界を押し広げてみせました。



6.赤西涼

あれはアタシのもの。



宝石をちりばめた首飾り。
アタシに似合うものは、なんとしてでも手に入れます。



赤いモールを細身の体に巻きつけて、黒いロングドレスでゴージャスに。
ステージをいっぱいに使ってひとしきり踊った後に、光沢のある赤いボディスーツで盗賊登場。
警戒域に進入、暗視、お宝発見、ミッション成功してニヤリ、逃走劇へとテンポよく展開します。



脱衣でシャワーを浴びたかのように白いタオルに身を包んで、ひと息ついて。
赤いシースルーのベッド着に替え、ジャズで癒されながら、朗々と響くクラリネットの音色に身をゆだね、盆にたどり着きます。
流麗なポーズを流してにこやかに、くつろぐように振る舞います。



静まり返った後にひと呼吸置き、ベッド後半は俄然盛り上がります。
アップテンポ、スカのリズムでたたみかけ、栗色の髪を振り乱し激しい動き。
立て続けにポーズを切って攻めまくります。
立ち上がりから、逆光のなかでレイバック。
スリリングなステージにスカッとします。



                                             以上


[7989] 5頭・中 浅草 EARTH BEAT 2019 RISING 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/05/14(Tue) 19:54 
敬称略です。



1景 岩の洞窟より 橋下まこ

ほの暗いステージから闇が溶け出すように明るくなり、舞台中央にメインが現れます。
ステージ四隅に和太鼓を据え、導入部の曲に合わせて渾身の限り、バチで叩きます。
奏者4人とは別に、狭い間を縫うようにして踊子4人が舞い踊ります。

『岩の洞窟』の主を動かすくらい熱く激しく、憑かれたように狂おしく。
重い扉が開くのに、ものの2分もかかりません。

照明が創り上げた荘重なシーン。
古代鏡にLEDが何度もよぎって、薄紫や萌黄の光の矢を反射させます。
メインの見つめる瞳が鏡に映り、その鏡像を私の眼が追い、遠ざかる姿を私が見つめます。

いっときの眼福にあずかります。



2景 道化師 武藤つぐみ

幕間を沸かせるいぶし銀の芸、道化師。
まだら模様のタイツに、角をはやしたかぶりもの、肩から腰にかけて薄布がふわふわと覆うコスチューム。

『どうもぉ〜』と幕開けで登場して、出トチって、はい、出直して。
愛想振りまき気を引いたところで、絶妙なタイミングでくすぐってきます。

景気よい曲が、感傷的な曲に変わりました。
タイツもかぶりものも脱ぎ去って、唐突にバレリーナの真似事を始めます。
腕を浮かせて掌をひらひら振って、白鳥の湖のパロディでしょうか。
技巧的なテクの合間にも、あらマァ照れ笑い。
真剣モードにぴしり、亀裂が入ります。

ベッドは自由奔放に。曲は刻々と変わります。
シャンソン風から、キャバレー風に、はたまたバレエ風に。
ポーズを連ねて、片足上げのブリッジは柔軟な体で反り返った背のラインが美しく。
立ち上がりで一例。目の下にストーンで描いた、ティアドロップがきらり、光ります。



3景 ベトナムのランタン祭 雪芽さゆり

ステージ奥に紗を吊るしてスクリーン代わりにし、裏側から静止したミラーボールで散らした光の粒が、繭玉のよう。
宵に浮かび上がるランタン(提灯)の灯に包まれて、異国情緒に浸ります。

竹編みの笠を手に3人はアオザイで、メインは淡い桜色をまといます。
一歩踏み出しては戻し、大事そうに両手で持った笠を胸の前に差し出したり、頭上を大回りしてまた胸の前に収めたり。
ゆったりと流れるような民族舞踊です。

じきにふたりはランタンで足元を照らしながら、メインを花道へと導きます。
音楽も相まって幻想的な情景の中で、恥らうようにはらりと脱いでみせました。
口元に柔らかな笑み、涼しげな目元でちょいと見回します。

澄んだ女声ボーカルがさえずります。
スワンで差し上げた手の先は伸びやかに。
V字は背筋をピンと伸ばして静止します。



4景 フラメンコ 清本玲奈

ブレリア、ブレリアッ!
ジプシーに由来するアンダルシア地方のフラメンコ。
切れ味鋭いメインを華に、バックダンサー4人がジプシーのように寄り添って盛り立てます。

真紅のフラメンンコ衣装は、袖とスカートをフリルでボリュームを持たせます。
フリルの縁には黒い縁取りで、コントラストを与えて、可憐。
軽快なリズムにのって、しなやかに、しかもシャープに動きます。
5人が密集したり、散開して豪放に舞ったり、メインを4人から引き離して目立たせたり。
ステージを広く使ってエネルギッシュに踊りながらも、4人がぴったり振りを揃えることで、統一感を感じます。

花道のぼりをボサノバで、蛇行しながら駆け上がります。
サンバに似た3曲目で落ち着いた動きのなかにポーズをちりばめると、終曲は男女デュオのスペイン歌謡でロマンチックに。
力強くのびやかな歌声、熱唱のピークで立ち上がりへ。
腰を引いて立ち、上体を泳がせながらゆったりと動かし、一礼を。
満面の笑みもいとおしく。



5景 顔見世 君島みお

背もたれが大きく広がる籐椅子に、8景に先駆けてトリが姿を現します。
ゆったりと腰掛け、脚を組みかえる、体を右によせる、今度は左に体を深く折る。
スリットから覗くおみあしはすらり、黒い網タイツ越しに目を奪われます。



6景 カリンカ 海空花

踊子5人景、赤、青、黄、緑、紫と戦隊ものよろしくカラフルな民族衣装をひらめかせ、楽しげに民族舞踊。
頭の飾りはお花畑、そこから垂らしたリボンが揺れています。
聞きなれた歌詞に合わせて1、2、3、4・・・8拍でひと区切りかな?
アップテンポで喜悦に満ちて、娘さん方は高く跳ねてトゥで宙を蹴り、踵を打ち合わせます。

遊び疲れたかのように4人は座り、メインをあたたかく花道へと送り出します。
人なつっこい笑顔をロシア語の3曲目で見せた後、英語の4曲目では烈しく活気溢れて動き回ります。
オーバージェスチャーで手振り、表情づけ。
花道から本舞台まで駆け巡り、側転を3度、着地なだらかにハンドスプリング。
場内を沸かせます。
得意げに微笑み、明るく客席に手を振って去りました。



7景 ジャングル 倖田李梨

虎柄、豹柄の腰巻でジャングルを闊歩。
大地の鼓動を伝えるビートにのせて、シンプルな振りはエクソサイズにも似ています。
密林に下がるツルに、手を添えたり引っ張ったり。
2人景でシンメも、掛け合いも。
アイコンタクトで気を合わせます。

トップレスになって虎の化身に。
花道を這うように四足歩行、転がりながら盆に体をすり付けます。
野獣のようにしなやかに体を捌き、浮遊感を感じさせるベッド。

立ち上がりからはフリースタイル、本能を覚醒させてダンスベッドの極みへ。
しっかりした足元の動きに、上体、肩、腕の動きが引きずられないで、自由自在。
アップテンポの曲に、動きを加速させて客席を興奮の渦に引き込みます。
客席で仕草手振りを真似る方も。
祭りの余韻を残して、いよいよトリ景へとなだれ込みます。



8景 ヴェネチア・カーニバル 君島みお

広場は野外劇場に様変わり。
身分を隠し、グロテスクな仮面をかぶりで、いっときハレの場を味わいます。

王侯貴族に扮した仮面の6人は、交錯しながら包み込むようにして、踊りの輪の中に、後から登場するメインを呼び入れます。
豪華絢爛、光沢をたたえた派手な生地を軽々と翻し、メインを囲んで渦まくように急旋回。緊迫感に満ちたシーンが続きます。

早着替えで黒い御腰の上から、光沢ある銀色の襦袢を羽織ります。
花道を上り終えると、ベッド1曲目は教会オルガンの響きに包まれて、のびやかな女声ボーカルが流れます。
動きを抑え、客席を一瞥し、その目力にものを言わせます。

続いて2曲目でシンセサイザーが華やかな音の世界を紡ぎ、襦袢に袖を通したまま、浮き上がるようなポーズを2度、3度。
裸身を乗せたまま盆までせりあがり、目の前にそびえます。

そのまま花道を戻ります。
せり上がった盆から移動台に移って佇みます。
壮麗な音楽が鳴り、劫火のような照明が逆光でカッと照らすなか、立姿のまま移動台ごと花道をゆっくりと引いていきます。

腰の高さで軽く腕を広げ、目線は遠くまで届けます。
メインがふと振り返れば、本舞台に踊り子6人が、既にフィナーレの衣装をまとい、メインを恭しく待ち構えるのが見えてきます。

まばゆい光の洪水のなか、踊り子群像が作る安定した構図は来迎図にも似ています。
はらりベッド着を落とすまで、満場の視線を一身に引き寄せます。



フィナーレ

8景終わりになだれ込むよう、息をつかせずソレ、ソレ、ソレッと。
半被姿もイキなこと、若い衆が総出で踊りまくります。
大漁旗振って、手ぬぐい振り回して。
ステージの余韻を客席までなだれ込ませて、あいやァ、これで仕舞いとなりました。





[7988] 5上東寺 チーム・プリティ 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/05/14(Tue) 19:15 
敬称略です。



1.川菜ひかる
  (新宿と同じ)



2.須王愛
  (新宿と同じ、ただしバックサンサーは2人→1人へ)



3.秋月穂乃果(クロネコヤマトの宅急便)

kikiは13歳のままでした、お久しぶり〜
相棒(猫)のjijiは渋い顔しながらもおとなしく舞台設営のお手伝いをしてくれます。



横断幕のように白布を舞台に差し渡します。
そこには、kikiの目を通して見る、京の街の眺望が描かれます。
メインのベッドもエアリアルティシュー。
kikiは宅急便の配達で京都タワーや東寺を見下ろし、
メインはティシューで東寺場内を見下ろします。



高さ4mから吊るした布に足首や踵を巻きつけて、体重かけてぐっと締めます。
あとは布のねじれと慣性を利用して、面白いようにくるくる回ります、気持ちよさそうに。



着地後、腰の高さの脚立を盆へ、花道へと据え、新体操にでもありそうな静止ポーズを2度、3度。
魔女の箒を大事そうに持って盆へ。



澄み切った女声ボーカルにのって、今にも空へ飛翔しそうでした。
ステージ上に散らばるお星さまの型をしたライトが瞬いて、
kikiの夜間飛行を想像させます。
映画の世界を結晶化させて、見る者に夢のかけらを届けます。



さて前半のダンスパートですが、実になごやかでした。
ボサノバアレンジの導入部から、なだらかなメロディラインにつながって、
♪小さい頃は・・・・♪と、回想します。
2曲目は『マイダーリン』にすねてみせる、ポップスセンス溢れるオールディーズ。
オタク振りも加えて、やんちゃなところも見せました。




4.香山蘭(カヤマ大サーカス)

“さぁ寄ってらっしゃい、見てらっしゃいー!”
町に闇夜サーカスがやってきました。
よどみなく口上が流れ、昭和一色に染まります。



舞台を設定する団員は、猛獣使いにバーレスクダンサーみたいなのに、
あと、ピエロさん。
高さ4、5mの梁から脚立に乗ってテントを吊り下げて、手書きの垂れ幕を掲げます。
手作り感満載です。



1曲目は闇夜サーカスのテーマソング。
紫の着物にきりりと帯締めて、黒いハットに花飾りを添え、旅役者風情でいなせに踊ります。
2曲目は早替わりでショウガール、ステッキついてダンサブルに。
3曲目は青い浴衣のような和服を着流しで、まさかの裸足フラメンコ。
すばやく足を運んで白熱のダンス。



衣装そのままにベッドは、花道上りでうらぶれた昭和歌謡。
『圭子の・・・・』と、歌い手の名を冠した往年のヒット曲。
わびしく、せつなく、おんな心をさらけ出します。



終曲は、アップテンポでたたみかけてスリリング。
ベッドに動きを与えて、ぐいぐい引っ張ります。
続けさまに、シャープにポーズを切ってみせます。



サーカス、また来ないかなぁ〜



5.高崎美佳(一夜のユメに託して)

さぁさ、サーカスは終わったよ。
設営を片付ける3人は、順に袖に引き、褪めた朱や緋色の襦袢姿に着替えて現れます。



2曲目冒頭、ウッドベースが低く忍び寄り、上手から和服で艶やかに装ったメインが現れます。
♪レディース、アンド、ジェントルメン!♪
人生模様をかいま見せる、ショウタイムが始まります。

このまま2曲目から3曲目までかけてたっぷりと、大衆演劇の歌謡ショウで見るような、やんわりと芝居がかった踊りが続きます。
元になったポラ館でのひとりきりの演目とは選曲を変えないまま、印象は一変しています。



2曲目クールなジャズでは、メインはサブの3人(女たち)とシンクロして、和傘を開いて回す、見た目には情緒的な踊り。
表情を抑えて翳りをみせて、感情の機微をそぎ落としたよう。



さっぱりした黒っぽい着物を着た旦那衆(香山蘭)が登場。
和傘をメインの上にさし掛けてあげて、情をかけてメインの心を融かします。
ここではちょっとした表情の揺らぎが効いています。



ひかれ合うふたりのからみ、一瞬燃えて燃えさしになる旦那の、つれない態度
お定まりの別れ(捨てる?)に、心を吹き抜けるすきま風。
サブの3人は、女性として共感するのか、はたまたソレ見たことかとあざ笑うのか、思わせぶりにスタスタと舞台から引いていきます。
悲哀に満ちたジャズ風のボーカルが、感傷的なシーンに寄り添うよう。



帯を解き着物を脱ぎ、悲しみに浸るというか諦念に至る道を示します。
シチュエーションにぴったりの、和製フォークのバラード(4曲目)は、せつない歌声にアコースティックギターがすすり泣いて、合わせます。
日舞風の身振り手振りをはさみます。



終曲(通算5曲目)で彼方に希望の灯が見えてきます。
ゴスペル調の黒人コーラスグループの柔らかなハーモニー。
すり切れた心をあたたかく包みます。
♪God bless you〜♪
で静かに上げる脚でL字を作ります。
♪You make me feel brand new♪



『生まれ変わった気持ち』のひとことに癒された気がします。




[7987] 3結SNA チーム・プリティ 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2019/04/05(Fri) 22:01 

敬称略です。



1.川菜ひかる

残業規制が稀薄だった頃のジャパニーズ・ビジネスマン。
戦士たちのイメージを、観客像に重ねあわせ、叱咤激励してくれる・・・
そんな癒されるステージです。



5人全員でダークグレーのスーツ姿。
ネクタイは、酒場で酒にまみれる頃には首から頭へ移動しています。
スカのリズムに合わせて元気よく。
コミカルながら悲哀たっぷりに演出します。



4人の戦士はバーの止まり木で羽やすめ。
ジャズのピアノ・トリオがムーン・リバーを奏で、やさしげな旋律に浸ります。



入れ替わり現れたメインは、元祖国民的な人気アイドルグループのテーマ曲で、シンプルかつ力強くダンス。
ベッドでも、くすぐる歌詞が泣かせます。
曲のテーマにちなんだ『花』は、やわらかくスワンであげた頭上の掌を、ぽっかり咲かせて蓮の花のよう。



終曲は威勢よくノリノリで、客先の手拍子を煽ります。
へこたれない強い心の持ち主には、きっと勇気を分け与えてくれるはず。
    ♪さぁ、なんでもやってみよー!♪



2.須王愛

隠微なバーレスクで始め、スタジアムでのライブのように派手なエンディングで締めくくります。



鈍い赤に重い青のライティング、単調でちょっと退屈するリズムで、抑制のきいたバーレスク。
その場足踏みから、三歩下手に寄って腰をクネクネ、三歩上手にもどってお尻をフリフリ。
フラフープを大鏡に見立てて、キス、キス、キッス!ブチュッブチュ。
リップの跡を残します。


短い間奏をはさんで、電話越しのヴォイスが聞きとれます。
サブのふたりの女性といっしょに、紙コップを口にあてて『もしもし、もしもし・・・』
ふたりがはけて、メインがトップレスで登場。
悩ましげなキャラクターにのめり込んで、艶っぽく演じます。



テンポが揺れる中をかいくぐるようにしてベッドへ。
往年のアメリカンハードロックの雄がバラードを熱唱すれば、スタジアムがわきたちます。
タイトなドラムに合わせ、花火を打ち上げるように、ズドン、ズドンとポーズを放ちます。
立ち上がりから本舞台戻りで、フラッシュ一閃、一瞬浮かび上がった姿が、再び闇に沈みます。



3.夜白小梅

渋いジャズ・サウンドで、まどろみから揺り起こされます。
朦朧とした意識の先に、薄明が。
寝そべるメインの前に、パートナー・ダンサーが現れます。
黒いランジェリーにガーター、仮面舞踏会用アイマスク。
レースの網目の隙から白い肌が浮かび上がります。



メインはワインレッドの薄布を絞ってふわりとたらしたコスチューム。
その姿で『黒』のパートナーと対峙します。
つかず離れず踊って、フィアンセでもレズビアンでもない関係。
しめやかに進行する死の舞踊。
相手に寄って差し込んでは、返されていなされてと、ちょっとだけ古流の合気道を思わせます。



『黒』のパートナーがはけると、ひとりトップレスで盆へ。
フォークっぽいさわやかな曲に合わせベッド。
腕をつっぱらないでたわませたままスワン。
しゃちほこは、上げた脚の膝をゆるめて曲げる、スコーピオン
に崩します。
視線からぞっとするほどの色気を浴びせます。



4.雨宮衣織

おもちゃ箱をひっくり返したよう、ファンシーでワクワクするミラクルワールドに誘います。



全曲エレクトロニック・ロックのような感じで、1曲目はアコーディオンが旋律をつむぐなか、芝居風の演出をなごやかに4人で演じます。
ギクシャクとロボットダンスしているふたりを、着ぐるみのくまさんのキャラクターが乱入してきて、先のふたりをつまみだします。
メインはゴスロリ風のコスチューム、あどけなく思わせぶりな表情で愛くるしく。



2曲目はアイドル歌謡風のシンプルな振付けで、媚びを売ります。
軽いノリで楽しそうですが、明るいにもほどがある、度を越してはいませんか!?



3曲目、メインがいったんはけて、上手から再登場したときは、フリルで埋めつくされた白のランジェリー姿。
軽く目を閉じ、面から表情を消し去り、気配までも消してみせて、自己陶酔するようなベッド。
横たわる途中で上向けた顔、脱色した明るい色の髪が、ちょうど口元にかかります。
2曲目までの活き活きした感じはどこへ?
精巧に作られたドール、シリコンの肌合い。
ソフトビニールのリカちゃん人形を懐かしみます。



計算づくの筋立てで、フェティッシュに心を弄びます。



5.徳永しおり

一貫性のある選曲で、上品なスペース・オペラです。
たおやかな旋律、瞬いて震える電子音。



メインは活発に踊ります。たのもしい4人がサポート。
メインは鮮やかなスカイブルーの制服姿、艦艇ヤマトの提督を思わせます。
4人はギリシャ神のような姿で、白い長手袋はめて、指の先に小型ペンライトを装着します。
指先の動きで星の軌跡を描いたり、互いに寄り添って北斗七星をかたどったり。
ほの暗い照明、悠久の音楽、広大無辺な広がり。
アルカイックな4人が『静』なら、メインは『動』で応えます。



1曲目は伸びのあるボカロっぽい歌もの、続いてリズムを前がかりに打つ颯爽としたアップテンポな曲へ。
4人がはけて、無窮動に響く3曲目、メインは全裸ではけていったん暗転。
レース地をフリルで飾るゴージャスな白のベッド着を羽織って盆へ。
ゆったりとしたテンポ、深い息づかいで歌唱力豊かな女声ボーカルに包まれ、身を捧げ、祈ります。
L字、スワン、差しのばした指先が天を指し、のびやかなポーズを連ねます。
プラネタリウムで満天の星を仰ぐよう、優雅なシルエットに見とれます。



6.特別公演   仙*葉*由*季

分厚い重低音が闇に響きます。
7年のブランクを経て、はぐれカラスが降臨します。
1曲目は和製ハードロック。
傷つけやすい繊細な心を隠し虚勢を張り、
 ♪俺は夢を(君を)信じてた♪
と、うそぶくヤツ。
 ♪俺は闇夜のカラス♪
と、自嘲します。



艶やかな白のお引きずり、両手に白の羽根扇、白い羽根を髪に飾って『かぶく』者。
曲調に合わせてダイナミックに動き回って、日舞の枠を、限界まで攻めまくります。
寅泰のカッティング、達也のドラミング、せめぎ合いながらたちまちトップスピードに持ってゆきます。ベースが狂おしく吠え、高揚感を煽ります。



2000年代後半、3〜4作に絞って繰り返し演じていた時期がありました。
今日の四曲構成のうち、1,4曲目がそこからの抜粋で、また1,3曲目は浅草での引退公演の再演になります。



2曲目は次のシーンへのつなぎで、本舞台で黒い衣装で静止。羽根扇を手に佇む姿は、気迫が漲ります。
暗転後、板付きで始まる3曲目は、椅子上で危ういバランスを保つベッド。
籠の小鳥をいとおしげに見守り、そっと解放してあげます。



再び暗転、椅子の上で膝を抱いた姿から始まる4曲目は、白い羽根扇を操り、時間をかけて花道を戻ります。
日本の映画音楽で、じらすようにゆっくりにじり歩きます。
本舞台へ遠ざかる姿を目で追えば、万感胸に迫ります。



仕舞いは舞台中央で、胎児のように丸まります。
裸身を白い羽根扇ですっぽり包み、卵の殻にとじこもったよう。
動きを止めて、消えてゆきました。




以上


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