[7906] 浅草2中〜 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2010/04/04(Sun) 05:26

浅草2中〜3中



敬称略です。


1.桃瀬れな/翼裕香

 前週のフィナーレを切り取ってはめたような演出です。桜色、ピンク、ラベンダー…目にも鮮やかな、羽飾りで盛り上げたゴージャスな衣装の面々が舞台を埋め尽くし、華麗ですがすがしい印象を与えます。
 メインは2曲目で下手にはけて、白い透明なベッド着姿で集団から割って出ます。
 人なつっこい笑みを浮かべて上手舞台縁で、素足にパンプスを履きながら客席とコミュニケーション。沈んだ3曲目から、浮き立つような4曲目で爽快にポーズベッド。
 高いパンプスでつま先立ち、伸び上がるように柔軟なブリッジをかけました。



2.小松みずき/綾秦クレハ

 イスラム風な衣装で、腰や胸に吊り下げたアクセサリーをベリーダンスのように響かせながら、活気溢れるオリエンタルダンス。さわさわと心地よい音が硬質に響き、鳴り物主体の演奏を和らげるように包みます。
 二人のバックダンサーは、競うようにアクロバティックなダンスを仕掛けて、メインを挑発します。全身を品のあるレモンイエローとゴールドに包んだメインは、落ち着き払ってふたりにシンクロします。
 ベッドは、羽織っていたシルクのように軽いベールを剥いで、翻しながら身にまとわりつかせます。目の詰まったタペストリーを織る様子を見るようなきめ細かさで、丁寧に演じます。



3.紙音/草凪純

 ダンス界にも影響を与えた歌手でした。彼のナンバーをメドレーで、故人に捧げます。
 リズムボックス多用やスタジオでの編集作業によって、生々しい音の手触りからかけ離れた、人工的な音作り。出だしで引っかかるような単調なリズムを延々と続けて、あるときはゴスペル風にしなやかに、またあるときはジェームス・ブラウン張りにシャウトして、持ち前の歌唱力で狙ったとおりに曲を盛り上げます。
 メインは色違いにした男装5人を、舞台一面にうまく散らして、フリーな演技を思わせるような技巧を尽くしたダンス。プロ・ダンサーの手にかかると、曲の息遣いを感じさせるような伸びやかな展開に。
 帽子の下でまとめていた、豊かな栗色の髪をさっと解き放ちます。ベッドは愉悦に満ちた穏やかな世界。曲に身を委ね、タイミングよく無理のないポーズ。
 無表情を装ってすました状態から、結び目を解くようにしてチャーミングな笑みをこぼします。



4.杏野るり/MAYA

 先月の公演より移動台にしつらえた金属製のパイプによる鳥籠を使います。
 軽快な音楽にのせてセパレートの水着にダンス用のサンダル、新体操のような動きから、かごの中に捕われ虐げられ、打ちひしがれた様子。かごの扉は開いたままですが、あたかも見えない鎖でつながれて幽閉されたかのよう。
 メランコリックなロックバラードで、暗い気分。舞台正面奥の一つ目燈から、放射状の光が降り注げば、対向車のヘッドライトに目をくらまされたときのように一瞬ドキッとします。
 通り過ぎる程度で盆は一切使わず、続く花道戻りではかごの中で、ごく普通の静止ポーズとポールダンス風の動きを組み合わせ、ヒロイックなエンディングを迎えます。



5.菜摘りんか/西園寺瞳

 プラチナ・ブロンドにピンクのコルセット、しっぽを振るように腰をくねらせて、悩ましげな姿態の美女5人。往年の怪盗ものの映画のキャラクターを思わせるテーマ曲。しなを作ってすまし顔をつくろって、抑えきれないくすくす笑い。
 2曲目終わりで着替え直し、お姫様のようなローズピンクのロングドレスに。
 花道往きでは終始、愛想を振りまきながら、胸元には三重に回したパールのネックレスが輝きます。にっこりと白い歯を見せ、仏蘭西流の上品なピアノ曲の間、盆に身を沈めて、息を潜めます。
 そして立ち上がりは元気を沸き立たせる明るいボーカルで、長丁場の花道にポーズをちりばめます。



6.川村あいね/鈴木千里

 白無垢の着物、パタパタと白足袋で駆け抜ける日舞洋舞のような振付です。白いドレスをなびかせるバックダンサー4人を従えて、ダイナミックさを増幅してみせます。
 粒立ちのいいピアノの旋律を、だんだんとラグタイム風に崩し、悠々とチェロを泳がせて、両者の掛け合いにと進めてタンゴへと展開。悠然と踊る着物姿のメインをコアにして、バックダンサーが左右へと振られます。
 着物の早替えは三味線一本で、節の切れ目で息をつぐように静寂をはさんで、つかの間のしじまに浸ります。
 白い襦袢のまま、波間に漂うようにベッドへ。銀の髪飾りが冴え冴えと輝きます。豊かな表情の変化が冴え渡り、つぶらな瞳をつい覗き込んでしまいます。
 引き潮にさらわれるようにして花道戻り、背後からは青主体の照明で染め上げて、スモークを浮かべた天井近くを深いエメラルドに染め抜いて、海原を舞う白鳥を思わせます。



7−1.白石美咲

 切れ味鋭いステップにスピンターン、バックダンサー4人がシンメトリーで、メインは常にそのセンターに位置して、爽やかな水色のドレスに身を包みます。長いスカートの裾を流れて揺れます。
 2曲目からはくつろいだ様子で移動台の上でおもむろに着替えます。椅子に腰掛け正面を向き、足元のフルーツバスケットにハイヒールを入れてパンプスを取り出します。ブラジャーを収めて網目のタイツを取り出し、くるくると巻き上げるようにして膝上まで引っ張り上げました。
 カーテン越しか節穴を通してしか見られないはずの景色が、オープンな舞台上の眼前に繰り広げられると、ちょっと不思議な気がします。
 戸惑いを忘れるほど緊張した面持ちで始めたベッドは、大胆なスワン、見栄えのする静止ポーズへと展開して、見事な身体を活かします。



7−2.月城まおら

 メインを赤の、バックダンサーを青のラメに輝く動きやすい衣装で、バレエのポーズをまじえて精力的に動きまわります。
 メインを下手に引き、舞台中央に据えた椅子にバックダンサーがもつれるように絡んで目をひきつけた後、早着替えを済ませたメインを再登場させます。
 花道往きでの、短いカミソールは黒にピンクのアクセント、裾から太ももを覗かせてコケティッシュ。
 ベッドはポーズ主体でブリッジで整えて、花道戻りはY字バランスの後、椅子にもたれて静止ポーズ。集中力を切らさずに、愛らしい表情も欠かせません。



8.フィナーレ

 淡いブルーのシースルーで揃えた衣装は、照明の当て方次第で青く、ほの白く、変幻自在。暴れ太鼓から天上的な琴の音色までめまぐるしく音が駆け巡り、異界との交信を思わせます。
 離合集散、藻のように絡まりあい、うごめいては、さっと横一線に並びなおしたり。
 幻想的な景色は、最近では類をみない演出です。幅広い表現を駆使し、混沌の底から、明晰で整然とした秩序へと導きます。


浅草3結〜4頭



1.水野美香

 紅白の法被仕立ての衣装でアグレッシブに、和太鼓3つ束ねてフュージョン系のリズムをなぞります。三味線の掛け合いを入れて厳しいせめぎあい、7人が陣取り合戦のように立ち位置を変えて、笑顔を浮かべて余裕のあるところを見せて、和物の振りを揃えます。
 ベッドは上品なクリーム色のベッド着をガウンのように羽織り、静止ポーズでゆったりと浮上します。腰つきのLで深く脚を引きつける姿は、あたかも弓を引絞ったよう。しっとりしたJポップで曲に身を委ねて気持ちよさそうに、スケール大きくのびやかに演じます。
 ベッドの間、カーテンを開け放って本舞台は暗闇にぽっかりと口を開けたまま。淡いブルーで爽やかに盆を染め上げた後、本舞台からこちらをヘッドライトのように照明が睨みつけ、徐々に照度を上げていくとあたり一面がまばゆい光に溺れるように染め上げられます。



2.吉野サリー

 脚の付け根が見えそうで見えない、短い丈のピンクのドレス、ダブル・オー・セブンのテーマに乗り3人が登場。
ボンドガールは知的でタフで、牙をむく代わりにセクシーさで引きつけます。あけすけな身の振り、思わせぶりな表情で、おもねることなく男どもを篭絡してみせます。
3人が寄り添ってしなだれあうのは1曲目エンド、2曲目エンドでは移動台の上で花道半ばまでせり出して、互いに背を向けもたれ合い、寝そべっては親しそうに目配せを交わします。
 スローな動きでゆったりとベッド、リラックスしながらスムースに見せながら、腕の返し、指先の送りまで緻密にコントロールしています。音の流れを意識し盛り上がるルートを辿って、ポーズの大技を放って頂点へ。右肩と首だけで支える、逆立ちの開脚には驚かされます。



3.森下理音

 ミラーボール回して照明散らし、ディスコのリズム。
バックダンサー4人はつつーっと下手から白足袋で小走りに上手に寄せ、暗幕の向こうの上手からメインを登場させます。
 メインはシャンパンゴールドの着物風の衣装で、バックダンサー4人はそれと色違いの4色で。5人がかたまる、散る、横一線に並ぶ、1人に対して4人を対置させる… 袖を揺らしての優雅な舞いは、どこか中国舞踊風になよなよしたところもありますが、凛とした気品も漂わせます。
花道往きは白襦袢で、こちらに背を向けた立ち姿。うなじに長い髪がかかり、髪飾りから垂らした銀色のモールがちらちらと揺れています。
 セイヤー、セイヤーの掛け声、勇壮な曲から入ったベッドでは、威勢よくポーズを放ちます。暗幕を開け放した舞台の奥で、赤い灯が炎のように灯ります。
 雰囲気を一掃するように終曲はナイーブに。
 何ということはなしに吐いた一言が、心情こめた言葉に連なって、すがるように祈る気持ちを呼び覚まします。一点一画もゆるがせにしないで丁寧に演じる姿が、心にしみわたります。



4.彩音しゅり

 ルイス・キャロルのナンセンス文学の金字塔は、舞台化するにあたってディズニーのキャラクターの容姿を彷彿とさせる登場人物で溢れます。3月兎と出くわす場面、生まれない日万歳! のティー・パーティー、女王陛下の命で薔薇を赤く塗れ、さもなくば首をちょん切るぞ… あまりにも有名な各場面が、昔見た記憶のままにまざまざと蘇ります。
 等身大の生身の人間がアニメの世界に入り込んだかのように、活き活きと活動します。トランプの兵隊たちの追いかけっこは、原音に忠実に従って、めまぐるしい展開へ。横暴な女王様も、最後にはトランプマンのようなマジシャンに諌められ、すごすごと退場します。

 さて、可憐なアリスのベッドですが、マジシャンに魔術をかけられて、アダルティな姿に変化。不思議な国での経験は思春期の通過儀礼だったのでしょうか。短めのスカートから覗く白いタイツとガーターをさらけ出して連続ポーズ。身をくねらせての上目遣い、その腰つきがやるせません。



5.仙葉由季

 マジシャンのベッドときたら、奇想天外。
 黒の燕尾服を肌にじかに羽織り、その右わき腹には赤や紫の端切れを纏って、銀鎖やアクセサリーを一面に絡めた奇抜なファッションで、七色の光を浴びています。時空を超えて、夢幻に遊びます。
 暗転後に、盆の上での立姿から、花道戻りから往きへ、再度の戻りでは移動台の上で椅子を逆手にとったポーズと、通常とはあべこべの世界。
 洞窟の闇の中を心細げにたどるような花道戻りから始め、長く頑丈そうなステッキを携えての花道往きでは、振りかぶって威嚇し、かたく握り締めて神秘めかします。ニヒルにキメた立ち居振る舞いに、なまめかしい女体が見え隠れ。深くかぶった帽子の陰より、にたり、ほくそ笑みます。
 ここで意味ありげに一礼して、花道戻りへ。寝そべり脚を上げ、足の裏で椅子を支えて何やら大道芸のよう。アリスの名を囁くテーマ曲が、4景冒頭と同じく現れてそろそろエンディング。われらを現実界に置き去りにしたまま光の海に消えました。



6.沙羅

 目の覚めるようなスカーレッドを身に纏い、情熱のアルゼンチン・タンゴ。ピアソラの独創的な旋律がしなやかに荒れ狂い、不協和音が脳髄を刺激します。
 メインに対しダンサーひとりが男装してエスコート、突き放すように離れて懐に呼び込んで、膝下を蹴り上げて、そむけなければ鼻の先がぶつかるくらい互いの顔を近づけます。
 バックの4人は濃いえび茶色ダンス着で、舞台に散らした椅子に掛けて、屈伸、開脚。やがて立ち上がって舞台中央に4人が寄れば、狭いスペースにデュオが追いつめられて緊迫感を感じさせます。
 舞台に残されて差し向かいで、美貌と妖艶さとを兼ね備えた女にじっと見つめられ、射すくめられたように男は退散します。意を決してメインはひとり花道をたどります。
 赤い羽根で覆われたショールひとつで体を隠し、メランコリックなスパニッシュでのびやかにポーズをキメながら進めるベッド。自己陶酔の果てのナルシシズムが、しびれるような快感に変わります。



7.矢沢ようこ

 桜色のカミソール風の衣装でバックダンサー6人を繰り出して、跳ねるリズムに軽やかにのって群舞。途中でバタフライ・マスクを着けて、待ちわびたところにメインを登場させました。バタフライ・マスクを着けてメインを際立たせたのでしょうが、マスクの下で艶然と微笑むのさまが謎めいています。
 メインはよく通る視線、にこやかに振る舞い、揺るがない存在感を発散しています。
 本舞台で着替えたベッド着は、薄くさらりとした生地に小さい黒い羽根がまとわります。ベッドではゆったりと動き回っておおらかに。音の流れに身を任せ、気持ちよさそうに流れるようなポーズ。
 立ち上がりから花道戻りは動きを絞って神々しい立姿、派手に動くミラーボールを背負ったまま視線を一身に集めます。



8.フィナーレ

 フラッシュ浴びせてひとりひとりをヒロインに仕立てるように、スカで激しく踊りまくります。おもいおもいに動いたはずが、曲に引き寄せられ大きなうねりを巻き起こし場内がひとつにまとまり、最後まで興奮やらぬ様子で突っ走ります。







[7905] SNA3中 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2010/03/22(Mon) 09:05



敬称略です。



1.木村彩

フウゥ〜ゥ、ハアァ〜ァ
 シレーヌの歌を地響きのような重低音が呑み込みます。
 貴公子然とした凛々しい衣装は赤いびろうどの生地、つややかな黒髪がかかります。
 無表情に気配を消して、オルゴール人形がねじを巻いた後に動き出すよう、ふと思いついたように腰ひもを手にすると、鞭打つように振るいます。
 狂気の兆しがいつ訪れたのか、誰にもわかりません。エキセントリックなハードロックに操られカタストロフの途を走ります。
 暗転、後姿は直立の姿勢、黒いレース地の端切れは目元を覆うには十分でも、白い肌を覆いきれません。
 静止ポーズは椅子の上、きわどいバランスで片膝を支点にして支えます。
 絹を裂く女性ボーカルが高音で裏返り、分厚い音が押し寄せるなかを、ストイックな佇まいで押し通します。目元を覆っていたレースを剥いで素顔を晒したとき、初めて肉声に接したように感じてハッとします。



2.藍花

 くらい声、つぶやくような音の流れ、鮮やかなアクアブルーのイスラム衣装に身を包みアラビヤン。立て板に水を流すようにすらりと踊った後は、タイツにパープルのショートパンツ、なままかしく体をくねらせて、目で誘い身体で説き伏せます。行進するようにはっきりと刻むリズムを、狂おしく、膝を沈めて練り歩きます。
 3曲目は光沢のある赤い衣装を淫靡に剥いで漆黒の下着姿。音楽が不機嫌そうに忍び寄ります。2曲目を後ずさりで退いたように、1曲目には盆の縁で小さく前に後ろにと踏み変えたように、3曲目は大きなバックステップにトライ。
 ベッドではスワンを含めて3つの大きなポーズ。
立ち上がってひと息置いて客席を見回したとき、舞台に立つ喜びをじわり、噛みしめているようでした。



3.聖京香

 和服で始める、ジャズ・スタンダードボーカル。あでやかな帯を、つややかなショールで包み、タバコをくゆらすのが似合うようなゆったりとしたテンポで盆から花道、本舞台へと退いてゆきます。
 電光石火でかなぐり捨てるように脱ぐのが山場、いきなり見納めになる着物の柄をしかと目に刻みます。かんざし抜いてもてあそぶのは、待ち焦がれさせて人の心を弄ぶのと同じ。じりじりする気持ちを癒すように、煤けたようなサックスの音でなごませます。
 ガーター、網タイツ姿で盆に屹立してヘビーメタルの洗礼を受けながら、ベッドでは音を殺してスロウな独特の動き、背徳の匂いをさせて圧巻の眺め。
 締めくくりは、またスタンダード・ナンバー。ランプの炎が揺れるような古風な趣で、気分に任せてゆったりと運んでゆきますが、ヘビメタの洗礼を受けたせいか優雅な動きのひとつひとつが克明に記憶に残ります。



 もう一作は周年作。
 和洋のロックバラード4曲で固め、1曲目と2曲目の間に嬉遊曲、白無垢で端切れを手にして優雅に回ります。
 アメリカン・バンドがしわがれた声で思いの丈をぶつけるよう、雄渾にギターが伸びていきます。白無垢に綿帽子、深々と三つ指ついておもむろに立ち上がり、羽織っていた紅の錦の袖から手を抜きます。飛翔する姿も麗しく、鶴が金糸銀糸の刺繍で浮かび上がります。
 白無垢を脱いで白のガーター、コルセット。ブルーの羽根扇抱えて、浮遊するイメージ。
選んだ曲はどれも渋くて粋で、過ぎた記憶にすがって感傷的だったり、力強く決意を噛みしめるように語ったり。曲に逆らわないようにベッドの動きはなだらかでスロー。あざとい表情も浮き足立った振りもすべて消し去ったあとで、精製スピリタスのような高い純度に届いています。



4.奈良ゆずは

 背中を向け合って足を伸ばして盆の上に座るふたり。アリス・スタイルの少女と3月うさぎ風のぬいぐるみ、熱心に見入っていた本の中には、少女の誇大妄想が広がっているのでしょうか。
 ぱたん、と閉じて、駆け出す少女。本舞台のカーテンの隙間に身を翻して、駆け込むと、そこはファンタジックな夢の世界。派手なピンクのブーツで足元の動きを注目させて、そぞろ歩き、あるいは猛り狂うステップを披露します。
 ベッド着はやわらかく薄い生地で、はばたく翼のように、あるいは身を包むベールのようにと、巧みに使い分け。
 しどけない姿をさらしながらも、くりくりしたつぶらな瞳、無垢であどけない表情を浮かべて素直に振舞います。立ち上がりでしっかりと胸に抱いたぬいぐるみ。客席を見回す目は、好奇心にあふれイキイキと輝きます。



5.菜摘りんか

 白いベールに覆われて盆に横たわる姿、麗しい顔を徐々に明かしながら、イントロでは神秘的なムードに浸ります。
 か細くて透き通ったソプラノに、フェザータッチのトライアングル。ワイングラスが触れ合うように澄んだ音を奏でます。
 袖に引いて暗転して、洒落た軽装にハットで登場、コンガの乾いた響き、軽快なドラム、気取って颯爽と踊ります。
 たそがれるアラビヤンに続き、けだるくメランコリックな女性ボーカルへ。曲が進むにつれ、厭世的な暗い気持ちから、次第にほぐれて解放され、心の奥深くを捉えます。目を見開き、輝かせ、戸惑いとも恥じらいともとれる表情は次第に艶を増してゆきます。
 しなやかでおおらかな動き、搾り出すようにけなげにポーズ。一巡した後にメビウスの輪をつなぐように、冒頭の曲が登場しました。
 ベールに包まれて踊ったあのときの振付を、今度は裸身に戻って、心をこめて演じます。



6.伊沢千夏

 曲の出だしは朗々と張りのある声が抜けて響きます。花の心、きざした恋の歌をせつせつと。表情豊かに、しぐさで語りかけます。
月明かりにぼぅっと浮かび上がるような桜色の着物。ライトグリーンの光が差して桜色の生地が色鮮やかに引き立ちます。
 リズムセクションが割って入って、音が心地よく流れはじめます。よどみなく日舞、翳りを見せぬ表情。蕾がほころんで一気に花盛りへ。手にした舞扇は右に左にと振られます。
 早替わりでビーズをつないだブラジャー姿、スリムな腕、脚。肩、腰をくねらせて、さきほどまで大胆な舞扇の動きをなぞるようにして、タイトなリズムに合わせます。
 ベッドの入りからレースをつむいだような茜色の衣装へ、のびやかな動きは飛翔する小鳥のようで、春の訪れを素直に喜びます。指先からの繊細なメッセージ、剛胆に腕の切り返しと、しなやかさと雄弁さをあわせます。




[7904] 若松2中 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2010/02/20(Sat) 08:05



敬称略です


1.綾瀬ナナ

 ど演歌もアニソンも、ディスコやハウスっぽくアレンジされて、荒唐無稽な荒事へ。
 明るいオレンジ基調のフレッシュな色を合わせた襦袢をふわりと羽織り、2曲目で脱ぎ捨てキラキラ派手に輝く創作衣装へ、裾が切れ上がりふとももまでも晒します。
 2曲目は特にコミカルで、おどけてはしゃいだ振りですが、コントロールきかせて果敢なステップで攻めます。
 悦びを体で示した後は、和傘を手に赤い襦袢でベッドへ。ゆったりと歌う歌詞をひとことひとことすくい取るように花道を渡ります。
 ひとあせかいたら、傘を開いて手にしてポーズ・ベッド。枝ぶりのいい山桜をあしらった傘を、ぽかりと宙に浮かべ、アクロバティックな静止ポーズに華を添えます。
 腰を浮かせて足を上へと伸ばすと、足の指の先で傘の骨の先っぽが、つかず離れず距離を置き、息遣いにつられてゆらゆら揺れています。



2.葉月凛

 クリーム色の地にフルーツの柄を散らしたスカート、裾からわずかに白のレースを覗かせます。エプロン姿で髪にリボンを結んで夢見る少女。無垢で無邪気なアリスのよう。
 フルーツバスケット提げてハイキング、いそいそとビニールシートを盆の上に広げます。木漏れ日の下、大きく見開いた目で見回して人目がないことを確かめて、禁断の苺の実を口にします。
 だぁい好きな苺。いつもするようにスキムミルクをチューブからかけようとして、一瞬手元が狂いますが、けしてシートを汚さないよう、うまいことすくい取りました。
 催眠をかけるように音楽が響きます。すくい取った指を舐めまわします。ウェットタオルを取り出してキレイキレイにして、とても気持ち良さそう。熱い視線が届きます。
 恋の歌を気持ち良さそうなアコースティックの響きで歌わせて、スキップしながら花道を後にします。



3.華月漣

 下手から階上に伸びる階段はミルキーウェイ、その道から登場するヒットマンの影。
 赤いハーフコートも金ボタン、深々と帽子をかぶってその下から、獲物どもを見据えます。感情を押し殺し、えぐるような鋭い目。不安と焦燥をかきたてるBGM、緊迫した重い空気。
 客席のひとりひとりの人相を確かめながら、愛器コルトの撃鉄を起こし、引き金に人差し指をかけました。
 本舞台の幕間に駆け込み、続いてはジャズ系のメリハリのついた曲にのって激しく踊りまくります。音節にこだわらず自由に体を動かして、流れに身を任せてイイ感じです。
 再びスパイ映画のテーマにのせて、タイツ姿で黒光りするコルトをかたく握り締めます。盆周りのお客さん達はじっと顔を覗き込まれて、目をそらさずにいるのも気恥ずかしくなりますが、瞬きもしないで懸命に睨み返しています。
 冷たい硬質の銃身を、白い肌が包みます。



4.徳永心

 桜色の着物の左肩を抜いて、その下から紅色の千代紙のようにあでやかな柄を覗かせます。黒い帯を腰に締め、気持ちまで引き締まります。ピン・スポットを右に左にと振って、大胆に踏み込む動きを見せ、軸足に体重をのせたまま、肘の関節を抜くように柔らかくムチのようにしならせます。
 ピン・スポットを浴びて白熱した1曲目とは対照的に、2曲目は薄明のなかをさまよいます。照明は舞台背後のいくつかに絞り、顔も見分けがつかない暗がりに襦袢姿で立ち尽くします。曲と照明で神秘的なムードを盛り上げて、演技とも儀式とも決めかねる厳かな行為に、意を決して臨みます。
 ひとりごとのナレーション。無機質な女性ボーカルが素通りしてゆきます。
 目隠しして、ひえびえとした床の感触を頼りに細い花道を抜けて、盆へたどり着きます。
突っ伏す、もだえる、むせび泣く。喘ぎもすすりなきも、どこにも届かずに暗い場内に反響して返ります。



5.矢島愛美

 短いワンピースは萌黄色、野バラで飾り立てて春の精か、フェアリーか、野に放たれて遊びます。スティックを振りかざし、笑みを満面に浮かべて、春到来のよろこびに溢れます。
 使った6曲は、アコースティックな響きに澄んだボーカルが溶け込んで、どれも揺らぎを感じさせます。
 冒頭の活発なダンスでは、つま先立ちで伸び上がるよう、ピン・スポットからはみ出すくらい大胆に動き回ります。2曲目のターンでは軸を傾けながら、しぶとく倒れない独楽のよう。
 4曲目の日本語の歌で、途切れがちに語るように歌う声を心に沁み渡らせた後、5曲目でなめらかなゴスペル歌唱。一瞬、背筋がスッと伸びたように見えて、堂々と花道を渡り、ゆったりとポーズを切ってみせます。曲をメトロノーム代わりにして規則正しく一定の速度で、精緻な動きをなぞります。



6.加瀬あゆむ

 青春の思い出は、ガラスケースに入れて陳列するのもいいですが、たまには今日のような舞台に触れて刺激され、記憶の彼方からまざまざと蘇えらせるのも、またいいものです。
 通学途上の車内風景、終業間際の教室、放課後のチアガール練習…、情景描写の合間にリアルな録音を流し、青春の一幕を臨場感溢れて描きます。
 主人公の女子学生の心に、恋が芽生えむくむくと頭をもたげ、若者らしい感情の波にもまれます。この恋は果たして実るのでしょうか。
 コミックのように主人公のキャラを立て、喜怒哀楽でその場を沸かせ、せつない歌でほろりとさせるストーリー。めがねに、黒のソックス、タータンチェックの制服のスカートと、フェチなニーズに応えます。中間でチアガールのコスプレを経て、ベッドは登場時と同じく、勝負服の制服をまた着なおして迫ります。
 すわったままの姿勢で身振り手振り、手話を大げさにしたくらいのボディアクション。軽くこなして髪を乱すだけですが、殻をつき破る勢いを得て、張りのあるポーズで一気に解放に向かいます。
感情移入から昇華へ。哀愁を帯びて、声振り絞って歌うこの曲が、最後となりました。




[7903] 浅草1結〜2頭 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2010/02/13(Sat) 08:18




敬称略です。


第一部

1.加瀬あゆむ、空まこと(2008年8月1景 再演)

 3台の太鼓、4人の奏者にがっちり囲まれて、密集した配置で3人が黄と黒を重ねた和風の衣装でたもとをなびかせて狂おしく。
 後方の大太鼓は厳かに低音を刻み、左右に配した薄型の太鼓は真上から振り下ろすバチを受け止めてズドン、ドン、ドンと威勢よく。
 すすり泣くようにせり上げる音、差し伸ばして宙をつかむ手、奏者と演者が入り混じり、舞と音とが溶けあって渾然一体となる瞬間。
 ベッドは月明かりを浴びる静謐な世界。三味線とチェロ、和洋の楽器が主題を継いで奏で合い、穏やかな旋律をカンタービレ。
 空さんとの加瀬さんの舞は曲を映すように琴瑟相和して、一転、終曲は一気に堰を切ったような奔流へ、早瀬流れるように蛇行しながら花道戻りを駆け上がります。



2.沙羅(2008年6月4景 再演)

 ぐっと踏み込んだ膝がばねでも仕組んでいるかのように沈みます。肩から華奢な腕がぶらんと垂れ下がり、細身の体をたっぷりしたスーツに包んで、彼の姓はアルチュール。
 追っ手をからかうように、ひらりと軽やかな身のこなし。
 唐突に阿波踊りの節回しが、かっこいいテーマの間に割って入り、がぜんユーモラスに。コンピューター・ゲームの効果音もかぶせて、いつしか輪唱のように、音が飛び交います。
 颯爽としたふたりの怪盗に、四人の女踊りの踊り手がすがりつき、なつかれた仕舞いには怪盗もお手上げ、篭絡されてしまい、かっこいいテーマ曲は、エネルギッシュな阿波踊りの音の洪水に呑み込まれます。
 花道上りはルージュのような真紅のベッド着で登場。軽いポップス、重いフラメンコ、煩悶するような表情から劇的に盛り上げて、リズム・ボックスが克明に刻むゆるやかなバラードへ。音を溜め込んで反らした体ではね返す、癒し系のベッドは花道戻りまで延々と続きます。



3.魅麗、広瀬あいみ

 ほの暗く蒼い世界に埋もれさせ、顔をかすませてまでスタイル抜群のボディを強調します。4人が仁王立ち、半身、ポーズを意識したセクシーな立ち姿。ブーツ、太もも覗かせてショートパンツ、へそもあらわ、ブラジャーにはベリーダンスのように装身具がすだれのようにたれ下がり、歩くたびに竹やぶのような涼しげな音を響かせます。
 甘い歌声、吐息交じりのメロディ、すかすかのリズムで風通しがよく。うってかわって2曲目は、厳しいドラミングによる古典的なブリティッシュ・ハード。ふたり組で入れ替わりながら、うちふたりが男物のYシャツを素肌に羽織りダブルベッド。淡いバラードにしおらしい振り、そのままふたりは双魚図のように盆に横たわります。
 活発なリズムに感性も野生も揺り起こされて、花道2往復をこなすダンサブルなステージ。煌々と照らされたステージに輪をかけて、ドラムにリンクしてフラッシュ浴びせれば、ロック・コンサートの会場に訪れたかのようでした。



4.藤咲茉莉花(2008年8月4景 再演)

 蛇皮線に太鼓に掛け声に、手振りを交えるエイサーの調べ。ノリノリの琉球舞踊で、ネーネーズみたいな甲高い声で節回し。風情も愛嬌もたっぷりの、のどかな1曲目は三部形式で、最後には踊り手たちが喧嘩でもしそうな合いの手を加え、加速感も出てきます。
 雷鳴、驟雨、時化の海へ一艘の小船で漕ぎ出だすよう、移動台で立ちはだかるような姿が、ニケ(ギリシャ神話;勝利の女神)を思わせます。銀幕を閉じ、照明を走らせ、混沌した世界を映画の一場面のように映した後に、内向的なインストでまずベッド。淡いブルーの敷布大の布の下、ポーズベッドの数々を神秘的に花開かせます。
 シンバルで模した遠雷が、凪の訪れを告げました。
 ハウリングにかすんで歪んだギター音、象徴するものを洗い流すように淡々と三線の旋律が、最後には手拍子を巻き込んで荘厳なレクイエムへと連なります。



5.澄川ロア

 照度を落としたステージで、青く鈍く光るラメの長い衣装、ハイヒールで大胆に踏み込んで、髪振り乱し腰を揺らし、抑えきれない衝動を発散するようにゴスペル風コーラスで暴れます。
 小向さん以外の第1部登場の9人を繰り出して、混み合うステージにランダムに配置して、個を生かした自由な振付に。9人固めて一斉に下手に片寄せたり、花道の先端に詰め込んだり。ダンスフロアの自由奔放なイメージを起こし、鬱憤を晴らすような効果をもたらしたところで、ダンサー達のエネルギーが一挙に噴出してきます。
 移動台に椅子を据えたまま、脚を組み鏡を覗き込むようにじっとこちらを見つめる澄川さん。下着姿でリラックスした雰囲気は、プライベートを覗かせるようで、ナチュラルな魅惑の色仕掛け。アンニュイに囀る歌声で包み、背景を闇で包んで集中感を出して、盆ではゆったりと振舞います。
 ポーズは肩の力を抜き、関節の可動域を広げるように大胆に、かつおおらかに。花道根元で、V字で収め、椅子の上で脚組み頬づえ、元の鞘に納まるように、写真立ての中の思い出のように、静止します。



第2部(オムニバスによる通し公演)

導入部

 1時間後のエンディングを告げる予知夢のような、裸身の小向さんの後ろ姿。舞台奥からかあっと照らす白色光を遮って、そのシルエットを浮かび上がらせます。
 瞬く間に銀幕を閉じて、舞台手前にふたりのショーガール、ムーラン・ルージュの喧騒を描き出すという趣向です。
 享楽的であけすけで、それでいてどこか憎めないコケットリー。嬌声あげる女たち、鼻の下を伸ばして遊興に明け暮れる紳士ども、愚かしくも純朴で無垢な魂に触れて、一瞬、こちらも気が和みます。
 小向さんも光沢のあるピンクのドレスで、うちとけた明るい笑顔を振りまきます。



1.魅麗、広瀬あいみ

 続いて5人の天子のレッスン風景、小向さんが先生役を買ってでます。
 神々しく地上に降臨するために、身なりを整えてエチケットを守って…、こまっしゃくれた餓鬼同然の天使をしかったりなだめたり、手なづけるまで大わらわ。遅刻常習犯の広瀬さんと、共謀罪の魅麗さんは、懺悔させられて見せしめで籠の中。いつもの移動台に金属製のパイプを曲げて囲って、一見ジャングルジムのような鳥籠に仕立てます。
 お仕置きだったはずが、天使の羽根を脱ぎ捨てて肩の荷が下りたのか、籠のパイプにぶらさがったり体を預けたり、ポーズを切りながらのびのびと屈託なく振る舞います。



2.加瀬あゆむ、藤咲茉莉花

 お女郎同士が客引きで諍いに。
 “ねぇねぇ、アンタさぁあ、寄ってっておくんな…”
 野武士風情の酔客ひとり千鳥足、まんまと蜘蛛の巣にかかります。
 鼻の先まで顔を近づけて首実験、酔っちゃぁいるが、お目の高いこと。小向さんのゴージャスな肉体につられてよろよろと、褥をともにします。
 残されたお女郎ふたりして花道へ。体のうずきに心の隙間風、癒しを求めて互いに慰め合いもみしだき、烈しい絡み合いへ。
 紫の襦袢に朱の襟が映え、なまめく素肌とコントラストを描きます。



3.空まこと

 次は海賊の仲間割れから惹き起こされた戦闘シーン。大衆芝居の剣劇を、素手の乱闘に写し取ったようでした。
 海の荒くれ者は気性烈しく、すぐ角突き合わせて、互いの力量を試すして確かめようといたします。軽いステップのダンスで統一して、足を止めた者同士が小競り合い。
 男性ダンサーに軽々とリフトアップされ、ふりかぶってパンチに肩透かしを食らわせて、と、アクロバティックなシーン満載で、携帯端末機上のゲームを彷彿とさせます。
 仲間はずれにされたアマゾネスが、一人長い花道をのたうつように這いずります。
 鋭い目つきに、険しい表情を崩さないまま、黒いボンデージで乱れるまま、とろけるさまを演じます。



4.沙羅、澄川ロア

 幕間をつなぐ短い1曲、長身のふたりが両手に羽根扇を捧げ持ち、静謐な世界を築きます。
 さしわたし1mもありそうな大きな純白の羽根扇、立てれば揺れ、水平に寝かせれば自重でたわみ、水を滴らせながら震えるようで、えもいわれぬ美しさです。
 左右のバランスを生かして静かに立ち、体勢を崩さぬようにゆるやかな振り、ふたりをシンメトリーに扱ってまるでバレエの一幕のようでした。



5.小向美奈子

 最後は小向さんをメインに据えて、ベッドのひとり旅へとつなげます。
 導入はオリンポスの神々が憩う天上界、左肩の上で結び目を作るギリシャ時代風の白い衣装をなびかせて、左右に従えてかしずかせます。一瞬、秩序がかき乱されるように男女ダンサーのアクロバティックな演技を挿入しますが、また元の牧歌的な光景へ。
 小向さんは、さきほどの鳥籠に呑みこまれて、そのまま移動台で盆へと運ばれます。
 花道往きでは、体を預ける支えに鳥籠を使い、花道戻りでは籠の中に吊られて揺れるブランコで戯れます。
 抜けるように明るい笑顔、すまし顔、ふとよぎる翳り…、豊かな表情で癒します。
 持ち前の柔軟な関節を発揮して、ポーズベッドに挑みます。すっと通る脚、指先で作るしな、そして屈託ない笑顔。

 小向さんの花道戻りを待って、幕を閉じずに華やかなフィナーレへ。ショーアップされた華麗な衣装で勢揃いしたダンサー達で、舞台が埋め尽くされたさまは圧巻です。逆立った羽根飾りが祝福する花束のように、小向さんを取り囲みます。









[7902] 浅草1月頭・中 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2010/01/21(Thu) 00:13



敬称略です。


第一部

1.小野今日子

 初春を祝い、7人勢ぞろいの芸妓姿。三つ指をつく日本髪。
 琴に鼓に鐘に笛、邦楽ののどかなしらべの間合いを縫って、切り込むようにシンセサイザーの分厚い響きがアップテンポで押し寄せます。
 手踊り、扇子の舞、配る目線で狭い空間を意識させるお座敷芸を、個人芸を舞台に広げてアンサンブル。右に左に振られて、お引きずりから白足袋覗かせて小走りに。
 和服はシックに、一人は松、二人は梅、四人は葉桜の柄を黒地に散りばめて、アァラ夜の花見という風情かな。幾何学文が縦に流した帯の柄もすがすがしく、後姿でその帯の先が揺らして、うなじ覗かせ、品位のなかに色気を仕込みます。
 花道ゆきは、三味にドラムをからめて小気味良く、移動台ごと小野さんを押し出します。半透明の襦袢に朱のぼかし、見下ろすようにきりり立姿。
 優雅に這って裾を割り、小首傾げれば、鬘の簪の飾り細工がちろちろと震え、稲穂の先が揺れ動きます。
 戻り花道で初めてお腰を引き抜いて、幕切れ間際に襦袢を払います。筋肉の『大きな』部位を使って動いて静止してと、堂々たる立ち姿に見惚れます。



2.桜ひめの・花村沙知

 黄色いカナリヤ軍団が、ラテンのパーカッション、カリビアンでノリノリに。にぎやかでユーモラスなダンスです。
 イントロは幕前を通りかかった一羽が誘いをかけて、幕を開けて3羽を加えて、とさかフリフリ、尾もフリフリ、つられて腰も振られます。
 4羽が舞台に横一線、デュオも揃いもあったもんではありませんが、一羽一羽がスポット浴びて、お気に入りのステップを披露して自ら御満悦。こうなると、なんか、もう、コンサート会場のノリで、会場の雰囲気に酔ったもん勝ちでしょうか。4羽が踊り狂うさまはいかにも楽しげで、見ているだけでもつられて動きたい衝動に駆られます。
 のんびりゆるやかなテンポの曲で流し、動きかけた移動台をわざわざ止めて、2羽、いえ既にキャミソール姿の2人は自らの足で花道をたどります。
 2人の力を合わせ、レズ風の掛け合い、時間差を設けてポーズを連係、そして一体となるように寄り添う姿でエンディングへ。



3.成瀬美穂

 くのいち戦闘ものから、抜け忍の悲哀を語るベッドへ。あるいはメインの一人二役と解釈できるかもしれません。
 火気を使わない忍びの戦いの過酷なことといったら…
地を這い、宙を跳び、突きに裏拳に、蹴上げたところで、チラ見した敵に目潰し食らわして…
 舞台の上をありえないほど、黒装束5人は駆け巡ります。
一転してベッド着は、菊柄を古布風にあしらったキレを赤襦袢に組んで縫い合わせ、華やかななかにもアンティークで落ち着いた感じに仕立てます。
 感情の起伏を心の奥に秘め、もの言わぬ唇でぎゅっと握るように咬むのは、帯の端。
フルートやオーボエの旋律がよぎる曲は、ピアノ・コンチェルトの緩序楽章のように癒してくれて、荒ぶる心は浄化されナギのように鎮まります。
 熱気をはらむと感じるほど分厚いオーケストラの音に包まれたとき、間合いをはかって大向こうをうならせるポーズ、喝采を浴びました。



4.小林里穂

 照明を絞って舞台は漆黒の闇、中央天井付近から淡い光の筋が降り注ぐなかで、5人が立ち尽くす姿がぼんやりと浮かび上がります。上から差す照明でドラマティックな効果を発揮します。5人をいっせいにさーっと下手に引かせて、上手へ走り抜けるようにして小林さんをひとりで登場させました。
 6人ともなだらかなボディラインを浮き立たせる白いレース編みの衣装、スカートに沿って垂れ下がる生地を、ヨットが帆を張るようにつまんでふくらませます。ステップで足を差し出し、すぐ引いて、スカートがわずかにめくれる程度にゆるやかにターン。規則正しい動きをエレガントに繰り返します。
 6人が舞台に散って立ち位置を決めて、動きを揃えてステップを繰り返し、波のようにうねりを発します。
 花道、ベッドを通じて透き通るようにきれいな曲を並べます。
 花道行きは、ゆったりとしたたたずまい。盆では余裕たっぷりの動き方。冒頭から悠然とした流れが浸透したからでしょうか、じらすように遅く動いてしどけない姿を目に焼きつかせて克明な残像に残します。
 花道戻りは、氾濫する光の海に、祈りを捧げる姿のまま吸い込まれます。



5.月川ひとみ

 女性ボーカルのけだるい歌い方が渋くて、情景にはまり過ぎるくらいはまります。あたりは靄がかかったように暗く落ち着いた雰囲気に包まれます。たそがれ時に踊り手の顔の見分けもつかない程の明るさから、3人、5人…と浮かび上がって、総勢7人へ。
 黒のレオタード風コスチュームに燕尾服を羽織ったような黒ずくめで。伸び上がりながら一歩踏み出して、後ずさり気味に引く足先で床を擦ります。切れ上がったレオタードから覗く太ももがなまめかしく。
 広いフロアに7人散って、2人ずつ向き合って互いの振りを反復します。単純なはずの振りが、合わせ鏡を見るようで、全体の動きが錯綜して見える不思議な光景です。
 妖しい雰囲気の余韻を残したまま花道をひとり、モータウン風のノリのいいリズムが広い劇場空間に吸い込まれていきます。
 3曲目はリズムボックスをきつめに入れた、黒人女性ボーカル。無窮動な音の遊びに、感情を押し殺したまま激しくボディヒート。髪を振り乱し胸を反らしても、クールな呪縛を振りほどきません。
 終曲は、似た曲にはチョッとお目にかからない、吼えるようなコーラスを交えたスペース・オペラ風。3連、2連と叩きつける音の連打がマシンガンのように迫るかと思えば、祈りをあげるようなコーラスが間歇的に訪れて取ってかわります。
 背後ではミラーボールが赤く染まって、火星のように回ります。踊り手の動きを縛るような大音量の波状攻撃を受けながら、すり抜けるように飛び跳ねて、スリリングな舞台となりました。



第二部

 灘ジュン

 ズドドン、(ワンフレーズ置いて)、ドン(ワンフレーズ)、ドン(ワンフレーズ)、ドン(ワンフレーズ)…
 二部のオープニングは和太鼓3台の協演です。踊り手3人を取り囲んで、録音曲に合わせながら生の音を聴かせます。
 ズシンと腹に響く重々しい音。太鼓とスピーカーとに囲まれて、踊り手3人は人形浄瑠璃のように、風に流されるように上体を揺らし、手振りで応じます。



 太鼓を引いて、主役は踊り手3人へ。羽織った錦の光沢が遠目にもきらりと瞬きます。滑るように花道を横切り、波を送るようにやわらかく上体を使って、錦を翻します。



 威勢のいいリズムにのってきらびやかなワンピース姿で、5人が駆け抜けるよう。短いステッキを手にしてバトン代わり、ステッキ代わりにもてあそび、スラリと長い脚を見せつけます。膝を寄せ、組み替えるように細かいステップ、スキップで跳ねるように…
 明るい笑顔を振りまいて、健康的なお色気を発散します。



 さて場面変わって、プロダンサー4人の連獅子へ。真っ赤な髪を振り乱し、曲は雅な邦楽に替えて、活気に溢れたフュージョン系。切れ味鋭いリズム、たたみかけるドラミング。
 機知に富んだ奇想天外このうえない、和洋折衷ダンスをごろうじろう。



 襦袢のようにも羽衣のようにも見える、薄手のなまめかしい白のセパレート。7人横一線に現れると、背後からブルーにマゼンダの照明をカッと浴びせるので、7人の姿の輪郭がハレーションを起こしたように紫っつぽく輝いて見えます。
 羽衣の力を借りて軽々と、宙に浮くように軽快な群舞へ。花道いっぱいに並んで、タイミングを揃えて浮遊するようにポーズ、さらにローテーションしてアレンジを変えて、と、忙しい動きを気取らせないで優雅に見せる場面です。



 暗黒、フラッシュ、はらわたをえぐるように刻むギター。おぞましいヘビーメタルが流れ、地獄の釜の蓋を開けました。
 レインボー・カラーを各人にひとり一色に振り分けて、身の丈の1.1倍はあろうかという創作衣装を羽織り、マントのようにひきずります。衣装は抜けるように明るい色に輝きますが、感情を抑えたやけにゆっくりした所作のせいか、秘教の儀式でも見るような、妖しい気分に誘われます。



 暗黒の喧騒から、美しく浄化された天上的な世界への転生…
 道具立てに頼らず、音と光の効果を組み合わせて、象徴的な神秘的な世界を表します。
 花道行きは、優しげなテーマにのせて女性ボーカルが心地よく歌います。穏やかな表情は、無言でも聖人が説教で語りかけているときのような、慈愛に溢れたまなざしを客席に注ぎます。
 盆ではオクターブ上の音域の旋律に、シンセサイザーの分厚い音がかぶって、場内が一瞬霧に包まれたような錯覚を覚えます。努めて表情を崩さずにやわらかくポーズを切り、長い静止の後、ゆっくりと解きます。
 花道戻りではにこやかに、舞い降りた天使に、ちょっぴり人間味を加えたような印象で。前をはだけたまま初めから着けていた鮮やかな黄緑色の衣装を羽織りなおし、客席ひとりひとりの視線を吸い集めるようにして、ゆっくりと名残惜しげに立ち去ります。



 フィナーレは、全員揃えた振付でイケイケ・ダンス。赤く輝く法被の背に桃色の帯の先をリボンのように垂らします。血を燃えたぎらせて、情熱をぶつけ、閉塞した現状打破へ。赤い波が舞台一面を覆います。
 ルールをぶっ壊して始めよう… ひときわ高く女性ボーカルが叫んで、曲は終わります。





[7901] 渋谷1頭 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2010/01/11(Mon) 16:00



敬称略です。



1.寺丘早織

 花開くように裾までを膨らました、釣鐘型のロングドレス。野の花が可愛らしく咲き乱れる花柄をところどころ添えますが、全体には白地が勝って、つば広の帽子も白で揃えます。清楚な白をまとって気高い雰囲気に、整った顔立ちに大きな目、シャープな顎の輪郭で、一見近寄りがたい感じです。
 ベタ足で動きを止めながら手振り重視のダンス、指先をたおやかに泳がして、口元に添えたりハートマークを囲ったり、キュートにアピールしてみせます。
 早着替えでもう1曲踊って、舞台下手でキャミソール姿に替わりベッドへ。
 間合いをはかってポーズの大技3つ。華奢な体をしならせて深いブリッジへ。腰をせり上げて、しばし静止して、片手で体を支えたまま、その手を突き放して立ち上がりへ。きりりと弓を引き絞ってから矢を放ってたわませるまでを、たどるようでした。



2.白鳥美羽

 潜在能力のありそうな新人は、白いワンピースにラッピングのリボンのような黒い帯をふわりと結びます。上背があって、手足が細くて長く、愛想振りまく笑顔は癒し系と、天与の素質に恵まれます。
 2曲目のウェットな曲でしずしずとベッド入りして、呼吸をはかりながらおおらかに。スラッとした肢体を横たえ、沈みがちなゴスペルに浸って、ゆったりと小細工抜きに動きます。
 終曲で、腹這いで頬杖ついて、語りかけるようににこやかに。引き締まったヒップで、太ももあたりの肉づきも薄く、ふくらはぎから足の甲までスッと流れるラインは魅力的。
 泳ぐようなダンスに余裕が出てきて、立ち姿がビシッと決まる頃が、楽しみです。



3.詩田笑子

 意表をついてうさちゃんの着ぐるみ姿で始める、チョッとシュールな演目です。
 かぶりものから本人は顔だけを出して、ユーモアたっぷりにコント風。
 大きなゴムまりに戯れながらピエロ風のドタバタ劇。フーっ、暑いやと脱ぎ捨ててから、シャボン玉飛ばしてからは幼く無邪気に。シャボン玉が客席頭上をふわふわ漂うと、気をとられたまま何だか気が抜けて、リラックスしてしまいます。
 脱いでも凄いのよ、と、スパンと切れ味鋭いステップで1曲、膝を沈めてなまめかしい腰使い。
 ゴスペルに沈潜し、活気を帯びた曲に渡して、ベッドを豊かな表情で彩ります。組立ては緻密で、内面から火がついて燃え盛り、興が乗ってきたところで、今思い立った風にパッとポーズを放つまでを、よどみなくナチュラルに演じます。



4.豊田沙希

 淡いピンクのワンピースから黒字のカットソーへ、ちら見せから露出を高めてゆく趣向です。わずかに太ももを残して覆う黒のストッキングで、コケティッシュに迫ります。
 黒髪のショートヘアーにつぶらな瞳。リズミカルにステップを刻んで、東洋ショー仕込みのアイドル風のシンプルなダンスに徹して、宙に泳がせる掌を、肩に、腰に、自らボディタッチ、いじらしいくらい懸命に。
 黒いパンプスを履いたままで盆へ、パンプスを締めるシルバーの紐が、足の甲から足首へとクロスしながら巻きつきます。伸びをするように差し上げた腕の先、Tバックの黒い紐を手錠のように手首に巻きつけます。黒いタイツを残したままLで足を上げ、右足、左足と入れ替えます。フェチなところをぐさり突いてきます。
 終曲で早々に立ち上がり、花道戻りをゆきつ戻りつ、迷いながらの長い引き。戸惑いを隠しきれない表情から、最後の一瞬の安心しきった表情まで、はからずも短いドラマが生まれます。



5.川中理紗子

 振袖スタイルにアレンジしたダンス着から、朱の襦袢、裸足で2曲を活発に踊りきり、ベッドにはパンプスを持ち込みます。
 ダンス着は白地、パッチワーク風に方形の生地を重ねて縫いつけます。五円玉の穴ほどしかないシルバーの円形の飾りを几帳面に貼り付けると、照明を乱反射して七色に輝きます。羽毛に包まれて頭巾に似た冠と合わせると、荘厳でゴージャスに。すました表情が似合います。
 襦袢の朱は、青や黄色の照明の下で、光の加減次第では蛍光色のように変じ、燃え上がるように映えます。整った顔立ちは憂いに満ちて、よく通る視線で訴えかけて、媚のひとつも感じさせません。
 終盤にきて、華奢な体からは想像もつかなかった、ダイナミックなポーズへ。しゃちほこから両手だけで体を支え、両脚を宙に浮かせて、片脚を組ませて静止。これはあまり見たことがありませんでした。



6.匠悠那

 下手からもんどりうって転げてきたのは、アラブの貴公子でしょうか、シンドバッドを思わせる装束で、油のランプを大事そうに抱えます。ストーリーは度外視しても異国情緒を楽しめます。
 1曲目は舞台四隅まで使い切る活発なダンス、ゆるやかなターンにしなやかな身のこなし、深く踏み込んで自在に動きます。アクロバティックな振付を立て続けにキメていくさまは、見ていて気分がいいです。
 効果音にリンクした照明の切替でめまぐるしく、臨場感を与えます。場面転換でいったん幕を閉めました。
 薄暗がりの本舞台中央で、蚊帳を釣るようにベールが天井から垂れ下がり、クラゲが触手を広げて伸ばしたよう。神秘的で隠微なムードに包まれてベッドへ。
 クラゲの腹から這い出るとすでに裸身で、目元を残して顔を小さなベールで覆っています。おおげさな表情はベールの陰に隠し、困惑、耽溺、覚醒と、さまざまな感情を目ひとつで語ります。






[7900] 浅草12月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/12/31(Thu) 20:56




敬称略です。


第一部

1.林泉水・清水愛

 サテン地の黄色いシャツに、ゆるく仕立てたズボン。ネクタイを申し訳程度にゆるく締めて斜に構えます。
 シックないでたちの7人が肩の力を抜いたダンス。裾がまとわりつくのを振り払うように、華麗なステップを披露します。
 一見フリーな動きを装いながら、シンメトリーで、しかも故意に密集を作っている様子。ゆるいリズムに機敏な動きで切り込みます。
 勢いよく盆に乗り込んだ二人は、悩ましいランジェリー姿でそれぞれ白と黒。
 寄り添い絡み合う混沌から、終曲でシンクロさせたポーズを放ちます。向き合う月と太陽のように明晰な世界を作ります。



2.新垣セナ

 愛らしい歌声に愛らしい振付、子供たちの夢と幻想を裏切らない、愛くるしい景です。
 雪原をすべるトナカイの橇が遠ざかる情景を鈴の音で浮かび上がらせます。
 情景に合わせた衣装は真綿のような白。ブーツを黒から白に履き替えて、白いふとももを露わに、白いガーター姿へ…
 遠景には2体のスノウマンがぼんぼりのように、暗い奥舞台にたたずみます。顔に張りついたような笑みが、ふっと浮かんでは消えたような錯覚。すでに盆はブルーキュラソーの色に染まっています。
 猫のように這いつくばって腰を沈ませながら動き回り、甘みな表情から厳しい姿勢をとるポーズを続けさま、繰り出します。



3.夏目りょう・木村彩

 スパンコールをはじきとばすような勢いで、4人を2組に分けて組ませたチャールストンばりの激しいダンスへ。
 ボディラインを柔らかく見せるフィットしたデザインの衣装で、だてにシンクロさせてもつまらないですから、ぎくしゃくとロボット風に関節を動かしたり、隠し味を添えてみせます。
 パーティー気分ではしゃいだと思ったら、やっと静まってジャジーな曲で流して、しっとりとしたベッドへ。
 性格を違える2曲で2人がそれぞれを、いつくしむように演じます。場面の受け渡しに感情こめた演技も添えて、とある物語を背後にうかがわせて引き込みます。
 長い長い道のりを経て、仲睦まじく、2人の影がひとつに重なります。



4.仙葉由季

 スタイル抜群の美女4人に囲まれたら、伊達男はほくほく顔。両手に華でもまだ余ります。彼女らにあちこちちょっかいを出しながら、ハート目がけてシューティング。お盛んなことには頭が下がります。
 タイトなリズムのこの曲も、パワフルでエネルギッシュ。山高帽にグレーの燕尾服でビシッときめて、ベストの黒でアクセント。にやけた顔に軽い身のこなしで、ムーランルージュの名物男性ダンサーを思わせます。
 かく言ううちに移動盆の上、花道なかばに差しかかり、おっといけない、本分を忘れてちゃ…、あわててズボンを下げ、おとぼけ顔を拭いさったところで、黒くて透ける薄手のスカート、鋲を打ち抜いたベルト、金属色に輝くバックル…、妖しくなまめかしい表情に豹変します。
 長い髪を振り乱し、とかげの鱗のように鈍い光沢を放つ靴を、片手で差し上げてのLは、蛇が鎌首をもたげたよう。
 反身で目いっぱい両腕を広げた姿勢は、背景で意思があるもののように自在に回り続けるミラーボールを、あたかも抱えあげる格好と重なります。



第二部

 わっせぇ、わっせぇ…、と祭囃子の掛け声、その合間に埋もれる紫の煙…
 海外の方々には、どんなふうに聞こえることでしょう。
 中国宮廷風の派手な極彩色の衣装で始めて、江戸のシンプルなデザインの半被姿で受けてと、第二部はこんなふうにフィナーレまで、30分以上をノンストップで続けます。



 半被姿の若衆4人がバチ太鼓、仮想空間を叩きまくって、勇壮かつしなやかになバチ捌き、上半身のパワーをしっかり腰で受けとめて強打、連打。せいっ、と一礼、亜熱帯のジャングルへとワープします。



 人跡未踏、テレビクルーも入り込まない密林の奥地は、獰猛な肉食獣が跋扈します。豹柄の衣装に身を包む女王にかしづいて、すり寄り、じゃれ合います。雷鳴、驟雨、タムタムの波動…  
 野生の風土が忘れていたフェロモンを発散させるのでしょうか。プロダンサーから第二列の踊り子へバトンタッチします。二足歩行で、お色気でも凌駕しますでしょうか…



 躍動美の続く第二部では一服の清涼剤、オリエンタルな音と衣装で穏やかな世界へ。
 礼拝堂でキリエが長いエコーを響かせるなかで、奥舞台にて椅子に体を預けて静止ポーズを二度、三度。



 暗転後は、赤い襦袢が鮮やかな、髪に金銀細工のかんざしつけて、廓の一場面からとりました。
 振付も構成もシンプルに徹して、6人が寄って離れて、一列に。
 腰をくねらせ、足先で、のの字、のの字を描いて股を割り…
 帯を解いて湯上り姿のようにしどけなく、流し目ひとつで客を殺します。



 続く2曲は4人のプロダンサーが子供のころに返ったようにイキイキと見せるジャズダンスです。シューズが小刻みに床を蹴り、一瞬電流が走ったかのように伸び上がり、のけぞりと、躍動感あふれます。



 早着替えのあと全員を登場させて、とさかを振りたてたサンバの衣装、軽く、スカッと切れのよいラテンの響きで踊ります。
 舞台いっぱいに散って右に左にと揺れ、その場足踏み、伸び上がりながらターン。いつもならここでフィナーレという、ゴージャスな場面です。



 ここから中央を割って出た沙羅さんが、2曲もらってトリを務めます。
 サンバの余勢をかったのか、邦画のテーマによるピアノの流麗な旋律がアレンジされて、息もつかずに駆け抜けていきます。
 白いレース地のドレスで、長い裾をいとわず激しく狂おしいステップ。デュオのお相手の男装の麗人も振り切られます。
 直線的に花道へ。途中で間奏が静まりかけた一瞬に、今日の記憶がよみがえり万感胸に迫ります。
 感傷的な歌声に包まれ、いよいよ盆の立ち上がりへ。
 低い姿勢から空を見上げる素振りを見せて、徐々に視線の先を伸ばしていき、広々とした仮想空間へと誘います。積み上げるように重心を上げていき、花道戻りで低く差し出した掌を、大きな空間を掴み取るように伸ばしたとき、雄大な景色に思わずのまれます。



フィナーレ

 年始以来、見慣れたはずのこのフィナーレですが、精緻に磨いてたたみかけるように迫り、圧巻です。
 朝日を背に鶴の飛翔、間髪置かずに和太鼓せり出して、渾身の力をこめてドンツクツ。
 プロダンサー4人の演奏に、踊り子6人を和服姿で右に左に、前うしろと…
 太鼓連打を抑え気味にしてからは、よもやの叩きながらのダンスで、10人一丸へ。
 気性荒い太鼓の音色と、袖を捌きながらしなやかに舞う日舞の動き、両者が好対照のまま融和します。












[7899] SNA 9結 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/09/28(Mon) 01:32


敬称略です。



1.広瀬あいみ

 ドレッシーなオフホワイトの衣装から。ボリューム豊かなカスケード状のスカートの襞を、派手に波打たせます。
 暗転後にヒップホップ、けだるいムードで不意を突くステップ、軽く瀟洒にまとめます。キラキラと表面が輝く黒地のミニ、胸元にはネックレスの代わりに黒のネクタイを長くたらします。身にまとったストライプ柄がことさらキュート。スリムなボディ、すらりとした脚。
 ベッドは白いレース製の下着ひとつでセクシーに。タイツのエッジを飾るフリルには、ガーターベルトの先がしっかり食い込みます。
 終曲には、ポーズを連ねて健康美で元気よく。ひたすら明るく、手拍子を誘ってうねりを巻き起こします。



2.夏目りょう

 曲のつなぎ目に雑踏のざわめきや日常会話を録音して挟み、時空間を跨ぐことを示します。選曲自体が物語の起承転結をほのめかしています。スポットライトとフラッシュを巧みに操って、映画や芝居の効果を用います。
 ハードロックで語る厭世的な気分、すごんで肩をいからせて、ストリートファイトで後ろ回し蹴り炸裂…、はした金つかむのに手荒な真似。
 そんな自分に嫌気がさして、肩落としうなだれて、スポットライトから溶暗、はいカットぉ。
 シンプルなすがすがしい白のドレスに着替え、心機一転まき直しへ。まっさらな赤の靴は、長い距離の移動、旅立ちを暗示するような…
 …好調に滑り出して、暗礁に乗り上げて、葛藤、心の闇を覗き込み…
 そして終曲は、渋くアーバンな音でキメて、過去を回想し救済を得て、未来にほのかな希望を垣間見させます。花道を戻るとき、振り返る前の背に、「Fin」と浮かび上がるような…  映画だったら、そんな感じでしょうか。



3.TAKAKO

 赤や黄の照明の下で、真っ赤なコートの色鮮やかさが際立ちます。イカし過ぎるほどで、不吉な翳さえ漂わせて。裏地の黒とのコントラストが美しく、仕立てた襟、ベルト、そしてときおりめくれて覗く裾の内にそれが現れます。
 端整なマスク、凛々しい立姿。軽いフットワークで浮かび上がるように、流れるようにステップ。
 続いてロック、激しく踊り狂って感情をかき乱すように。
 暗転後は、黒のガーター姿に、赤い幅広の布に絡み取られ埋もれて、盆へ。
 ジャズの静かな歌いぶりに、いかにも気心の知れたといったピアノとベースがぴったりと寄り添います。干渉しあう音色が波紋のように広がっては重なるのに聞き惚れて、陶酔へ。
 終曲はスパイシーにロックで締めくくり。ピアノもギターも暴れまわって鬱憤を晴らすよう、豪快でワイルドに。



4.みつやれん

 ダンスレッスンの練習場にて。
 素朴な旋律を素材にしながら教師が腕達者で、豪快にときに繊細に、変幻自在にアップライト・ピアノを弾きこなします。
 感情のたかまりをなぞるように大波〜小波…、速く〜遅く…、と、めまぐるしくテンポを入れ替えます。フォルテシモで張りのある音に反応して、踊り手もいきいきと果敢に踏み込みます。
 汗だくになるまで踊り疲れて、肩の力を抜いて小休止。
 シャンソンの代名詞をおきまりのジャズ・アレンジで。
 網タイツの編み目に肌が沈み、背中にはうっすら汗浮かべるなかで、ミュートのトランペットが舐めるようにうめき、ピチカートのベースはくすぐるように指先で弦を弾きます。
 ブランデーを嗅ぎながら悦に入り、妄想の海に沈んでついウトウトしかけます…
 まどろみから覚ます、列車を模した軽快なリズム、さぁハーレムへ向け、出発進行?!
ご当地ソングのオールドタイム、スウィングで、列車は急行かと思いきや鈍行並みに停車・発っシャを繰り返してばかりで…
盆回りの目を楽しませるオープンも兼ねて、なごやかに締めくくります。



5.沙 羅

 着物で着飾ってオーソドックスな日舞から、早着替えを見せて、いきなりダンサブルなチャチャへ。ベッドは盆に椅子を持ち込んで、ゆるやかな動きで変形された静止ポーズ。
 娘心をしみじみ歌いあげますが、日舞は歌詞に気持ちをこめて動きはキリキリと。すっと背筋を伸ばしてすり足、前かがみ。体の自由を奪うかのように両腕伸ばして掌を体から遠ざけて、はらりはらりと返します。ほっそりした手首を型にはめたようにきれいに、袖口から覗かせます。
 せきたてるように急ピッチの音で帯を抜き放ち襦袢姿まで。暗転してチャチャ、のどかな日舞の後には、優雅というより情熱的で積極果敢に聞こえます。サイドにステップしてヒップを揺らし、腰から胸までを大きく波打たせます。
 椅子を盆に持ち込んでからは、なだらかな動きで癒すように。椅子に支えられて自由になった脚が宙をかきむしるように漂って、覗き込ませます。



6.紗 / 奈

 デビュー新人用にシンプルで飽きさせない演目ができました。直進的なリズムですが、録音で凝った音づくり。ベッドは自由に遊ばせます。
 清楚な白いスカートからすらっと伸びる長い脚。脚を伸ばしたまま腰をつきだし、膝の浮き沈みでカウントとって、アヒルのようによたよた歩き。歌声はサンプリングされて早口言葉かお経のようで、この曲のテンポを引っ張ります。
 正面〜右向き〜左向きと単純な動きを2度3度繰り返すたびに、頭の右に飾った大輪の白い花飾りが見え隠れ。余裕がないながらも戸惑いつつ微笑む表情に、似合います。
 黒にピンクが映えるダンス着では、タイトなリズムにのってセクシーに見せるそぞろ歩き。正面向きで椅子に座ったまま開脚し、のけぞって… 単調なリズムを素材に、楽器を重ねてけしかけるように音を大きくして。スカートをはいたまま、むしりとるように下着をとりました。
 ベッドはごく普通に、ゆるいポップスから熱唱型のバラードへ。下着姿でファッションショーのようににこやかにベッド入りへ。
 微笑む、くつろいで横たわる、まどろむ、そして細身の体を絞るようにしてしならせる。印象深い笑顔を残像に。





[7898] 浅草9月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/09/20(Sun) 07:46




敬称略です。



1.成瀬美穂

 不揃いな雨だれがいつしかリズムを刻み、タップダンスのリズムに重なります。
 つい口笛でも吹きたくなるような、調子のよいメロディ。
 白いレインコート姿から銀ラメ、そして漆黒の革ジャン、ブーツ。
 バックダンサーも集団の中の個に徹して、めまぐるしく動いて緊張感を高めます。
 手際よく早着替えで、ベッドをドラマチックに盛りたて、緊張を解いてゆったりとゴスペルで花道戻り。
 晴れ間の覗く空を見上げて、暗転なしに2景につなげます。



2.大塚まみ

 舞台一面に広げた布に、ダンサー5人がもぐって下から支え、巨大なオブジェもどきの隆起物を作ります。舞台に踊り出れば、抜け殻のように床に張り付く白い布が、氷山や流氷をイメージさせました。
 白い羽根扇振る純白のコスチューム、神秘的な象徴劇を思わせて、軽快なリズムで駆け抜けます。
 しぼんだ布の下を潜り抜け、うつぶせに倒れた姿で移動盆ごと花道を運ばれます。妖精は眠りから覚めて、柔軟性に富んだ体で軽やかに。
 ポーズとポーズとを、点と点とで結ぶ線のように、なめらかにつなげて優雅です。



3.杏野るり

 シルバーブロンドの髪がマッシュルームのように頭を覆います。黒とショッキング・ピンクの衣装を肌脱ぎへ。
テクノポップを彷彿とさせる不思議な雰囲気はどこか中性的で没個性的、カンフーやマイムやロボット・ダンスをのみ込んで、独特なもの。
 バックのふたりは桂馬や香車のように縦横無尽に動き回り、メインを引き立てます。
 鮮やかなピンクのベッド着でしとやかに。弾力のありそうななめらかな肌で大胆なポーズへ。グッとさしこむように動いて、股関節や背筋に力がかかります。



4.矢崎茜

 5人が韓国歌謡にのってしとやかに。色使い豊かな創作着物で。
 鳴り物を手にして優雅に奏で、なごませます。2曲目から早着替え、一挙に帯を解きました。
 花道ゆきは、まばゆいばかりの純白のファーに手編みのレースをまといます。
 哀しげな瀕死の白鳥の歌、感傷的に。涙をためたように瞳を潤ませて、言いかけたことばを飲み込んだ、もの言いたげな唇にそそられます。
 花道戻りは、時間をかけた長い引き。逆光のなか、神々しく佇みます。



5.浜野蘭

 頭巾にマントの醜女、辺りを見回して忍び足。腰を曲げた姿勢で徘徊して、若いふたりに何やらまとわりついて囁きかけます。
 マントも仮面も外すと、エレガントな美人がそこに。
 激しいハードロックのサウンドの洗礼を受けながら、花道へ。
 青色LED照明の鉄格子で囲まれて、そこは檻。
 スワンへ、ブリッジへ、間歇的に放電するかのように、オーラを放ちます。
 栗色の長い髪を振り乱すと、その先が頬をなでます。クールな表情を崩さずつぶらな瞳で見つめられると、あまりの妖艶さに視線を返しづらいのですが、思わず上目遣いで見とれます。



6.安田志穂

 3人がフラメンコ風の衣装でそろい踏み、黒にピンクのコントラストがあでやかです。
 舞台ところ狭しと斜めに横に、ダイナミックに動きます。3人が互いの立ち位置を確認しながら、引き合うように入れ替わります。
 単調で歯切れのよいリズムに乗っていくうち、音が積み重なって動きの振幅も拡大してゆき、いつのまにか雄大なスケールへ到達しています。
 若々しいイエローグリーンのベッド着をまとい、盆へ。
風に揺れる柳のしなやかさ、軟体動物や節足類のように疲れを知らないかのような微細な動きは、生命力に溢れます。寝技のような体制から、スローに間断なく続けます。
 最後には見栄えのする静止ポーズを立て続けに放ちます。



7.矢沢ようこ

 赤い装束の6匹を連れて、三蔵法師が天竺目指す西遊記。無事に経典を持って帰りたいのはやまやまですが、このサルどもときたら、つかむ、引っかく、喧嘩する…で、落ち着きがないったらありゃしません。
 ユーモラスでひょうきんな姿を振付で写し取ります。
 白の紗のベッド着では髪飾りが盛り上がり、リボンの先がめしべのように口元まで流れます。その端をくわえて盆にくず折れて、長い脚を誇るように優雅に泳がせて身をよじらせます。
 あたり一面が銀世界に包まれたとき、深くえぐるL、ダイナミックなブリッジと目を引きながら、長い引きで花道をたどります。




[7897] SNA 9頭 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/09/13(Sun) 05:06


敬称略です。



1.清水愛

 不吉な効果音に包まれ、冥界へ。
 赤い袴に紗をかぶってしずしずと。
 舞台の両袖天井から吊るして下げた真っ赤な敷布は、舞台中央へと差しわたし、血のりのようにべったりと赤一色に照明で染め上げます。
 アコースティックな伴奏にのせて哀愁帯びた歌声をせつせつと、美しいけれどどこかわびしく、虚しく響きます。扇を返して、散る花びら。
 暗転、ハードロック、また暗転。
 裸身に敷布を巻きつけて立ちつくすと、よじれた布の襞がうねって流れ、大理石に刻むローマ彫刻のよう。ゆっくりと時間をかけてほどきながら盆に達します。
 お得意のしなやかでなめらかな動きを駆使して、ダンスの延長線上でベッドも運びます。
 水圧に抗いながら、水底をかきまわしてのたうつように、ひねりとうねりが一体となったまま、閉ざされた空間を埋め尽くします。



2.青井れいみ

 シックに黒のラテンのダンス着から、きらきら光る金色のセパレートへ。長い脚、キュッと引き締まったヒップのラインを要所で見せつけます。
 シースルーのキャミソールをベッド着にして、恥じらいながら裾をまくって煽情してみせます。
 うぶなデビュー新人ですから、心の動揺は少なからずあるでしょうが、こわばった表情の仮面の下に納めます。客席の視線をはね返すさずに、そのまますーっと吸い取ります。
硬質なピアノの音色、冷ややかに。思わせぶりなしぐさが、視線をからめとります。
 きつく張ったギターの弦、かき鳴らして開放的に響きます。明るい声で熱唱へ。
 表情崩さず淡々とこなし、立ち上がりのピークにかけて演出どおりの効果を引き出します。



3.鈴木あきほ

 白地にピンクのドットを散らすワンピース、夏らしく少女っぽい姿で、みずみずしい
素肌にストラップが残す日焼け跡。
 バレエのレッスンのようにヒールを浮かせて軽やかにステップ。
 2曲目哀愁を帯びて、暗転、3曲目からは下着ひとつに大きな敷布を羽織って、鷲が力強く羽ばたくように煽ります。
 メトロノームのように無機質なリズムボックス、ピアノとドラムがアドリブっぽくせめぎ合うなか、しなやかに女性ボーカルが割って入ります。
 引き締まった体、流麗なボディ・ライン。敷布を身に纏うと、表面に浮かび上がった皺に陰影を刻んで、落日に映える雪山のよう。
 終曲は息を吹き返したようにイキイキと活力溢れます。



4.奥菜つばさ

 天真爛漫に跳びはねてみせる、おとな向けのファンタジー。
 ワンピース姿の少女のフラフープ、妖精の姿でゴムマリと、遊具を使ってはしゃいで戯れて、コミカルさとハプニング(意外性)とを同時に仕掛けます。逆スピンをかけて玉突きの引き球の要領でブレーキ、次のゆくえはどことも知れず、気まぐれに支配されてしまいます。
 ダバダバダ・コーラスで疾走するスケルッオ、めまぐるしく転調して、続いて優雅なリズムで腰を振り胸を揺らすベッドへ。明るく歌い上げる曲に、喜悦に満ちて踊りあかしてポーズ。
 うつぶせのまま上げる脚が、背中を越えて後頭部に届きそうに、さそり型に反らせます。
 柔軟な体で大胆にLと、汗をぬぐう間もない熱演です。



5.黒澤エレナ

 メリハリのきいたリズムでガツンと、ノリノリではじけます。
 白のYシャツに、ベストにミニスカート、膝小僧見せてボーイッシュでカジュアルに。キャップに収まりきらない豊かにウェーブした髪をたなびかし、街歩きのお洒落な装いです。
 スリムなボディに脚線美、目力が強く、遠目にも表情が伝わります。
 2曲目からはグッとくだけて、せつなく物欲しげな表情で、大袈裟に訴えるような表情で。目つきがトロン、指先を生き物のように体に這わせます。
 脱ぐ場面は克明に見せ、ガウンを羽織るといつくしむようなベッドへ。
 恋人同士が互いに魅かれる気持ちを、さりげなくせつせつと歌っています。歌に想いを託して、せつなげな表情、物思いにふけり、あるいはこみあげる悦びをこらえきれないように… 恋にうつろう心を表情豊かに写し取ります。



6.伊沢千夏

 ハロー! バービー、ハーイ! ケン…
 生身の人形の早着替え、立て続けにアップテンポな4曲で、元気いっぱい、キュートにコミカルに。
 マテル社に捧ぐメイクにコスチューム、色白、ブロンド、ピンクのリップにパッチリした目、萌えもアイドル系のノリも突き抜けたその向こうには、…一種のヤバい感触が…、パルプ・マガジンの表紙絵の、チープでレトロなテイストがうっすらと感じられます。
 甘みな声で囁きかける歌、人形遊びの手を休め生着替えの最中、キャミソールはだけさして頬ずりしてみせて、ありえないほどあられもない睦言聞かせて…、でも四六時中閉じることもないつぶらな目。
 ついうとうとしたら、午睡の夢の真っ只中でした。ドールと自分の身体とが入れ替わっていて、欲望が実現して伸びやかな肢体が意のままに動かせます。しっとりとして嬌声が響きそうな底抜けに明るいベッドで、夢は夢のままで終わります、いつの世も。





[7896] 浅草8月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/08/29(Sat) 07:42

 浅草8月


敬称略です。


敬称略です。


1.沙羅

 のっけから、いきなりフィナーレかと間違えないでください。
 羽毛に包まれた真っ白なドレスで、ゴージャスに目いっぱい気取ってみせて、舞台はすべりだしました。
 センターに7人寄せて、余白を残し広々と感じさせる舞台、まばゆい光の海。
 打って変わって勇猛な和太鼓競演に。法被は紺地に極彩色の蝶が舞い、いなせに着こなして肩幅に広げた足元を踏みしめて、丹田に気をためてエイヤァっとバチをふるいます。
 腹にズシンと響く音。
 汗も引かないうちに、はらり法被をはだけさせ、身をのけぞらせてポーズ。弓をつがえるように腕の先を天に差し伸ばし、張り詰めた筋肉がうずきます。
 すねて睨んでみせるような見得を切り、様式化されたしぐさが日本的な舞台にハマリます。



2.魅麗

 サイド・スリット切り込む衣装、スッと脚が伸びて浮かせたハイヒールのトゥをこすりつけるようにして円を描きます。マネキンのように立ちフェチを意識させながら、音は猥雑なハードロックと、ミスマッチの面白さを求めます。
 両脇のふたりが下手にはけ、メインは白いレース地のベールを被って、ひとり花道へ。
 ナルシズムに溺れるようにベッド。くびれた腰を折れそうなほど反らし、魚がひれを水に靡かすように、ベールを揺らせて遊ばせます。
 祈りを捧げるように手を差し伸ばすと、ボーカルがすすり泣き、最後はメロディアスな旋律へ。
 過ぎ行く夏の思い出にすがるよう、ひとこと言ってよ、とつぶやきます。
 ♪四六時中好きって…



3.花村沙知

 一斉を風靡した米国人ヒット・メーカーのメドレー、耳になじんだ曲の数々はダンスフロアになじむもの、シンプルなリズム進行に野太い音で、力づくで押し切ります。
 ゾンビどもを墓地のねぐらに帰したあたりから、平明なバラードに変えて、バレエの素養を生かして軽快な足取りで。蝶が舞うような軌跡を舞台に残します。
 盆では全身のストレッチに指先の細やかな動きを加えて、しなやかに。
 Y字バランスで引き締めてから、花道戻りは移動盆を使わずにのびのびと。きまぐれにポーズを切って、おおらかにまとめます。



4.小室りりか

 しんみりとした語り口で現世を恨む嘆き節、演歌の世界です。
 着物姿の男女ふたり、演歌の詞書どおりに、書割を設け所作をなぞります。
 未来に何が待ち受けるかをわきまえず、悲観、夢打ち砕かれ、いっそひとおもいに… 無理心中もならず男は逃げるように去り、女の胸中を推し量るようなひとり芝居、淫靡な世界にふけります。
 豊潤なエロスを溢れさせ、感情移入に誘います。
 ♪ゆらり、ゆらり… 
 女性ボーカルがせつなげに吐息交じりに繰り返し、エキセントリックに情感に訴えます。



5.綾秦クレハ

 囁き、含み笑い、ガールズトークから堰を切るように呵呵大笑へ。
 能天気にモータウンサウンド、喧騒に満ちた開放的なディスコ、カラフルなレインボーカラーの衣装。酒が入って羽目をはずした猥雑な感じで、4人が陽気に踊り狂います。
 さっきまで揺れていた腰ですが、膝の力を緩めて危ない腰つきでグラインド。くらげみたいにフラフラ〜と流されるように袖にはけて…  ひとり盆に取り残されました。
 霧のかかるようなコーラスのハーモニーに包まれて、ゆったりとベッド。ハイな気分でひとりでに動き出す体のパーツ、羊水に浸るような心地よさ。
 控えめにリズムボックスが刻むと、スワン、L、ブリッジ。
 分厚いシンセサイザーの響きにのせて、エクスタシーにのぼり詰めます。



6.TAKAKO

 洗練されたスロウでアンニュイな曲に、キャミソールにコルセット、コケティッシュな姿をさらします。
 3人は舞台で距離を置き、座椅子に背を預けて寝そべり、こすり上げるように脚を伸ばしたり引きつけたり… 太もものつけ根まであらわに。
 整った顔立ち、すました表情で、ダウン系のロックを待ちわびます。なげやりな歌い方に似合う、無表情なままの演技。
 ウエストコーストでおなじみのペダル・スティール・ギターの音が官能的に迫ります。花道戻りで刺激的なポーズ、狂おしく溺れるように乱れます。



7.大空あすか

 強、弱、弱、弱、と複式で4拍数える、規則正しい息づかいに、単調な旋律を重ねるうち、次第と熱を帯びました。あたかも踊りの輪唱を見ているようです。
 鉦太鼓にケレンたっぷりのバチ捌き、曲は和製のマーチを思わせて威勢よく、所せましと舞台を闊歩します。
 バチとバチとが触れあってカラリと響きあい、7人が息を合わせます。果てるようにして最後の一撃を揃えたときは痛快、胸のすく思いです。
 破調でわらべ歌、続けてオペラによるエンディングは気宇壮大。
 春は桜、秋に紅葉…  四季の移ろいを讃えるわらべ歌の素朴な詞に、表情をほころばせます。
 続くオペラでは階段を1段1段辿るように、アリアで感情を昂ぶらせ、最後にズバッと余韻を断ち切ります。



8.フィナーレ

 色とりどりのコスチュームで、汗ほとばしらせてエネルギッシュにジャズダンス。大音量の波状攻撃に歯切れのよいリズムで一直線、あたかも祭囃子のようにたたみかけます。
 あわただしくポジション替えて、クロスしてターンして…
 生まれて淡く消える出会いの縁、短い夏を想いながら、にこやかに手を振り返します。






[7895] 浅草6月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/06/21(Sun) 08:38


敬称略です。


1部

1.加瀬あゆむ

 和服は黒地に草花をあしらったあやな色。お三味鳴らしてちゃんちきさ、太鼓たたいてトンツクツ。
 お嬢様、遠慮は要らぬぞえ、サアサ、どうぞと、固辞もかなわず気晴らしに、エイヤのバチ捌きをごろうじろ。
 芸事の源流は、芸者のお座敷芸。裸電球を覆って襖を閉めて… 故事になぞらう世俗的牧歌。余興のついでか酔狂か、はらり、お腰の紐を解くこともあったとな…
 観る者を無我の境地に遊ばせます。

 ついぞ先の赤いべべ着たお嬢様は、金色の透かしを浮かした白い紗の襦袢1枚に。
 いとおしげにこちらを見つめられて、なにか夢幻のごとく思えます。
 口に差す紅の色合いがやけにリアル。網膜に焼き付いて離れません。



2.月川ひとみ

 深く抉れたスリットが心をくすぐるチャイナ服。
 手にした扇でゆったり煽ぎ、扇と体のバランスを活かしながら優雅な振り。シンメトリーを崩さず離合集散。
 黒いタイツの網目がチラリ、さわやかにエロスを主張します。

 花道からは、がらりとアダルトに。
 ナイトラウンジへ辿る足元を照らすように、しゃれた模様の照明踏みながら。
 深いコバルトブルーの照明の色が、夜のとばりに融け込みます。
 ガーターなしの下着、タイツ、ハイヒールが黒光りしています。
 なまめかしい肢体をさらして猫のようにしならせて、流れに乗せてポーズ。
 しどけなく奔放に寝乱れていく勢いのままに、ゆらぎをはらみます。



3.光矢れん

 きつねとヒトの双の面を、交互に向け、2種6台の太鼓を二人がかりで叩きます。3人目のメインは小刻みなステップにコンパクトなターン、クィックな動作で独楽のように跳ね回ります。
 粒立ちのよいピアノの硬質な響き、音と音の隙間を縫う太鼓の響き。
 小気味よいテンポの後に、情熱のアルゼンチン・タンゴ。
 闘牛士のマント替わりのベールを剥いで、凛々しい姿ですっと盆に立ちました。

 小太鼓、カスタネット、手拍子足拍子、輪唱するようにパートを重ね合わせて、神秘的かつ官能的な響き。
 体内でたぎる血潮が沸騰して衝動を抑えきれなくなる瞬間、晴れ間が広がるように南国的な光を浴び、晴れがましい音楽を浴びました。曲に似つかわしく堂々と、Y字バランスで勝ち誇ります。



4.沙羅

 風雲急を告げる切迫したサントラ風の音。
 ドラマティックな剣劇芝居、長モノ振り回して丁々発止、ばったばったとなで斬りに、太刀筋カッコよく運びます。夕陽が燃え盛るような照明が、取り澄ましたヒロイックなムードをいっそう引き立てます。
 天幕のような布をたなびかせて波立たせ、フラッシュ浴びせて視覚効果に訴えます。

 ベッドは羽衣のような薄手の紗の襦袢、体を泳がせ腰を浮かせ、首筋反らせば、頭上のかんざしから飾り細工がちろちろと震えます。
 オペラの間奏曲風な優美な旋律、オーボエやクラのソロを朗々と響かせ、序々に高まりを迎え、気を放つようにシンバル一閃。
 よどみなく流れるような動きのなか、ふいを打って華麗なポーズ。水を打ったような静けさが広がります。





5.伊沢千夏

 和太鼓の皮をぴんと張り、バチ持つ腕をしなやかに振り出せば、スローモーションのように残像が目に飛び込み、遅れて届く低音が腹にズシンと響きます。
 饒舌にまくし立てる琵琶の音色に、和太鼓の響きが割り込みます。はかま姿四人衆による連弾へ。

 舞台前面では人形師と操り人形とが「独り芝居」。精魂こめた人形が、あまりの出来に蘇生して生体反応を示します。神をも畏れぬなんという業でしょう、怖ろしさが愛着を振り切り、置き去りに。

 盆へ。生身の人形は、「一人称」の世界にこもります。
 ほんの1曲舞うなかで、ぎこちない指先はしなやかさを得て、頬に朱を差し、目を潤ませ、初々しい思春期の娘の表情を獲得します。
 たおやかな成熟の跡をのぞかせて。



2部 小向美奈子


 夢を見るなら甘みな夢を。ノスタルジーを感じさせる悦楽が好ましい…
 そんな夢へのいざないを、コスチュームと舞台転換、寸劇で演じてみせて、ミュージカルの説明口調の歌に替え、体を張ってのセクシャル・パーフォーマンス。
 バックダンサーのアクロバティックな動きは、コミカルかつユーモラスな演技とあいまって、サーカスのピエロのように場内を沸かせます。

 ガールズ・トークに枕投げ、ベッドのスプリングを活かしてトランポリン。
 誰にでもある思春期の記憶領域を掘り起こします。

 次のシーンは性的な好奇心の目覚め。うかうかと小悪魔の誘いにのったが最後…、すんでのところで美人教師に救われて、と、ほほえましいエピソード。

場面替わって、生意気盛りの盛り場デビュー。バーカウンターに疲れた肘をのせてほろ酔い、「オトナ」の気分。甘味なカクテルに添える、レゲエやカリブのダンサブルなミュージック。
 このクラブのダンシング・クィーン登場で注目を奪われて、ウォッカベースのグラスをあおります。
 おっと、脚がもつれたようですぜ、お嬢さん。

 「オトナ」の世界への階段は、地下に通じる階段でした。
 ダウナー系の阿鼻叫喚から、爽快、ハイな気分へ突き抜けます。
 ふかふかなベッドは羊水代わり、メインが身を沈めて、身も心も開放してのぼりつめるまで(花道往復)。そして夢落ちでまとめます。
 ムーラン・ルージュ幻想曲を効果的に使って、めくるめく世界に巻き込みます。



 そのストーリーに埋め込むかたちで、おふたかたのダンス・ベッドのシーンがありました。



1.桜庭彩

 パジャマ姿で浅い眠りから覚めて、夢遊病者の足取りで花道、盆へ。
 横たえた体を入れ替えながら、しなやか若鮎のようにイキのよい動きではね回れば、やがて着衣も邪魔になってきます。
 魂を切り苛むハードロックの大音量、豪雨が去った後に晴れやかに。
 アップライトピアノのひなびた響き、ゆりかごを揺らしてあやすような歌。しゃがれた(黒人)女性の歌いぶりが粋で、背を押されるように花道を戻る姿にほろりときます。



2.空まこと

 活発なレゲエにのせて、メインとダンスバトルを繰り広げた後、熱く乾いたカリブの風を感じさせる曲にのって、白のビキニ姿になる過程をのんびり見せつけながら、盆へ。
 パンプスにつながる、すらりと伸びた脚のライン。銀色の帽子を小粋にちょこんとかぶり、小道具として玩びます。
 深々と息をつけるような伸びやかなボーカルにのせて、大胆なポーズを繰り出します。
 ほがらかさの中に、はにかみも憂いも含んだナイーブな表情で、ひきつけます。





[7894] 浅草4月結 +5月  それにSNA 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/06/01(Mon) 23:26

敬称略です。
 (前後半の出演した方々の名を、〜ではさんで連ねます)



1.草凪純 〜 仙葉由季

 狂おしいベース、雷鳴のようなドラミング、フュージョン系の派手な伴奏に、暴れ太鼓はピック替わりの華麗なバチ捌き、三味線の太い響きがオーバーラップします。
 青や赤の照明を背に、黄と黒とのツ−トンカラーの和風のデザイン衣装で袂を翻し、ダイナミックな群舞から。乱れ太鼓も勇ましく7人は場の興奮をかき立てて、左右対称の配置を崩さずきびきびと、動きに一体感を求めます。
 メインが手際よく引きちぎるように和服を脱ぐ間、6人は奔流にのまれるようにめまぐるしく動いて加速します。メインが白い大きな羽根扇を手に、花道をこちらに一歩一歩すすむ姿を見送りながら、6人は幕間に消えていきました。
 寂寥感を助長する神秘的なベッド。力強い立ち上がりから、不死鳥舞うように華麗に羽ばたきます。



2.HIRO 〜 夏目りょう

 カスタネットの乱打が似合うラテンのリズムにのせて、舞台狭しと5人を散らし、一気呵成にスパニッシュ・ダンス。 軽快な足元をかろうじて見せる長めのスカートを、夏向きの色と柄とで染め上げて、真夏のように強い日差しを思わせる逆光の中を、めまぐるしくポジションを繰り返してみせます。
 燃焼しつくしたところで花道を、メインはモデル張りにしゃなりしゃなり、インド旋法の音楽にのって練り歩きます。
 悩ましくくねらす裸身、重力から解き放されたポール・ダンス。
 アコースティックなジプシースタイルの奏法で、心地よいリズムを場内いっぱいに轟かせ、ヒロイックなエンディング。音の勢いを殺さぬまま、次景にトップスピードで突入します。



3.月川ひとみ 〜 かんな

 ざわつくシンバル、五月雨のようなスティック捌き、ジャズアレンジをライブ感覚で堪能します。喧騒、かぐわしいアルコホル、紫の煙が目に沁みる…
 かすんで見えるステージの上では、ヒップとヒールでカウントしてみせて、1920年代のフラッパーが、トップスピードで駆け抜けます。
 息をあげずに、水色のワンピース、ステッキ代わりに雨傘を手に。あじさいもほころび始め、手毬のような花の蕾がちらほらと開いて…、そんな情景を思わせます。
 翳りのある3曲目、しなやかな終曲。
 おや、晴れ間が覗きましたか、ほがらかに締めくくります。



4.聖京香 〜 大友輝

 ギターなかせて歌詞にほろり、ウェットでメランコリックな世界を築いて夫婦芝居調、手に手を取って睦まじく。女官3人が内掛を、羽衣のように翻して舞台を横切れば、手垢にまみれぬ清涼な印象につかります。
 おのこに燃やされた心の芯が、熾火をかきたてるようでやるせなく。しみじみとしたボーカルがいい按配に時を支配して、体を預けるようにのびのびとポーズを切りました。


4-2.白沢きらり

 最後の10日間に新演出で大胆な、いかにも楽しげなダンスができました。
 5人がゴム毬のように掌にのせるミラーボール、大事そうに抱えて上げ下げを繰り返して、右往左往。かくれんぼのように袖を出入りして散漫な印象を与えるかと思うと、規律正しいところ見てくれとばかり、花道に縦列して足踏みしたり、いわゆるドタバタです。
 リスムボックスに引きずられるようにして、ベッドの入りへ。闇に溶け出すような音からやがて立ち上がりへ、ゴスペル調の甘く心地よい響きに包まれて、間合いを十分はかったポーズ、正攻法でまとめます。



5.小川りか+安藤アゲハ 〜 川崎明穂+桃瀬れな

 ブレザーでビシッとキメた男装2人、エスコートするうら若き女2人。平和な4人の間に割って入ったなまめかしき女、気まぐれな神様が悪魔でさえたくらまないような、恋の試練を授けます。
 男女の心の距離を近づけたり遠ざけたり…
 2組のカップルの絆はたやすくほどけなかったようで、深いペダルのジャズ・ピアノにのせて、次は夢のなかのシーン。ランプシェードから洩れる光に頼る、インチメートな世界が、回想の1シーンのように繰り広げられます。
 ひとり目はアコースティックな音色でシンプルに力強く、立ち上がりで明るくなごやかに振舞います。捨てないで、捨てないでね、と、嘆願する声が祈りに転じ、いつしか相手の心を動かします。
 ふたり目は、清浄なボーイソプラノの合唱のような、幻想的な響きに包まれて花道へ。やがて豊潤な音に祝福されて、バイタリティ溢れて突き抜けるようなポーズへと繋ぎます。



6.小沢マリア 〜 加瀬あゆむ 〜 松嶋れいな

 神々しいオーラを放つ着物姿の女性が、袖を払えば、あら不思議、邪気ども4匹を操って、遊ばせ、鼓舞して、くたばり損ないめを蘇生させます。
 和太鼓、雅楽、得体の知れない未開の地の土俗的なリズムに合わせ、トランス状態へ真っさかさま、痴れ者のように力の限り踊りまくります。
 デジャブで見たようでいて、あり得ないこのシチュエーションにはいったい何でしょう? 一種異様な印象を受けて、ただ呆然と見とれるばかりです。
 苦悩、煩悶、悩ましげに盆に倒れこんで、憑き物を払うかのように突っ伏します。
 目で訴え、口元で語りかけ、しなやかに体全体で歌わせて…
 やがて仰ぎ見るようなピークを築きます。



7.フィナーレ

 ファルセットのハーモニー、柔らかな花びらに触れるかのような薄手のドレスに包まれ、フィナーレへ。
 勢ぞろいしたメンバーが、繊細な身のこなしで上手から下手へ、あるいは両翼からセンターへと、ドミノが折り重なるように、華麗な振付けを移して伝えます。
 淡い桜色の衣装が、花道を覆い尽くしたかと見るや、さざなみのように寄せて返して、潮が引くように舞台奥に戻り、はかない夢から醒めるように終わります。





もう1箇所。

  SNA4結



1.矢島愛美

 シャンパン・ゴールドのきらびやかなドレス、周年にふさわしくエレガントに装う1曲目。のびやかな肢体でしなやかな動き、脚の付根から動きが始まるような、大きくゆったりとしたストロークは、水をかくフィンのようです。
後ずさりを交えて細かく小刻みにステップを切返すうちに、その場足踏みのようなコンパクトな動きになってゆき、上腕でバランスを取りながら踊ると、優雅で、ちっとも無理しているようには見えません。
 盆に椅子を持ち込んで、狭めたスペースをすり抜けて楽にポーズ。椅子を携えて本舞台に戻り、軽くからんでエンディング。まぶしいくらい豊かに金色の光を浴びて、長い脚を見せつけます。



2.島谷小百合

 青や紫を含んだ花柄のブラウス、スカートに、ゆったりと広がった裾を揺らして、手にした扇子で煽ぐように震わせます。その場に足を止めたまま、流麗な手の動き以外には特徴を出しにくい振付ではありますが、愛らしい表情が移ろうのに自ずと目がいきます。
 上手袖で無造作で自然に脱ぐ下着、豊かなバストにつられてボディを揺らし、ゆるやかに立ち上がるポーズは支えるのに精一杯。でも懸命な表情や、達成感を噛み締めた和やかな笑顔に、癒されるものがありました。



3.若葉さくら

 白いドレス、盆にうずくまってスタートして、花道、本舞台を縦横無尽に駆け巡り、バレエやジャズダンスの要素も交えてシャープなダンスで圧倒します。続いて激しいロック調の曲でつないで、赤いボンデージで緊縛へ。
 左右舞台の裾からはるか盆まで達する紐が、伸び縮みしながらよじれて裸体をからめとり、なにか、アーティスティックなパーフォーマンスを見るようです。



4.林泉水

 桃色のチャイナ服、いたいけな乙女が拉致され、嬲られ、身ぐるみ剥がれて辱めを受けます。(姿を見せない仮想敵は、コントローラーを握り締める貴方自身かもしれません)
 敵役のキャラクターを確立したところで、有無を言わせぬレイプ、嗚咽にむせぶと見せかけて、乙女は一撃のもと、レイパーを仕留めます。
 道具立てを少なくして、格闘の剣に象徴性をもたせ、観客に想像力を総動員させました。
 ベッドシーンでのランジェリー姿にフェティシズムを感じさせ、抗し難い魅力にとらわれます。



5.吉野サリー

 SAMURAIとNINJAの早替わりを八面六臂の活躍でこなします。
 袴、羽織の一匹侍、重厚なヘビメタの響きを背負って登場、振りかぶった太刀で一刀両断。袈裟懸け、返す刀で切っ先すくい上げ、臓物を奥深く抉ります。
 かたや忍者は変幻自在、闇に浮かぶ鎖帷子の鈍い輝き、素足でにじって、間合いをはかって機をみて瞬殺。逃走経路も残しません。
 生真面目にものものしく演じる表情が、かえってそこはかとないユーモアを感じさせます。
 3曲目からオーソドックスなパターンへ。赤いベッド着を羽織り、しめやかに花道をたどります。脱いだベッド着をたたみながら集中力を高め、伸びのあるボーカルに合わせて躍動感あふれるベッド。
 しぐさや表情だけでなく、アクロバティックな身のこなしが、うねりを起こして歌い上げます。



6.加瀬あゆむ

 閉ざされていたカーテンをおもむろに開け、教会オルガンのかわりにシンセの重厚な低音でロック。呪詛を唱えるようにボーカルがつぶやいて、「白」の持つ、社会的なステータスを含むイメージすべてに対し、甘味な憧憬を抱きつつ、反発と怨嗟とがないまぜに。
黒のジャケットと白のYシャツ、背景に据えた左右2面の白黒色違いの衝立、みな意味ありげに白と黒とでコントラストを作ります。
2曲目は衝立の向こうで瞬きしながら、3曲目は巫女のように白い着物をまとい、髪振り乱して狂気乱舞、のちに昇天。
4曲目、蟲惑的に求めて貪るベッド。5曲目、白いYシャツに袖を通し、キュートでコケティッシュ。
そして終曲には1曲目を繰り返し、厭世的な気分を執拗に歌い上げます。敬虔な祈りを裏返したように、邪悪な願望をさらりと無機質で、シャープに演じて締めくくります。


                        以上


[7893] 川崎 3中 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/04/04(Sat) 20:15

 川崎 3中


敬称略です。



1.瀬能優

 シックに男装で黒ずくめ、引き締まった体で猫足で。フラッシュ浴びながら、曲が轟音を奏でても臆することなく、目深に帽子をかぶったまま淡々と、軽みのなかにも緊張を感じさせます。
 厳かな曲、途中で盛り上がり、着衣をはいで舞台上の椅子に跨ったところで静まります。
 うつ伏せ、仰向け、浮遊感のあるベッドで、身悶えて昇華。パンプスのヒールの先で照明がきらりと反射したのが目にとまると、かかと、ふくらはぎ、ふとももの順に自然と視線は移行して、網目模様が食い込むさまに見とれます。



2.豊田せりか

 欧風お姫さまスタイルで出て、一転、蝶々の羽根を背負った姿へ。蜜に誘われ花々の合間を飛び交って、戯れるように気まぐれに右往左往。
 雷鳴、驟雨、羽根を濡らしたら一大事と、慌てふためいて身を隠します。
 場面転換すると、裸身にツタを這わせ、妖精かアニマか、輪廻転生を象徴する姿。ドスをきかせた渋い声で訴えかけるバラードに、素直に反応しながら歌うように軽快にダンス。
 立ち上がりの流麗な曲はオペラの間奏曲のよう、つややかなバイオリンにのせて大河に押し流されるよう、花道を蛇行して穏やかに引きました。



3.かんな

 雲の上を漂うようにふわふわと裸足で舞台を辿ります。チマチョゴリ姿、孔雀羽根の扇の根元は鮮やかな桃色の羽毛で覆いつくされます。
 囁く歌、穏やかな言葉、中国器楽合奏の溶け合う和音が耳に心地よく。ネイビー・ブルーのアオザイは、短いスリットに気をとられず、丁々発止の中国武術の動きを披露してみせます。
 ベッドは体で歌うよう。やわらかく反らせて収めた上体を、腰から起こして隆起するようにして、自在にポーズを運びます。



4.蒼井夏恋

 フラフープを伏せたサークルの内に、オルゴール人形がすっと立っています。身をよじり、肩から上を動かし、足抜けして、揺らぐように腕を動かして…
 大きな瞳に玲瓏な肌。口元をほころばせたり歪めたりはせず、愁眉と瞬きとで表情を一変させ、陶製人形になりきって感情の動きを隠します。
 舞台中央で着替えた白いベッドは、薄い生地が腰周りをバレリーナのようにふわりと包みます。
 七色の光を浴びてホログラムのように光り輝いて、幻想的な風景へと誘います。



5.杏野るり

 春の宵、にゃあごにゃあごと猫の雄叫びが。猫耳を最後まではずさずに、猫の動きを写します。形態模写とは違いますが、しなやかな筋肉、なめらかな股関節、軽やかに忍び足で、花道をたどります。
 やわらかな光に洗われる艶やかな肌。毛づくろい、おくび、のび等の仕種を緩慢に。あどけない表情は幼児のそれを思わせます。目を伏せて恥ずかしそうにじらされた体を悶えさせながら…
 天真爛漫に楽しむ春の宵、ほのぼのとのどかに過ごす気分です。



6.伊沢千夏

 この国で花といえば桜。散る刹那を麗しいと讃えます。
 和服の地は桜色、若緑と菫色とを散らして色鮮やかで、春を盛りと萌えあがります。
 帯にはさんだ扇子を持ち替え、開いて閉じて気をそそり、艶然と微笑んで男心を癒して候。
 明るく突き抜けるような2曲目はダンサブル。紅のベッド着は、波紋が流れてせせらぎが聞こえるよう。一音一音に耳をそばだてる静かなベッドで、からめた指と指が、しっかり握りしめる手と手に変わるまで、恋物語をたどります。





[7892] 浅草 2月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/02/14(Sat) 18:38

 浅草2月 


敬称略です。



1. 浜野蘭

 冷え切った外気をしのぐのに、マフラーに耳までかぶる毛糸帽子は欠かせません。それだけ装備を固めて、さぁとびだそう、街なかへ。
 お気にのTシャツをあいつに見せつけたくて、薄着もいとわず7人が思い思いの格好で。シンメトリーを保って離合集散、曲調に合わせて素早く小気味よく展開してから、ユーリズミックス風のけだるいアレンジを経て、盆へ。
 終曲は起爆剤にハードロックで切り出して、はりつめた空気にポーズで刻んでスリリング。



2. かんな

 赤をベースにしたきらびやかな衣装、デザインを違えて3人で、のっけからタイトでファンキーなリズムでノリまくります。
 振付自体は上品に抑えて、緩急を活かしていますが、猥雑さと汗くささが底流に渦巻きます。
 ガーター、ブラ、パンティと、触れれば火傷しそうな炎の赤で、一枚づつ剥ぐ過程をつとめて念入りに、嘗め回す隙を与えるくらいじっくり見せて、花道戻りを使いきり、じわり迫ります。



3. 月川ひとみ

 寒さに凍えながら、偲ぶ故郷のぬくもり… 里帰りを逡巡するうちに、懐かしさがこみ上げます。
 男装ふたりを従え可憐に和服、簪がきらり、奥に涼しい眼。3人で日舞を競えば、身振りと身振りで、せめぎあいに。
 相手の脚を踏みつけにして、白足袋をすーっと抜くのは、非日常的な演出で唸らせます。
 襦袢ひとつで夢幻の際をさまようベッド。立ち上がりから長い引きでは、一語一語噛み締めるような歌いぶりに、思わず居住まいを正します。



4. 矢崎茜

 鈍い色のコートの下に、ラフなカーキ色のTシャツを忍ばせて、傭兵のように神経をとぎすませてダンサー4人が踊ります。ターンで振り切り、メインに駆け寄って、支えて引いて、と、慣れれば戦場も自分の庭…
 整列して、背を向けて、ひとりづつ呼び出されるように退場。
 後に残されたメインは、沈痛な面持ちで盆へ。やるせない情念がこみ上げてきて胸を突き破り、噴き出すように雄渾なスローバラード。
素朴な筆跡で豪快に、ぐいぐい書き継ぐようなボーカルにギター、爽快に。



5. 友坂麗

 白をベースに衣装を揃え5人でサンバ、引き締まったボディ、スラリとした脚をぴったり包むコスチューム、華やかでいて、たおやかで。舞台の一体感をめざします。
 短くも烈しくエクスタシーを上りつめたあとは、落ち着きを取り戻して躁から鬱に。
 そして気分の殻を蹴破って、ポーズ、立ち上がり、ところ狭しと舞台を駆け抜けて、再びポーズで煽ります。息つく暇もなく見とれることを赦しません。
花道にとどまらず本舞台まで使い切り、調子のよい音楽でけしかけて、まどろむニューロンに覚醒を促します。



6. 西園寺瞳

軽いテイストのファンタジー。妖精やエンジェルがじゃれ合うように仲良く睦まじく。
瀟洒な音にフワフワ浮ついた振り付け。フリフリ揺れる腰つきがリアルに悩ましく。
ベッド2曲はアコースティックに根ざした、感性揺らす調べです。野の花が咲き誇るように、ポーズに立ち上がりにと、ナイーブに徹します。
終演間際はとりわけ感銘深く、天使の声が降臨して、フルオーケストラの咆哮が包み込み、しばし静寂を挟んでピアノソロ、ウクレレと、エンディングへ一歩ずつ退いて、かすかに余韻を残します。
 …そして、ドラマチックな7景へ…



7.伊沢千夏

 男装のファントム、のっぺりとした仮面の下は如何に…
 手馴れた浅草のフィナーレの様式を破ってまで、オペラ的な場面転換を使った劇中劇を持ち込みます。ミュージカルの演出を踏襲したものか、しつこく繰り返すメイン・テーマは何度となく変奏されて性格を変え、花道戻りで3人の声で3度歌い継がれる頃には、歌詞で呪文をかけるよう。
 序章から、ファントムの正体の暗示〜 仮面舞踏会の喧騒と惨劇〜 クリスティンの心境を吐露するような独り舞台(ベッド)〜 そして大団円へ。期待と不安を醸し出し、細部を語らないまま強引にエンディングへ、観客の気を引きつけます。
 …結末ですか、ナレーションさえありませんが、重苦しい演奏の果てに、教会で鐘…


[7891] 浅草1月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/01/12(Mon) 07:41



敬称略です。



1.沙羅

 三つ指ついて新年慶びの口上を。裃姿で凛として、緊張した肉声が妙に生々しく響きます。
 やおら5名が立ち上がり、袴を蹴破る勢いで早着替え、羽織るガウンは朱塗りの漆器のようにモダンな香りのする赤と黒。胸元には赤いエナメルボンデージが見え隠れ。
 ハード・ロックのうねりをからめて斬新に。
 そして終曲はアリアで愛の二重唱を朗々と。柔らかな歌いまわしに耳を奪われ、のびやかな肢体の展開に目を奪われます。
 花道を戻りきったところで、はらり、黒のシースルーが足元へ。



2.南ももか

 騒然、沸騰のアイドルのコンサート会場へ、聴衆の欲望のエネルギーに呑み込まれないように、元気いっぱいで笑みを振りまきます。「ぃえ〜い!」の掛け声、高らかに。
 スクールメイツのお二人は、狛犬のように左右脇をがっちり固め、メインの気まぐれなアドリブを支えて助けます。客席に目線を配って、笑み振りまいて、会場との一体感が醸成されるころ、場内がぐんと広がったような気がします。
 軽快な曲になだらかな動きで、しばしポーズ。素肌にまとわるベッド着が肌をすべり落ちました。生地の感触を確かめて、いとおしそうに抱え上げます。



3.藤咲茉莉花

 もの悲しい曲調、魂揺さぶる演歌です。隣の大勝館で芝居の合間に演じていた、歌謡ショーにも似て、歌詞の力を借りたスピーディーなストーリー展開へ。
 愛の逃避行は北の果てへ。舞い雪を想わせる白の着物、蛍のあかりを想わせる赤の打掛、
思いを寄せる4人から1人が摘み取られると、ダンス・パートはしめやかに締めくくられます。
赤の襦袢ひとつでベッド、モノローグ的な告白調。百の言葉、千の思いを身振りひとつに託します。



4.葉山小姫

 胸を反らせ腰を伸ばしたままハイヒールで小刻みなステップ踏んで、社交ダンスのようにルンバ、優雅にしゃなりしゃなり。
 2曲目は伸びのある男性ボーカルで悠々と、時間をかけて着替え、黒いドレスがエレガント。
 3曲目は盆で、結構分厚い音。ここまでほとんど同じテンポの曲を並べ、ベッドもゆったりとタメをきかせて、憂い顔で思わせぶりに。
 終曲は翳りのある女性ボーカルで陰鬱に滑り出し、感情が揺さぶられる様子を表情に写します。立ち上がりから急がず慌てず、ゴスペル・コーラスを重ねて壮大に終わります。



5.空まこと

 イントロの取り違えを、機転利かせて3秒で入れ替えて、次の曲にすかさず付いていきます。そんな愉快な演出に、5人が5人とも何か吹っ切れたような表情みせて、ノリよくニューオリンズ風、マルディグラのようにはしゃぎます。
切れ目を入れてなびきやすい衣装で、ショウっぽくていかにも楽しそう。ゴツゴツしたリズムに遊びを持たせて、痛快に。
2曲目以降もノリを引きずって、プライベート・ダンス(アドリブ)色が強く、ありきたりのステップを削いで自在に奔放に、野趣溢れます。



6.清水愛

 アフリカの土俗的な音楽を思わせるリズム、時折息継ぎをするように間を置きながら、息の長いフレーズに独特なリズムを刻んで、2曲目以降も似通ったリズムを繰り返します。 気まぐれな3人のショウ・ガールが、キュートにコミカルに。メインは肌にYシャツ、ブーツ姿に着替えてベッド、粘るリズムに押し出されて盆へ。
 女友達の門出を祝福するウェディング・ベルに、サンドバッグに拳を叩き込むような擬音を重ねてエネルギッシュに、動きのあるベッドで大胆に。歓喜にむせぶように派手なピークを迎えて、爽快なエンディング。



7.灘ジュン

 ドラムが走り、ホーンセクションが押し寄せ、モダンなジャズを叩きつけます。
 精鋭6名が白いシャツとぴったりした黒いパンツで、運動量を厭わず激しく踊りまくります。
 髷に和服姿のメインはたったひとりで対峙、黒地に赤や黄の華を咲かせて艶やかに、舞台を左右に振られて小走りに駆け抜け、白足袋の足を素早く送ります。
 洋舞と日舞の磁場を張り合わせて、実にスリリング。融和するように扇子広げて舞い踊るうち、次第に息も合ってゆきます。
 さなぎを破るようにして、白の襦袢姿で花道をしずしずと。未練がましく見送る男役が花道の向こうに佇むのを、置き去りに。ベッドを挟んで、立ち上がりで再び顔を合わせたふたりの、しがみついて離れまいとする姿がいじましく。背中合わせで手を重ね、仲睦まじく引いてゆきました。



8.フィナーレ

 1景冒頭は和太鼓で始め、フィナーレは暴れ太鼓の乱れ打ち。小気味よい響きが変容して延々とリレーされていきます。
 白い着物の裾を割って、その下に重ねた赤い生地を覗かせ紅白で、寿いで… 総勢で舞台を占め、錯綜する動きから、いっせいに揃えた動きに移ったときが、また爽快。舞台からうねりを送り、圧倒します。




[7890] 浅草12月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2009/01/03(Sat) 02:13



敬称略です。



1.若葉さくら

 5人のコスプレ、試着室のようなカーテンの向こうでソリッドな衣装に着替えると、黒が細身のボディをさらに引き締めます。色彩をそぎ落としたようなスリムな音を低音で響かせて、気取って歩いて、派手な動きは封印へ。
 ベッドはわびしげな曲でいったん沈めて。浮上する立ち上がりはノリのよいリズム、キレよくポーズをはさみます。
 SF空間にSLの響きを重ね撮り、たなびく蒸気はミルキーウェイに溶け込みます。



2.木村彩

 ブロンド、アフロ、マッシュルーム、スタンド・マイク並べて3人でコーラスを。歌詞をたどれば、ちりばめられたギャグの数々に笑い転げます。
 それまでの宴会芸風のノリを、しっとりと落ち着いた曲で醒ましてベッド。アコースティックなハーモニーが心地よく。
暗い空間の広がりのなかで、盆周りのみラベンダー色に浮かび上がり、舞台背景から遠目のヘッドライトのようにサファイヤの灯が好対照。
肌にふわりと羽織るベッド着をするりとはだけさせ、優しげな静止ポーズへ。冒頭と対比させたのか、シンプルでナイーブに仕上げます。



3.夏目りょう

 郵政民営化後も、サンタの仕事は相変わらずハードワーク。うたたねサンタをこづいて起こします。夢うつつの境界で、重力のくびきから解き放たれたようにポールの美技へ。ポールにからんで回って、すべり落ちての他に、倒立、あん馬や吊り輪のように上腕筋や背筋を駆使して、ダイナミックに演じます。
 クリスマス・ソングの中には、うきうきと楽しげな曲調と、しっとりと落ち着いた敬虔な響きと、2パターンがありますね。前者で冒頭5人を楽しげに遊ばせて、後者はベッドの立ち上がりでゆったりと使います。
 慈愛に溢れて神妙な面持ちで、大きなポーズを捧げて終わります。



4.大空あすか

 目深に帽子をかぶってうつむいて男前の顔を隠し、キザに気取って構えます。ジャケットに銀糸の刺繍、サスペンダー、粋な3人が脱力したまま、軽い足捌きで靴底が床に吸い付くよう。隙間だらけの音に粗いリズム、わざと調子をはずしてサックスが吠え、ベースと対話してみせます。
 メインの衣装替えをせかすように早いテンポで間奏曲、今度は女らしく長いスカートで、裾をなびかせて、縦横無尽にバレエのターン。
続いて、陽が沈むように真っ赤な照明で染め上げて、ワークソングのように重く引きずるようなリズム、4拍子の3拍めにアクセントをのせて、スローとクイックが瞬時に入れ替わります。この長い曲に対抗するようにして、活発に盆を這い回り、最後は目立つポーズで華を添えます。



5.桜澤まみ

 引き戸を開けて、あでな着物姿のおねえさん、町娘4人に駄菓子を振舞います。気前のいい別嬪さんじゃぁありませんか。無邪気な歓声についほだされて、あれもこれもと、手袋、毛皮、シャンパンへエスカレート。いいねぇ、江戸っ子らしくって、パッパと…
 小唄とジャズがなれあって、景気のいいリズムを転がします。
 インスト2曲をはさんでラストはせつせつと、恋心を歌います。
 すべてを美化するように無垢な雪化粧、舞台背後ではミラーボールから幾条もの白い光を散乱させて、あたかも巨大な雪の結晶を仰ぎ見るような。
 自在に表情を操る夢芝居、さらりとした手触りを残し、するりと身を翻して引きました。



6.篠崎ひめ

 しごく単純な音階をたどる単調なテーマを、冒頭に出して変奏を繰り返す、クラシック音楽の語法で紡いだオーケストラ曲。昇って降りて、と、逡巡しながら、結局は出だしの音に戻って終わります。
 ぽきぽきと手折るようなリズムに流麗な振りで、ひとつひとつは手旗信号を発するようにして単純なのですが、4拍のなかで1拍づつズラして、メインから他へと順次、振りをリレーします。細かな息遣いを伝える精妙なアンサンブル。
 2曲目は、メインの独壇場、白く長いベッド着を振りちぎらんばかりに、跳躍・闊歩。リズム・ボックスが裏打ちします。
 ベッドは自在に、柔軟に。足の付け根を折りたたむ深いL。いったん立ち上がって、踊り足りない思いをぶつけるように、喜悦に満ちた表情で何度もターンを繰り返します。



7.相崎琴音

むせるような熱気を帯びて、いきりたつようにラテンのリズム。鳥が翼を広げてトサカを振り立てるように、7人が派手に動き回ります。
2曲目はバックダンサー4人が狂乱、カーニバル的な雰囲気で熱く盛り上げます。その白い群舞のなかに、メインが赤いベッド着で割って入り、しとやかな3曲目へとつなぎます。
すーっと花道をたどり、感情移入もほどほどに、姿勢の良さと目線の置き方ひとつで堂々と見せて、曲に依存して要所にポーズを繰り出します。



8.フィナーレ

 冬枯れの立ち木でも深く大地に根を張って、強い生命力を内部に宿します。シックに黒でまとめた衣装で勢揃い、立ち木のシルエットのように静止した群像が、雪解けのように活気を漲らせ、舞台全面に展開します。





[7889] 浅草11月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2008/11/06(Thu) 21:41

 


敬称略です。



1.優月遥花

 ひと粒ひと粒キラキラ輝くような音を重ね録りしたスペースオペラ風のロック、その根はストロベリー・フィールズ・フォーエバーの系譜に繋がります。
 ターン主体でマントを翼のように翻すと、光の三原色がキラキラとその表に反射します。6人が交錯すると、その輝きに目を奪われ、白い衣装のメインを引き立たせたり、呑み込んだり…
 花道を渡って盆で寝そべると、白い花をかたどった髪飾りが揺れて頬を撫でます。初々しい微笑みこぼして、おおらかにスワン、鮮やかで抜き身を放つようでした。



2.奥菜つばさ

 お金のない生活なんて考えられない! 平気でうそぶく女に振り回された日には、たまったもんじゃぁありません。でもグラマラスな彼女からはフェロモンぷんぷん、イイ男4人は振り回されてキリキリ舞い、それでも彼女はどこ吹く風…
 オレンジとラベンダーの二条の光の帯が、左右の天井付近から斜光で盆に注ぐと、あたりは一面、温かそうなピンクの海。
 Lにしゃちほこにと、小気味よくポーズを繰り出して、気持ちよい流れをつむぎます。



3.HIRO

 光沢を帯びたボディコンシャスな衣装で髪乱れるままに、腕振り上げて腰をくねらせ、スポットライトを一身に浴びようと目立ちたがりがひしめくダンスフロア。大音量のハウス系の音、猥雑に。
 ベッド入りは一転してドレッシーに、せつなげに迫ります。踊り疲れた脚を伸ばして休ませ、膝頭に頬を寄せると、瞳の奥が濡れて光るよう。疲れ果てた肉体とは裏腹に、神経は昂ぶり胸は熱く火照り、今宵も寝付けない夜になりそうです。



4.沙羅

 ほの暗く青い照明に、クールな黒人女性のボーカルで引き締めます。リズムボックスを引き気味に、ゴスペル歌唱が前面で、うねる波長を踊り手に送ります。
 パールホワイトに輝くサテンのドレスで踏み込むと、ターンするたびに、裾が水のように素直に脚にからんで解けて…
 互いの進路を遮りながら、ぴたりと周期を合わせて惑星の軌道を描いてみせて、冴え冴えとした情念の炎を揺らします。
 ベッドはのびのびと奔放に。しなやかに振る舞い、柔らかく脚を泳がせ、また収めてと、自在に遊びます。花道戻りですっくと立ち上がり、衣装を背負って白鳥の翼のように広げてはばたくよう。




5.蒼井夏恋

 セーラー服って、今でも人気の定番でしょうか? 無邪気さと淫靡さとが共存するコスチューム。
 元気はつらつとした3曲の後、ひねりを効かせたポップスで、わざわざ胸元のリボンを外させて破棄させます。多感な少女から情感豊かなおんなへの変容。
 ベッドでの日本語のバラードは心を打ちますが、チャイムを模してチェンバロ風に響くシンセサイザーの伴奏が特に美しく、心に沁みます。曲の息遣いに合わせてゆったりと静止ポーズ。しなやかな身のこなしで通します。



6.松嶋れいな

 半獣半人の獰猛な姿、本能を解放して狂喜乱舞。獲物と見れば寄ってたかってサディスティックな悪戯にふけり、ワイルドな群舞で、いや増すボルテージを煽ります。
 女王然としたメインは花道に仁王立ち、豹柄の下着をかなぐり捨てた後、盆に沈めば夜想曲に埋もれ、放縦さに倦んだようにして、しなだれます。
 無窮動に反復するリズム、サキソフォーンが甘く囁いて、にわかにセクシャルなイマジネーションが湧いたのか、豊満な肉体を駆使します。
 終曲は際どい歌詞で挑発して、リビドーが噴出するに任せます。



6.フィナーレ

 緩やかなイントロから加速してテーマがなだらかに滑り出します。単調そうに聞こえながら、細かくリズムを拾う振付が、凝っていて難しそう。
 息を切らしてカーテンコールに呼ばれて、花道先端まで隊列引き伸ばして、いったん途切れた音を呼び戻して、再び本舞台センターへ。
 記念写真に収まるように仲よく肩寄せあって、お別れです。




[7888] 浅草9月 投稿者:八卦 [関東] 投稿日:2008/09/15(Mon) 05:38



敬称略です。



1.杏野るり

 のぞき見させるようにわざわざ細く開けた幕の間から、キャバレーのコスチューム、しどけない姿で挑発します。ショッキング・ピンクに黒の紐飾りを下げて、プルプル震わせれば、飾りにつられて胸も揺れるよう。ぴっちり太ももまで包む黒のストッキングの切れ目より、白い肌が浮かび上がります。
 茶目っ気たっぷりのピアノにつられて、忍び足で大胆なステップ。ジャズやらデキシィーランドやらいろいろと引用してみせて、理屈抜きに楽しいショウが始まります。
 メインが黒いドレスに着替える間に、2曲目のスタンダード・ジャズのナンバーが颯爽と始まります。楽器のように緻密に運ぶボーカルに、気さくに話しかけるようなピアノとベース。インチメートな会話を聞かせうきうきさせながら、花道をたどります。上品なワインレッドからロゼへと背景の色を変え、やがて幕が引かれてすっかり暗闇に。
 ベッド着を肩にかけたまま盆に横たわり、豊満な体を柔軟に操ります。熱唱型のバラードで燃えつくした後は、薄明のように爽やかなポップスで癒します。低音で囁き、中音域でエコーをかけるようなミラクルボイス。
 花道戻りは椅子とともに運ばれて、覆いかぶさるなど、ポーズを工夫してみせます。喝采を浴びながらゆっくりと引きました。



2.南ももか

 50年代アメリカの風情、往時のオールディーズのメドレーをミュージカル仕立てに。
 他愛もないストーリーですが、青春の一コマを憧れこめて描きます。
 娘らはフリフリのスカートにピンクの水玉散らし、男の子たちはクラシカルなブルー・ジーンに刺繍入りのジャンパーで、グリースたっぷりでおめかしして。
 フラフープで遊ぶ娘2人が、3人目の娘に声をかけたらば、気障な男2人組が割り込んで、モーションかけて可愛いその娘を奪い合いに。こっち向いてよ、ジルバ踊ろうぜ、誘いを断る言葉も思いつかず、ええぃ、ゴーゴー・クラブへと繰り出します。
 強面でちょっとツッパリで、でも優しいみたいだから、打ち解けて仲良く向き合ってツイストを。手話を早回ししたような手振りのお遊戯も披露して、何だか楽しげで羨ましくなりました。
 遊び疲れて家路について、淡い桜色のコットンの下着でベッドへ向かいます。ちょうちん袖に細かいフリルがついて、可愛くも悩ましげ。自室でくつろぐようにのびやかな肢体をさらして、下着ズラして胸もあらわ。澄みきった女性ボーカルの響きに包まれて、癒されます。ここから落ち着き払ってポーズの連鎖へ。
 エンディングは、堂々とした立ち姿からキメポーズをゆったりと見せてくれました。



3.白沢きらり

 ちょっと開けた幕の間から、ミラーボールで散乱した真っ青な光の帯が伸びていきます。その中に埋もれるようにマーメイド姿のメインが現れます。ニンフのように戯れながら取り囲む魚たち、底抜けに明るい表情浮かべて牧歌的に。底深い海に広がるファンタジックな世界が、客席を包んで一挙に夢の境地へ連れ去ります。
 2曲目はとりわけ陽気に魚たちの大合唱のシーン、マーメイドの独り立ちをバックダンサー3人が盛り立てます。マリンバもスチール・ドラムも心地よく音を転がして、弦も金管も歯切れよく上機嫌。3人は腰を振り振り一列に蛇行して、むかで歩きもユーモラス。
 能天気に聞こえる旋律の底流からタイトなリズムを拾って、シンクロさせて膝を浮かせたり沈めたり、授かったばかりの脚の性能をいちいち確かめるように、メインは楽しげに盆へ進みます。
 舞台奥の幕を閉ざし、闇に静かなバラードが流れます。外は雨、窓を叩く風、回想めぐらし、オール・アローンと呟いて…
 優しい音に身を委ね、しっとりと盛り上がったところでナチュラルなポーズへ流れます。片膝ついてのけぞりながら伸び上がり、反らせた体がしなやかなアーチを築きます。



4.月川ひとみ

 無愛想な黒一色のシャツにパンツルック、にぶく輝くコートの裾をなびかせ、髪振り乱し、烈しいボディアクションへ。
 フラッシュ瞬きサーチライトが駆け巡るなか、ハードロックが轟きます。金属色のコート以外は闇の奥に沈み、必死の形相で踊る5人の識別さえ定かでありません。
 5人を左右に散らしてはセンターに戻し、小走りに渦巻きを描いて横一線。5人 →1人 →3人 →5人と、駒のように自在に配置を入れ替えて、ダイナミックな効果を求めます。
 4人がかりで大きな敷布を広げた陰で脱いで、メインは素肌を露出、コートにブーツが黒々とコントラスト。碁盤の目のように並ぶ背後の照明が、極彩色で点滅してめくらまし。
雄雄しく荒れ狂うパフォーマンスで、盆にたどり着いて突っ伏して、充電切れたロボットのように最後の痙攣も途絶えます。
 “デンジャラス……  ……デンジャラス…… ” 
とは、電気ショックの擬音の狭間から。うめき声に煽られて、のたうち身をよじり、魂を逃したように口を開きかけ、目もうつろ。生体反応を絶たれた気味悪い表現が、なまめかしい挑発的な肉体と同居します。
 そして立ち上がりは凄惨に。血糊浴びせたような真っ赤な祭壇で、叩きつけるビートにのせて、カタストロフィーの途を一挙に辿ります。



5.小野今日子 〜矢崎茜

 荘重なテーマにのせて、ひとりずつ紹介するように登場させました。大奥で繰り広げられる愛憎絵巻。逆光の中で群像が浮かび上がり、対立と心理的葛藤の始まりを予告します。
 殿の御前でなごやかなはずの宴、ささいなことも正室と側室の諍いに火をつけます。無表情を装って気の強いところを見せる側室の小野さん、乱した感情に振り回される正室の矢崎さん。舞台にしては緻密にして濃厚な演技に徹して、映画のカメラの長回しを見ているような印象です。
 妬みと猜疑が渦巻く胸のうち、モダン・バレーのような装束で、群舞の5人が場をかき乱すように踊ります。安心を得るには体のコンタクトから、心変わりのないことの証拠を求めて、男の体をむさぼります。

 ここで別のエピソードを挿入するように、誘惑を仕掛ける側室のダンス・ベッド。あられもない台詞を歌詞に取り込んだロック調の曲が、淫靡なムードを引き立てます。からむ相手は見えなくとも、四十八手を駆使して男を陥落させる濡れ場。悶え方ひとつをとっても、したたかな女の計算が透けて見えます。

 冒頭のテーマを再現すると、心理劇が活劇へ、思わぬ方向に展開します。策謀は、刺客を差し向けた暗殺へ、曲者だ、出あえ、出あえぇ…となって、抵抗むなしく殿はご冥福。
 嘆き悲しみ、後追い自殺も諦めたしるしに匕首を取り落とし、せめてもと、生前に抱かれた思い出に浸る感傷的なベッドを正室が。ピアノで入ってチェロで落ち着かせた後、美しい日本語の語り口で、静かな曲がしんみりとさせます。思い出のひとつひとつが蘇って、美化されて、走馬灯のように巡ります。
 思いを断ち切って、ふっと踏ん切りをつけた表情が、凛として惹かれます。



6.フィナーレ

 フレンチ・カンカンは、はしゃいで奇声を上げて、スカートまくりあげて大盤振る舞い。ジェットコースターのように突っ走り、興奮状態が頂点に達したところで幕となりました。